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Trademark Appeal Case

回転変動の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−14677(T2008−14677/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「回転変動」の文字を標準文字で表してなり、第9類「測定機械器具,試験装置(医療用のものを除く。)」を指定商品として、平成18年10月13日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『回転が変化すること、回転ムラ』程の意味合いを認識させる『回転変動』の文字を標準文字で表してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者は、自他商品の識別標識である商標とは認識せず、例えば、その商品が機械の回転ムラ等、機械の回転の変化と何等かの関連を有する商品であることが表示されているものと認識するにとどまり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋(要旨)

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして、請求人に対して通知した、平成21年1月20日付け審尋は以下のとおりである。

1 原査定は、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものであるが、当審は、次の2のとおり、本願商標は、同第3号に該当するものと判断する。

2 本願商標は、「くるくるまわること。また、まわすこと。」(「広辞苑」 第六版 株式会社岩波書店)や「軸中心の物体の回転。」(「マグローヒル科学技術用語大辞典」改訂第3版 日刊工業新聞社)の意味を有する「回転」の文字と、「変り動くこと。変え動かすこと。」(前掲 「広辞苑」)や「変化、とくに一連の観測において連続した値の間を動く変化。」(前掲 「マグローヒル科学技術用語大辞典」)の意味を有する「変動」の文字とを一連にして「回転変動」と普通に用いられる方法で書してなるところ、これは、自動車のエンジンやモーター等の回転の変動(変化や回転ムラ)を表すために用いられる語であって、本願の指定商品との関係においても、当該回転変動を測定する装置が開発され、一般に流通している事実が、下記の新聞記事やインターネットのウェブサイトによって認められる。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品について使用しても、「エンジンやモーター等の回転の変動(変化、回転ムラ)を測定する機械器具」程の意味合いを理解・認識するにとどまり、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(1)新聞記事について

ア 2007年5月18日付けの日刊工業新聞の4頁には、「オートマックス、回生モーター採用の自動車模擬走行試験装置を開発」の見出しのもと、「・・トルク変動や回転変動をシャシーなどに加えた場合の影響を正確に計測することができる。・・・」との記載がある。

イ 2005年7月14日付けの日刊工業新聞の7頁には、「小野測器、異音の抽出が簡単にできるリアルタイム次数フィルター発売」の見出しのもと、「小野測器はエンジンやモーターなど回転変動に伴う音をリアルタイムにフィルタリングするリアルタイム次数フィルター『WS−5520』を開発、19日に発売する。・・・」との記載がある。

ウ 1998年1月27日付けの日刊工業新聞の13頁には、「小野測器、高精度F−V変換器を発売」の見出しのもと、「小野測器は十六ビットのD/A変換器を搭載し、高精度の回転変動計測を可能にした高速F−V変換器『FV−1300』を二月二日から発売する。・・・」との記載がある。

エ 1995年8月1日付けの日経産業新聞の11頁には、「無段変速機『ホンダマルチマチック』――高出力エンジンに対応(くるま新技術の目)」の見出しのもと、「・・・『ホンダマルチマチック』では、共振周波数をアイドリング回転数以下にしたデュアルマスフライホイールを採用して、回転変動を減衰させている。・・・」との記載がある。

オ 1986年7月21日付けの日経産業新聞の14頁には、「吉沢精機、エンジン回転変動率計開発。」の見出しのもと、「測定器メーカーの中堅、吉沢精機工業(本社東京、社長梅田春男氏、資本金五千万円、TEL03・815・0611)はエンジン回転変動率計『RFM―011』=写真=を開発した。(中略)『RFM―011』はエンジンのクランクシャフトなどに回転角度センサーを装着し、回転状況を測定する。測定項目はエンジン回転の安定度、サイクル回転変動率、正常回転変動率など九種類ある。三―六気筒のエンジンで、一分間に六千回転する運転状況まで対応できる。さらにデータの平均値や標準偏差なども簡単に出せる。」との記載がある。

(2)インターネットのホームページにおける記載について(平成21年1月14日検索)

