sokuhyo

Trademark Appeal Case

サンキュとサンキューの称呼類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2008−890099(T2008−890099/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第4717058号の指定商品中、第10類「避妊用具,医療用機械器具」についての登録を無効とする。
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その2分の1を請求人の負担とし、2分の1を被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4717058号商標(以下「本件商標」という。)は、「サンキュ!」の文字及び記号を横書きしてなり、平成14年8月30日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第10類「おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),業務用美容マッサージ器,医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋,しびん,病人用便器,耳かき」並びに第2類、第4類ないし第9類、第11類、第12類、第14類ないし第28類、第30類ないし第32類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年10月10日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第2586874号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和62年10月9日に登録出願、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年10月29日に設定登録され、その後、平成15年5月27日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、平成15年9月10日に、指定商品を第5類「医療用腕環」、第10類「医療用機械器具」及び第12類「車いす」並びに第1類及び第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

2 登録第3177038号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SUNQ」の文字、「さんきゅう」の文字及び「サンキュー」の文字を三段に横書きしてなり、平成5年6月4日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成8年7月31日に設定登録され、その後、平成18年8月1日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録第4541841号商標(以下「引用商標3」という。)は、「サンキュー」の文字と「SUNQ」の文字を二段に横書きしてなり、平成12年10月26日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、平成14年2月8日に設定登録されたものである。

4 登録第4606975号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成13年5月25日に登録出願、第10類「医療用機械器具,避妊用具,耳栓,家庭用電気マッサージ器」を指定商品として、平成14年9月27日に設定登録されたものである。

(以下、引用商標1ないし4をまとめていうときは「引用商標」という。)

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品中『第3類 家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛』及び『第10類 避妊用具,医療用機械器具』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第17号証(枝番を含む。)を提出した。

1 利害関係

請求人は、引用商標の商標権者であり、かつ、本件商標の指定商品中、第3類に属する指定商品及び第10類「医療用機械器具、避妊用具」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品である。

したがって、本件商標を上記指定商品に使用することは、需要者に商品の出所について混同を生じさせるおそれがあり、また、請求人にとっても重大な不利益となるから、請求人は、本件審判を請求することについて利害関係を有する。

2 請求の理由

(1)本件商標と引用商標との類否について

ア 称呼

本件商標は、その構成文字に相応して、「サンキュ」の称呼を生じる。

これに対し、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「サンキュー」の称呼を生じるものである。

そこで、本件商標から生じる「サンキュ」の称呼と引用商標から生じる「サンキュー」の称呼とを比較するに、両称呼は、語尾部分において長音の有無の差異を有するにとどまるものであって、たとえ本件商標の拗音部分(キュ)を1音と数えて、全体で3音の短い音からなるとしても、引用商標とは「サ」「ン」「キュ」の3音の全てを同じくし、異なるところは引用商標の語尾部分の長音(ー)の有無にすぎないものである。さらに、一般的に語尾に位置する音は弱音として発音されることが多く、しかも該長音は、前音の「キュ」の母音(u)を伸ばす音であるから、明確には発音されない音といえる。

そうすると、かかる場合、それぞれを一連に称呼した場合は、観念や外観を著しく異にするなどの場合を除き、特段の理由がない限り、称呼上類似する、というのが過去の審決例、判決例の示すところである(甲第6号証ないし甲第10号証)。これらの審決例は、請求人の前記主張が妥当であることを裏付けるものである。

以上のとおりであるから、本件商標から生じる「サンキュ」と引用商標から生じる「サンキュー」の称呼とは、互いに相紛れるおそれがある類似の商標といわなければならない。

イ 観念及び外観

本件商標は、語尾部分に感嘆符(!)が付されているところから、必ずしも英語の「Thank you」(ありがとう)に通じる「サンキュー」の音を片仮名表記したものともいえないが、他に特定の観念を生じる語を想起するものともいえないから、日常、親しまれた上記「サンキュー(ありがとう)」とほぼ同義語として理解、把握される場合も少なくないものである。

