Trademark Appeal Case
周知商標の変形と不正目的
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900202(T2008−900202/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5109581号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字で「呉の元気なご挨拶」と書してなり、平成18年11月22日に登録出願、第32類「清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、平成20年2月8日に設定登録されたものである。
2 引用商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5060241号商標(以下「引用商標1」という。)は、「暮れの元気なご挨拶」の文字を標準文字で書してなり、平成18年10月10日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年7月6日に設定登録されたものである。
(2)同じく、登録第5060242号商標(以下「引用商標2」という。)は、「夏の元気なご挨拶」の文字を標準文字で書してなり、平成18年10月10日に登録出願、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年7月6日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第7号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1項により取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号ないし第371号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号
本件商標は、申立人である日清オイリオグループ株式会社が永年使用する著名な引用商標1及び2と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と、引用商標1及び2が使用する商品とは相互に類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
本件商標を、引用商標1及び2に類似する商品に使用した場合、取引者及び需要者は、直ちに申立人の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号及び同第19号
本件商標は、申立人の著名な引用商標1及び2を剽窃したものに他ならず、引用商標1及び2に化体した莫大な顧客吸引力と、申立人が永年培ってきた業務上の信用にフリーライドするものであり、不正の目的をもって採択・使用するものであって、公正な取引秩序を乱すものであるから、商標法第4条第1項第7号及び同第19号にも該当する。
4 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して平成21年2月4日付けで通知した取消理由の要旨は、以下のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲第3号ないし第370号証によれば、「暮れの元気なごあいさつ」の文字よりなる商標(以下「申立人使用商標」という。)は、「夏の元気なごあいさつ」の文字よりなる商標とともに、申立人が「日清製油株式会社」とする前身時代にあっての昭和53年における中元・歳暮用ギフトセットの宣伝・広告において使用されて以来、永年に亘り継続的に使用され、少なくとも本件商標の登録出願時(平成18年11月22日)には我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていた事実を認め得るものであり、また、その周知、著名性は、現在も継続しているとみて差し支えないものである。そして、申立人使用商標「暮れの元気なごあいさつ」の文字が、申立人の宣伝・広告の特異な言葉と認識される以上に、一般に使用される成語(文句・語句)を形成するという事実を見出せないところからすれば、当該商標は申立人が考案した造語商標であるとみるのが相当である。
(2)しかして、本件商標は、申立人使用商標のかかる構成にあっての冒頭における「暮れ」の文字を「呉」に代替させ置換し、及び語末において「挨拶」と「あいさつ」の僅かな漢字と仮名書きとの差異があるに過ぎないものであるから、本件商標と申立人使用商標とは、同一の称呼となる類似の商標と認められる。そうすると、かかる構成からなる本件商標を、本件商標権者が偶然に創案したものとは到底考え難く、本件商標権者の所在地(広島県呉市)との関係からして申立人使用商標をもじって、全体として申立人使用商標を安直に語呂合わせしたと推測させるものである。
(3)よって、商標権者による本件商標の取得は、申立人使用商標の周知、著名性にフリーライドし、その顧客吸引力を利用しようとするものであり、不正の利益を得ようとする不正の目的があったものと推認せざるを得ない。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものというべきである。
5 商標権者の意見
本件商標について、上記4の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが商標権者は何ら意見を述べるところがない。
6 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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