Trademark Appeal Case
著名商標と称呼類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900031(T2009−900031/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5173933号商標(以下「本件商標」という。)は、「CARBONITE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年9月18日(パリ条約による優先権主張 2007年5月7日 アメリカ合衆国)に登録出願され、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,コンピュータデータのオンラインバックアップ用のコンピュータソフトウェア」及び第42類「コンピュータデータのオンラインバックアップ処理 」を指定商品又は指定役務として、同20年9月25日に登録査定、同年10月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由(要点)
(1)申立人の使用する商標の著名性について
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、1938年の設立以来、60年以上にわたって試験・実験用及び工業用の炉、オーブン及び定温器の製造業を行う英国の企業であり、世界100か国以上に製品を輸出している。世界中の国において「CARBOLITE」の商標を上記商品に、長年にわたり使用しており、我が国を含め世界的に周知かつ著名な存在である。申立人は、試験・実験用及び工業用の炉、オーブン及び定温器メーカーとして、1984年以来継続して、「CARBOLITE」の商標を付した商品を、これまでに数多くの日本の需要者に販売してきた。申立人の日本における顧客としては、例えば、オガワ精機株式会社や株式会社セイシン企業がある。オガワ精機株式会社は、カーボライト社の日本におけるディストリビューターとして、日本国内において「CARBOLITE」の商標を付した商品を提供している(甲第2号証ないし甲第12号証)。
日本においては、商標「CARBOLITE」が第9類「工業用炉」について商標登録第4421025号として登録されている(甲第13号証)。
このように、申立人の商標「CARBOLITE」「カーボライト」は、本件商標の出願時より以前から、日本及び海外において、カーボライト社製品を表示するものとして、取引者・需要者間に広く知られているものである。
(2)本件商標と申立人の使用する商標の類似性について
本件商標「CARBONITE」と申立人の使用する商標「CARBOLITE」「カーボライト」とは、外観上及び称呼上類似しているものである(甲第14号証ないし甲第29号証)。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上述したように、「CARBOLITE」「カーボライト」は、申立人の著名な商標であるから、本件商標に接する一般の需要者及び取引者は、これを我が国及び世界において周知著名で強い自他商品識別力を有する申立人の商標であると認識する。申立人の製造・販売に係る商品の取引者・需要者層は、工業用炉、工業用オーブン、試験・実験用炉、試験・実験用オーブン及び試験・実験用定温器の取引者・需要者を中心としているが、これらの商品の構成要素として必須の電気、電子システム、電子機器の取引者、需要者にも広がっている。今日では、様々な工業用製品、試験・実験用製品の技術が進み、これらの製品内部にコンピュータが組み込まれ、コンピュータやコンピュータプログラムにより作動・制御されており、申立人が提供する商品にもコンピュータやコンピュータプログラムなどの電気、電子システム、電子機器が必ず用いられていることから、申立人商品とコンピュータ、コンピュータプログラム等とは密接な関係にある。
また、甲第3号証及び甲第9号証に示すとおり、申立人が「CARBOLITE」「カーボライト」商標を付して製造・販売している商品は、きわめて多種類であり、商品の用途も試験・実験用から工業用にまで及ぶ。
以上の実情を勘案すると、本件商標と申立人の使用する著名商標「CARBOLITE」「カーボライト」とが一般の取引者・需要者において混同して認識される可能性が極めて高いことは、合理的かつ明白な事実というべきである。
さらに、上述のように、本件商標は申立人の使用する商標と類似する商標であることから、本件商標をその指定商品・指定役務に使用した場合、申立人の業務に係る商品であるかのごとく認識され、あるいは申立人と経済的又は組織的・人的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認され、その出所について混同を生じるおそれのあることは、明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)申立人は「工業用炉、工業用オーブン、試験・実験用炉、試験・実験用オーブン及び試験・実験用定温器」(以下「工業用炉等」という。)について使用する商標「CARBOLITE」「カーボライト」(以下「引用商標」という。)が、我が国においても取引者、需要者間に広く知られている旨主張し、証拠として甲第1号証ないし第29号証を提出している。