他方、引用商標は、「SUN−Q」、「SUNQ」の欧文字に「サンキュー」、「さんきゅう」の各文字を付記してなるから、特定の意味合いを有しない造語にその音を付記したものと認識される。そうすると、両商標は、観念上は比較し得ないというべきである。

また、外観上も著しく異なるところはないことは明らかある。

ウ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観上の差異を考慮しても、本件商標から生じる「サンキュ」の称呼と引用商標から生じる「サンキュー」の称呼とは、互いに聞き誤るおそれのある称呼上類似の商標といわざるを得ないものである。

(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について

ア 本件商標の第3類の指定商品と引用商標2及び3の指定商品の類否について

本件商標の指定商品中、第3類の指定商品については、概ね、以下のように区分けすることができる。

(a)「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤(01A01)」は、いわゆる「化学品」に属する商品である。

(b)「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり(01A02)」は、「のり及び接着剤」に属する商品である。

(c)「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料(04C01)」は、「香料類、薫料」に属する商品である。

(d)「研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布(13B03)」は、研磨・つや出し用の商品である。

(e)「つけづめ、つけまつ毛(21F01)」は、化粧用具に属する商品である。

上記のとおり、(a)ないし(c)に示す商品は、いわゆる「化学品、のり及び接着剤、香料類、薫料」に属する商品であって、引用商標2及び3の指定商品である「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、いずれも化学物質、化学品等を原材料として製造される商品であり、化学メーカー等その製造者を共通にすることも多いのが実情である。また、商品の品質や取引系統等を同じくする場合の多い商品ということができ、かかる商品に同一又は類似の商標を使用したときは、商品の出所について混同を生じるおそれも決して否定できないものである。

さらに、(d)の研磨用品(剤)と「歯磨き」とは関連商品であり、(e)の「つけづめ、つけまつ毛」等は、いわゆる化粧のために使用される商品であるから、引用商標2及び3の指定商品中に包含される「化粧品」とは密接な関係にある商品ということができる。

ところで、指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上互いに誤認混同を生じるおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係がある場合は、たとえ、商品自体が互いに誤認混同を生じるおそれがないものであっても、類似の商品に当たると解するのが相当である(最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決)。

そうすると、本件商標の第3類に属する前記商品と引用商標2及び3の指定商品である「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、商品の原材料、品質、製造者等を共通にすることも多く、また、商品の取引系統を同じくする場合もあり得るから、結局、両者の商品に同一又は類似の商標を使用した場合、誤認、混同を生じるおそれがあり、両者の指定商品は類似するとみても差し支えないものというべきである。

このことは、第29類「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・液状の加工食品」と第5類「薬剤(ビタミン剤、滋養強壮変質剤)」は、商品の内容、用途及び販売店、販売方法が共通する類似商品である、とした判決(甲第11号証)からも是認できるものである。

イ 本件商標の第10類の指定商品と引用商標1及び4の指定商品の類否について

本件商標の第10類の指定商品中、「医療用機械器具、避妊用具」と引用商標1及び4の指定商品中、「医療用機械器具、避妊用具」とは、同一又は類似の商品であることは明らかである(なお、本件商標の指定商品中、上記の「医療用機械器具」と、引用商標1の指定商品中、第5類「医療用腕環」及び第12類「車いす」とも類似商品であるが、ここでは特に言及しない。)。

ウ 以上のとおり、本件商標の指定商品中、第3類に属する指定商品は、引用商標2及び3の指定商品「せっけん類、化粧品、歯磨き」と同一又は類似する商品であり、また、本件商標の指定商品中、第10類「医療用機械器具、避妊用具」は、引用商標1及び4の指定商品中の第10類「医療用機械器具、避妊用具」と同一の商品ということができる。

(3)むすび

したがって、本件商標と引用商標とは称呼上類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と、引用商標の前記した指定商品とは、同一又は類似する商品であるから、本件商標の登録は、前記の指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり、同法第46条第1項の規定に基づき、無効とされるべきである。

