sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性:近似音

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2008−890058(T2008−890058/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5032492号商標(以下「本件商標」という。)は、「LA ROTONDA」の欧文字と「ラロトンダ」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成18年8月30日に登録出願、第14類「身飾品,時計,貴金属,キーホルダー,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製針箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製宝石箱,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製のがま口及び財布,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製コンパクト,貴金属製靴飾り,貴金属製喫煙用具」を指定商品として、同19年3月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標は商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるとして引用する国際登録商標は、以下の(1)及び(2)のとおりである。

(1)登録第917678号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ROTONDE」の欧文字を横書きしてなり、第14類「Horological and other chronometric instruments, jewellery and articles in precious metals and their alloys, namely cuff−links, tie clips, key rings, medallions, watch chains; precious stones, watch cases, boxes for watches and jewellery, buckles in precious metals.」を指定商品として、2006年4月4日にベネルクス商標庁においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2006年9月28日に国際登録されたものである。

(2)国際登録第920856号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ROTONDE DE CARTIER」の欧文字を横書きしてなり、第14類「Cuff−links, tie clips, rings, bracelets, earrings, necklaces, brooches (jewelry); watches, chronometers, clocks, watch straps, watch bracelets.」を指定商品として、2005年11月22日にオランダ領アンティルにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して2006年5月9日に国際登録されたものである。

なお、引用商標2は、平成21年2月20日に我が国において設定登録がなされているものである。

以下、これらを一括していうときは、単に「引用商標」という。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。

1 本件商標を無効とすべき理由

(1)商標の類否

ア 本件商標

本件商標は、イタリア語の定冠詞「la」(甲第1号証)と、「円形建物」を意味するイタリア語「ROTONDA」(甲第2号証)の欧文字及びその読み方を示したと思われる片仮名「ラロトンダ」を2段に書してなる。

「la」はイタリア語の定冠詞であり、英語の「The」に当たるものであるから、本件商標からは「ラロトンダ」の称呼の他、「ロトンダ」の称呼をも生じる(甲第3号証)。

イ 引用商標

引用商標1は、「ROTONDA」の欧文字を横書きしてなり、その構成から「ロトンド」の称呼を生じる。

引用商標2は、「ROTONDE DE CARTIER」の欧文字を横書きしてなるが、「DE CARTIER」は、フランス語で「BY CARTIER」を意味するため、「ROTONDE」と「DE CARTIER」は分離して認識され、「ロトンド」の称呼も生じる。

ウ 本件商標と引用商標の類否

本件商標より生じる「ロトンダ」の称呼と、引用商標から生じる「ロトンド」の称呼を比較すると、両者はいずれも4音の構成よりなり、最初の「ロ」「ト」 「ン」の3音を共通にし、語尾である第4音において「ダ」と「ド」の差異を有するにすぎない。

しかも、差異音である「ダ」と「ド」の音も、共に50音中の同行音に属する破裂音たる濁音の極めて近似した音であるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは両者の語調・語感は極めて近似したものとなり、聞き誤るおそれがあるといわざるを得ない。

なお、特許庁における甲第6号証ないし甲第10号証の審決例を見ても、類似とされている。

このように、「ド」と「ダ」の音自体が極めて近似する紛らわしいものである上、本件商標と引用商標における相違は、特に聴取しにくい語尾にあることから、本件商標と引用商標が称呼上相紛らわしい類似の商標であることは明らかである。

また、本件商標と引用商標から生ずる観念について検討するに、我が国におけるイタリア語及びフランス語の普及度を勘案すると、本件商標及び引用商標に接した需要者が、それぞれの商標から明確に何かを観念するとはいえないから、両者は特定の観念を持たない造語として認識されるというべきである。したがって、両商標は観念上明確に区別できるとはいい難い。

エ 指定商品の抵触

本件商標の指定商品中、第14類「身飾品,時計,キーホルダー,貴金属製宝石箱,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」は引用商標の指定商品と抵触する。

オ 本件商標と引用商標の先後関係

本件商標は、平成18年8月30日に登録出願されているところ、引用商標1の先願権発生日は平成18年4月4日(甲第4号証)、引用商標2の先願権発生日は平成17年11月22日であり、いずれも本願商標の登録出願日より前であるから、引用商標は本願商標の先願にあたる(商標法第8条第1項)。

カ 本件商標の使用態様

本件商標に対する異議申立(異議2007−900287)の決定においては、本件商標は「ラロトンダ」の一連の称呼のみを生ずるとして、引用商標とは類似しないとの判断がなされた。

