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Trademark Appeal Case

商品識別と素材表示

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−301250(T2008−301250/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1898035号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和59年7月3日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として同61年10月28日に設定登録され、その後、平成8年11月28日及び同18年5月30日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録が同19年6月27日になされているものである。

第2 請求人の主張の要点

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第25類「被服」についての登録を取消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1及び第2号証(商標登録公報及び商標登録原簿の写し)を提出した。

1 請求の理由

請求人が調査するも、本件商標がその指定商品中、第25類「被服」について、少なくとも過去3年以内に日本国内において、被請求人らにより使用されている事実を発見することができなかった。また,被請求人から本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の許諾を受けて、被請求人以外の者が本件商標を該商品について過去3年以内に日本国内において使用している事実も見出せなかった。

したがって,本件商標の指定商品中、第25類「被服」についての登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標の通常使用権者である株式会社アップライズ(以下「アップライズ」という。)が本件審判の請求の登録前3年以内に、「長袖ジャンパー、長袖シャツ、ツータックスラックス」(以下「本件使用商品」という。)について、本件商標を使用している旨主張している。

確かに、被請求人の主張及び各証拠資料からは、被請求人である倉敷紡績株式会社が製造販売する綿糸である「What!」を使用した本件使用商品を本件商標の通常使用権者であるとされるアップライズが製造・販売をしていることは確認できる。

しかしながら、被請求人が使用商標と主張するロゴ化された「What!」(以下「What!(ロゴ)」という。)は、本件使用商品について使用する商標ではなく、「UPRISE」が本件使用商品の識別標識であると考えられる。また、「What!(ロゴ)」が使用されている商品は、「被服」ではなく「綿糸類」又は「綿織物類」であると考えられ、さらには、仮に、使用商品が「被服」であったとしても、被請求人の使用商標と本件商標は同一ではないと考えられる。

以上の理由から、被請求人は、本件商標を「被服」について使用していないものと言わざるを得ない。

(1)本件使用商品の識別標識

乙第2号証の1及び第3号証の1(乙第3号証の2の記載は誤記と思われる。)は、本件使用商品が袋詰めされた写真であり、当該パッケージにおいて、最も大きく目立つ位置に表示されているのは「UPRISE」であることは明白である。

他方、乙第2及び第3号証には、「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」について二つの下げ札が付されていることが確認でき、このうちの一つは、女性の顔写真を中央に大きく配し、その下部に「What!(ロゴ)」が配されている(以下「下げ札1」という。)。

下げ札1の最下部には、被請求人を表す「クラボウ」の文字が記載されており、最上部には「綿100%ストレッチ素材 ホワット!」と記載されていることから、下げ札1は、被請求人の素材が使用されていることを示すものであることは明白であって、「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」の出所を表す識別標識ではなく、その素材である綿糸類又は綿織物類の出所を表す標識である。

また、もう一方の下げ札は、黄色及び白色で表され、その右側に「KURABO WORKING WEAR」、「UPRISE」、「ミニからジャンボまで」と記載され、左側にはサイズや品番が記載されている(以下「下げ札2」という。)。この下げ札2こそが作業服(WORKING WEAR)たる商品の出所を表すものといえる。

さらに、乙第2及び第3号証に表された「織りネーム」についてみるに、台形黒色の「織りネーム」には「What!(ロゴ)」が付されているが、その下部に「UPRISE」を付した態様となっており、上述の下げ札1及び2の記載を考慮すれば、当該織りネームは、素材「What!」を使用した商品名「UPRISE」を表すものと理解される。

以上より、本件使用商品に接する需要者は、「What!(ロゴ)」は被請求人が製造・販売する伸縮する特殊な綿素材の名称であると認識するものと解され、「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」の識別標識は、包装袋に記載された商標及び下げ札2等から「UPRISE」であると解するのが相当である。

