Trademark Appeal Case
称呼・観念の類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2009−1482(T2009−1482/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「トクだ値」の文字を標準文字で表してなり、第39類「鉄道による輸送,鉄道による輸送に関する情報の提供,インターネットによる乗車券の発券の代理・媒介又は取次ぎ,インターネットによる鉄道の座席の予約の媒介又は取次ぎ,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,旅行に関する情報の提供(宿泊に関するものを除く。)」を指定役務として、平成19年3月6日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第3095796号商標(以下「引用商標1」という。)及び登録第5073904号商標(以下「引用商標2」という。)(なお、これらをまとめていうときは、「引用各商標」という。)と類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
そして、引用商標1は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成4年9月30日に登録出願、第39類「主催旅行の実施」を指定役務として、同7年11月30日に設定登録され、その後、平成17年12月6日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
また、引用商標2は、「得ダネ」の文字を標準文字で表してなり、平成18年10月25日に登録出願、第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,道路情報の提供,自動車の運転の代行,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の積卸し,引越の代行,船舶の貸与・売買又は運航の委託の媒介,船舶の引揚げ,水先案内,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,ガスの供給,電気の供給,水の供給,熱の供給,倉庫の提供,駐車場の提供,有料道路の提供,係留施設の提供,飛行場の提供,駐車場の管理,荷役機械器具の貸与,自動車の貸与,船舶の貸与,車いすの貸与,自転車の貸与,航空機の貸与,機械式駐車装置の貸与,包装用機械器具の貸与,金庫の貸与,家庭用冷凍冷蔵庫の貸与,家庭用冷凍庫の貸与,冷凍機械器具の貸与,ガソリンステーション用装置(自動車の修理又は整備用のものを除く。)の貸与 」を指定役務として、同19年8月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 当審の判断
1 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標は、「トクだ値」の文字を書してなるものであり、該文字より、「トクダネ」の称呼を生ずるものである。
また、本願商標構成中の「値」は、「代金、値段」等を意味する文字であることから、その構成中「トク」の文字は、「もうけること。利益」などを意味する「得」を認識させるものであり、本願商標「トクだ値」の文字は、全体として、「お得な代金、お得な値段」の如き観念を生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標1は、別掲1のとおり、立体的に表された「とくだね」の文字の表面部分を赤色で塗り、その構成中「だ」の文字の上に「自由の女神」をモチーフとしたと思しき図形(以下「図形」という。)を配し、さらに、「だ」の文字の濁点部分を、星形図形で表してなるものである。
しかして、引用商標1が、構成全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、「図形」及び「とくだね」(星形図形を含む。以下同じ。)の文字を常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものである。
また、引用商標1構成中の「とくだね」の文字は、赤色で塗られた構成から、特に、看者の目を惹きやすい部分であると認められ、「図形」部分と「とくだね」の文字部分は、視覚上、分離して認識し、把握される場合があるとみるのが自然である。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、引用商標1に接する取引者、需要者は、「とくだね」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
さらに、「とくだね」の文字は、引用商標1の指定役務「主催旅行の実施」との関係において、「とく」の文字が「得」を認識させ、「主催旅行の内容あるいは代金が得だね。」の如き意味合いを認識させるものである。
