Trademark Appeal Case
犬の図形商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900450(T2008−900450/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5158458号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成19年2月19日に登録出願、第14類、第18類、第21類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年7月4日に登録査定、同年8月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人アガタ ディフュージォン(以下「申立人」という。)は、本件商標についての取消理由に、宝飾、ネックレス、イヤリング、指輪、ブローチ、髪飾り等のアクセサリーについて使用している別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標」という。)を引用している。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、フランスのアクセサリーメーカーとして我国でも周知であり、「AGATHA」は、その略称及び商標(ハウスマーク)として周知であり、「スコティッシュテリヤのマーク」は、申立人のシンボルのキャラクターの商標として、我国においても周知である(甲第2号証ないし同第48号証)。
そして、本件商標中の犬の図形は、申立人のスコティッシュテリヤの図形と左右逆であるが、スコティッシュテリヤの図形と特徴的な構成を共通にし類似するものであり、少なくとも相紛らわしいものである。
したがって、本件商標をその指定商品中、第14類の指定商品に使用したときは、需要者をして申立人又は申立人と何らかの経済的な関係を有する者の業務に係る製品であるかの如くに誤認混同を生じさせるおそれが存するものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標構成中の「Betty Dumoulin」は、フランスの現に活躍しているバッグ類のデザイナーであり、テリヤ犬の形をしたバッグで人気を博している(甲第49号証ないし同第52号証)。
したがって、本件商標は、他人の氏名を含む商標であるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
商標権者は、カジュアルバッグの製造販売業者であり、スコティッシュテリヤのマークが我国でも周知な申立人のアクセサリーのシンボルマークであることを知り、また、「Betty Dumoulin」がフランスのバッグのデザイナーであり、テリヤ犬の形のバッグを提供していることを承知の上で本件商標を採択したものである。
本件商標のような商標が登録され、使用されるときは、公正な競争秩序が害され、健全な商慣習が害され、更に、国際信義が害されることになる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(5)よって、本件商標の登録は、第14類「貴金属,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」について取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は、別掲(1)に示したとおり、右向きの犬と思しき図形を線描画で表し、その下に「Betty Dumoulin」の文字を配した構成からなるものである。
他方、引用商標は、別掲(2)に示したとおり、左向きの黒塗りの犬を表したものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、申立人は、両商標はスコティッシュテリヤの特徴的な構成を共通にする旨述べているが、引用商標がスコティッシュテリヤを表現したものとはいえても、本件商標は、線描画であることとも相俟って、必ずしも直ちに、スコティッシュテリヤを表したものとはいえない。しかも両商標は、尻尾の太さや向きに差異があるばかりでなく、首輪の有無の差異が看者の印象に与える影響は決して小さくないものというべきである。
そうとすれば、両商標の図形は、ともに犬の図形を表したものであるとしても、その構成態様において十分区別し得る差異を有しており、この差異は、比較的簡潔な構成からなるこれら図形の外観に与える影響は大きく、図形全体から受ける視覚的印象を異にするものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察するも、外観において相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、少なくとも、本件商標の図形部分から特定の称呼、観念を生ずるものとは認められないから、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念の点については比較すべくもないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり、本件商標と引用商標とは十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第8号について
申立人の提出に係る甲第49号証ないし同第52号証(インターネット検索サイト等)によれば、「Betty Dumoulin」の表示のもと、フランス製、テリア型バッグの表示が数カ所あり、そのバッグがYahooオークション等に出品されている等の事実を認めることができる。
しかしながら、申立人の提出に係る証拠によっては、「Betty Dumoulin」に関する具体的な説明が何ら記載されていないため、「Betty Dumoulin」がフランスのデザイナーであるとしても、本名であるのか略称であるのかを確認することができず、結局、商標法第4条第1項第8号に規定されている要件について判断することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
上記したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、また、「Betty Dumoulin」に関する具体的な事実も明らかにされていないから、この点についての申立人の主張は採用できない。
(5)以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る第14類の指定商品について、商標法第4条第1項第7号、同第8号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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