(2)使用商品

(ア)被請求人が本件商標を使用した商品の広告として提出したアップライズの商品カタログ(乙第4号証)には、「What!(ロゴ)」が表されているが、その下部には「クラボウ ホワット!」の文字がある。また、その右横には「綿100%ストレッチ素材『なに、それ!』ときっと驚いていただける筈。従来、縮むものと考えられた綿なのにのびるうえに、もどるストレッチ機能のある新綿の誕生です。新世紀に先駆けて、ユニフォームに最適な新素材がまたひとつ誕生しました。」なる記載や、「特長(a)ポリウレタンを使用していないピュアな綿100%ストレッチ素材。(b)くり返し洗濯しても優れたストレッチ性を保持。(c)ソフトできれいな表面感。」の記載から、「What!(ロゴ)」は、繊維メーカー等として広く知られるクラボウが製造・販売する伸縮機能を有する特殊な綿素材の名称と認識され、当該素材の識別標識と認識されるものであり、作業服のメーカーであるアップライズがその作業服の識別標識として使用しているものとは認識できないと考えられる。

したがって、本件カタログ上の「What!(ロゴ)」は、商品「綿糸」又は「綿織物」について使用されているといえる。

(イ)被請求人は、本件使用商品が現実に取引された事実を示す証拠として、乙第6ないし第12号証を提出しているが、上述のように、乙第2及び第3号証で示した本件使用商品に関する「What!(ロゴ)」は、「被服」に関する商標ではなく、「綿糸」又は「綿織物」に関する使用であると理解されるため、乙第6ないし第12号証は、本件商標の「被服」に関する使用を立証するものではない。

(3)商標の同一性について

被請求人及び通常使用権者が使用する「What!(ロゴ)」は、「被服」について使用するものではないが、仮に、「被服」について使用するものとしても、乙第2及び第3号証の織りネームに表された商標は、本件商標と社会通念上同一とは言えないものである。

すなわち、乙第2及び第3号証に表された織りネームに表された「What!」は、本件商標の片仮名文字部分を切除し、ローマ字部分のみをロゴ化し、赤色で表し白色の縁取りを施した態様となっている。

当該態様そのものも商標法第50条にいうところの社会通念上の同一の範囲を逸脱するものと考えられるが、その下部に「UPRISE」を併記した態様となっており、その配置・構成・デザインから、全体として一つの商標と理解されるべきであり、当該商標は、本件商標と社会通念上同一商標とはいえない。

また、乙第2号証の4等にみられる台形黒色の織りネーム下部に付された白色の織りネームには、「WHATジャンパー」が付されているが、当該態様は、本件商標と社会通念上同一とは言えないことは明らかである。

(4)以上のとおり、被請求人は、本件商標をその指定商品「被服」について使用していることを立証していないものである。

第3 被請求人の主張の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第12号証(枝番を含む。)を提出した。

本件商標は、通常使用権者であるアップライズが本件審判の請求の登録前3年以内に、商品「長袖ジャンパー、長袖シャツ、ツータックスラックス」について使用しているものである。

1 通常使用権者

被請求人は、平成18年10月1日付締結の契約により、アップライズに本件商標の通常使用権を許諾した(乙第1号証)。

2 本件商標の使用

通常使用権者であるアップライズは、取消を求める商品中の「長袖ジャンパー、長袖シャツ、ツータックスラックス」について本件商標を使用している。

(1)本件商標を使用した商品

乙第2号証の1ないし5は、本件商標を表示した商品「長袖ジャンパー(品番J−550)」の写真である。乙第2号証は、それぞれ、包装状態にある当該商品の写真、当該商品の全体の写真、当該商品の上半分の拡大写真、首周り内側に縫着した織りネームの拡大写真、胸部に取着された下げ札の拡大写真である。

乙第3号証の1ないし5は、本件商標を表示した商品「ツータックスラックス(品番P−620)」の写真である。乙第3号証は、それぞれ、包装状態にある当該商品の写真、当該商品の全体の写真、当該商品の腰周り部分に取着された下げ札の拡大写真、腰周り内側を示す写真、前記下げ札と共に腰周り内側に縫着した織りネームを示す拡大写真である。

