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Trademark Appeal Case

商標使用の認定基準

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−300183(T2008−300183/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1589173号商標(以下「本件商標」という。)は、「秀峰」の漢字を縦書きしてなり、昭和54年6月21日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、昭和58年5月26日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、さらにその後、平成15年10月8日に、第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中、第33類『日本酒』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号及び第2号証を提出した。

(1)請求の理由

本件商標は、その指定商品中、第33類「日本酒」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 取消理由1(登録商標の使用実態がない)

被請求人は、本件商標の使用について、自ら使用している事実を立証することなく、乙第6号証(使用許諾契約書)を中心とし、乙第1号ないし第5号及び第7号証をもって、通常使用権者(橘倉酒造株式会社)による使用があったと主張している。

しかし、通常使用権の設定については、商標原簿(甲第1号証)にその旨の記載がないほか、被請求人が提出した商標使用許諾契約書(乙第6号証)は真正のものとは認められない。すなわち、乙第6号証は通常使用権者との間において平成19年9月1日付で締結されたものであるとされるが、契約当事者としての許諾者は、被請求人会社の人事総務部長であり、また人事部総務部長には会社の代表権がなく(甲第2号証を参照)、本件商標権についての正当な権利者(メルシャン株式会社)による通常使用権の設定ではない。

イ 取消理由2(登録商標の使用態様)

上記した通常使用権者による使用であったかどうかは別論とし、乙第1号証には、商品名:辛口純米「秀峰浅間」の左横に、日本酒入りの瓶の写真が載っているが、同写真の正面に貼付されたラベルには、大書した「浅間」の文字の右上方部に装飾化された赤文字が表されており、この赤文字部分が上記した商品名「秀峰浅間」の文字との関係においてようやく「秀峰」の文字が書されているものと想定される程度で、赤文字部分のみを観察した場合には、これを普通に「秀峰」と読める程度には表されていない。したがって、乙第1号証に表されているのは大書された「浅間」の文字と、商品名としての「秀峰浅間」のみであって、本件商標「秀峰」が表されているものとはみることができない。

乙第2号証には、菊秀辛口純米酒「秀峰浅間」の記載の左横に、正面に「浅間」と大書されたラベルが貼られた日本酒の瓶の写真が載っているが、上記のラベルには「浅間」の文字以外に、「秀峰」とみられる装飾化された表示が、普通に「シュウホウ」と称呼可能な程度に表されているものではない。したがって、乙第2号証に表されているのは大書された「浅間」の文字と、商品表示としての菊秀辛口純米酒「秀峰浅間」のみであって、本件商標が表されているものとはみることができない。

乙第3号証には、正面に「浅間」の文字を大書した辛口純米酒の大瓶および小瓶の写真および、その右方には瓶に貼付されたラベルに表されているものと同様の「浅間」と大書された文字及びその右上方部に小さく、しかも著しく装飾化された「秀峰」と思しき赤文字が付されている。また、乙第4号証(ラベル)には、中央部に大書された「浅間」の文字、およびその右上方部に小さく、しかも著しく装飾化された「秀峰」と思しき赤文字が付されている。

しかし、乙第3号及び第4号証の「浅間」と大書された右上の著しく装飾化された赤文字部分は、よくよく観察してみれば「秀峰」と記されていることが理解できないわけではないが、乙第3号証のパンフレット中央の説明書きである『「秀峰浅間」は・・・』の説明との関係でようやく「秀峰」の文字が書されているものかと認識できる程度であって、乙第4号証を含めて赤文字で表された部分については需要者・当業者が普通に「秀峰」と認識し、「シュウホウ」と即座に称呼できる程度には表されていない。したがって、乙第3号及び第4号証には、大書された「浅間」の文字は表されているが、本件商標が表されているものとはみることができない。

乙第5号証の写真には、大書された「浅間」のラベルが貼られた瓶の正面を避けて「浅間」の右上方に、著しく装飾化して表された赤文字部分を敢えて正面に向けた状態に置かれた2本の瓶が撮影されている。しかし、上記の著しく装飾化して表された赤文字部分については需要者・当業者が普通に「秀峰」と認識し、「シュウホウ」と即座に称呼できる程度には表されていない。