しかし、被請求人による本件商標の実際の使用態様を見ると(甲第11号証)「ラ ロトンダ(LA ROTONDA)」と表示され、イタリア語の定冠詞を表す「ラ」と、円形の建物を意味する語である「ロトンダ」の間にスペースがあり、このことからも「ラ(LA)」と「ロトンダ(ROTONDA)」が分離して観察され、「ロトンダ」の称呼も生じ得ることは明らかである。

2 答弁に対する弁駁

(1)称呼について

被請求人は、本件商標と引用商標は、称呼上非類似の商標であると主張する。しかし、以下に述べる理由により、その主張は失当である。

被請求人は、本件商標から「ラロトンダ」のみの称呼が生じ、「ROTONDA」のみが分離して観察されることはないと主張し、その根拠として「LA ROTONDA」がその構成全体から「(ローマの)パンテオン」を表す一つの熟語であることを挙げている。

「LA ROTONDA」というイタリア語に被請求人主張の意味があることは争わないが、我が国におけるイタリア語の普及度を勘案すると、我が国の取引者・需要者がその意味を熟知しているとは到底思われない。

甲第12号証ないし甲第14号証は、ローマの観光に関する情報を掲載したウェブサイトのプリントアウトであるが、イタリア政府観光局公式サイトを含むこれらのサイトのいずれにおいても当該歴史的建造物は「パンテオン」と紹介され、「LA ROTONDA」「ラロトンダ」として紹介されているものは見られない。即ち、我が国の取引者・需要者には、「LA ROTONDA」が「パンテオン」を意味するイタリア語であることはほとんど知られていないのである。

したがって、「LA ROTONDA」は全体で一つの意味を生ずる熟語であるため、本件商標からは「ラロトンダ」のみの称呼が生じるという被請求人の主張は成り立たない。

(2)観念について

被請求人は、本件商標から「(ローマの)パンテオン」の観念が生ずると主張するが、これが失当であることは上記(1)で述べたとおりである。

また、我が国におけるフランス語の普及度から勘案して、引用商標からは特定の観念は生じない。

したがって、特定の観念を生じない両商標の観念を比較することは無意味であり、被請求人の主張は成り立たない。

(3)外観について

被請求人は、本件商標と引用商標は外観において非類似であると主張する。

確かに、本件商標と引用商標の外観に被請求人主張の差異があることは否定しないが、上述のように、本件商標と引用商標は称呼上相紛らわしい類似の商標であるから、外観の差異を以て両商標の類似性を否定することはできず、被請求人の主張は失当である。

3 以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号によりその登録を無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第5号証を提出した。

1 本件商標と引用商標とは、その称呼、外観及び観念において相違し、取引の場において混同を生ずるおそれのない非類似の商標である。以下にその理由を詳述する。

(1)称呼について

本件商標と引用商標は、称呼上取引の場において明確に区別することができる。

本件商標は、欧文字「LA ROTONDA」と片仮名文字「ラロトンダ」を上下二段に同一書体・大きさにて横書きにしてなる。

本件商標は、観念の上でも外観の上でも一体不可分の商標である。乙第1号証の伊和中辞典にあるように、「LA ROTONDA」は、構成全体から「(ローマの)パンテオン」との意味合いが生じるイタリア語である。そのため、本件商標は観念的に一体不可分の商標である。また、本件商標に係る欧文字部分については、「LA」と「ROTONDA」の間には半角程度のスペースを介するのみであり、また片仮名文字部分はスペースを介さず一連に書してなる。そのため、本件商標は、取引の場において「ROTONDA」の部分のみが分離して観察されることのない、視覚上一体不可分の商標として取引者、需要者に認識される。そして、本件商標から生じる自然的称呼「ラロトンダ」は5音と冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得る。

以上より、本件商標からは「ラロトンダ」との一連の称呼が生じるのみであり、「ロトンダ」の称呼が生じることはない。

一方、引用商標1は欧文字「ROTONDE」を、引用商標2は欧文字「ROTONDE DE CARTIER」をそれぞれ同一書体・大きさにて横書きしてなる。

乙第2号証の仏和辞典にあるように、引用商標1「ROTONDE」は「円形建物」を意味するフランス語であり、「ロトンド」の称呼が生じる。また、引用商標2は造語商標であり(乙第2号証)、フランス語読みで「ロトンドドゥカルテイエ」の称呼が生じる。

以上より、称呼において、本件商標の自然的称呼「ラロトンダ」と引用商標1の自然的称呼「ロトンド」及び引用商標2の自然的称呼「ロトンドドゥカルティエ」は音数を異にし、明らかに聴別できるため、本件商標と引用商標は称呼上非類似の商標である。