そして、前記織りネーム及び下げ札に表示され使用されている「what!」の商標は、いずれも、本件商標と社会通念上同一と認識されるものである。

(2)本件商標を使用した商品の広告

アップライズは、自社取扱製品を掲載した商品カタログを年に2回の割で発行し、取引先等の顧客に配布している。

乙第4号証の商品カタログは、平成19年の春から夏にかけての商品を広告する商品カタログ「2007 Spring & Summer Collection」であり、その18頁及び19頁には、本件商標を表示した「長袖ジャンパー(品番J−550)」及び「ツータックスラックス(品番P−620)」をはじめ、商品「長袖シャツ(ヒヨク付)(品番S−250)の広告が掲載されている。

乙第5号証は、前記商品カタログの作成の際の印刷会社との間における取引書類であって、平成19年1月31日付の凸版印刷株式会社からアップライズヘの「請求書(営業控)」である。

(3)本件商標を使用した商品の取引

本件使用商品は、その材料である生地が被請求人により製造され、その生地がアップライズにおいて製造されるか又はアップライズが委託した縫製加工会社において製造されてアップライズに納品され、取引先等に販売される。これらの事実を示す証拠として乙第6ないし第12号証を提出する。

3 以上のとおり、本件商標は、被請求人が許諾した通常使用権者であるアップライズが本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中の商品「長袖ジャンパー、長袖シャツ、ツータックスラックス」について使用していたことが明らかである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断

1 被請求人は、被請求人が許諾した通常使用権者であるアップライズにより、本件商標を「長袖ジャンパー、ツータックスラックス」(以下、当審の判断においても「本件使用商品」という。)について使用しているとして乙第1ないし第12号証(枝番号を含む。)を提出している。

2 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。

(1)乙第1号証は、被請求人である倉敷紡績株式会社とアップライズとの間で締結された平成18年10月1日付の商標使用許諾契約書と題する書面であり、被請求人は、アップライズに本件商標の使用を許諾していたことが認められる。

(2)乙第2号証は、「長袖ジャンパー(品番J−550)」の写真である。

乙第2号証の1は長袖ジャンパーが包装されている状態の写真であり、乙第2号証の2は当該商品の全体の写真であり、乙第2号証の3は当該商品の上半分の拡大写真であり、乙第2号証の4は首周り内側に縫着された織りネーム(襟ネーム)の拡大写真であり、乙第2号証の5は胸部に取り付けられた下げ札の拡大写真である。

上記乙第2号証によれば、「長袖ジャンパー」が袋詰めされた写真には、最下部に「UPRISE」の文字が大きく表示されており、その上部に小さく「アップライズ」の文字が併記されている。また、首周り内側に縫着された織りネーム(襟ネーム)には、別掲(2)に示したとおり、黒色台形織りネーム上に、赤色で「What!」の文字が大きく表示されており、その下に、小さく「UPRISE」の文字が表示されている。そして、その下部には、黄色の長方形の生地に「日本製/J−550/Whatジャンパー/SIZE M」の文字が表示されている。

また、長袖ジャンパーには、二つの下げ札が付されており、そのうちの一つは、女性の顔写真を中央に大きく配し、その下部に赤色で「What!」の文字が記載されており、最上部には赤色で「綿100%ストレッチ素材 ホワット!」の文字が、最下部には「クラボウ」の文字が表示されている。そして、もう一つの下げ札には、右側に「UPRISE」の文字を大きく表し、その上に「KURABO WORKING WEAR」の文字を、「UPRISE」の文字の下には「ミニからジャンボまで」の文字を配し、下げ札の左側には、サイズや品番「J−550」の文字が記載されている。

