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Trademark Appeal Case

不使用取消と使用の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−300768(T2008−300768/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1824312号商標(以下「本件商標」という。)は、「ドルフィン」の文字を横書きしてなり、昭和58年5月26日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として、同60年12月25日に設定登録され、その後、平成8年6月27日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同18年3月1日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」及び第11類「電球類及び照明用器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。

また、本件審判の請求の登録日は、平成20年7月8日である。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についてこれを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証(枝番号を含む。)を提出した。

本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者、又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。

(1)はじめに

請求人は、片仮名文字「ドルフィン」からなる本件商標が、その指定商品中「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品」について過去3年以上使用されていないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべき旨主張している。

しかしながら、被請求人は、以下に示すとおり、本件商標を請求に係る指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、本件審判の予告登録日である平成20年7月4日前3年(以下「本件期間」という。)以内に日本国内において使用している。

(2)本件商標を使用している者

被請求人は、本件商標に係る商標権について、三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社(以下「通常使用権者」という。)に通常使用権を許諾しており、本件商標は、その指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について、同通常使用権者によって使用されている。

まず、平成7年10月20日付で、被請求人は、三菱電機株式会社との間において、通常使用権の設定に関する契約を締結した(乙第1号証)。同契約の有効期間は、その締結日より10年間と設定されていたが、被請求人と三菱電機インフォメーションシステムズ(三菱電機株式会社を株主とする同社の子会社/乙第2号証)は、同契約の有効期間の延長をおこなうべく、平成17年8月26日付で、本件商標の使用許諾に関する新たな契約を締結した(乙第3号証)。

なお、この新たな契約の当事者の一方として、「富士フイルム株式会社」ではなく、「富士写真フイルム株式会社」が、契約書中に記載されている。当該「富士写真フイルム株式会社」は、平成18年10月1日付で、その名称を「富士フイルムホールディングス株式会社」に改め、その際同時に、「富士写真フイルム株式会社」から分割される形で、「富士フイルム株式会社」は設立された(乙第4号証及び乙第5号証)。しかして、被請求人は、「富士写真フイルム株式会社」に関わる事業権利について、その一切を承継し、また、前記契約に関する「富士写真フイルム株式会社」の地位についても、被請求人はこれを承継した。

したがって、当該契約は、被請求人と三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社との間において、現在も有効に存続しているものである。

(3)本件商標の使用の態様

通常使用権者は、以下に詳細に述べるように、本件商標を、その製造・販売に係る製品及びその包装・カタログ・取引書類等に、製品名として、明記している。

乙第6号証は、通常使用権者の販売に係るコンピュータシステム・プログラムに関するカタログであり、同カタログの表紙ないし説明中に、本件商標が明示されている。その一文を引用すると、「三菱電機は、複数のクライアント・サーバシステムを結ぶ、大規模なネットワーク連携システムの構築/運用を総合的に支援するミドルウェア、DolphineIIを提供します」と述べられており、当該カタログから、通常使用権者が本件商標を商品「ミドルウェア」(以下「本件商品」という。)について使用していることは明白である。なお、当該カタログは、三菱電機株式会社が「Dolphine」を販売していた頃(平成8年当時)のものであるが、現在、「Dolphine」を製造・販売している通常使用権者(三菱電機株式会社の子会社)は、同カタログの内容をそのまま引き継ぎ、その販売活動において使用している。

乙第7号証は、通常使用権者の販売に係るミドルウェア「Dolphine」を構成する各種コンピュータプログラム・部品・周辺機器類の一覧であり、その中において、「DolphineII分散サーバ機能」「DolphineIIクライアントパッケージ」のように、本件商標を各種コンピュータプログラムの製品名として明示している。もっとも、実際には、被請求人は、各種プログラムをフロッピーディスク等の媒体に記録した形で販売・提供しており、乙第8号証は、そのフロッピーディスク及び関連解説書並びに包装箱の写真である。これらソフトウェアを記録させたフロッピーディスクの表面部・包装用箱の側面部・解説書の表紙には、いずれにも、「Dolphine」が明記されている。