3 答弁に対する弁駁

(1)商品の類否

被請求人は、「商品及び役務区分解説」を挙げて、「せっけん類」「化粧品」「歯磨き」等についての記載から、引用商標の指定商品である「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料等」とは、商品の概念において共通点は存在せず、類似するとはいえない旨主張する。

しかしながら、「商品及び役務区分解説」は、主として、当該商品又は役務の所属する区分、特に国際分類下における商品・役務の区分決定等の参考に資することを目的として作成されたものである。

したがって、これが商品を理解する参考資料であることは否定し得ないとしても、上記区分解説に記載されていることが、直ちに商品や役務の類否判断に直結するわけではなく、上記区分解説を根拠として商品の概念に共通性がないから非類似商品であるなどとはいうことはできない。

請求の理由(2)で述べたとおり、指定商品が類似のものであるかどうかは、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するとき同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認されるおそれがあると認められる関係がある場合は、類似の商品に当たると解するのが相当である。

そうすると、本件商標の第3類に属する指定商品と引用商標の指定商品「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、商品の原材料、品質、製造者等を共通にすることも多く、また、商品の取引系統を同じくする場合もあり得るから、結局、両者の商品に同一又は類似の商標を使用した場合、誤認、混同を生じるおそれがあり、両者の指定商品は類似するとみても差し支えないものというべきである。

(2)本件商標と引用商標との類否について

ア 被請求人は、本件商標から生じる「サンキュ」の称呼と引用商標から生じる「サンキュー」の称呼とが類似しない理由として、3音と短いこと、引用商標が「SUN」と「Q」がハイフンで結合され視覚的、観念的に分離されていること、「キュー」が意識的に強く発音されること、「サン」と「キュー」と2音節的にゆったり発音されることなどを挙げる。

しかしながら、単に音構成が短いことのみの理由をもって、両称呼が類似しないということにはならない。音節的にいえば、「サ」「ン」「キュ」の3音節を共通にし、異なるところは、語尾において長音の有無の差異にすぎないのである。

また、商標の類否については、外観、称呼及び観念について総合的に判断しなければならないことは勿論であるが、称呼の類否にあたって、たとえ、「SUN」と「Q」がハイフンで結合されていたとしても、このことが称呼の識別上、大きな影響を及ぼすものとも思われない。ましてや、上段の文字は「SUN−Q」とハイフンで結合されているとしても、その下に「サンキュー」と片仮名文字で振り仮名を付しているのであるから、その称呼は一連一体に「サンキュー」と称呼されることは明らかである。

さらに、電話取引等、簡易迅速を尊ぶ口頭による商取引においては、ハイフンで結合されているような事情は捨象されて「サンキュー」と一連に発音されることが多いものというべきである(まして、「サン」と「キュー」と2音節的にゆったり発音されることもない。)。

したがって、本件商標から生じる「サンキュ」と引用商標から生じる「サンキュー」の称呼とが類似しないということはできない。

イ 本件商標と引用商標とが称呼上類似する商標であることは、「商標審査基準」(甲第12号証)において、「両商標が下記の(1)ないし(8)のいずれかに該当するときは、原則として類似するものとする」とし、(5)において、「相違する1音が長音の有無、促音の有無または長音と促音、長音と弱音の差にすぎないとき」としていることからも明らかである。したがって、長音の有無の差異にすぎない商標は、原則として類似するとされているのであり、ましてや、その差異音の位置が語尾にある場合は、さらに類似性が高まるものとみて差し支えない。このことは、審決例からも裏付けられる(甲第13号証ないし甲第16号証)。

以上のとおり、語尾において長音の有無に差異を有するにすぎない商標については、類似商標とされている例が多数存在する。

したがって、本件商標と引用商標についても明らかに類似商標というべきである。

(3)被請求人の別出願との関係

被請求人は、別件において、本件商標と同一の商標「サンキュ!」を商標登録出願した(商願2007−28002:甲第17号証)ところ、当該出願は、本件審判における4件の引用商標が引用され、「本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。」とした拒絶理由が発せられた。被請求人は、該拒絶理由通知を受け、手続補正書により、上記4件の引用商標と類似する商品を削除した。このことは、被請求人は、両商標が類似することを認めていることに他ならない。