(3)乙第3号証は、「ツータックスラックス(品番P−620)」の写真である。

乙第3号証の1はツータックスラックスが包装されている状態の写真であり、乙第3号証の2は当該商品の全体の写真であり、乙第3号証の3は腰周り部分に取り付られた下げ札の拡大写真であり、乙第3号証の4は腰周り内側の織りネーム等を示す写真であり、乙第3号証の5は、腰周り内側に縫着された織りネームの拡大写真である。

そして、乙第3号証においても、乙第2号証において記載した上記と同様の織りネームや二つの下げ札が付されていることが認められる。

(4)乙第4号証は、「UPRISE/2007 Spring & Summer Collection」と題するアップライズの商品カタログであり、長袖ジャンパー(品番J−550)やツータックスラックス(品番P−620)の広告が掲載されており、18ページの下部及び19ページの左上部に、大きく「What!」の文字が表示されており、その下に小さく「クラボウ ホワット」の文字が配されている。

また、乙第5号証は、凸版印刷株式会社からアップライズヘ宛てた平成19年1月31日付の「請求書(営業控)」であり、品名の欄には「2007 SSカタログ」と記載されており、数量や金額が記載されている。

(5)乙第6ないし第12号証は、被請求人により生地が製造され、その生地を用いて、アップライズあるいはアップライズから委託された縫製加工会社が「長袖ジャンパー(品番J−550)」あるいは「ツータックスラックス(品番P−620)」として製品化し、それがアップライズにより販売されるに至るまでの一連の経緯を示す書類である。

(ア)乙第6号証は、アップライズが被請求人である倉敷紡績株式会社へ宛てた平成18年11月13日付の「加工指図書(加工指図♯830−279)」であり、原反生地20反1000m(品番ST1001)を柄や配色を指示して注文したことが認められる。

(イ)乙第7号証は、乙第6号証の加工指図書を受けて、被請求人が被請求人の社内工場である徳島工場へ生地の製造を指示した2006年11月13日付の「加工指図書(加工指図♯830−279)」である。

(ウ)乙第8号証は、アップライズが被請求人へ宛てた「出荷依頼」と題する書面であり、縫製加工会社である各出荷先へ原反生地を出荷することを依頼したものである。

乙第8号証の1ないし3は、縫製加工会社である高橋勝裁断所気付株式会社アップライズヘ原反生地(品番ST1001)50m2反を出荷するように依頼した平成19年4月12日付、同年5月21日付及び同年6月30日付の出荷依頼であり、乙第8号証の4は、縫製加工会社である(有)ソーイング桑田気付株式会社アップライズヘ原反生地(品番ST1001)50m5反を出荷するように依頼した同年10月4日付の出荷依頼であり、乙第8号証の5は、アップライズヘ原反生地(品番ST1001)2反を出荷するように依頼した同年12月11日付の出荷依頼である。

(エ)乙第9号証は、「出荷案内書」と題する書面であり、被請求人が乙第8号証の出荷依頼に基づき、原反生地を各出荷先へ出荷したことを証する書面である。

乙第9号証の1は、被請求人の徳島工場から縫製加工会社である出荷先の中森裁断センター気付(有)ソーイング桑田へ「加工指図♯830−0279−0」に基づく原反生地5反を出荷したことを示す2007年(平成19年)1月11日付の「出荷案内書」である。

以下、同様に、乙第9号証の2ないし5は、高橋勝裁断気付(株)アップライズヘ原反生地を出荷したことを示す2007年(平成19年)1月23日付、同年4月13日付、同年5月22日付及び同年7月3日付の「出荷案内書」であり、乙第9号証の6は、(有)ソーイング桑田気付(株)アップライズヘ原反生地を出荷したことを示す同年10月5日付の「出荷案内書」であり、乙第9号証の7は、(株)アップライズヘ原反生地を出荷したことを示す同年12月12付の「出荷案内書」である。

(オ)乙第10号証は、縫製仕様書が添付されている「製造指図書」と題する書面であり、アップライズが原反生地の出荷先に対して、製造の要領を示すために送付したものである。

