Trademark Appeal Case
デュアルピニオンの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−11361(T2008−11361/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「デュアルピニオン」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年12月19日に登録出願されたものであるが、その指定商品については、当審における同20年7月4日付けの手続補正書により、第12類「自動車用パワーステアリング装置」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『二つの,二重の』を意味するカタカナ語『デュアル』の文字と、『小歯車,ラック(直線になった歯車)にかみ合う歯車』を意味するカタカナ語『ピニオン』の文字を一連に『デュアルピニオン』と書してなるものであり、その指定商品中の各種機械装置や部品には、『二つの歯車で構成されたもの』も存するところであるから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質、機構を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「デュアルピニオン」の文字からなるところ、その構成中の「デュアル」の文字は、「二つ。二重。両面。他の外来語とともに複合語を作る。」(「大辞林」第三版 株式会社三省堂 2006年10月27日発行)や「二つの。二重の。」(「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)の意味を有する広く親しまれた外来語である。さらに、(「自動車情報事典 大車林」初版 株式会社三栄書房 2004年2月2日発行)によれば、「デュアル」の語が結合している用語が例えば、「デュアルエキゾーストパイプ、デュアル燃料エンジン、デュアルポンプ式4WD、デュアルサーキットブレーキ、デュアルモードサスペンション、デュアルモード4WS、デュアルインフレーター、デュアルビジョンメーター、デュアルモードエアバッグ」等、多数掲載されており、それぞれ2種類、2タイプ又は2つのモードなどの意味を含む用語として記載されている事実があり、自動車関係の部品では、普通に使用されるものである。
また、「ピニオン」の文字は、「(1)ラックとかみ合う小歯車。(2)歯数の異なる二つのかみ合う歯車のうち小さい方の称。」(前掲「大辞林」)や「大小二個の歯車がかみ合う時、小さい方の歯車。また、小歯車をもいう。」(前掲「広辞苑」)の意味する外来語であって、本願の補正後の指定商品の分野でも「ラック・アンド・ピニオン式パワーステアリング」などと称して普通に使用されているもの(「自動車用語中辞典」初版 株式会社山海堂 平成9年5月25日発行)であるから、全体として「2個の小歯車」あるいは「ラックとかみ合う2個の小歯車」程の意味合いを容易に理解、認識させるものということができる。
(2)ところで、原審における平成19年5月30日付けの刊行物等提出書によると、以下の事実が認められる。
ア 公開特許公報【公開番号】特開2000−296781の【発明の名称】「電動パワー・ステアリング・システムに関する改良」において、「請求な説明」の項において、「【発明の詳細な説明】【0038】ラック駆動:mm当たりのピニオン回転数/mm当たりのモータ回転数デュアル・ピニオン駆動:これはラック駆動の特別な場合であって、モータが第2のピニオンを介してラックを駆動するように構成されている。」(刊行物12)との記載がある。
イ 公開特許公報【公開番号】特開2005−329784の【発明の名称】「電動パワーステアリング装置」において、「詳細な説明」の項において、「【背景技術】【0002】従来、パワーステアリング装置にあっては、所謂デュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置が開示されている。このデュアルピニオンタイプの電動パワーステアリング装置は、運転者による操舵トルクと電動機からの操舵アシストトルクとが別々のピニオンに付与されるため、ピニオンにかかる負荷を小さくすることができるという利点がある(例えば、特許文献1参照。)。」(刊行物13)との記載がある。
ウ 公開特許公報【公開番号】特開2002−154442の「【要約】」の項において、「【課題】既存の設備を用いて、より出力の低いモータを採用できるデュアルピニオンタイプの電動式パワーステアリング装置及びそれに適したラック軸の製造方法を提供する。」(刊行物14)との記載がある。
エ 公開特許公報【公開番号】特開2004−136821の「【要約】」の項において、「【課題】搭載性や周辺装置のレイアウト自由度を向上させるべく、コンパクト化等を図ったデュアルピニオン式の電動式パワーステアリング装置を提供する。」(刊行物17)との記載がある。