このように、一方で「サンキュ!」と「サンキュー」とは類似することを認め、他方、本件審判においては、類似しないと主張することは、まさに論理に矛盾があり、このような自己に都合のよい主張は到底認めることができない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商品の類否について(第3類の指定商品との関係)

(1)類似群の相違

本件請求に係る第3類の指定商品の類似群は、01A01、01A02、04D01、13B03、21F01に属するものである。

他方、引用商標2及び3の指定商品の類似群は、04A01、04B01、04C01であって、上記本件商標の指定商品と共通する類似群を含むものではない。

すなわち、本件商標における第3類の指定商品は、引用商標2及び3の指定商品とは非類似であって、また、引用商標1及び4の指定商品とも非類似であることは明らかである。

したがって、本件商標中、第3類の指定商品に係る部分が、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するということはできない。

(2)商品が類似するとの請求人の主張について

ア(ア)請求人は、(a)「家庭用帯電防止剤、家庭用脱脂剤、さび除去剤、染み抜きベンジン、洗濯用柔軟剤、洗濯用漂白剤」、(b)「かつら接着用接着剤、つけまつ毛用接着剤、洗濯用でん粉のり、洗濯用ふのり」、(c)「植物性天然香料類、動物性天然香料類、合成香料、調合香料、精油からなる香料、薫料」は、いわゆる「化学品、のり及び接着剤、香料類、薫料」に属する商品であって、引用商標2及び3の指定商品である「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、いずれも化学物質、化学品等を原材料として製造される商品であり、化学メーカー等その製造者を共通にすることも多いのが実情である旨主張するが、独自の見解にすぎない。

(イ)「せっけん類、化粧品、歯磨き」の概念は、「商品及び役務区分解説」(乙第1号証)によれば、以下のとおりである。

a 「せっけん類」:この概念には、清浄作用を目的とする化学的製品が含まれる。例えば、通常せっけん又は洗剤と呼ばれるものがこれに該当する。

b 「化粧品」:この概念には、薬事法に規定する“化粧品”の大部分及び“医薬部外品”のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を整え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。

c 「歯磨き」:歯を清潔にすることを目的とする化学的製品はすべてこの概念に属する。

(ウ)一方、請求人主張の上記ア(ア)の(a)ないし(c)の商品は、いずれも通常「せっけん」「洗剤」と呼ばれるものではなく、身体を美化するなどを目的とするものではなく、歯を清潔にすることを目的とするものでもない。そして、「せっけん類、化粧品、歯磨き」は、いずれも化学品ではあるにせよ、その用途(目的)の独自性に注目してそれぞれ別個の類似群を構成しているものである。加えて、これらの商品はそれぞれの商品を主力商品として製造販売する大手メーカーが存在すること、小売店における販売場所も異なることは特許庁において顕著な事実と考える。

そうすると、「せっけん類、化粧品、歯磨き」の概念と、請求人主張の上記ア(ア)の(a)ないし(c)の商品の概念との共通点は存在せず、類似するということはできない。

イ 請求人は、「研磨用品(剤)」と「歯磨き」とは関連商品である旨主張するが、「研磨用品(剤)」は「物品を研磨する」ための商品、工業的な用途をもった商品であって、人体の一部である「歯を清潔にする」目的とは非類似商品である。「研磨」のみに着目した上記主張には妥当性がない。

ウ 請求人は、「つけづめ、つけまつ毛」等は、いわゆる化粧のために使用される商品であるから、「化粧品」とは密接な関係にある旨主張する。

しかし、上記のとおり化粧品は、「身体に塗擦、散布等の方法で使用するもの」であり、「つけづめ、つけまつ毛」等とは目的も機能も異なる。加えて化粧品メーカーとつけづめ等のメーカーとは異なり、流通経路も異なる非類似商品である(本件商標に対する異議の決定(乙第2号証)参照。)。