乙第10号証の1は、アップライズがソーイング桑田に送付した平成19年9月29日付の製造指図書であり、品番として「P−620」、品名として「WHATスラックス」と記載されており、また、乙第10号証の2は、アップライズが増川被服に送付した同20年9月30日付の製造指図書であり、品番として「J−550」、品名として「WHATジャンパー」と記載されており、いずれにも、各製品についての詳細な縫製の指示が記載されている。

(カ)乙第11号証は、各縫製加工会社が乙第10号証の製造指図書に基づいて、受領した生地を使用して製品を製造し、アップライズに納品した事実を示すものである。

乙第11号証の1及び2は、増川被服工場がアップライズに、品番「J−550」、品名「WHATジャンパー」を納品した際の平成19年7月25日付及び同年8月6日付の納品書であり、甲第11号証の3は、有限会社ソーイング桑田がアップライズに、品番「P620」、品名「WHATスラックス」を納品した際の同年11月2日付納品書である。

(キ)乙第12号証は、アップライズからタカギ繊維に宛てた2008年(平成20年)9月26日付「納品書控」であり、縫製加工会社から納品された製品がアップライズから取引先に販売された事実を示すものである。

該納品書には、品番・品名として「J−550 WHATジャンパー」及び「P−620 WHATスラックス」の外、色、サイズ数量等が記載されている。

3 上記において認定した事実によれば、本商標権の通常使用権者と認められるアップライズ(乙第1号証)は、本件審判の請求の登録(平成20年10月15日)前3年以内である平成19年(2007年)1月当時において、「What!/クラボウ ホワット」の商標が表示された商品カタログ「UPRISE/2007 Spring & Summer Collection」を作成して(乙第4及び第5号証)、これを頒布していたものと推認されるところであり、該商品カタログには、長袖ジャンパー(品番J−550)やツータックスラックス(品番P−620)が掲載されていたことを認めることができる。

また、乙第6ないし第12号証によれば、本件審判の要証期間内において、アップライズは、被請求人へ生地の製造を注文するとともに、製造された原反生地を縫製加工会社へ出荷することを依頼し(乙第6及び第8号証)、これを受けて、被請求人は、自社工場へ生地の製造を指示するとともに、製造した原反生地を依頼された縫製加工会社へ出荷し(乙第7及び第9号証)、一方、アップライズは、原反生地の各出荷先に対して、「品番P−620、品名WHATスラックス」あるいは「品番J−550、品名WHATジャンパー」の製造要領を指示し(乙第10号証)、各縫製加工会社は、製造指図書に従い、受領した生地を使用して製品を製造し、アップライズに納品し(乙第11号証)、アップライズは、納品された「品番P−620、品名WHATスラックス」及び「品番J−550、品名WHATジャンパー」を取引先の一社であるタカギ繊維に販売した(乙第12号証)という一連の流れを把握することができる。

そして、乙第2及び第3号証によれば、「長袖ジャンパー(品番J−550)」の首周り内側に縫着された織りネーム(襟ネーム)及び「ツータックスラックス(品番P−620)」の腰周り内側に縫着された織りネームには、別掲(2)に示したとおり、黒色台形織りネーム上に、本件商標と社会通念上同一と認められる「What!」の商標が大きく表示されていることが認められる。

以上の乙各号証を総合してみれば、本商標権についての通常使用権者であるアップライズは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、「長袖ジャンパー、ツータックスラックス」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたものと認められる。

4 請求人の主な反論について

(1)「What!」の商標が使用されている商品は、「被服」ではなく「綿糸類」又は「綿織物類」であり、「UPRISE」の商標が本件使用商品の識別標識である旨の主張について

確かに、被請求人の提出に係る「長袖ジャンパー」(乙第2号証)及び「ツータックスラックス」(乙第3号証)の写真には、いずれにも、前記したとおり、複数の標章が各種の記載とともに表示されており、これら各種の標章が表示されている態様及び記載文字からみれば、「UPRISE」の標章は、「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」の商標として表示されているものということができる。

