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Trademark Appeal Case

「アサヒ」著名商標との類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900046(T2008−900046/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5090356号の1商標の指定商品中第32類「ビール」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5090356号の1商標(以下「本件商標」という。)は、「ASAHIRYOKUKEN」の欧文字と「アサヒ緑健」の文字とを上下二段に横書きしてなり、平成18年12月4日に登録出願、第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年11月9日に設定登録された登録第5090356号商標の商標権の分割に係るものであって、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,飲料用野菜ジュース但し、清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュースを除く」を指定商品として、平成21年2月23日に分割の登録がなされたものである。

2 引用商標

登録異議申立人「アサヒビール株式会社」(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりである。

(1)登録第1488590号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アサヒビール」の文字よりなり、昭和41年2月16日に登録出願、商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和56年11月27日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、平成14年3月20日に指定商品を第32類「ビール」とする書換登録がされたものである。

(2)登録第2055143号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲1のとおり図案化された「Asahi」の文字よりなり、昭和60年12月4日に登録出願、第28類「ビール、洋酒、果実酒、中国酒」を指定商品として、昭和63年6月24日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。

(3)登録第4520206号商標(以下「引用商標3」という。)は、「アサヒ本生」の文字を標準文字で表してなり、平成12年12月12日に登録出願、第32類「ビール,ビール風味の麦芽発泡酒」を指定商品として、平成13年11月9日に設定登録されたものである。

以下、これらをまとめていうときは、「引用各商標」という。

3 登録異議申立ての理由

本件商標は、その指定商品中第32類「ビール」については、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取消されるべきものである、旨申立て、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号及び参考資料を含む。)を提出している。

(1)商標法第4条第1項第8号について

本件商標は、「ASAHIRYOKUKEN」、「アサヒ緑健」の各文字を上下二段に横書きしてなるところ、上段の欧文字は下段の「アサヒ緑健」の読みを欧文字表記したものと認められる。

そして、下段の「アサヒ緑健」の文字中、「アサヒ」は片仮名文字で書し、「緑健」は漢字で書してなるから、両文字は視覚上分離して把握されるものである。

そうすると、前半の「アサヒ」の文字及びこれに相応する「ASAHI」の欧文字は、本件商標の登録出願日前から商品「ビール」等の製造メーカーとして有名な申立人「アサヒビール株式会社」の著名な略称である「アサヒ」、「ASAHI」と同一と認められるから、本件商標は、その商標中に他人の著名な略称を含む商標であり、かつ、その他人(申立人)の承諾を得ておらず、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。

(2)商標法第4条第1項第11号について

本件商標中、下段の文字は「アサヒ」と「緑健」とに分離して把握され、前半の「アサヒ」及びこれに相応する上段の「ASAHI」の文字は、指定商品「ビール」について申立人の著名な商標と同一であるから、特にこの部分が需要者の記憶に残り、印象の強い部分ということができ、よって、構成全体から生ずる「アサヒリョクケン」の称呼のほか、「アサヒ」「ASAHI」の文字より「アサヒ」(朝日)の称呼、観念をも生ずるものである。

他方、引用商標から「アサヒ」(朝日)の称呼、観念が生ずること明らかであるから、両商標は、上記称呼及び観念を共通にする類似商標であり、かつ、指定商品「ビール」を同一にする。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

本件商標は、その構成中に「アサヒ」、「ASAHI」の文字を含むところ、「アサヒ」、「ASAHI」の文字は、申立人が指定商品「ビール」について長年使用した結果、申立人の著名な商標となっている「アサヒ」、「Asahi」と同一又は類似するから、本件商標を他人が使用するときは、申立人の業務に係る商品であるかのように、あるいは申立人と経済的、組織的に関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号にも該当する。

4 取消理由

本件商標は、その指定商品中の第32類「ビール」についての登録を取り消すべきものであるとして、商標権者に通知した取消理由は以下のとおりである。

本件商標は、異議申立人の引用する引用各商標と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品中、第32類「ビール」は、引用各商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。

したがって、本件商標は、その指定商品中前記商品について、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見