(3)判決例(甲第11号証)について

類似群が異なっても類似と認められる商品が存在することは被請求人も認めるところであり、上掲判決の説示を否定するものではない。しかしながら、上掲判決と本件とを同一視することはできない。すなわち、上掲判決では、商品「いわゆる機能性食品」と「薬剤中の滋養強壮変質剤」との類否を判断するに際して、具体的な市場動向などの事実を認定しているのであり、単に目的や機能が共通していることのみをもって「類似」と認定しているのではないから、上掲判決は、本件の判断を何ら左右するものではない。

2 商標の類否について

(1)称呼について

ア 本件商標に係る異議決定を援用する。すなわち、「両者はわずか3音と短い音構成からなり、語尾において『キュ』と『キュー』の音に差異を有し、前者は『キュ』と短く詰まる音であるのに対し、後者は『キュー』と長く延びる音(長音)であるから、それぞれを一連に称呼するときは、語感・語調が異なり、しかも前記したわずか3音の短い音構成にあっては、互いに聞き誤るおそれは無いものとみるのが相当である。」

イ 「Q」と「キュ!」

引用商標は、いずれも欧文字部分を含み、その欧文字部分は「Q」である。とりわけ、引用商標1と4(指定商品が類似するのは引用商標4のみである。)とは「SUN」の文字部分と「Q」の文字部分とがハイフンで結合された態様であって、「Q」の文字が独立して認識される。しかも、「SUN」は「太陽」を意味するものとして極めてなじまれた英単語である。このような態様の商標において、「Q」の文字は、「SUN」に付加された文字として意識して発音されるものであり、その結果、「キュー」の音は、強く明瞭に発音される。なお、引用商標1と4は、共に片仮名文字を含んでいるが、これは欧文字と比較して極めて小さく表されており、「振り仮名」として認識されるものであって、需要者は大きく表された欧文字を強く意識して称呼するというべきである。

また、「SUN」と「Q」とが視覚的、観念的に分離されていること、「キュー」が意識的に強く発音されること、「サン」の「ン」が唇を完全に閉塞して終わる音であって、「キュー」を強く発生するためには唇の移動量が多いことから、「サン・キュー」と二音節的に、かつ、ゆったりと発音される。

他方、本件商標は、語尾に記号「!」が付されていることから、「キュ」の文字部分が緊迫感を持って短く、いわば瞬間的に発音される。「!」がない場合と比較して、0.5一拍程度の長さとなる。また、片仮名で一連に表示されていることから「サン」と「キュ」とは一体のものとして認識され、分けて称呼されることもない。

そうすると、「キュー」が2拍の長さでゆったりと発音される引用商標と、「キュ」が0.5拍程度の長さで緊迫感を持って発音される本件商標、2音節的に「サン・キュー」と発音される引用商標と、一連によどみなく「サンキュ」と発音される本件商標とは、語調・語感が大きく異なるというべきである。

ウ 登録例

商標「サンキュ!」は、「サンキュー」の称呼が生ずる商標と非類似のものとして登録されている(乙第3号証及び甲第4号証)。また、長音又はこれと同視できる音の有無にすぎない商標の併存登録例も存在する(乙第5号証及び甲第6号証)。

エ 請求人が引用する審決例(甲第6号証ないし甲第10号証)について

請求人が提示した審決例は、いずれも本件の事案に当てはまるものではなく、本件の判断を左右するものではない。

(2)外観及び観念について

外観において、本件商標は、片仮名文字のみに記号「!」を付した点に特徴がある。引用商標は、いずれも欧文字を含んでおり、「!」を付した引用商標は存在しない。したがって、外観上紛らわしくないことは明らかである。

そして、観念においては、「サンキュ」という既存語が存在しない一方で、引用商標に付記された片仮名文字「サンキュー」からは英語「THANK YOU」が想起されるのであり、その差異は明らかである。

