Trademark Appeal Case
商標の略称と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900488(T2008−900488/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5167994号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマイルフェイスシャッター」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成20年3月25日に登録出願、第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,プロジェクター及びその部品,電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第38類「電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」及び第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品又は指定役務として、同20年9月19日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商願2007−57598号商標(以下「引用商標1」という。)は、「スマイルシャッター」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年6月7日に登録出願、第9類「デジタルカメラ,カメラ付携帯電話機,ビデオカメラ,音楽・映画・画像・アニメーションを記録したICメモリーカード,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とし、登録第5185289号商標として、同20年12月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、商願2007−110141号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲に示したとおりの構成よりなり、平成19年10月26日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品とし、登録第5185383号商標として、同20年12月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、商願2008−79576号商標(以下「引用商標3」という。)は、「スマイルシャッター」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年6月7日登録出願された商願2007−57598号(引用商標1)の分割出願として、同20年9月30日に登録出願、第9類「写真機械器具」を指定商品とし、同21年6月12日に商標登録第5237491号として設定登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、商願2008−71995号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲に示したとおりの構成よりなり、平成19年10月26日に登録出願された商願2007−110141号(引用商標2)の分割出願として、同20年9月2日に登録出願、第9類「写真機械器具」を指定商品とするものである。
(以下、これらをまとめていうときは「引用各商標」という。)。
(2)商標法第8条第1項について
本件商標は、「スマイルフェイスシャッター」の文字を横書きした構成からなるところ、全体として「笑顔シャッター」といった程度の観念が生じる。また、本件商標「スマイルフェイスシャッター」は、11音という極めて冗長な音構成からなるところ、簡易迅速を尊ぶ取引市場においては、略称される場合があるものというべきであり、その場合、本件商標の語頭と語尾部分に着目して「スマイルシャッター」と略称する場合もあるものというべきである。
一方、引用各商標は、いずれも、「スマイルシャッター」の文字よりなるか、又は、「スマイルシャッター」の文字を顕著に書してなるから、全体として「笑顔シャッター」といった程度の観念が生じ、「スマイルシャッター」の称呼が生じる。
してみれば、本件商標と引用各商標は、観念及び称呼を共通にする類似の商標である。
そして、本件に係る指定商品は、引用各商標に係る指定商品と同一又は類似するものである
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当するものである。
(3)申立人の商標「スマイルシャッター」の周知、著名性について
ア 申立人の商標「スマイルシャッター」は、カメラ、携帯電話などに使用されている商標である(甲第4号証ないし甲第10号証及び甲第26号証)。「スマイルシャッ夕−」は、「笑顔を検出して自動で撮影を行うツール」として、他社に先駆けて2007年9月に「デジタルカメラ」に使用が開始され(甲第4号証及び甲第7号証)、2008年2月15日には、携帯電話に使用開始(甲第9号証及び甲第12号証)、同年7月には、世界で始めて「動画を撮りながら笑顔が撮影できるビデオカメラレコーダー」に使用され始めた(甲第6号証及び甲第10号証)。
イ 「スマイルシャッター」は、目、口角、歯の見え方の変化を判断要素として、被写体が笑顔になったことを人間と同じように、あるいは人間より早く感知することができるという今までにない画期的な特徴を有している。この画期的な特徴から、「スマイルシャッター」は、発売当初より大きな話題をよび、市場においてまたたく間に人気となり、「スマイルシャッター」搭載デジタルカメラの累積出荷台数は455,343台(2007年10月1日から2008年6月30日)、「スマイルシャッター」搭載携帯電話の累積出荷台数は、128,000台にまでのぼった(2008年2月15日から同年7月28日)(甲第11号証及び甲第12号証)。
ウ 「スマイルシャッター」 に関するテレビコマーシャルは、2007年9月の発売当初から本件出願時(2008年3月25日)までに、全国的に数多く放送された(甲第15号証、甲第16号証及び甲第84号証ないし甲第89号証)。
エ 申立人は、「スマイルシャッター」の広告に関し、交通広告も積極的に取り入れた(甲第17号証ないし甲第19号証及び甲第90号証)。
オ 申立人は、2007年9月から本件商標の登録出願時(2008年3月25日)までに、多くの展示会を開催し、さらに、店頭における宣伝広告活動にも力をいれた(第4号証ないし甲第6号証、甲第17号証、甲第20号証ないし甲第23号証、甲第25号証及び甲第67号証)。
