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Trademark Appeal Case

著名商標の不正利用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900074(T2009−900074/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5181427号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5181427号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成19年6月21日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同20年9月18日に登録査定、同年11月21日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標の要部である「TARZANIA」及び「ターザニア」と、以下に示す登録第4502369号商標(以下「引用商標」という。)とは、外観、称呼及び観念を総合的に考察すれば、相互に類似する商標であって、本件商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供」は、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。

引用商標は、「TARZAN」の文字を標準文字で書してなり、平成12年3月21日に登録出願、第35類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成13年8月31日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

(2)商標法第4条第1項第7号該当性について

ア 申立人は、米国の小説家であるエドガー・ライス・バローズ(Edogar Rice Burrougths。以下「バローズ」という。)が1923年に設立した米国法人であり、バローズの作品に関する権利の管理、ライセンシング等の事業を行っている。

「TARZAN」、「ターザン」(これらをまとめて、以下「引用標章」という。)は、バローズが執筆した小説の主人公として世界的に有名であり、日本においても、翻訳され親しまれている。また、当該小説は、1918年以来、米国のMGM社、ワーナー社等により映画化され、さらに、1999年に、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーが製作したアニメ映画により、その著名性が確立された。その他、引用標章は、雑誌の題号等としても使用され、各種商品・役務について顧客吸引力を有する標章となっている(甲第5号証ないし甲第31号証)。

イ 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、その営業に係る役務「運動施設の提供」について本件商標を使用しているところ、その宣伝広告に、引用商標及び引用標章を無断で使用している(甲第32号証ないし甲第54号証)。本件商標権者の上記行為は、引用標章に化体した顧客吸引力にフリーライドする不正の目的に基づき計画的に行われてきたものである。

したがって、本件商標は、公正な競業を害し、国際信義に反する動機に基づいて出願、登録されたものであるから、公序良俗に反する。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

前記(2)アのとおり、引用標章は、申立人及びそのライセンシーの各種商品・役務を表示する標章として、国内外で著名である。また、前記(1)のとおり、本件商標は、引用標章に類似する商標である。さらに、前記(2)イのとおり、本件商標権者は、引用標章の有する顧客吸引力にフリーライドする不正の目的に基づいて、本件商標を出願し、登録を得たものである。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用標章は、申立人及びそのライセンシーの各種商品・役務を表示する著名な標章である。

してみれば、本件商標をその指定役務について使用すれば、該役務が申立人又はそのライセンシーの業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第7号、同第19号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、別掲のとおり、中央に大きく横書きした「TARZANIA」の各文字を語頭から緑、橙、赤の順に配色し、該「TARZANIA」の文字中の「R」と「N」との間の下に、青で着色した「ターザニア」の文字をやや小さく横書きし、さらに、上記「TARZANIA」の文字中の「TARZ」の文字部分の上に、「ADVENTURE SPORTS&PARK」の文字(「&」は青塗り円図形内に白抜きで表されている。)を小さく横書きしてなり、5番目の「A」と末尾の「A」の各文字に猿と思しき動物の図形が描かれているものである。そして、本件商標は、その構成中、中央に大きく横書きされ、緑、橙、赤で着色された「TARZANIA」の文字部分と、青で着色され、該「TARZANIA」の読みを表した「ターザニア」の文字部分が独立して自他役務識別標識としての機能を果たし得るものと認められる。そして、該「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字部分は、いずれも同一の書体で、外観上まとまりよく表されているばかりでなく、構成全体より生ずると認められる「ターザニア」の称呼も一気に称呼し得るものであるから、該文字部分は、それぞれ全体が不可分一体のものと判断するのが相当であり、その構成中の「TARZAN」の文字部分のみが独立して印象づけられるものではない。

したがって、本件商標は、構成全体を称呼した場合の「アドベンチャースポーツアンドパークターザニア」の称呼のほか、「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字部分より単に「ターザニア」の称呼をも生ずるものといわなければならない。

また、本件商標中の「TARZANIA」の文字部分は、英語等の辞書には掲載されていない語であって、その読みを表す「ターザニア」の文字部分からも、特定の意味合いを想起し得ないものであるから、「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字全体をもって造語を表したものと認めることができる。