乙第7号証には、商品名:辛口純米「秀峰浅間」の表示の脇に商品写真(瓶)が載っている。さらに瓶の正面には大書された「浅間」の文字が表されているだけで、その右上方に表されている赤色の装飾模様状の部分については、それらの写真のみからは文字であるか明らかではないほどに識別が不可能である。したがって、乙第7号証には「浅間」および「秀峰浅間」の文字は確認できるものの、本件商標の表示である「秀峰」の表示が表されているとみることはできない。

以上のとおり、本件の登録商標は、ゴシック体漢字にて「秀峰」と縦書きされ、ただちに「シュウホウ」の称呼を生ずる態様にて表されたものであるところ、乙第1号ないし第5号及び第7号証には、商標法第50条第1項にいう「書体のみに変更を加えた同一の文字」の範疇を逸脱した著しく装飾化ないし図形化された態様で表されたものであり、本件商標と社会通念上同一とみられる程度に表されたものとみることはできない。

ウ 取消理由3(登録商標の使用開始時期)

商標法第50条第1項には、登録商標が日本国内において継続して3年以上商標権者等により使用をしていないときは、指定商品について登録を取り消すことについて審判を請求することができ、被請求人は審判の請求登録前3月以前から使用をしている事実を立証しなければならないところ、被請求人が提出した乙第1号証のホームページの写しは、本件審判請求の登録日より後の「打ち出しの日付」が見いだせるに止まるものである。

また、乙第7号証のホームページの写しについても、駆け込み期間内(請求前3月から請求の登録日まで)の間に該当する2008年2月28日付けで保存されたキャッシュページにすぎず、審判請求登録前3年以内の時期に本件商標の使用であったことの証明とはならない。また乙第6号証が、仮に真正なものであったとしても、通常使用権許諾契約の期間として「平成19年9月1日より満3年間」と記載されてはいるが、現実に本件商標の使用を開始した日を証明しているものではない。

さらに、被請求人が提出した乙第2号ないし第5号証についても、本件商標が本件審判請求登録前3ヶ月以前から使用されていたことを何ら立証するものではない。

エ むすび

以上のとおり、乙第1号から第7号証の各証拠によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、通常使用権者のいずれかが本件商標をその指定商品に使用していたことを立証したものとは認められないし、また、その使用をしていないことについて正当な理由があることを立証したものとも認められない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号ないし第7号証を提出した。

(1)請求人は、請求理由の中で「本件商標の指定商品中、第33類『日本酒』について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。」と述べているが、本件商標は、答弁書の添付書類にもあるように、現在、通常使用権者である橘倉酒造株式会社が製造販売する日本酒に使用中である。したがって、請求人の主張にもかかわらず、本件は商標法第50条第1項の規定には該当せず、本件審判の請求は成り立たない。

(2)以下、乙第1号ないし第7号証を用いてその理由を詳しく説明し、通常使用権者が本件商標を商品「日本酒」に、本件審判の請求前3年以内に使用していたことを立証する。

ア 乙第1号証は、2008年4月4日に通常使用権者のネットショップ(http://www2.enekoshop.jp/shop/kitsukura/top)にアクセスし、日本酒のカテゴリーから純米酒を選択し、「辛口純米 秀峰浅間 720ml」という商品を選んだ時の画面をプリントアウトしたものである。

イ 乙第2号証は、通常使用権者の主要商品案内パンフレットである。当該パンフレットの最上段の一番左側に、純米酒「秀峰浅間」が表示されている。

ウ 乙第3号証は、通常使用権者の純米酒「秀峰浅間」の商品パンフレットである。

エ 乙第4号証は、通常使用権者が製造・販売する純米酒のラベル(1.8L詰及び720ml詰)である。

オ 乙第5号証は、通常使用権者が製造販売する純米酒「秀峰浅間」(1.8L詰及び720ml詰)を撮影した写真である。

カ 乙第6号証は、商標権者であるメルシャン株式会社と通常使用権者である橘倉酒造株式会社との間で締結された、商標使用許諾契約書の写しである。

キ 乙第7号証は、乙第1号証と同じネットショップの純米酒のページがインターネット検索サービスGoogleのキャッシュに保存されていたものを、2008年4月7日にプリントアウトしたものである。乙第7号証の第1頁下段には純米酒「秀峰浅間」(720ml詰)が、同第3頁上段には純米酒「秀峰浅間」(1.8L詰)がそれぞれ表示されている。