ア 「株式会社 小野測器」のウェブサイトにおいて、「巻き取り回転ロールの回転ムラ測定」の見出しのもと、「パルプや磁気テープ、産業用フィルム等を巻き取るロールに回転ムラが発生すると、その品質に重大な影響を及ぼす事になります。そこで、巻取りロールの回転ムラと品質の相互関係を評価するために、巻取りロールの回転ムラ(回転変動率)を 分析します。」及び「解析データ例」の項のもと、「この分析データは、駆動源であるモーターの回転をタイミングベルトで減速させる下記仕様を持った巻き取りロールの回転変動を上記機器構成で測定・解析したデータです。」との記載がある。

(http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/application/rpmfluctuate.htm)

イ 「パトム」のウェブサイトにおいて、「エンジン回転数制御装置」の見出しのもと、「本発明では、気筒毎に生じる発生トルクに対応した回転変動を測定することによって、回転変動からトルクの段差に相当する補正量を気筒別に求める。この場合、気筒毎のトルク段差を求めるため、基準となる運転状態の下で測定する必要があり、基準となる運転状態を規定し、回転変動が発生する要因を減らすことが課題となる。」との記載がある。

(http://www.sugarbb.com/index.php?main_page=product_info&cPath=1_26&products_id=467683)

ウ 「KLA Tencor」のウェブサイトにおいて、「用語集」の見出しのもと、「用語」、「よみ」、「英文表記」及び「解説」の欄に、それぞれ、「回転むら」、「かいてんむら」、「Rotational Fluctuation」及び「回転体の回転変動のこと。」との記載がある。

(http://www.adetech.jp/products/glossary/index.html)

エ 「レクロイ・ジャパン株式会社」のウェブサイトにおいて、「自動車関連 ビークル・バス・アナライザ VBAシリーズ」の見出しのもと、「グラフ表示/統計解析機能」の項のもと、「トラック」の項において、「モーターやエンジンなどの回転変動や周波数変調を測定する場合は、個々の周期のパラメータを時間軸に変換したトラック演算が威力を発揮します。図はモーターの回転変動をトラックを使って演算した例で、カーソル部分で周波数が変化しているのがわかります。さらに、トラック波形を微分すればその時の加速度が分かります。」との記載がある。

(http://www.lecroy.com/japan/products/scopes/vba/default2.asp)

オ 「製造業エンジニア向け情報サイト イプロス」のウェブサイトにおいて、「高速F/Vコンバータ FV-1400」の見出しのもと、「商品説明」の項のもと、「フルスケールモードにより回転速度の変化を、偏差モードにより回転変動を高精度に計測・記録できます。周波数/回転速度 の設定はディジスイッチにより簡単操作、しかも蛍光表示管の採用により分かりやすく・見やすい表示。 DC電源対応で車両搭載も可能です。」との記載がある。

(http://www.ipros.jp/products/026065003/)

カ 「日本財団図書館(電子図書館)」のウェブサイトにおいて、「『電気推進電動機の開発』の報告書」の見出しのもと、「■事業の内容」の項において、「[3] 回転変動特性試験 試験方法は、負荷変動特性試験と同様にして、特性はサイリスタモータに規定の負荷をかけて回転数を110、100、75、50、25%と変化させた場合の各部の特性を測定し計画値どおりの良好な結果を得られた。」との記載がある。

(http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1993/00480/mokuji.htm)

第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)

請求人は、前記第3の審尋に対して、平成21年3月4日付けの回答書、同月7日付けの手続補正書において、以下のように主張し、証拠方法として第1号証を提出した。

1 「回転変動」は、「回転の変動を表すことに用いられる語」とする指摘には同意しないが、逆にこれを否定するつもりもない。しかし、「回転変動」の意味合いを考察した場合、「くるくるまわることが変わり動くこと」という曖昧模糊とした意味合いが想起されるだけであり、それを本来具体的であるべき「商品の品質、用途」を表示するにすぎないものとして認めようとすることは納得できない。

