Trademark Appeal Case
「モイスチャードライヤー」の記述性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−19215(T2008−19215/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第11類「乾燥装置,飼料乾燥装置」を指定商品として、平成19年10月18日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、要旨、以下の(1)及び(2)の拒絶の理由に該当すると認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「湿気、水分、水蒸気」などの意味を表す英語「moisture」の表音である「モイスチャー」の文字と「乾燥器、乾燥装置」を意味するものとして我が国で親しまれている外来語「ドライヤー」の文字とを一連に「モイスチャードライヤー」と書してなるところ、近時、水蒸気を利用した乾燥法を用いた商品が多数製造・販売されている実情にあるから、本願商標は全体として、「水蒸気を利用した乾燥装置」ほどの意味を理解させるにとどまるものである。そうすると、本願商標をその指定商品中「水蒸気を利用した乾燥装置・飼料乾燥装置」に使用するときは、単に商品の品質(機能)を表示するに過ぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして拒絶の理由に引用した登録第3312842号商標(以下「引用商標」という。)は、「MOISTURE」の欧文字と「モイスチャー」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、平成5年12月24日登録出願、第11類「電球類及び照明用器具,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,工業用炉,原子炉,火鉢類,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,冷凍機械器具,アイスボックス,氷冷蔵庫,飼料乾燥装置,牛乳殺菌機,浴槽類,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,業務用ごみ焼却炉,家庭用ごみ焼却炉,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用椅子,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,化学物質を充てんした保温保冷具」を指定商品として、同9年5月23日に設定登録されたものであり、その後、同19年3月6日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、「モイスチャー ドライヤー」の文字からなるものと理解されるものであるところ、文字の間に一文字程度の空間を有することから、外観上「モイスチャー」及び「ドライヤ−」の二語よりなるものと認識されるものである。そして、本願商標を構成する文字全体から、原審説示の如き意味合いを想起させることがあるとしても、本願指定商品との関係において、「モイスチャードライヤー」の文字又はその構成中の「モイスチャー」の文字が商品の品質等を直接的又は具体的に表示するものとまではいい難く、また、当審において調査するも、本願指定商品を取り扱う業界において、該文字が商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されていると認めるに足りる事実も発見できなかった。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえず、また、その構成中の後半の「ドライヤー」の文字は、後述のとおり、「乾燥装置」を意味するものであり、本願指定商品との関係において、商品の品質の誤認を生じさせるおそれもないから、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
商標の類否に関して、「商標が類似するかどうかは、最終的には、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきものであり、具体的にその類否判断をするに当たっては、両商標の外観、観念、称呼を観察し、それらが取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであって、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、当該具体的な取引の実情の下では商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である」(平成11年(行ケ)第422号 平成12年6月13日判決言渡)、「簡易、迅速をたっとぶ取引の実際においては、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常に必ずしもその構成部分全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである。しかしてこの場合、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一または類似であるとはいえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である」(最高裁昭和37年(オ)953判決 昭和38年12月5日判決言渡)と判示されている。これを踏まえて、本件について検討する。
本願商標は、前記3(1)のとおり、「モイスチャー ドライヤー」の片仮名文字からなり、外観上「モイスチャー」と「ドライヤー」の文字と分離して把握され、「モイスチャー」と「ドライヤー」の二語からなるものと理解されるものである。そして、構成中の「モイスチャー」の文字は、「moisture 液体、水分、水蒸気」(「ランダムハウス英和大辞典 第2版」1999年1月10日 株式会社小学館発行)、「モイスチャー 湿気、うるおい、水分」(「コンサイスカタカナ語辞典第3版」2005年10月20日 株式会社三省堂発行)、「moisture モイスチャー 湿気、細かい水滴、空気中の水蒸気のこと。」(「英和・和英機械用語図解辞典 第2版」1985年5月 日刊工業新聞社発行)の意味を有し、「ドライヤー」の文字は、「dryer 乾燥機、乾燥装置、ドライヤー」(前出「ランダムハウス英和大辞典」)、「乾燥器」(「広辞苑 第5版」1998年11月11日 株式会社岩波書店発行)、「乾燥機」(前出「コンサイスカタカナ語辞典」)、「ドライヤ dryer 乾燥機の総称。」(「機械用語大辞典」1997年12月 日刊工業新聞社発行)の意味を有する語として、それぞれ一般に親しまれた語であり、本願指定商品との関係において「ドライヤー」の文字は、「乾燥装置」を意味する商品の品質を表す文字部分と理解、認識させるものというべきである。
そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「ドライヤー」の文字部分は、商品の品質を表したものと理解、把握するものであるから、該文字部分は、自他商品の識別力を有しないか、極めて弱いものというのが相当であって、本願商標の自他商品識別機能を果たす部分は、「モイスチャー」の文字部分にあるというべきである。
してみれば、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「モイスチャー」の文字部分に着目して、該文字から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、本願商標は、構成文字全体から「モイスチャードライヤー」の称呼を生じるほか、「モイスチャー」の文字部分に相応して、「モイスチャー」の称呼をも生じ、「湿気、水分」といった観念を生ずるものといわなくてはならない。
他方、引用商標は、「MOISTURE」の欧文字と「モイスチャー」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、該構成文字に相応して、「モイスチャー」の称呼を生ずるものであり、「MOISTURE」及び「モイス
チャー」の文字から、「湿気、水分」の観念を生ずるものである。
そうしてみると、本願商標と引用商標とは、別掲及び前記2(2)のとおりの構成からなるものであるから、外観においては相違するところがあるとしても、「モイスチャー」の構成文字を同じくし、「モイスチャー」の称呼及び「湿気、水分」の観念を共通にする類似の商標と認められ、また、本願商標の指定商品と類似の商品が、引用商標の指定商品に包含されているものと認められる。
なお、請求人(出願人)は、原審における意見書及び当審における審判請求書で、「本願商標は水蒸気を特別な条件の下(具体的には約170度C以上)で利用することで、常圧下で水にする除湿であって従来の乾燥ではない。モイスチャーを加熱の手段ではなく、除湿の手段として使用するものであり、従来の常識を越えた領域に属する。加えて、本技術は米国特許がおりている。」旨述べて新聞記事等の資料を提出しているが、たとえ、請求人(出願人)の取扱いに係る商品の技術が常識を越えるものであるとしても、本願商標からは「モイスチャー」の文字部分が識別標識として捉えられ、該文字部分より、称呼、観念を生ずること、そして、その「モイスチャー」の文字と引用商標が、それぞれの指定商品である「飼料乾燥装置」に使用された場合に、取引者、需要者に、商品の出所の混同を生ずるおそれがあると認められることは、前述のとおりである。そして、特許を有する技術に関した資料として提出されている新聞記事等については、これより、本願商標がその指定商品に使用されて、一体のものとしてのみ認識され、引用商標と出所の混同を生ずるおそれはない、と考えさせる特別の事情を認めることができず、他に、具体的な取引の実情として、商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情を見いだすことはできない。したがって、請求人(出願人)の主張はいずれも採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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