(3)なお、インターネット情報(平成21年5月15日検索)によっても、「デュアルピニオン」の語が、以下のとおり、「電動パワーステアリング装置」との関係で使用されていることを窺い知ることができる。
オ 「NSK」のWebサイトにおいて、「SteeringSystems」の見出しのもと、写真とともに「デュアルピニオンタイプ電動パワーステアリング 限られた車両搭載スペースにあわせ、もう一つのピニオンギアでアシスト力をラックに伝える、ピニオンタイプEPS。」との記載がある。
(http://www.heavenbearing.com/nsk/www/jp/syassis/steering/index.html)
カ 「日刊自動車新聞」のWebサイトにおいて、「部品・車体/生産・技術」の見出しのもと、「ステアリン系の大手サプライヤーである独ゼットエフレンクシステメ(ZFLS)は、日系自動車メーカー向けビジネスの拡大を狙い、電動パワーステアリング(EPS)の受注活動を強化する。2008年中に、独自のEPSユニット『デュアルピニオン式』にコスト競争力を高めた第3世代を投入するとともに、操作感を始めとしたさまざまな要望に対応可能な技術手法を提案していく。こうして日系メーカーのニーズを吸収し、新規開拓に結びつける。2008.4.9」との記載がある。
(http://www.njd.jp/parts/20080409-002.html)
キ 「GAZOO.com」のWebサイトにおいて、「連載『EPSがつくる未来 安全・快適なくるまを目指して』(3) 効率的なパワーアップを模索」の見出しのもと、「独ZFレンクシステメ(ZFLS)は『電動で前輪舵角の自動修正を行う装置には昇圧は必要かもしれない。しかし当社は“dp(デュアルピニオン)”や“apa(アクシスパラレル)”といった機構で力を出せる』(・・・)とし、現状では特に必要がないと判断している。dpはステアリングシャフトの先端と、モーターにそれぞれ1枚ずつ、合計2枚のピニオンギアを使用するユニットであることからデュアルの名前が冠された。(中略)[2008年4月23日 13時48分 日刊自動車新聞 ]」との記載がある。
(http://gazoo.com/NEWS/NewsDetail.aspx?NewsId=0f94ed4d-e3cf-47c6-8a31-0f9102896014)
ク 「GAZOO.com」のWebサイトにおいて、「ジェイテクト、2トン超のSUV対応の電動パワーステアリング開発」の見出しのもと、「パラレル型は、独の大手ステアリングユニットメーカー、ゼットエフレンクシステメ(ZFLS)が『デュアルピニオン』の名称で生産している。(中略)[2008年5月30日 23時58分 日刊自動車新聞 ]」との記載がある。
(http://gazoo.com/NEWS/NewsDetail.aspx?NewsId=ec223947-f164-4efd-ab76-de6607d8c2da)
(4)前記(1)ないし(3)のとおり、「デュアルピニオン」の語は、「電動パワーステアリング装置」との関係において、「ラックとかみ合う2個の歯車(ピニオン)をその構成中に有する電動パワーステアリング装置」程の意味合いで「デュアルピニオンタイプ・・・」又は「デュアルピニオン式・・・」などのように普通に使用されていることが認められる。
そうすると、本願商標をその補正後の指定商品である「自動車用パワーステアリング装置」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「ラックとかみ合う2個の歯車(ピニオン)をその構成中に有する自動車用パワーステアリング装置(デュアルピニオンタイプ(式)の自動車用パワーステアリング装置)」であると、すなわち、商品の品質を表示したものであると理解、認識するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものといわざるを得ない。
(5)請求人は、本願商標「デュアルピニオン」は、外観及び称呼において一体不可分に認識される造語商標であるとか、本願商標からは、漠然とした広範な意味合いを生ずるものであって、補正後の指定商品との関係において、商品の具体的な品質や機構を直接的に表示するものとして認識されることはない旨主張するが、前記(1)ないし(3)に照らして、その主張は採用の限りでない。
また、請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張するが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人の上記主張も採用することができない。
(6)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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