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Trademark Appeal Case

商標使用の立証不足

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2006−31194(T2006−31194/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4035538号商標(以下「本件商標」という。)は、「マホービンの家」の文字を横書きしてなり、平成7年3月20日に登録出願、第37類「建築一式工事,土木一式工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定役務として、平成9年8月1日に設定登録されたものである。

なお、本件商標の商標権は、本件審判請求時には株式会社池林工務店(株式会社住宅館イケバヤシ)であったが、その後、被請求人に譲渡移転されている。

2 請求人の主張

請求人は、本件商標の指定役務中「建築一式工事,土木一式工事,大工工事,建具工事,内装仕上工事,屋根工事,その他の建設工事」について登録を取り消す、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。

なお、請求人は、「請求の趣旨」おいて、本件商標は、第37類の「建築一式工事,土木一式工事,大工工事,建具工事,内装仕上工事,屋根工事,その他の建設工事及びそれらに類似する役務」について取消を求めたが、平成20年10月27日付け手続補正書により、取消に係る役務中範囲が不明確と認められる「及びそれらに類似する役務」の表示を削除補正した。

(1) 請求の理由

本件商標は、指定役務中「建築一式工事,土木一式工事,大工工事,建具工事,内装仕上工事,屋根工事,その他の建設工事及びそれらに類似する役務」について過去3年以内の間に日本国内において登録商標を使用していない可能性が高いものと思われる。また、専用使用権者又は通常使用権者の何れの登録もない。

以上の次第であり、本件商標は本審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定役務について使用されているものではなく、商標法第50条第1項の規定に該当し、取り消されるべきである。

(2) 弁駁

ア 被請求人が主張する商標の使用許諾の説明は不可解である。「文書の取り交わしを約束したが、双方が遠方であることと、またお互い忙しく文書での締結には至らなかった」などは、商取引の実情から考えられないことである。双方が遠方であるやお互い忙しいことで契約締結を永く放置するなどあり得ないことである。さらに、許諾したと主張するその年月日が不明確である。本件審判の請求前に日本国内において通常使用権を設定していたとする明確な証拠提出もない。逆に、本取消審判請求を知ったことが、「ただこの秋頃に、板倉不動産より、権利の譲渡をお願いされ、その手続きの準備をさせて欲しいとの依頼をされた」の動きにつながっていると判断するのが相当である。

結局、被請求人は株式会社板倉不動産(以下「板倉不動産」という。)が通常使用権者であると単に主張するだけで、何の書証等の証拠提出もない。

イ 加えて、本件審判請求の登録前3年以内に指定役務についての登録商標の使用の証明がなされていない。乙第1号証ないし同第5号証、さらに参考資料1ないし7の各書類に表示された各商標の使用をもってしても、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標の使用がなされていたとの事実を認めることができない。

事実を認めることができない理由は以下のとおりである。まず、乙第1号証ないし同第5号証及び上記参考資料1ないし7のなかで、日付けが特定できる書類は乙第2号証と乙第3号証と参考資料7だけである。その他の書類は日付が特定できず、登録前3年以内の本件商標の使用を立証するものとなり得ないからである。

次に、日付が特定できた上記3書類のうち、参考資料7は「完成予定日/平成15年6月」とあって、本件審判請求の登録前3年よりも前であることから、審判請求の登録前3年以内の本件商標の使用に該当しない。

乙第2号証は平成17年7月30日発売、乙第3号証は平成18年1月30日発売で、両方とも本件審判請求の登録前3年以内にはあてはまるが、いずれも本件商標の使用に該当しない。乙第2号証でマーキング提示された「魔法瓶のような『スモリの家』は、冷暖房効率がいいので・・・」には本件商標の文字すら見当たらない。しかも、文章の記述なかの一節で、魔法瓶のような「スモリの家」の記述であって、本件商標「マホービンの家」とは全く異なっている。また、乙第3号証でマーキング提示された「魔法瓶のような高気密・高断熱住宅だからできること」にも本件商標「マホービンの家」の文字がどこにも存在しない。乙第2号証及び同第3号証のどこを探しても、本件商標と社会通念上同一となる商標の使用に該当するものがない。乙第2号証と乙第3号証は本件商標の使用事実を示す書類になっていない。

ウ 以上のように被請求人の主張する通常使用権の使用許諾は客観的事実として何も存在しておらず、被請求人は立証責任を果たしていない。さらに百歩譲って、被請求人の主張する板倉不動産が仮に通常使用権者であったとしても、乙第1号証ないし同第5号証及び参考資料1ないし7からでは、本件審判請求の登録前3年以内にその請求に係る指定役務についての登録商標の使用を証明したことになり得ない。不使用の正当理由についても主張がない。

(3)なお、請求人は、第三答弁について、新たに弁駁していない。

3 被請求人の主張

被請求人(本件審判請求時における、以下同じ)は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁及び弁駁に対する第二答弁及び第三答弁をし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証、参考資料1ないし7及び第二答弁において乙第1号証ないし第12号証、第三答弁において乙第1号証及び乙第2号証(以下、当審において、第二答弁及び第三答弁書に添付の乙各号証を乙第6号証ないし乙第19号証とする。)を提出した。

(1)本件商標は、板倉不動産へ電話を通じて使用許諾した。その際、文書の取り交わしを約束したが、双方が遠方であることと、また、お互い忙しく文書での締結には至らなかった。ただ、この秋頃に、板倉不動産より、権利の譲渡をお願いされ、その手続きの準備をさせて欲しいとの依頼をされた。

