結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2008−890120(T2008−890120/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4729047号商標(以下「本件商標」という。)は、「LFB」の文字を横書きしてなり、平成15年4月18日に登録出願、第7類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」及び第12類「軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング」を指定商品として、平成15年11月28日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第10号について
ア 商標の同一又は類似について
本件商標は、「LFB」の文字を書してなるものであるから、請求人の業務に係る商品「軸受・ベアリング、特に無給油の軸受・ベアリング」(以下「請求人商品」という。)を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標「LFB」(以下「請求人使用商標」という。)とは、外観、称呼及び観念において同一であり、仮に本件商標と請求人使用商標とが、外観、称呼及び観念において同一であるとはいい得ない場合においても類似である。
イ 商品の同一又は類似について
本件商標の指定商品中「第7類 軸受,ベアリング」及び「第12類 軸受,ベアリング」は、請求人商品と同一であり、また、本件商標の指定商品中「第7類 軸,軸継ぎ手」及び「第12類 軸,軸継ぎ手」は、請求人商品と類似する。
したがって、本件商標の指定商品は、請求人商品と同一又は類似する商品である。
ウ 請求人使用商標の周知性について
(ア)機械設計(甲第2号証)における請求人使用商標の掲載
機械設計は、甲第3号証(インターネット上に示される機械設計の発行部数に関する頁)に示されるように、昭和32年(1957年)から月刊誌として日刊工業新聞社から刊行され、2008年11月の時点において通巻第763号まで発行され、2008年度においては、毎月36,500部発行された。
請求人使用商標は、少なくとも、1989年3月から1990年8月までの各月、1990年10月から1991年4月までの隔月、1996年5月から1998年7月までの各月、2000年11月から2001年11月までの各月、2002年1月から2005年3月までの隔月及び2004年4月の機械設計に、請求人商品の広告に付して掲載された。すなわち、請求人使用商標は、本件商標の登録出願(平成15年4月18日)前の約14年間に、機械設計に70回掲載され、本件商標が登録出願されてから登録されるまでにおいても、4回も隔月毎に継続的に掲載された。このように、請求人使用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前のみならず、本件商標の登録出願から登録に至るまでにおいて、機械設計の閲読者に深く印象づけられ、かつ、その状態が維持されていたといえる。
機械設計における各種広告は、機械設計の閲読者にとって注目度の高い掲載事項であり、このことは、機械設計に「広告目次」の頁が設けられ、請求人使用商標が掲載された機械設計のそれぞれの「広告目次」の頁には、請求人が「無給油ベアリング」との関係において掲載されていることから、請求人商品を掲載した頁の閲読は容易である。してみると、機械設計における請求人商品との関係において表示された請求人使用商標は、機械設計の閲読者、特に、無給油の軸受・ベアリングの需要者に注目されるといえる。
(イ)日本ベアリング新聞(甲第4号証)における請求人使用商標の掲載
日本ベアリング新聞は、甲第5号証(インターネット上に示される日本ベアリング新聞の発行部数に関する頁)に示されるように、昭和32年(1956年)から現在に至るまで1日付け及び15日付けの半月毎に日本ベアリング新聞社から発行され、2008年度においては、半月毎の発行部数が8000部である。日本ベアリング新聞は、例えば、国立国会図書館のホームページ内において「『日本ベアリング新聞』(日本ベアリング新聞社月2回刊」の見出しのもと、「ベアリング業界の専門紙で、国内外の製造・販売に関する動向を取り上げています。」と記載されているように、軸受・ベアリングの取引業者に広く知られ、購読されている(http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/theme_honbun_102616.html)。