(1)申立人の使用に係る商標の著名性について

商標権者は、特殊な装飾英文字「Asahi」は別として、「アサヒ」の片仮名文字そのものが周知となったという認定は、認めることができない。

「アサヒスーパードライ」「アサヒプライムタイム」「アサヒプレミアム生ビール」等の標章が多数の商品を表示するものとして使用され、一定の周知性を獲得したことは認めるとしても、片仮名文字の「アサヒ」そのものが周知となったという認識は全く有していない。

けだし、申立人の多数の商品において、片仮名文字の「アサヒ」のみが単独で標章として使用されている事実は全く承知していないし、また、「アサヒ」のみの標章を付した商品も見たことがないからである。

すなわち、「アサヒ」は「アサヒスーパードライ」「アサヒ プライムタイム」「アサヒプレミアム生ビール」等の周知の標章の略称として使用されている場合があるとしても、また、新聞記事に「アサヒ」の標章が使用されてきた事実があるとしても、新聞記事の本文中には「アサヒビール」と明確に表示して、「アサヒ」のみを単独で使用していない。換言すれば、「アサヒ」の略称そのものは、取消理由通知の認定と異なり、周知性を獲得していないのである。

さらに付言すれば、「アサヒ」の片仮名表記は、後述するように、通常日本人になじみの深い、極めて観念も理解しやすい標章であり、その分、強い印象を需要者に付与するものではない。

したがって、「アサヒスーパードライ」「アサヒプライムタイム」「アサヒプレミアム生ビール」等の標章が周知になっても、需要者はその一部である「アサヒ」のみに特に深い印象を有することはなく、需要者は、あくまで「アサヒスーパードライ」「アサヒプライムタイム」「アサヒプレミアム生ビール」等の如く、全体の標章で周知性を認識する。

よって、「アサヒ」の略称に周知性を認定することはできない。

(2)本件商標について

本件商標は、「ASAHIRYOKUKEN」及び「アサヒ緑健」の各文字を上下二段に横書きしてなるものである。下段の「アサヒ緑健」は、5文字という極めて短い文字構成であって各文字が同大、同間隔にまとまりよく構成されている。さらに、「アサヒ緑健」の文字から生ずる「アサヒリョクケン」の称呼は、7音という短い音構成であって、「アサヒ」の「ヒ」の母音(i)と、「緑健」(リョクケン)の「リ」の母音(i)が共通であることからも「アサヒリョクケン」と一連に一気に称呼されるものである。

さらに、「アサヒ緑健」の文字の上段には同書、同大、同間隔の文字からなる「ASAHIRYOKUKEN」を配しており、この文字は、下段の「アサヒ緑健」の文字から生ずる称呼「アサヒリョクケン」と相まって、本件商標が「アサヒリョクケン」と称呼される一連一体の商標であると需用者に認識させるものである。

したがって、本件商標より自然に生ずる称呼は「アサヒリョクケン」である。

また、本件商標は、「朝昇る太陽。朝方の日。ひので」等の意味を有する語として親しまれた「朝日」や「旭」の漢字を片仮名書きした「アサヒ」と、「初夏の若葉」や「草木の新芽」を意味する「緑」と、「健康、健やか」を意味する「健」とを合体して、「朝日の下で新芽のようにいきいきと健康的な生活を送るイメージ」が生ずる商標である。これは商標権者の造語であって、とくに強い響きのある「緑健」の文字部分が聴者に強い印象を残すものである。

(3)引用商標1との類否について

引用商標1は、「アサヒビール」の片仮名文字からなるものである。各構成文字は同書、同大、同間隔に表されており、「アサヒビール」の称呼が自然に生ずるものである。

引用商標1の「アサヒビール」は、標章構成の一部である「アサヒ」に周知性はないのであり、従って、「アサヒビール」全体として周知の引用商標と見るべきである。

これに対し、本件商標は、「ASAHIRYOKUKEN/アサヒ緑健」であり、称呼は「アサヒリョクケン」とする。

称呼上からみると、「アサヒ」と「リョクケン」とは、「アサヒ」の語尾の「ヒ」と「リョクケン」の語頭の「リ」とが、母音(i)を同じくすることから、発音の連続性があり、一体不可分の称呼を生起する。