イ 引用商標

引用商標は、前記2(1)のとおり、「TARZAN」の文字を標準文字で書してなるものであるから、これより「ターザン」の称呼及び観念を生ずるものである。

ウ 本件商標と引用商標の対比

本件商標中の「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字部分と引用商標とは、文字の色彩の有無において大きく異なるばかりでなく、片仮名文字の有無及び欧文字における「IA」の文字部分の有無においても差異を有するものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはない。

また、本件商標中の「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字部分より生ずる「ターザニア」の称呼と引用商標より生ずる「ターザン」の称呼は、前半部において、「ターザ」の音を同じくするものであるとしても、後半部において、音質等を著しく異にする「ニア」と「ン」の音の差異を有するものであるから、これらの差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれの称呼を全体として称呼した場合においても、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはない。

さらに、本件商標中の「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字部分は、前記のとおり、構成全体をもって特定の語義を有しない造語よりなるものであるから、引用商標とは、観念上比較することができない。

そうすると、本件商標中の「TARZANIA」及び「ターザニア」の各文字部分と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似のものというべきであり、本件商標を全体的に考察した場合においても、引用商標と類似の商標とみるべき理由は見出せない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

甲第5号証ないし甲第31号証を総合すれば、引用標章は、バローズが1912年から連続して発表した冒険小説の主人公の名であって、該小説は、いずれもターザンがアフリカのジャングルの王者として活躍するという内容のものであり、これら小説は、たびたび映画化され、1932年、水泳選手ワイズミュラーが主演した映画で世界的に有名となった(甲第5号証)。また、これらの小説は、日本においても、翻訳され、多数出版された(甲第6号証)。さらに、1999年に、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニーが製作したターザンのアニメ映画は、我が国においても、相当程度話題にのぼり、新聞等の記事に多数掲載された(甲第8号証ないし甲第19号証等)。このような状況の下、引用標章は、本件商標の登録出願の時にはすでに、冒険小説の主人公の名前として、我が国の需要者の間に広く知られていたと認め得るところであり、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと認める。

しかしながら、本件商標は、商標自体が公の秩序又は善良な風俗に反するようなものでないことは明らかである上、前記(1)認定のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、したがって、引用標章とも非類似の商標であって、本件商標それ自体からは、直ちに引用標章を想起又は連想するものであるとは考えにくいことを考慮すると、商標権者が著名な引用標章を申立人に無断で本件商標の登録出願をしたということはできず、本件商標の登録出願の経緯が社会の一般的道徳観念ないし公正な取引秩序に著しく反するものであって、ひいては国際信義に著しく反するものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第19号及び同第15号について

前記(2)認定のとおり、引用標章が、本件商標の登録出願前より、冒険小説の主人公の名前として、我が国の需要者の間に広く知られていたことは認め得るところである。

しかしながら、本件商標が、その構成中の「TARZAN」の文字部分のみが独立して印象づけられるものではなく、引用標章とは、非類似の商標であることは、前記認定のとおりである。

また、引用標章が申立人及びそのライセンシーの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとの根拠として挙げる事実(甲第14号証ないし甲第31号証)は、引用標章が遊園地のアトラクション、ゲーム、アニメーション、おもちゃ等の内容を表示する名称として使用されているにすぎないものであり、また、「TARZAN」なる題号の雑誌にしても、その発行部数等が不明である。さらに、引用標章を付した商品がいつの時点から販売され、どの程度の売り上げがあったのかも全く不明である。したがって、上記証拠をもってしては、引用標章が、申立人及びそのライセンシーの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、本件商標の登録出願前より日本国内はもとより外国における需要者の間においても広く認識されているものと認めることはできず、他にこれを認めるに足る証拠の提出はない。

そうすると、本件商標は、引用標章の著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用するものということはできない。

また、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する需要者をして、該役務が申立人又は申立人のライセンシーの業務に係る商品又は役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれがある商標と認めることができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同第15号に該当しない。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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