乙第9号証及び乙第10号証は、通常使用権者の作成に係る見積書の写しである。同見積書の品名欄には、「ミドルウェア(DolphineII分散サーバ機能他)」と記載されている。また、乙第11号証も見積書の写しであるが、その見積書添付の別紙「機器/価格明細」において、通常使用権者の販売に係る製品名として、「Dolphine」が明示されている。

乙第12号証ないし乙第14号証は、通常使用権者の販売に係るミドルウェア(及びそれを構成するコンピュータプログラム等)の注文書であり、同注文書の商品名称の欄において、「Dolphine」が明示されている。

乙第15号証ないし乙第17号証は、通常使用権者の販売に係る製品の納品書の写しである。同納品書の品名欄には、本件商品の内容として、「DolphineII分散サーバ機能他」「DolphineIIクライアントパッケージ」が記載されており、通常使用権者が提供するミドルウェア製品「Dolphine」に関わるコンピュータプログラムが納品されたことを示している。

以上のとおり、通常使用権者は、本件商標を、その製造・販売に係る「ミドルウェア(及びそれを構成するコンピュータプログラム等)」を記録したフロッピィーディスクに直接貼付し、また、その包装用箱及び解説書等にも貼付している。

(4)本件商標の使用の時期

通常使用権者が、本件商標を本件期間内に使用していたことは、乙第9号証ないし乙第17号証の記述からも明らかである。なぜなら、乙第9号証ないし乙第17号証は、前述したとおり「Dolphine」に関する取引書類であり、これらが発行された日付は、いずれも本件期間内のものであるからである。すなわち、乙第9号証は平成17年8月10日、乙第10号証は平成17年12月21日、乙第11号証は平成17年12月21日、乙第12号証及び乙第13号証は平成17年12月8日、乙第14号証は平成18年1月10日、乙第15号証は平成19年10月23日、乙第16号証は平成19年9月26日、乙第17号証は平成17年10月26日にそれぞれ発行されている。

したがって、本件商標が本件期間内にわが国において使用されていたことは明らかである。

(5)本件商品が本件指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属すること

通常使用権者は、前述したとおり、本件商標を、業務用のコンピュータネットワークの構築に用いられる本件商品「ミドルウェア」について使用している。もっとも、具体的には、先にも述べたとおり、通常使用権者は、「ミドルウェア」を構成するコンピュータプログラムをフロッピーディスクその他の磁気媒体に記録し、それらを販売している。

当該「ミドルウェア」とは、小学館発行「ランダムハウス英和大辞典」において、「ハードウェアとソフトウェアの中間的な製品」と説明されており(乙第18号証)、これをより具体的に説明すると、「ミドルウェア」とは、「コンピュータソフトウェアの分類のうち、オペレーティングシステムとアプリケーションソフトの中間的な処理・動作を行なうソフトウェア」をいう(乙第19号証)。

したがって、「ミドルウェア」とは、商品「コンピュータソフトウェア」の一類型を指称するものであるから、本件商品は、「コンピュータソフトウェア等」の範疇に属するものである。しかるところ、「コンピュータソフトウェア」は、特許庁IPDL「商品・役務名リスト」の表示例をみても、「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属するものであることは明らかである。

したがって、通常使用権者は、本件商標をその指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について使用している。

(6)本件商標と使用に係る商標との社会通念上の同一性

通常使用権者は、本件商標を、主に「Dolphine」という態様で使用しているが、当該使用に係る商標と、本件商標とは、以下に述べるとおり、社会通念上同一と認められるものである。