ク 乙第1号ないし第5号証に示すとおり、橘倉酒造株式会社は、その商品である純米酒「秀峰浅間」のラベル右上部分に他の文字と分離独立して、毛筆体により「秀峰」と表示しており、本件商標を使用していたことは明らかである。

また、乙第6号証の商標使用許諾契約書第1条に示すとおり、橘倉酒造株式会社は、本件商標の通常使用権者であることは明らかである。

さらに、乙第7号証に示すとおり、本件審判事件の予告登録日(平成20年2月29日)よりも前の平成20年2月28日の日付で、インターネットサービスGoogleによって、通常使用権者のネットショップがキャッシュとして保存されていた。これは、当該ネットショップがインターネット上に存在し、本件商標を付した「秀峰浅間」を商品として掲載するウェブページが、その時点で存在していたことを示すものである。Googleのキャッシュは、インターネット上に存在するウェブページを機械的に保存して作成されるものであるから、平成20年2月28日に乙第7号証の内容がインターネット上に存在し、需要者が普通に閲覧可能であったことは明らかである。

ケ 以上のとおり、本件審判の予告登録日前3年以内に、本件商標が通常使用権者によって日本酒に使用されていたのは明らかである。

4 当審の判断

請求人は、「通常使用権の設定については商標原簿にその旨の記載がないほか、被請求人が提出した乙第6号証は真正のものとは認められない。すなわち、乙第6号証の契約書は通常使用権者との間において平成19年9月1日付で締結されたものであるとされるが、契約当事者としての許諾者は、被請求人会社の人事総務部長であり、また、人事部総務部長には会社の代表権がなく、本件商標権についての正当な権利者(メルシャン株式会社)による通常使用権の設定ではない。」旨主張しているので、以下、順に検討する。

(1)通常使用権の設定について

通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について使用の許諾をすることにより発生するものであるから、例えば、商標登録原簿に登録されることが効力を生ずる要件とはなっていないものである。したがって、請求人のこの主張は理由がない。

(2)正当な権利者による通常使用権の設定について

乙第6号証は、商標権者であるメルシャン株式会社と通常使用権者である橘倉酒造株式会社との間で締結された「商標使用許諾契約書」の写しであるが、その内容は「本件商標について、平成19年9月1日より3年間、橘倉酒造株式会社が製造販売する清酒に使用することを許諾する」としているものであるから、たとえ、契約当事者としての許諾者が、被請求人(メルシャン株式会社)の人事総務部長であったとしても、被請求人自身が乙第6号証は、橘倉酒造株式会社との間で締結された商標使用許諾契約書の写しであると認めている以上、橘倉酒造株式会社が、本件商標に関する通常使用権者であることに疑問の余地はない。

(3)「秀峰」の使用態様について

乙第1号ないし第4号証のパンフレット等によれば、商品「日本酒」(以下「使用商品」という。)について、別掲のとおりの構成よりなる商標が、使用に係る商標として表示されているところ、筆記体で大きく顕著に表された「浅間」の文字部分の右肩に赤茶色で小さく毛筆体で表された「秀峰」の文字部分(以下「使用商標」という。)が、前記「浅間」の文字部分と比較して、色彩及び文字の大きさが顕著に相違することから、視覚上、自ずと分離して看取されるものというべきであり、これに接する取引者、需要者は、その構成中の使用商標「秀峰」に着目し、これより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。

そして、使用商標は、ゴシック体で表された本件商標「秀峰」を、筆記体に書体変更したにすぎない同一の漢字からなる商標であるから、本件商標と同一の称呼「シュウホウ」及び観念「美しい形をした山」を生ずるものである。

そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである(商標法第50条第1項括弧書き参照)。

(4)使用の時期

乙第7号証によれば、インターネットサービスGoogleによって、通常使用権者である橘倉酒造株式会社のネットショップがキャッシュとして、平成20年2月28日時点で保存されていたと認められるところ、該ネットショップが、インターネット上に存在し、使用商標を付した使用商品が掲載されているウェブページが平成20年2月28日時点で存在していたといえるものであって、しかも、乙第6号証の商標使用許諾契約書の日付が平成19年9月1日であることからすれば、請求人の主張の如く駆け込み使用とは認められないから、使用商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が使用商品について使用していたものと認めるのが相当である。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、使用商品について使用していたものと認められる。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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