しかも、「アサヒ」が、日本人になじみやすい、日常口にし、多々聞く単語であることから、「アサヒ」よりも「緑健」に強い印象が生起し、商標の要部(自他商品識別力)は、「緑健」に大きなウェイトがあると認識することができる。

したがって、本件商標を引用商標1と対比した場合は、「アサヒ」の部分において共通するものの、上述したように、それ以上に両者の峻別機能を果たす理由がある。

まとめれば、引用商標1は周知であるが故に、「アサヒ」のみを分離して商標の要部と認識し得ない。

すなわち、「ビール」と一体不可分の一連の商標「アサヒビール」として把握しなければならない商標であること、更には、本件商標は、「緑健」の部分に自他商品識別力のウエイトがあるものの、称呼上も、外観上も、「アサヒリョクケン」と一体不可分に解釈しなければならないこと等より、「アサヒ」のみを分離して、商標の要部と認識することはできない。

したがって、両者を対比すれば、称呼、外観、観念上は、全く非類似の商標と判断する。

(4)引用商標2との類否について

引用商標2は、別掲1のとおりの構成からなるものである。この商標については、申立人の会社案内にあるように、申立人が1986年にコーポレートマークとして採用したものである。

したがって、本件商標の商標権者も今日、別掲1の「Asahi」が商品「ビール」について著名な商標であると認めるものである。

商品「ビール」の最終消費者は、昨今、店で手にとって購入する場合がほとんどであり、商品ラベルが与える印象は強いものである。したがって、商標の外観が及ぼす影響は大きく、この点からも申立人の商標と本件商標とが外観上顕著に相違することは、誰の目にも明らかである。

特に、引用商標2は、この書体の独自性に大きな特徴があり、この独特の英文書体は、まさに「アサヒビール」の象徴的な商標である。

ビール商品に関しては、「アサヒ」の片仮名は一切使用しないで、この英文字書体の引用商標2をハウスマークとして使用し、ビールに関する統一商標として多々宣伝広告もし、まさに周知、著名な商標としている。

しかし、引用商標2は、かかる独特の書体の英文字にその周知性があるものであり、その外観上の特徴の周知性をもって称呼上も「アサヒ」が周知であると判断することはできない。

他方、上記文字から生ずる称呼「アサヒ」と本件商標から生ずる称呼「アサヒリョクケン」とは本件商標の後半部の「リョクケン」の称呼によって明瞭に聴別することができる。

本件商標は、粉末タイプの青汁等の飲料を中心とした健康食品に長年にわたり使用されて、当然に「アサヒ緑健」の商標も周知となっている。

すなわち、本件商標は、「アサヒリョクケン」の称呼を生起するものであり、両者には、「アサヒ」の称呼の共通性はあるものの、申立人の使用する前述の周知商標以外においては、「アサヒ」のみによって、称呼・外観・観念上の周知性を立証することは不可能であり、従って、引用商標2の特殊英文字の「Asahi」と本件商標の「アサヒ緑健」とは、全く非類似の商標である。

以上のことから、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念において顕著な差異があって相紛らわしいものではない。

(5)引用商標3との類否について

引用商標3は、「アサヒ本生」の文字からなるものである。この商標は標準文字で指定されたもので同書、同大、同間隔の文字で構成されている。しかるに、「アサヒ本生」が発泡酒について申立人によって使用され一定程度の周知性を備えていることは商標権者も認めるところであり、引用商標3は、実際に「アサヒホンナマ」の一連一体の称呼で取引に資されているものである。

引用商標3は、引用商標1の「アサヒビール」と同様に、「アサヒ」と「本生」と分離すべき商標ではなく、一体不可分の商標であり、「アサヒホンナマ」と称呼され、観念されるものである。

これに対して「アサヒ緑健」は、「本生」と異なり「緑健」の文字部分が商標権者の創造による語であって商品「ビール」について使用した場合、強い識別力がある。

そして「緑健」の前に位置する「アサヒ」の文字は、上記のとおり、「朝昇る太陽」等の意味で我国国民に親しまれた「朝日」或は「旭」の漢字の片仮名書きしたものである。この「アサヒ」は、太陽が昇る状態を表すめでたい意味があり、また漢字「朝日」の重い印象を無くしてあらゆる業種で会社名として採択されている。