カ 申立人は、本件商標の登録出願時までに、ウェブサイト上においても大規模な宣伝広告活動を行った(甲第24号証及び甲第25号証)。
キ 「スマイルシャッター」は、2007年9月から本件商標の登録出願時(2008年3月25日)までの間に、各種新聞、雑誌などにおいても数多く取り上げられた(甲第27号証ないし甲第39号証、甲第41号証、甲第45号証、甲第48号証、甲第52号証及び甲第54号証ないし甲第72号証)。
(4)商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、申立人が使用する商標「スマイルシャッター」は、その販売開始時(2007年9月)からの大規模な営業活動、宣伝広告活動により、本件商標の登録出願時である2008年3月25日には、すでに申立人の製造販売にかかる商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。そして、本件商標「スマイルフェイスシャッター」は、この申立人の商標「スマイルシャッター」と類似する商標である。また、本件商標にかかる指定商品は、申立人が商標「スマイルシャッター」を使用する商品「携帯電話機」(Cyber−shotケータイ)、「デジタルカメラ」(サイバーショット)、「ビデオカメラ」(ハンディカム)と同一若しくは類似する商品である。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
本件商標「スマイルフェイスシャッター」が、商標権者により使用された場合には、現実の市場において、申立人の商標「スマイルシャッター」と混同されるおそれは、極めて高い。すなわち、商標の類否を判断する上において商標の語頭部分と語尾部分は、重要な役割を果たすものであるところ、語頭部分「スマイル」と語尾部分「シャッター」を共通にする本件商標と申立人の商標は、取引者、需要者に共通の印象を与え、出所の混同を惹起させる可能性が高い。したがって、本件商標は、申立人の商品と混同を生じるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)よって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第8条第1項について
本件商標は、「スマイルフェイスシャッター」の文字よりなるものであるところ、容易に「スマイル」「フェイス」「シャッター」の各語を結合させてなるものと認識させるものであるが、その構成文字は、同じ大きさ、同じ書体、同じ間隔で一連に横書きされているものである。
そして、本件商標の構成全体から生ずる「スマイルフェイスシャッター」の称呼は、格別冗長なものでもなく、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、本件商標は、構成全体をもって特定の観念を生じない一体不可分の造語であって、「スマイルフェイスシャッター」の称呼のみを生ずるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標1及び引用商標3は、「スマイルシャッター」の文字よりなるものであるから、「スマイルシャッター」の称呼を生じ、特定の観念を生じない造語と認められる。
また、引用商標2及び引用商標4は、図形と文字との結合によりなるものであって、図形と文字とがそれぞれ独立して取引に資される場合があるものというべきであるが、図形部分からは、特定の称呼、観念は生じず、「スマイルシャッター」の文字部分からは、「スマイルシャッター」の称呼が生じるが、特定の観念は生じないと認められる。
そこで、本件商標と引用各商標とを比較すると、両商標の外観は、明らかに相違し、称呼においては、本件商標の称呼が「スマイルフェイスシャッター」であるのに対し、引用各商標から生ずる称呼は、「スマイルシャッター」であるから、両称呼は、その構成音及び構成音数が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標及び引用各商標からいずれも特定の観念を生じないから、比較し得ないものである。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら、相紛れるおそれのない、非類似の商標であるから、引用各商標が本件商標の先願に係るものであったとしても、本件商標は、商標法第8条第1項に該当するものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、「スマイルシャッター」について、「カメラ、携帯電話などに使用されている『スマイルシャツ夕−』は、『笑顔を検出して自動で撮影を行うツール』として、他社に先駆けて2007年9月に『デジタルカメラ』に使用が開始されて以来大規模な営業活動、宣伝広告活動により、本件商標の登録出願時である2008年3月25日には、すでに申立人の製造販売にかかる商品を表示するものとして需要者の間で広く認識されていた。」旨主張する。
しかしながら、申立人が使用する標章「スマイルシャッター」は、笑顔を検出して自動で撮影を行う機能を表す語として用いられており、提出に係る全証拠によっても、申立人が使用する商品「携帯電話機」(Cyber−shotケータイ)、「デジタルカメラ」(サイバーショット)、「ビデオカメラ」(ハンディカム)の機能を表す表示から離れ、商品の出所を表す表示、すなわち商標として広く知られているとは認められない。
加えて、本件商標と申立人が使用する標章「スマイルシャッター」とは、前記(1)と同様の理由により、十分に区別し得る別異のものというべきものである。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人が使用する標章「スマイルシャッター」については、前記(2)の認定のとおり商標として広く知られていると認められないものであり、また、本件商標と申立人が使用する標章「スマイルシャッター」とは、前記(1)と同様の理由により、十分に区別し得る別異のものであるから、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用各商標を連想又は想起させるとは認められず、また、申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品及び役務であるかのごとく、商品及び役務の出所について誤認、混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(4)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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