Trademark Appeal Case
類似熟語の称呼・観念類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−22271(T2008−22271/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「千客番来」の漢字を横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として、平成19年6月8日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務について、同20年9月1日付け手続補正書により、第9類「電子応用機械器具及びその部品」に補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第5051946号商標(以下「引用商標」という。)は、「選客万来」の漢字を標準文字で表してなり、平成18年4月24日登録出願、第9類「耳栓,検卵器,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM」を指定商品として、同19年6月1日に設定登録され、当該商標権は、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標の類否について
商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(平成11年(行ケ)第422号判決 平成12年6月13日言渡)。これを踏まえて、以下、本件について検討する。
(2)本願商標と引用商標について
本願商標は、「千客番来」の漢字を横書きしてなるところ、このような四字からなる熟語は、例えば、「一朝一夕(イッチョウイッセキ)」、「花鳥風月(カチョウフウゲツ)」、「古今東西(ココントウザイ)」等のように、全体を音読みをもって称呼することが一般的であるから、本願商標よりは「センキャクバンライ」と称呼されるというのが自然である。他方、引用商標は、前記のとおり「選客万来」の四文字の漢字から構成されてなり、音読みで称呼されるのが自然であるから、その構成文字に相応して「センキャクバンライ」の称呼を生じるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「センキャクバンライ」の称呼を共通にする、称呼上類似の商標といわざるを得ない。
次に、観念についてみると、本願商標と引用商標は、ともに特定の観念を生じない造語である。しかしながら、本願商標「千客番来」と引用商標「選客万来」は、いずれも、広く親しまれた四字熟語「千客万来(かわるがわる多くの客が入り来ること。)」(「広辞苑 第六版」2008年1月11日 株式会社岩波書店発行)の称呼「センキャクバンライ」に、別の漢字を当てたものと解するのが自然である。そうとすれば、本願商標及び引用商標に接した、取引者、需用者は、いずれの商標からも、四字熟語「千客万来」を連想、想起するというのが相当である。
また、外観についてみるに、本願商標と引用商標は、語頭の「千」と「選」の文字、第3番目の「番」と「万」の文字が相違するとしても、前記1及び2のとおり、いずれも漢字四字を横書きで、普通に用いられる方法で書してなるものであるから、外観上の近似した印象、連想を生じさせるおそれがあることも否定し得ない。
そうとすれば、本願商標と引用商標は、「センキャクバンライ」の称呼を同じくするものであり、外観については、構成文字に差異を有するとしても、「客」と「来」の2文字及び四字の漢字からなる構成を同じくするから、顕著な差異があるとは認め難いものであって、観念については、ともに造語であるから比較できないとしても、共通の「千客万来」の四字熟語を連想、想起させるものであるから、外観及び観念の差異が称呼の同一性を凌駕するものとはいえない。そして、本願商標と引用商標とが、同一又は類似の商品に使用したときに商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情は認められない。
そうすると、本願商標と引用商標が需要者、取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、両商標は誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならず、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」と同一のものである。
(3)請求人の主張
請求人(出願人)は、平成20年10月31日付け手続補正書(審判請求の理由)で、本願商標と引用商標とは、「センキャクバンライ」の称呼を同じくする商標とはいえ、4文字中2文字が異なるところより、構成上、外観上著しい差異を有するばかりでなく、観念についても本願商標からは、「民間企業や研究所等の受付で、多数のお客様を管理する受付業務の番人」等の観念が生ずるから、引用商標とは大きく異なるものであり、本願商標及び引用商標の指定商品はビジネスソフトウェアを扱う点で同じであるが、本願商標の商品は、不特定多数の来場者を管理するものであり、引用商標の商品は、特定の企業の従業者を管理するものであるから、商品の対象・目的などが異なるものである。したがって、両者の出所について誤認混同するような事態は考え難いものである旨述べ、審査・審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、請求人(出願人)が主張する本願商標から生ずるという観念は、その主張を裏付ける証左もなく、本願商標に接する多くの取引者、需要者が、直ちに一定の意義として想起するものとは認めがたいものであり、また、たとえ、請求人(出願人)が実際に使用している商品が「コンピュータソフトウェア」で、その用途等相違するところがあるとしても、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」と同一のものであるから、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。そして、本願商標と引用商標の類否について、外観、称呼、観念及び取引の実情等を総合的に考察して判断したことは前述のとおりであるから、請求人(出願人)の主張は採用することができない。また、請求人(出願人)は審決例などを挙げているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、過去の審決例の判断に拘束されることなく、両商標につき個別具体的に行えば足り、過去の登録例は、商標の構成態様及び指定商品との関係等が異なり、必ずしもそのまま本件における判断の基準となり得るものとはいえない。そうとすれば、請求人(出願人)の指摘する審決例及び登録例の存することをもって、本件における本願商標と引用商標との非類似を裏付けることはできないから、請求人(出願人)の主張は採用することができない。
(4)結語
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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