このことは、「アサヒ」の標章が、特に強い自他商品の識別力を有するとは判断できない証左でもある。

すなわち、両商標から「アサヒ」のみを抽出して、観念で対比すること自体、両商標の一体不可分性を全く考慮していない対比であり、特に本件商標は、「緑健」という、印象の強い造語を付加した商標であるから、引用商標3とは、称呼も、外観も、観念も全く異なる。

更には、本件商標がすでに立証したように周知性を有したものであれば、なお更に全体を一体不可分として対比する必要性がある。

そこで、引用商標3より生ずる称呼「アサヒホンナマ」と本件商標より生ずる称呼「アサヒリョクケン」を比較すると、両者は称呼の後半部の「ホンナマ」と「リョクケン」の部分の差異によって明瞭に聴別することができる。また、外観については、引用商標3の「本生」の文字と本件商標の「緑健」の文字の違いによって誤認混同するおそれはない。

以上のことから、本件商標と引用商標3とは、称呼、外観及び観念において顕著な差異があって相紛らわしいものではない。

(6)上述のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく、その登録を取り消されるべき事情はない。

6 当審の判断

本件登録異議の申立ては、商標権者の登録第5090356号商標が分割された結果、その申立て理由については、当該商標権の分割後の登録第5090356号の1商標についてなされたものである。

(1)申立人の使用に係る「Asahi」商標等の著名性について

申立人の提出に係る証拠及び参考資料によれば、以下の事実が認められるものである。

申立人は、明治22年に大阪麦酒会社として設立されたあと、同25年から「アサヒビール」の製造発売を開始し、同33年には「アサヒ生ビール」を発売し、昭和24年に「朝日麦酒株式会社」を設立、平成元年に「アサヒビール株式会社」に社名変更を行い現在に至っている。国内では、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー及びオリオンがビール大手5社といわれており、ビールの出荷数量において、アサヒは、1998年に約19,400万ケース(大びん633ml×20本で換算)を達成し、45年ぶりにキリンを抜き首位を奪還し、その後も毎年首位を保持し続けている国内最大のビールメーカーである。(甲第5号証ないし甲第7号証)。

そして、商品のビール等において、「アサヒスーパードライ」「アサヒプライムタイム」「アサヒプレミアム生ビール」「アサヒこだわりの極」「アサヒ本生」「アサヒぐびなま」「アサヒ新生3」など、申立人の多数の商品を表示するものとして、「アサヒ○○○」の如く、「アサヒ」の文字をその語頭に冠した商標及び引用商標2と同一の構成の「Asahi」商標が、申立人により、長期間にわたり宣伝、広告がなされ、大量の商品に使用され、販売されてきたものである。

特に、昭和62年に発売した辛口生ビール「アサヒスーパードライ」が大ヒットし、そのラベル中央に表された引用商標2と同一の構成の「Asahi」商標は、申立人のビールを表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されるに至っているものと認められる。

以上によれば、「アサヒ」の文字は、上記に掲げられた商品名(商標)のとおり、申立人の多くの使用商標のその語頭に冠して使用されており、申立人である「アサヒビール株式会社」が、長年にわたりそれらの商品名(商標)を使用し続けてきた結果、取引者、需要者においては、該「アサヒ」の文字が申立人の略称ともいうべきものとして理解されるようになったといい得るものであるから、この「アサヒ」の文字は、「アサヒビール株式会社」の企業ブランドである出所標識として認識されるものであるというのが相当である。

してみれば、上記したとおり、商品「ビール」に関していえば、特に、申立人に係る引用商標2と同一の構成の「Asahi」商標及び「アサヒ」の文字をその語頭に冠した商標において、「アサヒ」の文字は、その要部として認識され、申立人である「アサヒビール株式会社」の企業ブランドである出所標識として、日本全国において周知著名なものとなっていることが認められる。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、前記1に記載したとおり、「ASAHIRYOKUKEN」の欧文字と「アサヒ緑健」の文字を上下二段に書してなるところ、下段の「アサヒ緑健」の文字は、前半部が片仮名文字、後半部が漢字により構成されていることから、「アサヒ」の片仮名文字部分と「緑健」の漢字部分とが、視覚上分離して看取されるものといえるものである。そして、上段の「ASAHIRYOKUKEN」の欧文字は、該「アサヒ緑健」の文字を欧文字で表したものであるから、「ASAHI」の文字と「RYOKUKEN」の文字とを結合してなるものと認識されるものである。