(3)以上のとおり、本件商標と引用商標、特に引用商標4とは非類似である。

3 むすび

以上の次第であるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。

第5 当審の判断

本件審判の請求に関し、当事者間に利害関係の争いがないので、本案に入って審理する。

1 商標の類否

(1)称呼について

本件商標は、前記第1のとおり、片仮名文字と感嘆符とを横書きにした「サンキュ!」よりなるものであるから、これより「サンキュ」の称呼が生ずるものである。

これに対し、引用商標1は、別掲(1)のとおり、ハイフンを介して、「SUN」と「Q」の各欧文字を横書きし、その上段に該「SUN−Q」の読みを特定したものと理解される「サンキュー」の片仮名文字を小さく横書きしてなるものであるから、構成全体をもって、「サンキュー」の称呼が生ずるものである。

引用商標2は、前記第2のとおり、「SUNQ」、「さんきゅう」及び「サンキュー」の各文字を三段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「さんきゅう」及び「サンキュー」の各文字部分は、最上段の「SUNQ」の文字部分の読みを特定したものと理解されるから、構成全体をもって、「サンキュー」の称呼が生ずるものである。

引用商標3は、前記第2のとおり、「サンキュー」と「SUNQ」の各文字を二段に横書きしてなるものであるところ、「サンキュー」の文字部分は、「SUNQ」の文字部分の読みを特定したものと理解されるから、構成全体をもって、「サンキュー」の称呼が生ずるものである。

引用商標4は、別掲(2)のとおり、ハイフンを介して、「SUN」と「Q」の各欧文字を横書きし、その下段に該「SUN−Q」の読みを特定したと理解される「サンキュー」の片仮名文字を小さく横書きしてなるものであるから、構成全体をもって、「サンキュー」の称呼が生ずるものである。

そこで、本件商標より生ずる「サンキュ」の称呼と引用商標より生ずる「サンキュー」の称呼を比較すると、両称呼は、語頭から3音の「サンキュ」を同じくし、末尾において「キュ」の長音の有無の差異を有するものであるところ、本件商標より生ずる「サンキュ」の称呼を全体として称呼するときは、一気に歯切れよく軽快に発音されるものであるのに対し、引用商標より生ずる「サンキュー」の称呼を全体として称呼するときは、末尾の長音があることにより、ゆったりと発音されるものであるから、両称呼は、それぞれの構成音を忠実に称呼するときは、全体の語調、語感が相違するものであることは否定し得ない。しかし、両称呼は、聴者の印象に強く残る語頭から3音の「サンキュ」を同じくし、僅かに末尾において「キュ」の長音の有無の差異を有するにすぎないものであり、簡易迅速を旨とする取引の実際においては、末尾に位置する長音は、その前音「キュ」に吸収され、明瞭には聴取され難い音となる場合も決して少なくないといえるから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえない。

そうすると、両称呼は、取引の実際において、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、互いに聞き誤られるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標といわなければならない。

(2)外観について

本件商標及び引用商標の構成は、上記(1)認定のとおりである。

そして、本件商標は、その構成全体が極めて簡潔なものといえるのに対し、引用商標は、「SUN−Q」又は「SUNQ」の欧文字とその読みを特定する「サンキュー」(引用商標2は「さんきゅう」の平仮名文字も含む。)の文字よりなる二段又は三段構成の商標であるから、本件商標と引用商標とは、外観上相違するものである。

したがって、本件商標と引用商標は、外観上類似しない商標というべきである。

(3)観念について

本件商標は、片仮名文字と感嘆符の組み合わせよりなるものであり、これより特定の観念は生じないとみるのが相当である。

これに対して、引用商標は、その要部といえる「SUN−Q」又は「SUNQ」の欧文字とその読み方を特定する「サンキュー」の片仮名文字(引用商標2は「さんきゅう」の平仮名文字も含む。)との組み合わせよりなるものであるから、構成全体として、特定の観念を生じない造語よりなるものとみるのが相当である。

したがって、本件商標と引用商標は、観念上比較することができないものである。

(4)以上(1)ないし(3)によれば、本件商標と引用商標は、外観において相違し、観念においては比較することができないものの、称呼において類似する商標といわなければならない。