ア 甲第2号証ないし甲第4号証及び甲第6号証は、申立人の会社の英語のホームページを打ち出したものである。そこには、「申立人は『CARBOLITE』の商標をその商品について世界中の国において長年にわたり使用しており、『工業用炉等』のメーカーとして世界的に周知かつ著名な存在である。申立人は、『CARBOLITE』の商標を付した『工業用炉等』を顧客に販売してきた。そして、これらをネットワークを通じて世界100か国以上に製品を輸出している。」旨の記載がある。
しかしながら、これら甲各号証は、その右下の「2009/04/09」の表示から、2009年4月9日に打ち出されたものとみるのが相当であり、本件商標の優先権主張の日はもとより、登録出願の日以降のものである上、具体的な販売数量等も明らかでない。
イ 甲第5号証及び甲第8号証は、それぞれ「オガワ精機株式会社」及び「株式会社セイシン企業」のホームページを打ち出したものであって、その右下の「2009/04/08」の表示から、2009年4月8日に打ち出されたものとみるのが相当であり、本件商標の登録出願の日以降のものである。甲第7号証は「オガワ精機株式会社」の商品説明書であり、甲第10号証は、申立人の会社の商品説明が記載されているカタログの抜粋であるが、いずれも印刷日の記載がない。
甲第9号証は、「オガワ精機株式会社」の会社のホームページを打ち出したものであるが、その右下の「2009/04/09」の表示から、2009年4月9日に打ち出されたものとみるのが相当であり、これも本件商標の登録出願の日以降のものである。甲第11号証は、1985年の「TOYO」への商品販売記録票とするものであるが、要証期間外のものである。
これらの証拠によって、「オガワ精機株式会社」及び「株式会社セイシン企業」の会社概要、沿革及び取扱製品、あるいは商標「CARBOLITE」「カーボライト」が製品「電気炉、試験・実験用炉、定温器等」に使用されていることが確認できるが、具体的な顧客数や販売数量等は明らかでない。
なお、登録異議申立理由補充書の8頁において、日本の需要者に対する販売の売上額が記載されているが、その売上額もさほど大きな金額でない上、それを裏付ける証拠の提出もない。
ウ 甲第12号証は、引用商標の世界における商標登録状況一覧である。
しかしながら、これは各国における商標「CARBOLITE」の登録状況を示したものであるが、商標が登録された事実を確認できないうえ、仮に登録の事実があったとしても、そのことは、著名性の補完的な証拠となりえても、直接的な裏付け証拠とはなり得ない。
エ そうとすれば、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、引用商標が「工業用炉等」について使用する商標として取引者、需要者間に広く知られていたものと認めることはできない。
その他、引用商標が周知、著名であることを認めるに足りる証拠はない。
(2)なお、申立人は、「今日では、様々な工業用製品、試験・実験用製品の技術が進み、これらの製品内部にコンピュータが組み込まれ、コンピュータやコンピュータプログラムにより作動・制御されるなど、工業用製品、試験・実験用製品とコンピュータ、コンピュータプログラムとの関連が必須であり、本件商標をその指定商品又は指定役務に使用すると、申立人の業務や商品に関連して提供した商品、役務であるかのごとく誤認される可能性がある。」旨主張している。
確かに、各種商品の構成要素としてコンピュータやコンピュータプログラムが組み込まれている商品が多数あるが、商品の内部に組み込まれることを目的とするコンピュータやコンピュータプログラムは、独立して取引されているコンピュータやコンピュータプログラムとは、その用途及び取引の事情等を異にするものである。
そうとすれば、「工業用炉等」にコンピュータやコンピュータプログラムが使用されているからといって、「工業用炉等」の商品と独立して取引されるコンピュータやコンピュータプログラムとの関連性が強いとはいえず、また、引用商標は、取引者、需要者の間で広く認識されているものとは認められないこと前記のとおりであるから、申立人の主張は採用できない。
(3)また、甲各号証を参照しても、申立人が多角経営等により本件商標の指定商品、指定役務等の異業種に参入していることを窺わせるような具体的な証左はない。
(4)以上を総合勘案すると、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務について使用しても、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく、商品又は役務の出所について誤認・混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ないから、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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