請求人使用商標は、少なくとも、1990年2月から1991年6月までの各月、1996年9月から2000年12月までの各月及び2001年3月から2002年10月までの各月発行の日本ベアリング新聞に、請求人商品の広告に付して掲載された。すなわち、請求人使用商標は、本件商標の登録出願前の約13年間において日本ベアリング新聞に、少なくとも91回継続的に掲載された。このように、本件商標の登録出願前において継続的に日本ベアリング新聞に掲載された請求人使用商標は、請求人商品を表示するものとして、日本ベアリング新聞の閲読者に深く印象づけられたといえる。
(ウ)請求人の発行に係るカタログ(甲第6号証、以下「請求人カタログ」という。)における請求人使用商標の掲載
請求人カタログは、請求人の業務に係る商品のカタログであり、請求人商品が掲載されており、その発行年度毎に2万部前後、少なくとも1万部以上作製されていたものである(甲第7号証)。
請求人カタログには、例えば、機械設計(甲第2号証)の請求人の業務に係る商品の掲載頁に「●資料請求は営業本部内販売管理部へどうぞ」(1989年3月から同年11月までに発行された機械設計参照)、「●資料請求は営業本部内営業企画部へどうぞ」(1989年12月から1991年4月までに発行された機械設計参照)又は「●資料請求は企画管理部へどうぞ」(1996年5月から少なくとも2003年11月までに発行された機械設計参照)と記載されている資料請求に応じて配布され、また、日本ベアリング新聞(甲第3号証)に掲載された請求人に関する連絡先への需要者からの連絡又は需要者の請求人のホームページ(http://www.oiles.co.jp)へのアクセス等を介して需要者の求めに応じて配布され、後述する甲第8号証(KUMEA 23号)における請求人に関する連絡先又は需要者の請求人のホームページへのアクセス等を介して需要者の求めに応じて配布され、請求人と取引のある取引業者や請求人が取引を希望する需要者に営業活動の一環として配布され、また、請求人商品の約56社の販売代理店に配布され、販売代理店のそれぞれに請求人カタログの配布を依頼する結果、その作製部数の殆どが配布される。
請求人使用商標は、本件商標の登録出願前の約17年間において各年度版の請求人カタログに継続的に掲載された。このように、本件商標の登録出願前において、継続的に請求人カタログに掲載された請求人使用商標は、請求人商品を表示するものとして、請求人カタログの閲読者に深く印象づけられたといえる。
(エ)その他の刊行物における請求人使用商標の掲載
請求人使用商標は、甲第8号証(KUMEA 23号、2001年発行)に、請求人の名称等と共に、請求人商品に付して掲載された。KUMEA 23号は、主に工学院大学機械工学科の卒業生に閲読される刊行物である。甲第9号証(KUMEA 24号)の48頁の「2001年度事業報告(平成13年度)」には、KUMEA 23号が10266人に発送されていることが記載されている。KUMEA 23号を閲読した者の中には軸受・ベアリング関係の職務に従事する者も多数存在し得る。
また、請求人使用商標は、甲第10号証(特開平11−286277号公報(特願平11−25239号))に、「ブッシュの一例には、オイレスNo.LFB−0910がある。」との記載があり、この記載は、平成11年(1999年)発行の「OILES BEARING FULL LINE UP CATALOGUE オイレス総合カタログ ’99−’00」の78頁に記載されている「Part No./LFB−0910」と対応している。甲第10号証は、米国特許出願に基づいて優先権を主張しており、当該米国特許出願の明細書にも上記同様の旨が記載されていることから、請求人使用商標は、1998年2月5日(優先日)の時点において、国内の取引業者にとどまらず、国外の取引業者にも何人かの業務に係る商品を表示するものとして認識されていることが窺える。
(オ)軸受・ベアリングの取引形態
請求人使用商標は、軸受・ベアリング又はその包装に付されて出荷される(甲第11号証)。請求人商品は、請求人の各地の営業所等、約56社の販売代理店により本件商標の登録出願時及び登録時において全国的に販売されていた(甲第12号証)。
請求人商品の販売数量は、1998年度においては約612万個、1999年度においては約771万個、2000年度においては約846万個、2001年度においては約637万個、2002年度においては約704万個、2003年度においては約720万個、2004年度においては約847万個、2005年度においては約1005万個、2006年度においては約1149万個、2007年度においては約1275万個である。
(カ)軸受・ベアリングに関する請求人の業界シェア