そして、別掲2に示すとおり、「主催旅行の実施」を提供する業界において、「とくだね」の文字が、実際に、前記の如き意味合いで使用されている事実も見受けられるものである。
そうとすると、引用商標1は、その構成中の「とくだね」の文字より、「トクダネ」の称呼を生ずるものであり、「旅行がお得。」あるいは「お得な(旅行)代金」の如き観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標1は、外観において相違するものであるとしても、「トクダネ」の称呼を共通にし、さらに、「お得な代金」の如き観念においても類似する商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標1の指定役務と同一または類似する役務を含むものと認められる。
2 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標は、上記1の認定のとおり、「トクダネ」の称呼を生ずるものであり、かつ、「お得な代金、お得な値段」の如き観念を生ずるものである。
他方、引用商標2は、「得ダネ」の文字を横書きにしてなるものであり、該文字より、「トクダネ」の称呼を生ずるものである。
また、引用商標2の構成中の「得」は、「もうけること。利益」などを意味するものであるから、「得ダネ」の文字は、全体として、「お得だね」の意味合いを理解させるものである。
そして、「得ダネ」の文字は、別掲3に示すとおり、引用商標2の商標権者が、指定役務中「鉄道による輸送」を提供するにあたって、需要者等に「鉄道の利用料金がお得になること」の如き意味合いを理解させるものとして、実際に使用していることが認められる。
してみれば、本願商標と引用商標2は、外観において相違するものであるとしても、「トクダネ」の称呼を共通にし、さらに、「お得な代金」の如き観念においても類似する商標であり、また、本願商標の指定役務は、引用商標2の指定役務と同一または類似する役務を含むものと認められる。
3 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張
請求人は、甲第1号証ないし甲第19号証を提出し、以下のとおり主張する。
一般に商標が類似するか否かは、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品の出所又は役務につき誤認を生ずるおそれがあるか否かによって判断すべきものであり、その類否判断をするに当たっては、両商標の外観、称呼、観念を観察し、それらが取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであると解される(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
特に、今日の取引の態様としては、需要者は、称呼のみをもって、商標やその商標が付された商品の出所等を識別するというよりは、店頭にて展示される商品や商品のパッケージ・インターネット、雑誌・パンフレット等による宣伝・広告等で商標に接し、そのうえで商品の出所を識別して商品購買を決定する傾向が強い。
さらに、近年インターネットを介した取引が増加しているという取引実情のもとでは、商標の外観及び観念が商標の類否に与える影響は極めて大きいと言わざるをない。
そして、請求人は、本願商標を平成19年2月頃から実際に使用したことにより、今日、請求人の業務にかかる商品又は役務を表示する商標として広く知られているに至っているものであることから、その観念においても引用各商標とは大きく異なるものである。
してみれば、本願商標と引用各商標に接する需要者は、これらの商標がたとえ同一又は類似の称呼を生じ得るとしても、これら商標の外観及び観念が大きく相違することから、取引の実情に鑑みれば、本願商標と引用各商標を混同することなく、明確に区別することができるものである。
よって、本願商標は引用各商標と類似するものではなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 請求人の主張についての反論
請求人提出による甲第1号証ないし甲第19号証(なお、甲第1号証ないし甲第第18号証は、資料1ないし資料18と同じ。)について検討する。
甲第1号証(資料1)ないし甲第4号証(資料4)は、インターネットを介して鉄道の乗車券の予約を行うための請求人のウェブサイトの写しである。
甲第1号証は、大きく本願商標「トクだ値」の文字が緑色で書され、その下に「東京〜仙台 『やまびこトクだ値』インターネット限定割引」の記載と、その下に緑色の丸図形の内に白抜きで「えきねっと会員登録」と記載されている。
甲第2号証は、大きく本願商標「トクだ値」の文字が緑色で書され、その下に「東京〜仙台 『やまびこトクだ値』インターネット限定割引」の記載と、その下に『東京・仙台間』の東北新幹線『やまびこ』号普通車指定席(片道)が、えきねっとで申し込むとたとえば20%おトク!!」と記載されている。
甲第3号証(資料3)は、「えきねっと」について「新規会員登録(無料)」の記載と、その下に、「JR券申込、予約のご利用には、会員登録が必要です。」と記載されている。