本件商標は、カタカナ文字「ドルフィン」を横書きした構成からなる。一方、使用に係る商標「Dolphine」は、通常使用権者が提供するコンピュータネットワークシステム「Distributed On−Line Process Horizontal structure for Improved Network Environment」の各単語のイニシャルに由来し(乙第5号証)、そのアルファベットの組み合わせは奇しくも英単語「Dolphin(イルカ)」と一文字違いである。そこで、通常使用権者は、製品のイメージマスコットとして、愛くるしい動物「イルカ」を採用して製品のイメージ向上に努め、乙第5号証に示されるとおり、本件商品のカタログ等においてイルカのシルエットやグラフィックを掲載したりして、「Dolphine」があたかも「イルカ」の観念を有するかのように製品の広告・販売をおこなっている。

また、使用に係る商標「Dolphine」の語尾「ne」は、例えば、英単語「fine(ファイン)」「shine(シャイン)」「phone(フォン)」のように、必ず「ン」と称呼されることから、「Dolphine」は、一般的な英語の発音に照らして、「ドルフィン」と自然に称呼され、「Dolphin」とまったく同一の称呼が生じるものである。なお、「Dolphine」が、アルファベットごとに発音され、「ディーオーエルピーエイチアイエヌイー」などという冗長な称呼をして取引に資されるものとは到底考えられない。

このように、使用に係る商標「Dolphine」は、たとえ英単語「Dolphin」の綴りと異なる造語であるとしても、実際に使用されている外観の態様及びそこから生じる全体のイメージ並びに称呼から、これに接する需要者・取引者に直感的に「イルカ」という観念を与えることは明らかである。

あるいは、前述したとおり、「ドルフィン(Dolphine)」は、通常使用権者が提供するコンピュータネットワークシステム「Distributed On−Line Process Horizontal structure for Improved Network Environment」を指称する言葉でもあるから、「ドルフィン(Dolphine)」は、「イルカ」という観念を有すると同時に、通常使用権者の提供に係るコンピュータネットワークシステムの名称という観念をも有するものである。

したがって、使用に係る商標は、本件商標とは、単に表示方法を相互に変更するもので、同一の称呼及び観念を生ずるものであるから、社会通念上同一の商標というべきである。なお、これに関連して、被請求人は、本件商標「ドルフィン」に対応する商標として欧文字「DOLPHINE」「Dolphine」からなる商標に係る登録(乙第20号証)をそれぞれ所有しており、それらについても、通常使用権者に対して使用権を設定している(乙第3号証)。かかる事実からも、カタカナ文字「ドルフィン」が欧文字「DOLPHINE(Dolphine)」の称呼を特定する唯一無二の音訳表記として被請求人をして登録されていることは明らかであり、本件商標と「DOLPHINE(Dolphine)」は相互に対応する関係にあるものというべきである。

なお、使用に係る商標の構成中に「II」が含まれることがあるが、「II」は「2」に対応するローマ数字であり、同語は、通例、製品や書物あるいは続編映画作品のバージョン(版)を表現するものとして使用されている。したがって、「II」が、単に製品のバージョン(版)すなわち商品の品質を表示するものであって、商標の要部として認識され得ないことは経験則上も明らかである。これに関連して、かつて三菱電機株式会社は、同社が製造・販売するコンピュータミドルウェアについて、商標「Dolphine」を使用していたが、「DolphineII」は、当該製品の改訂・バージョンアップをおこなったものについて使用されることになったものである(乙第21号証)。

したがって、本件についても「II」は、製品のバージョンを表現している語にすぎず、使用に係る商標の要部は、常に「Dolphine」としてしか認識されないものであるから、使用に係る商標と本件商標とは、社会通念上同一のものであることは明らかである。

(7)まとめ

以上詳述したとおり、通常使用権者は、日本国内において、本件審判の予告登録日である平成20年7月4日前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標を本件請求にかかる指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について使用している。

4 当審の判断

被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第21号証によれば、通常使用権者が、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品「ミドルウェア」について使用していたものと認められる。

また、請求人は、平成20年8月19日付の答弁に対し、何等弁駁するところがない。

してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、通常使用権者により、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件請求に係る指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品「ミドルウェア」について使用していたものといわなければならない。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきではない。

よって、結論のとおり審決する。

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