Trademark Appeal Case
外来語称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第8490号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲の(1)に表示したとおり「テラ」の片仮名文字を左上から右下に斜め書きしてなり、第1類「植物生育用セラミックス粉末肥料」を指定商品として、平成9年12月12日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において拒絶の理由に引用した登録第4128068号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲の(2)に表示したとおり上段に「Terra」の欧文字を左下から右上に斜め書きし、下段に「ティラ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成8年2月9日に登録出願、第1類「肥料」を指定商品として、平成10年3月27日に登録されたものであり、その商標権が現に存続しているものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「テラ」の片仮名文字を表したものであるから、「テラ」と称呼されるものと認められる。
そして、「テラ」の片仮名文字は、外来語で「土.地.大地」を意味するものと認められる(株式会社三省堂発行「コンサイスカタカナ語辞典」の「テラ[terra]」の項を参照)。
一方、引用商標は、前記のとおりであって、下段に「ティラ」の片仮名文字を表しているものであるから、この部分より「ティラ」の称呼を生ずるものと認められる。
また、その片仮名文字「ティラ」の上段に左下から右上に斜め書きした「Terra」の欧文字は、「地、大地等」を意味する英語であり、その発音から「テラ」と称呼されるものと認められる。
ところで、請求人は、引用商標中の欧文字「Terra」の称呼について「『Terra』は日本国内においてなじみのない言葉であり、カタカナで「ティラ」と書かれているそばに『Terra』が書かれてある時、一般的には『ティラ』と読むのが普通である。」旨主張する。
しかし、わが国においては、外国語のうちでは英語の普及率が圧倒的に高く、商業広告でも、英語が使用される頻度が他の外国語が使用される頻度よりも非常に高いものであるから、外国語と思われる商標に接した者は、その発音を知らない場合であっても、一般には、自己の有する英語の知識に従って、これを英語風に読もうとするものと解される。
そして、引用商標中の「Terra」の綴りの欧文字は、高校程度で履修され親しまれている英語、例えば「terrace」は、その発音から「テラス」と称呼され、「terracotta」は、その発音から「テラコッタ」と称呼されるから、英語としての「Terra」の発音を知らない取引者・需要者も、一般には、上記「terrace」等の発音などから類推して、「テラ」と称呼する場合が多いものと認められる。
また、「Terra」と同じ綴りの欧文字は、株式会社岩波書店発行の広辞苑第五版に収録されている「テラコッタ【terracottaイタリア】」、「テラス【terraceイギリス・terrasseフランス】」、「テラス‐ハウス【terrace house】」、「テラ‐ロッサ【terra rossaイタリア】」の発音などから類推しても、「テラ」と称呼するのが自然であると認められる。
さらに、「Terra」と同じ綴りの欧文字は、株式会社三省堂発行の「コンサイスカタカナ語辞典」に「土.地.大地」を意味し、「テラ」と称呼する「テラ[terra]」が収録されている。
また、昨今の各種新聞記事においても「Terra」と同じ綴りの欧文字が多数掲載されている。
そして、これら各種新聞記事には「テラ」と称呼されていることが多く見受けられるが、「ティラ」と称呼されている例は見受けられない。例えば、87.01.24 日経産業新聞 9頁「味の素が本田技研工業のレーシングチームのスポンサーになる。同社が発売しているスポーツ飲料『TERRA(テラ)』の拡販を図る・・・・『TERRA』は年商約三十億円で、飲料事業のテコ入れになると期待・・・・・」、87.06.11 日経産業新聞 18頁「味の素はスポーツドリンク『テラ』の販売促進の一環として、『TERRA・ホンダNSR250Rプレゼント』を実施中。クイズは『〇〇〇〇〇Racing250』を飲もう、の〇にあてはまるアルファベット文字を答える。」、88.01.07 日経流通新聞 5頁「レコードメーカー大手の東芝イーエムアイは・・・・録音スタジオ『TERRA(テラ)=地球、大地=』を開設した。」、89.10.06 日経産業新聞 18頁「東急グループのプレハブ建築会社、東急工建は新手の中層PC(プレキャスト・コンクリート)工法マンションを開発した。・・・・新工法によるマンションは商品名を『TERRA(テラ)』で統一・・・・」、毎日新聞 90.07.17 東京本紙朝刊 8頁「安田火災海上保険は・・・・地球環境問題と企業活動とのかかわり合いに関する情報誌『TERRA(テラ)』を創刊した。」、読売新聞 93.05.12 東京読売夕刊 12頁「米・カリフォルニア工科大学の金森博雄教授が、全米科学アカデミーのアーサー・L・デイ賞をこのほど受賞した。固体地球物理の分野での優れた業績に贈られる同賞の受賞は日本人では初めて。金森教授は、地震活動の活発な南カリフォルニア一帯に『TERRA scope(テラ・スコープ)』と呼ばれる広域地震観測網を展開。・・・・」の記事中に「Terra」と同じ綴りの欧文字が掲載されており、いずれも「テラ」と称呼されていたことが認められる。
以上の実状に照らしてみれば、「Terra」の欧文字は、「テラ」と称呼されているものであり、日本国内においてなじみのない言葉であるとはいえないから、請求人の主張は、採用できない。
そうすると、引用商標は、その構成において「ティラ」の片仮名文字を有してなるとしても、「Terra」の欧文字からは、「テラ」の称呼をも生ずるものとするのが相当である。
そこで、本願商標の「テラ」の称呼と引用商標の「ティラ」の称呼(以下「第一称呼」という。)及び「テラ」の称呼(以下「第二称呼」という。)を比較すると、本願商標の称呼「テラ」と引用商標の第一称呼「ティラ」は、「ィ」の音の有無の差異を有しているものである。
しかし、該音「ィ」は、響きの大きい「テ」の音と合わせて発音される響きの小さい音であり、それ自体明確に発音されるものとはいえないから、両称呼は2音と3音構成の短い称呼であるが、それぞれ一連に称呼するときは、互いに紛れて聴取されやすいものといわざるをえない。
そして、引用商標の第二称呼「テラ」は、本願商標と「テラ」の称呼を同一にするものである。
また、本願商標は、「テラ」の片仮名文字が外来語で「土.地.大地」を意味するものであり、引用商標も、「Terra」の欧文字が「地、大地等」を意味するものであるから、本願商標と引用商標は同一の「地、大地」を観念させることがあるものといえる。
したがって、本願商標と引用商標は、外観についての相違を考慮しても、前記認定のとおり称呼及び観念において紛らわしいもの又は同一にするものであって、類似する商標というのが相当であり、また、本願商標の指定商品「植物生育用セラミックス粉末肥料」と引用商標の指定商品「肥料」は、同一又は類似する商品と認めることができるものであるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当であって取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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