さらに、本件商標は、全体として又は上段若しくは下段の文字それぞれとして特定の意味合いを有する成語ないし熟語とは認められないものであり、また、これらの文字を常に一体のものとしてのみ把握しなければならないような特段の事情は見いだせない。

なお、商標権者は、意見書において、「商標権者『株式会社アサヒ緑健』は、添付の会社案内にあるとおり、平成9年に設立後、粉末タイプの青汁等の飲料を中心とした通信販売事業を行っている会社である。商品の売上金額は、2008年が約97億円、2007年が約137億円であり、ほぼ毎年100億円以上の売上げがある。広告宣伝についても、日本テレビ、テレビ朝日等、全国ネットのテレビコマーシャル等を多数行っており、青汁通販のトップ企業となっている。また、商標権者は、青汁等の飲料メーカーとしてだけではなく、健康に気をつけている人から一般の人にまで広く知られた会社となっている。したがって、本件商標は、かかる健康食品の販売会社の商品に、長年、多数の商品に使用されて、当然に『アサヒ緑健』の商標も周知となっている。」旨主張している。

確かに、商標権者の販売する商品「粉末タイプの青汁等の飲料」について、「アサヒ緑健」の商標は、その業界において一定程度の周知性は認められるものの、その周知性が商品の「ビール」の需要者にまで広く知れわたっているとは到底いえないものであるから、上記したとおり、「アサヒ緑健」の文字を常に一体のものとしてのみ把握しなければならないとする特段の事情とはいえないものである。

しかして、本件商標構成中の「アサヒ」の片仮名文字部分は、上記したとおり、ビール業界において「アサヒビール株式会社」の周知著名な出所標識である「アサヒ」の文字と同一の文字よりなるものであり、また、その構成中の「ASAHI」の欧文字部分は、引用使用商標のうち「Asahi」の文字と同一の綴りよりなるものである。

そうすると、本件商標がその指定商品中「ビール」について使用されたとき、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「アサヒ」及び「ASAHI」の文字部分が看者の注意を強く引き、これに着目するであろうことは容易に想像し得るところであって、申立人の企業ブランドである「アサヒ」の文字より、申立人である「アサヒビール株式会社」を連想し、想起するものであるというのが相当である。

してみれば、本件商標は、その構成全体から「アサヒリョクケン」の称呼を生ずるとともに、「アサヒ」及び「ASAHI」の文字部分から、単に「アサヒ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。また、該部分からアサヒビール株式会社の企業ブランドである出所標識としての「アサヒ」の観念も生ずるといえるものである。

他方、引用各商標は、前記2に記載したとおり、引用商標1は「アサヒビール」の文字よりなり、引用商標2は、別掲1のとおり図案化された「Asahi」の文字よりなり、引用商標3は、「アサヒ本生」の文字よりなるところ、引用商標1及び引用商標3は、その構成中の「アサヒ」の文字が申立人の企業ブランドとしての出所標識として認識されることから、該「アサヒ」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有するものである。

そうすると、引用各商標におけるその構成中の「アサヒ」又は図案化されてはいるものの「Asahi」の文字部分に相応して「アサヒ」の称呼をも生ずること明らかである。

また、引用各商標は、前記文字部分に相応してアサヒビール株式会社の企業ブランドである出所標識としての「アサヒ」の観念を生ずること明らかである。

そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、「アサヒ」の称呼及びアサヒビール株式会社の企業ブランドである出所標識としての「アサヒ」の観念を共通にする類似の商標であり、また、本件商標と引用商標1及び3とは、「アサヒ」の片仮名文字を含んでいるものであり、外観において近似した印象を与えるものである。

また、本件商標と引用各商標の指定商品は、「ビール」において共通しているものである。

してみれば、本件商標は、引用各商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品中第32類「ビール」については、引用各商標の指定商品と同一又は類似する商品について使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、申立人の主張する他の理由について言及するまでもなく、本件商標は、その指定商品中第32類「ビール」についての登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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