2 商品の類否

(1)請求人は、本件請求に係る指定商品中、第3類に属する指定商品と引用商標2及び3の指定商品である「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、商品の原材料、品質、製造者等を共通にすることも多く、また、商品の取引系統を同じくする場合もあり得るから、両者の商品に同一又は類似の商標を使用した場合、誤認、混同を生じるおそれがあり、両者の指定商品は類似する旨主張するので、先ずこの点について検討する。

ア 本件請求に係る指定商品中の第3類に属する指定商品は、「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」である。

そして、「商品区分解説」(昭和55年3月31日改訂版)並びに「商品及び役務区分解説」(平成8年12月25日改訂3版)によれば、上記商品のうち、

(a)「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤」は、商標法上、界面活性剤としての用途をもつ商品ないし化学的製品を用途的に捉えた商品である。

(b)「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり」は、「のり及び接着剤」(化学品)の範疇に属する商品に位置づけられている。

(c)「植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」は、食料品や化粧品などに芳香をそえるために加える物質としての各種香料とこれらを原材料とする薫料である。

(d)「研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙」は、「研磨用器具」の範疇に属する商品に位置づけられ、物を研いだり磨いたりするために使う材料である。

(e)「つけづめ,つけまつ毛」は、「化粧用具」の範疇に属する商品に位置づけられる。

イ 一方、引用商標2及び3の指定商品は、「せっけん類,化粧品,歯磨き」であるところ、前掲「商品区分解説」、「商品及び役務区分解説」によれば、「せっけん類」は、洗浄作用を目的とする化学的製品が含まれる。また、「化粧品」は、薬事法(昭和35年法律第145号。以下同じ。)に規定する“化粧品”の大部分及び“医薬部外品”のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。さらに、「歯磨き」は、歯を清潔にすることを目的とする化学的製品である。

そして、これらの商品は、人の身体又は物を清潔にし、あるいは人の身体の魅力を増す目的で使用されるものである。

ウ そうすると、上記アにおける(a)ないし(c)の商品は、「せっけん類,化粧品,歯磨き」とは、いずれも化学品を原材料とする点において共通するものであるとしても、商品それ自体の用途、品質等を著しく異にするものであり、また、生産者、取引系統、販売場所等においても異なる場合が多い商品というべきである。また、同じく(d)の商品も「歯磨き」とはその用途、原材料、品質等が明らかに異なるばかりでなく、生産者、取引系統、販売場所等も異なる商品である。さらに、同じく(e)の商品は、「化粧品」とは用途面においては近似するものであるとしても、原材料において明らかに異なり、したがって、その生産者、取引系統等においても異なるものといえる。

したがって、本件請求に係る指定商品中の第3類に属する指定商品と引用商標2及び3の指定商品「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、非類似の商品というべきであるから、上記請求人の主張は理由がない(なお、請求人が、本件請求に係る指定商品中の第3類に属する指定商品と引用商標1及び4の指定商品とが類似しないものと主張していることについては、請求の理由の全趣旨から読み取ることができる。)。

(2)次に、本件請求に係る指定商品中の第10類に属する「避妊用具,医療用機械器具」についてみるに、これらの商品は、引用商標4の指定商品中の「避妊用具,医療用機械器具」と同一の商品と認められる。また、これらの商品のうち、「医療用機械器具」は、引用商標1の指定商品中、第10類「医療用機械器具」と同一の商品であり、第5類「医療用腕輪」及び第12類「車いす」とは、用途、需要者等を同じくする類似の商品である。

3 むすび

上記1認定のとおり、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標である。

また、上記2(2)認定のとおり、本件請求に係る指定商品中の第10類に属する「避妊用具,医療用機械器具」は、引用商標1及び4の指定商品と同一又は類似の商品と認められる。

してみると、本件商標の登録は、請求に係る指定商品中の第10類「避妊用具,医療用機械器具」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものといわなければならないから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきものである。

しかしながら、上記2(1)認定のとおり、本件請求に係る指定商品中の第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」は、引用商標2及び3の指定商品「せっけん類、化粧品、歯磨き」とは、非類似の商品と認めることができるから、本件商標の登録は、上記第3類の指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではなく、同法第46条第1項の規定により無効とすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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