2 「回転変動」の語については、業界で通用する一般技術用語でないから、業界関係者でもウェブサイトやパンフレット等で使用している会社以外の者からすれば、まったく意味不明であり、前記1で述べた意味合いしか生じない。また、「回転変動」なる一連の語は、「JIS工業用語大辞典」に存在しない。そうすると、複数の会社で「回転変動」なるものを測定できると説明される製品が開発され、流通しているから、「回転変動」が商品の品質表示等に該当すると結論づけていることは論理の飛躍がある。

3 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとして拒絶することはできない。

第5 当審の判断

1 本願商標は、前記第1のとおり、「回転変動」の文字を横書きしてなるところ、前記第3の2のとおり、その構成中の「回転」の文字は、「くるくるまわること。また、まわすこと。」や「軸中心の物体の回転」の意味を有する語であり、また、「変動」の文字は、「変り動くこと。変え動かすこと。」や「変化、とくに一連の観測において連続した値の間を動く変化。」の意味を有する語であるから、その構成全体からは、「回転の変動(変化)」程の意味合いを理解・認識するものということができる。

2 そして、本願の指定商品は、「測定機械器具,試験装置(医療用のものを除く。)」であるところ、前記第3の2(1)及び(2)で示した事実によれば、エンジンやモーター等について、回転の変化や回転ムラといった回転変動を測定する装置が開発され、一般に流通していることが認められる。

3 そうすると、本願商標は、「回転変動」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎず、その指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が「エンジンやモーター等の回転の変化や回転のムラといった回転変動を測定する機械器具」であることを表示したものと理解し、認識するとみるのが相当であるから、単に商品の品質、用途を表示したものにすぎず、自他商品の識別標識として認識し得ないものであるといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

4 なお、下記のインターネット情報によっても、「回転変動」の文字が、試験装置の商品名の一部として実際に使用されていることをうかがい知ることができる。(2009年6月16日検索)

(1)「J−TOKKYO」のウェブサイトにおいて「【発明の名称】」の項に、「回転変動試験機」との記載、また、「【要約】」の項に、「【課題】自動車用内燃機関エンジン等、クランク軸に回転変動成分が重畳されている出力軸を模して、回転変動周期、回転変動率を自在に設定する回転変動試験機を提供することによってクランク軸を原動機とする各種伝動要素の性能試験を行う。」との記載がある。

(http://www.j-tokkyo.com/2000/G01M/JP2000-338001.shtml)

(2)「千代田機工株式会社」のウェブサイトにおいて、「Testing Machines/試験機」の見出しのもと、「■試験装置 納入事例」の項に「・回転変動歯車試験装置

・トランスミッション回転変動負荷試験装置

・CVT回転変動負荷試験装置

・ワンウェイクラッチ回転変動負荷試験装置

・2軸小型クラッチ回転変動負荷試験装置」の記載がある。

(http://www.chiyodakikou.com/bespoke/testing_machines.html)

5 請求人は、本件審尋において、「回転変動」の語は、業界で通用する一般技術用語でないから、業界関係者でもウェブサイトやパンフレット等で使用している会社以外の者からすれば、まったく意味不明であり、「くるくるまわることが変わり動くこと」という曖昧模糊とした意味合いが想起されるだけであり、また、「回転変動」なる一連の語は、「JIS工業用語大辞典」に存在しないにもかかわらず、複数の会社で「回転変動」なるものを測定できると説明される製品が開発され、流通しているから、「回転変動」が商品の品質表示等に該当すると結論づけていることは論理の飛躍がある旨述べている。

しかし、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁〔判例時報927号233頁〕参照)。

そうすると、たとえ、「回転変動」の語が、「くるくるまわることが変わり動くこと」程の意味合いで想起されることがあり、また、同語が、「JIS工業用語大辞典」に掲載されていないとしても、前記2のとおり、エンジンやモーター等の回転の変化や回転のムラといった回転変動を測定する装置が開発され、一般に流通している事実があり、さらに、前記4に示した「回転変動試験機」等のように、商品名の一部に「回転変動」の文字が実際に使用されている例もあることからすれば、当該「回転変動」の語は、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるといえ、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであり、一般的に使用される標章であって、自他商品識別力を欠き商標としての機能を果たし得ないものというべきであるから、登録することができないものといわざるを得ない。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

6 以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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