そして、下げ札における「What!」の標章が該被服の素材となっている「綿糸類」あるいは「綿織物類」の商標として表示されていることを一概には否定できない。

しかしながら、そうであるからといって、「長袖ジャンパー」の首周り内側に縫着された織りネーム(襟ネーム)及び「ツータックスラックス」の腰周り内側に縫着された織りネームに表示されている「What!」の標章が「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」の商標でないとはいえない。

商品に付される商標は、必ずしも、一つに限られるものではなく、製造標や販売標、代表的出所標識(ハウスマーク)や個別商品毎の商標(ペットネーム)等のように、複数の商標が表示されることはしばしば見受けられるところである。

そして、本件使用商品をみるに、「長袖ジャンパー」や「ツータックスラックス」の織りネームは、「長袖ジャンパー」の首周り内側及び「ツータックスラックス」の腰周り内側にしっかりと縫い付けられており、当該織りネームには、大きく表示された「What!」の文字と小さく表示された「UPRISE」の文字以外に、その表示が該ジャンパーやスラックスの素材となっている「綿糸類」あるいは「綿織物類」の商標として表示されていることを窺わせる表示は見当たらない。

そうとすれば、被服等の織りネーム(襟ネーム)には、その被服等のブランド(商標)が表示されているものと理解・認識されていることとも相俟って、「長袖ジャンパー」の首周り内側に縫着された織りネーム(襟ネーム)及び「ツータックスラックス」の腰周り内側に縫着された織りネームに表示されている「What!」の標章は、「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」の商標として表示されているものであって、商標として機能しているものといわなければならない。

(2)乙第2及び第3号証の織りネームに表されている商標は、本件商標と社会通念上同一とはいえない旨の主張について

本件商標は、別掲(1)に示したとおり、「ホワット」の仮名文字と「WHAT」の欧文字とを二段に書してなり、仮名文字及び欧文字の末尾にやや傾斜した感嘆符「!」を配した構成からなるものである。

これに対して、通常使用権者が「長袖ジャンパー」及び「ツータックスラックス」について使用している商標は、別掲(2)に示したとおり、黒色台形織りネーム上に、「What!」の文字が赤色で大きく表示されており、その下に、小さく「UPRISE」の文字が表示されているものである。

この両者を比較してみると、通常使用権者の使用に係る商標には、本件商標構成中の「ホワット」の仮名部分が表示されておらず、欧文字部分についても小文字が使用されており、やゝデザイン化して表されているという差異が認められる。

しかしながら、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、「WHAT(what)」の英単語は、中学において学習する「何、何という」等の意味を表す極めて基礎的な単語であり(三省堂発行「コンサイス英和辞典」参照)、広く知られ親しまれている語であるから、欧文字部分からも容易に「ホワット」の称呼のみを生ずるものといえる。

そうとすれば、通常使用権者の使用に係る商標は、本件商標と比較してみれば、その構成態様に若干の差異があるとしても、本件商標と同一の称呼及び観念を生ずるものであるから、この程度の変更がなされているとしても、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内の商標といわなければならない。

なお、通常使用権者の使用に係る商標には、大きく表された「What!」の文字の下に、小さく「UPRISE」の文字(商標)が表示されているが、「UPRISE」の文字の左右には二本線が配されており、その構成態様からみても、語義上からみても、「What!」の文字と不可分一体的に表されているものとはいえないから、「What!」の商標とは独立した商標が表示されているものとみるのが自然であり、本件商標と通常使用権者の使用に係る商標との同一性に影響を与えるものとはいえない。

5 まとめ

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る第25類「被服」の概念に含まれる「長袖ジャンパー及びツータックスラックス」について使用していたことを証明したものということができる。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、取消請求に係る第25類の「被服」について、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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