Trademark Appeal Case
著名商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900036(T2009−900036/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5174445号商標(以下「本件商標」という。)は、「SHELL LOCK」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年2月25日に登録出願、第18類「折かばん,肩掛けかばん,グラッドストン,書類入れかばん,スーツケース,手提げかばん,トランク,ハンドバック,ボストンバッグ,かばん金具」を指定商品として、同年10月1日に登録査定、同月17日に設定登録されたものである。
2 引用商標
本件登録異議申立人「シェル ブランズ インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト」(以下「申立人」という。)は、本件商標についての取消理由に次の5件の商標を引用している。
(1)登録第734199号商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和40年12月17日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同42年2月23日に設定登録され、その後、指定商品については、第4類「燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」と書換登録されたものである。
(2)登録第1015586号商標は、「Shell」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年3月12日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同48年6月1日に設定登録され、その後、指定商品については、第4類「燃料,工業用油」と書換登録されたものである。
(3)登録第1125597号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和47年6月6日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同50年6月9日に設定登録され、その後、指定商品については、第4類「燃料,工業用油,工業用油脂,ろう」と書換登録されたものである。
(4)登録第183800号商標は、正方形の輪郭内に「SHELL」の欧文字と「貝」の漢字を二段に横書きしてなり、大正14年9月7日に登録出願、第55類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同15年8月19日に設定登録され、その後、指定商品については、第4類「石油(自動車用石油精を除く。),工業用菜種油,工業用魚油,工業用獣脂,工業用グリース,ろう,ろうそく,木ろう,みつろう,パラフィンワックス」と書換登録されたものである。
(5)国際登録第977610号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、我が国を指定した国際登録において指定された第1類、第4類、第6類、第8類、第9類、第11類、第14類、第16類、第18類、第19類、第21類、第24類ないし第28類及び第37類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2008年(平成20年)5月14日に国際商標登録出願されたものである。
3 本件登録異議申立ての理由
申立人は、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第8号について
「SHELL」は、貝の図形とともに「シェル インターナショナル ペトロリアム カンパニー リミテッド」(Shell International Petroleum Company Limited。以下「シェル社」という。)及びその関連会社によって、永年にわたって使用されてきた申立人の著名な略称であり、本件商標はその構成中にこの著名な略称含むものである。また、シェル社は、商標権者が本件商標について登録を受けることを承諾した事実は一切ない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標中の「SHELL」の欧文字は、本件商標の出願時及び登録査定時には、シェル社及びその関連会社の業務に係る商品又は役務であることを指称する著名性を獲得していたため、本件商標を使用した商品に接する取引者及び需要者は、本件商標中の「SHELL」に着目し、ここからシェル社の著名商標を想起・連想し、あたかもシェル社若しくはその関連会社の取扱いの業務に係る商品であるかのごとく誤って認識する可能性が極めて高い。したがって、本件商標は、シェル社の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標である。
4 当審の判断
(1)「Shell」「シェル」及び「貝の図形」の著名性について
「シェル社」が世界的に著名な石油関連企業であること、及び赤地に黄色の貝の図形(別掲(2)の商標の貝の図形部分)が「シェル社」及びその関連会社の取扱いに係る商品(石油、石油製品)を表す著名な商標であることは、我が国の石油、石油製品(以下「石油関連商品」という。)をはじめとする各種商品分野の取引者及び需要者の間に広く知られていると認められる。
また、「Shell」「シェル」の文字は、我が国の石油関連商品の取引者及び需要者の間においては、「シェル社」及びその関連会社のグループ名を表すものとして広く知られていると認められるものの、当該文字は、我が国において、いずれも「貝殻」を意味する英語又は外来語として極めて親しまれたものであるから、石油関連商品以外の商品や役務の分野の取引者及び需要者の間においては、申立人又は「シェル社」及びその関連会社を連想又は想起させることなく、単に「貝殻」の意味を有する英語又は外来語と理解されるものと判断するのが相当である。
(2)本件商標について
本件商標は、「SHELL LOCK」の欧文字を標準文字で表してなり、容易に「貝」を意味する「SHELL」と、「錠」を意味する「LOCK」の語からなるものと認識できるものであって、両語はいずれも我が国において極めて親しまれた英語であり、その構成文字全体から生じる「シェルロック」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであるから、「SHELL LOCK」の構成文字全体が不可分一体の一種の造語として認識されるものとみるのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第8号について
本件商標の構成中「SHELL」の文字部分は、上述のとおり、単に「貝殻」の意味を有する英語と理解されるものと判断するのが相当であるから、申立人の著名な略称ということができない。
そうとすれば、本件商標は、他人の名称又は著名な略称を含むものということができないから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上述のとおり、「SHELL LOCK」の構成文字全体が不可分一体の一種の造語として認識され、また、その構成中「SHELL」の文字部分は、単に「貝殻」の意味を有する英語と理解されるものと判断するのが相当である。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用の各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人、「シェル社」又はそれらと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわざるを得ない。
なお、申立人は、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがある理由として、「SHELL」の語の独創性が高いこと、及び本件商標の指定商品は石油から作られる製品を原材料としているので、本件商標の指定商品と当該原材料とは需要者及び取引者を共通にすることを挙げている。
しかしながら、「SHELL」の語は我が国において極めて親しまれた英語の既成語であり、独創性は低いものとみるのが相当であって、また、本件商標の指定商品中に、例え、石油から作られる商品を原材料とするものが含まれているとしても、ある商品の需要者及び取引者とその原材料の需要者及び取引者とは、異なることが一般的である(本件商標の指定商品の主な需要者は一般消費者であるのに対し、原材料の主な需要者は指定商品の生産者である。)から、かかる理由は認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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