請求人は、本件商標中「LA」はイタリア語の定冠詞であり、英語の「The」にあたるものであるから、本件商標からは「ラロトンダ」の他に「ロトンダ」の称呼をも生じる旨主張する。しかしながら、上述したように、「LA ROTONDA」は全体で一つの意味を生じる熟語であるため、「LA」 の部分を捨象する理由はないといえる。また、簡易迅速を尊ぶ取引の場においては、本件商標に接する取引者、需要者が、「LA」の部分を定冠詞であると認識し捨象し、かつ「ROTONDA」の部分のみを抽出して把握することは極めて不自然である。よって、本件商標からやはり「ロトンダ」の称呼が生じることはない。

なお、本件商標からは「ラロトンダ」の称呼しか生じ得ないことは上述のとおりであるが、仮に請求人が本件商標、引用商標から生じると主張する「ロトンダ」と「ロトンド」の発音を比較しても、これらは明確に聴別できるものである。「ロトンダ」と「ロトンド」の発音はともに構成音数が4音と比較的短い構成音数からなる。両者は、語尾である第4音において差異音を有しており、前者は第4音が「ダ」の音であるに対し、後者は「ド」の音からなる。「ダ」と「ド」の音は同じダ行に属するものの、母音が「a」「o」と異なる破裂音たる濁音であるうえ、その位置においても、弱音「ン」の後に位置するため、他の音の影響を受けずに強音として発音され、明瞭に聴取されるものである。以上より、仮に「ロトンダ」と「ロトンド」の称呼を比較しても、本件商標と引用商標は、その称呼において類似しないものである。

ちなみに、過去の審決で、本件商標及び引用商標と同様に、弱音の後に位置する破裂音「ダ」と「ド」の音のみに差異を有する商標が非類似の商標と判断されている例が存在する(乙第3号証ないし乙第5号証)。

(2)観念について

本件商標からは「(ローマの)パンテオン」の観念が生じる。一方、引用商標1からは「円形建物」の観念が生じる。また、引用商標2は造語商標であり特定の観念は生じない。よって、本件商標と引用商標は観念の上で非類似の商標であるといえる。

(3)外観について

外観において、本件商標と引用商標は、片仮名文字部分の有無に差異を有する。また、欧文字部分に明瞭な差異があることは明らかである。よって、本件商標と引用商標は、取引者、需要者をして彼比見誤らせるおそれはない非類似の商標であるといえる。

2 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれも類似しない非類似の商標である。

したがって、本件商標は、商標法第8条第1項の規定に該当せず、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とされるべきものではない。

第4 当審の判断

1 本件商標は、前記第1のとおり、「LA ROTONDA」の欧文字と「ラロトンダ」の片仮名文字とを2段に横書きしてなるところ、上段に書された欧文字部分と、その読みを特定したと理解される下段に書された片仮名文字部分は、同一の書体、同一の大きさで、視覚上まとまりよく表されており、これより生ずると認められる称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。

そうすると、たとえ、「LA」と「ROTONDA」の文字の間に多少の間隔があるとしても、かかる構成よりなる本件商標は、構成全体をもって、「ラロトンダ」の称呼のみを生ずるものである。そして、「LA ROTONDA」の欧文字は、イタリア語で「(ローマの)パンテオン」を意味を有するものの、一般に親しまれているとは認められないために一種の造語と判断されるものである。

一方、引用商標1は、前記第2のとおり、「ROTONDE」の欧文字よりなるところ、該構成文字に相応して「ロトンド」の称呼を生じ、フランス語で「円形の建物」を意味を有するものの、一般に親しまれているとは認められないために一種の造語と判断されるものである。また、引用商標2は、前記第2のとおり、「ROTONDE DE CARTIER」の欧文字よりなるところ、「ロトンドドゥカルティエ」の称呼を生じ、全体として、特定の意味を生じないために一種の造語と判断されるものである。

そこで、本件商標から生ずる「ラロトンダ」の称呼と、引用商標1から生ずる「ロトンド」の称呼及び引用商標2から生ずる「ロトンドドゥカルティエ」の称呼とを比較すると、両者は、、音構成、構成音数において顕著な差異を有するものであるから、称呼上、相紛れるおそれはないものである。そして、本件商標と引用商標の上記構成に照らし、両者は、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、また、両者は、上記のとおり、特定の観念を生じるものとはいえないから、観念上は比較することができないものである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

2 まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第8条第1項に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。