sokuhyo弁理士法人WATT 監修

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結論

勝訴(請求認容)

商標「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と「カルティーア」の称呼類似と著名商標混同(第4条第1項第11号・第4条第1項第15号|審判異議2008−900169(T2008−900169/J7))

審判番号
異議2008−900169(T2008−900169/J7)
審判種別
異議

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」引用商標「カルティーア」
争点(論点)
称呼類似と著名商標混同
適用条文
第4条第1項第11号・第4条第1項第15号
指定商品・役務の区分
第25類
最終結論
登録取消(勝訴(請求認容))

この審決(審判異議2008−900169(T2008−900169/J7)・異議)は、本件商標「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と引用商標「カルティーア」について、商標法第4条第1項第11号・第4条第1項第15号への該当性が争われた事例です。主な争点は「称呼類似と著名商標混同」です。指定商品・役務は第25類に属します。特許庁は「登録第5104183号商標の商標登録を取り消す」と判断しました(登録取消)。他人の周知・著名な商標と出所混同を生じるおそれがないか、出願前に使用状況まで含めて確認することが重要です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

登録第5104183号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5104183号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年5月24日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、同20年1月11日に設定登録されたものである

2 登録異議の申立理由の要旨

(1)本件商標は、「Chaltier」の欧文字を筆記体風に横書きにしたものからなるところ、本件指定商品「被服」又は「装身具」等のファッション関連商品の商標にはフランス語が多く使用されていることから、本件商標は英語読み及びフランス語読みに「チャルティア」又は「カルティア」或いは「シャルティエ」と称呼される。一方、「CARTIER」(登録第1573231号他3件、以下これらをまとめて「引用商標」という。)は、本件商標と同様に英語読み或いはフランス語読みに「カルティーア」又は「カルティエ」の称呼が生じる。そうとすると、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、全体の語調語感が極めて近似したものになるから、本件商標は、引用商標と称呼上相紛れるおそれがあるものであり、その指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)及び関連会社の業務に係る商品「ライター及び貴金属製身飾品」等に使用し、本件商標の登録出願時はもとより登録査定時において、取引者、需要者の間に広く知られる別掲(2)のとおりの構成よりなる商標(以下「使用商標」という。)と、称呼及び外観において酷似するものであって、かつ、それぞれの指定商品と使用商品も密接な関連を有するものであるから、商標権者が、本件商標をその指定商品について使用するときには、これに接する取引者、需要者は、使用商標を連想、想起し、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならないから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきものである。

3 本件商標の取消理由の概要

登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。

(1)使用商標の著名性について

申立人の提出に係る甲第15号証ないし甲第22号証によれば、以下の事実が認められる。

(ア)新編集「世界の一流品図鑑」株式会社講談社 昭和52年6月1日発行(甲第15号証)には、一流ブランド物語として使用商標「Cartier」(カルティエ)が取り上げられが取り上げられ、「パリのヴァンドーム広場、そしてこの広場からオペラ座にいたるラ・ペー(平和)通りには、世界的に名だたる高級宝飾店が軒を連ねている。・・・ブシュロン、ヴァン・クリフ&アペル、モーブッサン、そしてカルティエ。」と記載されている。(イ)「世界の一流品大図鑑 ’89」株式会社講談社 平成元年5月25日発行(甲第16号証)には、新版一流ブランド物語として使用商標「Cartier」(カルティエ)が取り上げられ、「カルティエが誕生したのは1847年、才能あふれる宝石デザイナー、フランソワ・カルティエが創立者です。・・・ナポレオン3世即位による第二帝政の始まり、・・・そしてカルティエは、皇帝のいとこにあたるマチルド公爵夫人のお抱え宝石職人に選ばれたのです。・・・革新的で洗練されたデザインは多くの貴婦人の心をとらえ、その人気はフランスからヨーロッパ全土へと広がっていきます。・・・ついには17もの王室御用達を務めるに至ったのでした。・・・1917年にニューヨークのタウンハウスを手に入れると、・・・宝飾品の創造に力を注ぎ・・・1972年には・・・高級ライターの製造も開始・・・。1979年には、・・・新しい高級宝飾品製作にも意欲を見せ・・・カルティエは最高の宝飾品を作り続けています。」と記載されている。

(2)以上の認定事実及び申立人の主張を総合勘案すれば、使用商標は、申立人及び関連会社が、商品「ライター及び貴金属製身飾品」等に使用し、本件商標の登録出願時はもとより登録査定時を含むその後についても、我が国において、取引者、需要者の間に広く知られていたものと認められる。

