Trademark Appeal Case
商標の周知性認定
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900052(T2008−900052/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5089312号商標(以下「本件商標」という。)は、「夢ひびき」の文字を横書きしてなり、平成18年9月12日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同19年7月27日に登録査定、同年11月9日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、また、同法第4条第1項第7号、同第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。
第3 本件商標に対する取消理由
1 商標「ゆめひびき」(以下「引用商標」という。)の周知性について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出した甲各号証によれば、引用商標に関して、以下の事実が認められる。
(1)「酒類の表示方法届出書」(平成16年6月2日付)、「請負商品確認書」(平成19年12月21日付)及び通信販売カタログ「ごちそう讃」(2004年夏)によれば、いずれも引用商標を商品「梅酒」(以下「使用商品」という。)に使用していた(甲第2号証、甲第2号証−2及び甲第12号証)。
(2)2006年9月8日に「情報プレゼンターとくダネ!」(株式会社フジテレビジョン)の番組内において、「梅酒に魅せられた人々」と題する特集コーナーで、引用商標を付した使用商品が取り上げられていた(甲第8号証、甲第8号証−2及び甲第9号証)。
また、該番組は、平日午前8時から9時55分まで全国フジテレビ系列で放映されている番組であり、2001年2月から2008年1月末まで7年間連続で、同時間帯の月間視聴率トップの座を維持していた(甲第10号証)。
(3)ウェブサイト「豊後・大山 ひびきの郷」(2006年9月8日)によれば、前記番組放映後、引用商標を付した使用商品への問合せや購入注文申込みが書き込まれていた(甲第19号証)。
(4)「カワズ君の検索生活」(株式会社フジテレビジョン)[2006年10月14日から2007年3月24日まで、毎週土曜日に放送されていた(甲第20号証)。]によれば、引用商標を付した使用商品が「グルメ急上昇ランキング」の5位にランクインし、紹介されていた(甲第21号証)。
(5)2006年6月13日付け西日本新聞及び2006年6月16日付け毎日新聞によれば、2006年6月29日から7月2日までフランスのボルドー市で開催されるボルドーワインフェスティバルにおいて、申立人は、引用商標を付した使用商品を出品し、テスト販売すると紹介されていた(甲第22号証及び甲第23号証)。
(6)財団法人九州地域産業活性化センターの「会報」(平成18年6月発行)及び「飲んでみたい!本格梅酒カタログ」(2006年12月10日 株式会社ナツメ社発行)によれば、いずれも引用商標を付した使用商品が紹介されていた(甲第26号証及び甲第27号証)。
(7)平成19年3月18日に「チャレンジ!おおいた国体日田市実行委員会」が「おおいた国体」のPRイベント「めじろんひなまつり」を行った際、引用商標を付した使用商品が協賛賞品として提供された(甲第28号証)。
(8)三陽物産株式会社等の証明書によれば、引用商標を付した使用商品は、平成16年6月の販売当初より高島屋の通販商品として販売され、関東から九州に至るまで広く営業所をもつ三陽物産株式会社が、その営業所を通じて、大手百貨店や大手小売店に卸していること、及び使用商品が申立人の業務に係る商品であることが、卸先の各販売店舗において十分知られていたこと、前記番組「情報プレゼンターとくダネ!」放映後、使用商品が人気商品となり、全国の酒屋が、インターネットウェブサイトを通じて販売していること、使用商品に関連する商品パッケージやシール、首かけ、商品案内のしおりを各種1万枚ずつ印刷していること、商品パンフレット(甲第16号証)が、平成18年7月25日には申立人に1万部納品されていること、総合パンフレット(甲第18号証)が、平成18年12月6日以降本件商標登録査定時までに約2万部納品され、平成19年7月30日に約1万1千部を追加で納品されたこと、本件商標登録査定時前後において、引用商標を付した使用商品が、申立人直営の販売店以外にも、三陽物産株式会社をはじめ、大手百貨店や大手小売店、JR九州などへ販売されていたこと等が証明されている(甲第30号証ないし甲第34号証)。
(9)平成19年5月15日に日本文理大学の「大分学・大分楽」と題する公開講座において、申立人会社の取締役総支配人が講師として招かれ、引用商標を付した使用商品をフランスのワインフェスティバルに出品し、「一村一品運動」の発祥地である大山町の「大山ブランド」が韓国など世界中に広がっている状況を講演している(甲第35号証)。
(10)平成19年2月から平成19年6月までの間に個人ウェブログの中で引用商標を付した使用商品を取り上げた記事が公開されている(甲第37号証ないし甲第37号証−6)。
(11)インターネット検索エンジン・ポータルサイトの「YAHOO!JAPAN」、「Google」及び「MSN」によれば、それぞれ「ゆめひびき」という語の検索結果では、引用商標を付した使用商品を取り上げたウェブサイトが多く表示されている(甲第38号証ないし甲第38号証−3)。
これらの認定事実によれば、我が国において、使用商品「梅酒」に付した引用商標「ゆめひびき」は、平成16年6月頃から販売が開始され、その後、商品カタログやインターネット上の多くのウェブサイトで宣伝広告され、本件商標の登録出願時(平成18年9月12日)はもとより登録査定時(平成19年7月27日)を含むその後においても、一般需要者の間に広く知られていたというのが相当である。
2 商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標は、前記のとおり「夢ひびき」の文字を書してなるものであり、「ゆめひびき」の構成よりなる引用商標とは、語頭部分において漢字「夢」と平仮名文字「ゆめ」との差異を有するのみであるから、本件商標と引用商標とは、それぞれより生ずると認められる「ユメヒビキ」の称呼を共通にする類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品中「薬味酒」は、引用商標の使用商品「梅酒」と同一又は類似の商品と認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号の該当性について
そして、商標権者による本件商標の使用に関しては、前記認定事実のほか、さらに以下の事実が認められる。
(1)商標権者は、前記1(2)の番組放映直後の平成18年9月12日に、本件商標を登録出願している(甲第1号証)。
(2)商標権者は、本件商標について登録設定(平成19年11月9日)がされた後の平成20年1月25日、申立人に対し、「商標権使用の件」と題する文書を郵送している(甲第4号証)。
(3)商標権者は、申立人の代理人による前記の回答に対し、あまりにかけ離れた譲渡価格を提示されたので断る旨を内容とする、「商標権譲渡の件」と題する文書(平成20年2月7日)を郵送している(甲第5号証)。
以上によれば、引用商標は、一般需要者の間に広く知られている商標であって、本件商標と類似する商標である。また、本件商標は、親しまれた既成の観念を有しない一種の造語というべきであるから、引用商標と偶然に一致したものとは認め難く、さらに、商標権者は、本件商標を申立人に高額で売却するため先取り的に登録出願したものと推認し得るところである。
してみれば、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者、取引者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「薬味酒」以外の商品については、商標法第4条第1項第19号に該当する。
4 結論
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。
第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由の通知に対して、何ら意見を述べていない。
第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は、妥当であって、本件登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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