甲第4号証(資料4)は、「『トクだ値』について」の記載の下に、「・『トクだ値』は『えきねっとJR券申込サービス』でのみお申し込みいただける商品で、『トクだ値20』(2割引)、『トクだ値10』(1割引)の2種類があります。(乗車券・特急券がそれぞれ割引になります。)」と記載されている。
甲第5号証(資料5)は、2007年2月22日付けの「東日本旅客鉄道会社」によるプレスリリースであり、「えきねっと会員限定『やまびこトクだ値』新登場!」の記載、「JR東日本は、会員数が200万人を突破したインターネットポータルサイト『えきねっと』会員限定の割引商品『やまびこトクだ値』を2007年3月1日(木)より発売開始いたします。《ご利用は2007年4月1日(日)より》 『やまびこトクだ値』は東北新幹線『やまびこ号』(一部除く)の東京・仙台間(片道利用)でご利用いただける列車・区間・席数限定の割引きっぷで、『やまびこトクだ値30』、『やまびこトクだ値20」の2種類がございます。」と記載されている。
甲第6号証(資料6)は、2007年11月出発分の「トクだ値」が設定された予定列車の一覧表である。
甲第7号証(資料7)は、えきねっと列車限定割引「トクだ値」チラシ配布表(案)であり、チラシの合計数が198,000枚と記載されている。
甲第8号証(資料8)は、えきねっと列車限定割引「トクだ値」駅貼りポスター配布表であり、ポスターの合計数が1,820枚と記載されている。
甲第9号証(資料9)ないし甲第17号証(資料17)は、インターネットにおいて、「トクだ値」が紹介された記事であり、記事中に「やまびこトクだ値きっぷ」、「やまびこトクだ値」及び「トクだ値」の文字が記載されている。
甲第18号証(資料18)は、2006年度の各駅の乗車人員ベスト100であり、1位から100位までの各駅の1日平均の乗車人数が記載されている。
甲第19号証は、「トクだ値」のインターネットでの利用方法について記載された請求人のウェブサイトの抜粋である。
以上の資料を総合判断すると、本願商標「トクだ値」は、需要者等が、会員登録を行い、その後、東北新幹線「やまびこ号」を利用するにあたり、事前にインターネット限定で予約等を行うことにより、その利用料金が通常料金に比べ安価になるというサービスに付されるものである(甲第1号証《資料1》ないし甲第6号証《資料6》、甲第19号証)。
そして、請求人は、「トクだ値」に関するチラシ及びポスターを作成し、それを配布あるいは駅構内に貼付したことにより、インターネットのウェブサイトにおいて、「トクだ値」に関する記事が掲載された事実は認められる(甲第7号証《資料7》ないし甲第17号証《資料17》)。
しかしながら、前記のとおり、「トクだ値」に関するサービスを利用するためには、会員登録が必要で、かつ、インターネット限定で提供されるものであり、さらに、利用可能な列車が限定されていることからすると、このサービスの需要者等は、自ずと限定されるとみるのが自然である。
また、請求人が、本願商標「トクだ値」に関するチラシやポスターを作成し、その配布や駅構内等ヘの貼付により、本願商標に関する、宣伝や広告等を行っている事実は見受けられるものの、一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、本願商標に関し、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実は認められないものであり、さらに、請求人提出の証拠資料からは、本願商標が請求人の業務にかかる役務を表示するものとして広く知られているに至っている商標であるとは認めることができない。
そうとすれば、本願商標が、著名性を有し、その著名性ゆえに本願商標と引用各商標とが区別し得る等の特段の事情が存在するものとは認められないものである。
してみれば、上記1及び2で認定したとおり、本願商標と引用各商標とが、称呼を共通とするのみではなく、その観念においても類似するものであると判断するのが相当であって、「本願商標と引用各商標に接する需要者は、これらの商標がたとえ同一又は類似の称呼を生じ得るとしても、これら商標の外観及び観念が大きく相違することから、取引の実情に鑑み、本願商標と引用各商標を混同することなく、明確に区別することができる。」とする請求人の上記3の主張は、これを採用することができない。
その他、請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
5 結論
以上からすると、本願商標と引用各商標は、外観において相違するものであるとしても、「トクダネ」の称呼を共通にし、「お得な代金」の如き観念においても類似する商標である。
そして、本願商標の指定役務は、引用各商標の指定役務と同一または類似する役務を含むものと認められる。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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