(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について

本件商標は別掲(1)、使用商標は別掲(2)のとおりの構成よりなるところ、両商標は、共に筆記体風の書体で、第1文字目の「C」を大文字で第2文字目以下を小文字で連続表記してなるものであって、第2文字目の「h」の有無及び本件商標の第4文字目と使用商標の第3文字目における「l」と「r」の相違が認められるものの、第1文字目の「C」と後半の「tier」の4文字を共通にするものであり、前記差異がそれぞれの全体の印象に与える影響は殆どないから、本件商標と使用商標とは、時と処を異にし離隔的に観察をした場合、彼此見誤るおそれがある外観上類似の商標とみるのが相当である。

また、本件商標は、その指定商品を取り扱うファッション関連業界において親しまれているフランス語の発音に倣えば「シャルティエ」の称呼をも生ずるとみるのが相当であり、使用商標より生ずることが明らかな「カルティエ」とは、第1音目において「シャ」と「カ」の音の差異を有し、その他の音「ルティエ」を共通にするものであり、該差異音も母音を共通にするから、両者をそれぞれ称呼するときには、使用商標が著名商標であることと相俟って称呼上相紛らわしいものといわなければならない。

さらに、本件商標の指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と申立人の業務に係る商品「ライター及び貴金属製身飾品」等とは、共にファッション関係商品として密接な関連を有する商品である。

(4)結論

以上のとおり、本件商標と使用商標は、称呼及び外観において酷似するものであって、かつ、それぞれの商品も密接な関連を有すること及び使用商標が前記(2)のとおり周知著名であることから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、使用商標を連想、想起し、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

4 取消理由に対する申立人の意見の要旨

(1)使用商標の著名性について

使用商標の著名性は、「ライター及び貴金属製身飾品」の分野において認められるが、本件商標の指定商品(第25類)の分野において著名であるとの拡大解釈には異議がある。

なぜなら、申立人は、被服の分野において商品の製造販売をしておらず、フランスのクチュール協会会員であるとか、パリコレクション、ミラノコレクション、ニューヨークコレクションや東京コレクションなどのファッションショーに参加しているとか、被服の分野で著名と認められる具体的展開を行っていない。

また、本件商標の指定商品「被服、ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト、履き物」と使用商標に係る商品「ライター及び貴金属製身飾品」の分野とは、ファッション関連商品ではあるものの、密接な関連はなく、分野が異なる。

(2)本件商標と使用商標の比較

本件商標の第1文字目の「C」は、花文字で始まり、使用商標は単純筆記体である点が重要であり、使用商標は前記のとおり著名商標であり、その字体は記憶されているから、花文字の大文字「C」で始まる本件商標と混同することはありえない。

(3)単一民族日本においては、一般的に日本語の発音でしか混同が生じないから、「Chaltier」は、日本語的な発音による混同は生じないと確信する。そして、本件商標より、フランス語的発音の「シャルティエ」の称呼が生ずるとしても、著名商標である使用商標の呼び名である「カルティエ」と混同することはあり得ない。

(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

5 当審の判断

(1)本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるところ、前記3の取消理由のとおり、申立人が商品「ライター及び貴金属製身飾品」等に使用し、本件商標の出願時及び登録時において、我が国のみならず世界的に知られている使用商標と、外観及び称呼において酷似しているものであって、かつ、本件商標の指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と、引用商標の使用商品は、「洋服」とその「服飾品」という極めて近い関係にあって、共にファッション関連の商品であることから、取引者、需要者をも共通にするものといえる。

そうとすると、本件商標は、これを、商標権者が、指定商品に使用するときには、取引者、需要者をして、使用商標を連想、想起させ、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

(2)商標権者は、前記3の取消理由通知に対し、前記4のとおり意見を述べている。

しかしながら、商標法4条1項15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」の有無の判断においては、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきであると解されるところ、使用商標は歴史的にも、王族や貴族からの御用達の高級宝飾品のブランドとして著名になり、その著名性は、本件商標の登録時においても明らかであり、かつ、一般にファッション誌等においては、被服と時計、ベルト、貴金属製身飾品等が共に掲載されていることからすれば、これらがファッション関連商品として密接な関係を有するものであり、本件商標の指定商品の取引者、需要者と使用商品の取引者、需要者は共通するといえる。また、前記のとおり本件商標と、使用商標は外観及び称呼において酷似するものである。

そうとすると、これらを総合して考慮すれば、たとえ、使用商標が本件商標の指定商品(第25類)の分野において具体的展開を行っていないとしても、本件商標は、これを商標権者が、その指定商品に使用するときには、取引者、需要者をして、使用商標を連想、想起させ、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならないから、この点についての商標権者の意見は採用できない。

(3)したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、これを取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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