請求人は、軸受・ベアリングを取り扱う業界、特に、無給油の軸受・ベアリングを取り扱う業界においては、国内シェア5割を有しており、現在においても同等の業界シェアを有している(甲第13、14号証)。
エ 以上のように、請求人使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録時に、請求人商品を表示するものとして、軸受・ベアリング、特に無給油の軸受・ベアリングの需要者に広く認識されるに至っていたのである。
したがって、本件商標は、請求人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標と同一又は類似であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
仮に本件商標が、請求人使用商標と同一又は類似するといい得ないとしても、請求人使用商標は、上述のとおり、請求人商品を表示するものとして需要者に広く認識されていたものであるから、本件商標は、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)むすび
以上述べたとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効とすべきものである。
被請求人は、前記2の請求人の主張に対し、何ら答弁していない。
(1)引用商標の周知性について
甲第2号証(ただし、平成15年11月1日に発行された「機械設計」及びそれ以降に発行された「機械設計」を除く。)、甲第3号証ないし甲第5号証、甲第6号証(ただし、「オイレスベアリング 2004>2005」及びそれ以降に発行された請求人カタログを除く。)、甲第7号証ないし甲第11号証、甲第12号証(ただし、平成16年3月10日及び同17日に発行されたものを除く。)、甲第13号証及び甲第14号証(ただし、2003年10月15日及び2008年7月15日に発行されたものを除く。)を総合すると、請求人は、その業務に係る商品「軸受・ベアリング、特に無給油の軸受・ベアリング」(請求人商品)について、「LFB」の文字を活字体で表した商標(請求人使用商標)を表示して、本件商標の登録出願前よりその登録査定時(平成15年9月25日)に至るまで、業界誌、業界紙等に継続して宣伝、広告をしたことが認められ、その結果、請求人使用商標は、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に、軸受・ベアリングを取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと推認することができる。そして、その周知性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(2)本件商標と請求人使用商標との類否
本件商標は、前記のとおり、「LFB」の文字を活字体で横書きしてなるものである。
これに対して、請求人使用商標は、前記認定のとおり、「LFB」の文字を活字体で表した構成からなるものである(一部において、黒塗り矩形内に、活字体の「LFB」の文字を白抜きで表した構成よりなる商標も存在するが、その要部は、「LFB」の文字部分である。)。
してみると、本件商標と請求人使用商標とは、外観上同一視できるか、若しくは極めて近似する商標というべきあり、また、いずれも「LFB」の文字に相応して、「エルエフビー」の称呼を生ずるものである。
したがって、本件商標と請求人使用商標とは、観念について比較することができないとしても、称呼を共通にし、外観において極めて近似するものであるから、同一又は類似の商標というべきである。
(3)本件商標の指定商品と請求人商品との類否
本件商標の指定商品中、第7類「軸受,ベアリング」及び第12類「軸受,ベアリング」は、請求人商品と同一の商品であり、また、本件商標の指定商品中、第7類「軸,軸継ぎ手」及び第12類「軸,軸継ぎ手」は、請求人商品と用途等を同じくするばかりでなく、生産者、取引系統、販売場所、需要者等をも同じくする場合が多い類似の商品と認めることができる。
したがって、本件商標の指定商品は、請求人商品と同一又は類似の商品というべきである。
(4)むすび
以上によれば、本件商標は、その登録出願前より登録査定時に至るまで、請求人の業務に係る商品「軸受・ベアリング、特に無給油の軸受・ベアリング」を表示するものとして、当該商品の需要者の間に広く認識されていた請求人使用商標と同一又は類似の商標であって、請求人使用商標が使用される商品と同一又は類似の商品について使用する商標ということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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