(2)被請求人は、前記のとおり板倉不動産に対し、本件使用を許諾している。被請求人は、現在業務では使用していないが、板倉不動産は既に5年前から高気密・高断熱住宅の「スモリの家」を建築しており、「魔法瓶の家」として広告宣伝していた。

(3)弁駁に対する第二答弁

請求人は、本件商標の使用を許諾したと主張するその年月日が不明確であること、本件審判請求前に日本国内で通常使用権の設定をしていたとする明確な証拠の提出もない旨主張しているが、板倉不動産と被請求人の互いの善意による合意を即否定することは一般的かつ民法の意志にも反する。確かに許諾の日時は未定であるが、板倉不動産が、被請求人に宛てた平成18年11月15日の封書の書面に、「この春に池林様より使用の許諾を得ております・・・」(乙第6号証)と記載しているとおり、平成18年春であり、このことは、この封書の平成18年11月21日埼玉県蕨郵便局付け配達記録(乙第7号証)からも明白である。

加えて、板倉不動産は、この時期に被請求人に接触を図るべく、株式会社帝国バンクのインターネット検索を利用している(乙第8号証)。この検索の結果の日時には「2006.01.19」と印字されており、株式会社帝国バンクの2006年1月分明細書(乙第9号証)よりも明らかである。

更に、請求人は、「本件審判請求の登録前3年以内に指定役務についての登録商標の使用の証明がなされていない。」と主張しているが、新たな証拠を提出する。

板倉不動産は、平成16年秋頃「魔法瓶の家」を積極的に建築していくために、中小企業支援法に基づく経営革新計画の承認を得るように取引先の中小企業金融金庫・東大阪支店より紹介され、「魔法瓶の家」で大々的に請負工事をおこなうことにより企業の成長と資金の安定を図るべく、平成16年12月22日に中小企業経営革新支援法第4条第1項に基づき経営革新計画の承認を得るために、大阪府知事に申請し(乙第11号証)、同17年1月31日に承認を受けた(乙第12号証)。

板倉不動産は、平成17年から本格的に「魔法瓶の家」を使用することで業務拡大を図るべく活動し、設計図や見積書に「魔法瓶の家」を記載するようにした。

提出した平成17年3月25日付け工事請負契約諸(乙第14号証)の写しに添付した見積書の表紙、追加見積書、仕上げ表、設計図面上に「魔法瓶の家」の文字を表示している。

そして、本件商標の「マホービンの家」と板倉不動産が使用する商標「魔法瓶の家」は、社会通念上同一の商標といえる。

(4)第三答弁

平成19年6月28日付け第二答弁書5.答弁の理由(3)で述べたとおり、板倉不動産は、本件商標の前登記人である株式会社住宅館イケバヤシ(被請求人)より平成18年春頃に本件商標の使用許諾を得た。

そこで、使用許諾を得た時点での本件商標の使用を証明する証拠として、平成18年6月20日に売買した住宅の契約書並びに重要事項説明書を提出する(乙第18号証及び乙第19号証)。この売買に係る住宅は、板倉不動産がスモリ工業株式会社より技術供与を受けたスモリの家=高気密・高断熱住宅のことを、「魔法瓶の家」として、購入者に宣伝、アピールしたものであり、家の図面には、「魔法瓶の家」のロゴがある。

以上のとおり、板倉不動産は、少なくとも使用許諾後の平成18年春以降である同年6月において、本件商標を使用しているのが明らかであり、本件審判請求の登録前3年以内の使用を満たしていることは間違いない。

したがって、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。

4 当審の判断

(1)通常使用権者について

まず、請求人は、板倉不動産が通常使用権の許諾を受けた者とは認められない旨主張する。

確かに、この点に関して具体的な許諾契約書等の資料の提出は見当たらないが、被請求人の主張及び板倉不動産が、被請求人に宛てた平成18年11月15日の封書(同年11月21日埼玉県蕨郵便局付け配達記録付き)(乙第6号証及び第7号証)には、「この春に池林様より使用の許諾を得ております登録商標『マホービンの家』につきまして・・・」と記されており、加えて、2006年1月19日に株式会社帝国バンクのインターネット検索を利用し、板倉不動産が、被請求人について検索している事実(乙第8号証)があることから、板倉不動産は、被請求人と接触し、平成18年春頃に口頭により本件商標について、使用許諾を受けたと推認し得るものである。

そうとすると、板倉不動産は、本件商標の通常使用権者とみるのが相当である。

(2)使用の事実について

被請求人の提出の乙各号証及び答弁によれば、以下の事実が認められる。

ア 平成17年8月16日発行の雑誌「大阪で家を建てる[2005夏・秋]」(乙第2号証)の28頁及び同29頁には、板倉不動産に関する記事が掲載され、記事の中に、「ようやく探し当てたのが魔法瓶のような構造の『スモリの家』だったとか。」との記載、「魔法瓶のような『スモリの家』は、冷暖房効率がいいので・・。」との記載がある。

また、平成18年2月28日発行の雑誌「大阪で家を建てる[2006 spring」(乙第3号証)の52頁には、板倉不動産に関する記事が掲載され、記事の中に、「魔法瓶のような高気密・高断熱住宅だからできること。」との記載がある。

イ 板倉不動産に係る広告の一と認められる「スモリの家 読本」(乙第4号証)には、建物の構造模型の写真に縦書きで「魔法瓶の家」との表示があるのが認められる。

ウ 乙第5号証は、板倉不動産に係る広告の一と認められ、その広告の中に「魔法瓶の家」の表示がある。

エ 乙第14号証の工事請負契約書には、発注者欄に、株式会社脇坂エンジニリング、請負者欄に、株式会社板倉不動産の表示がある。

オ 乙第18号証及び乙第19号証は、平成18年6月20日付けで被請求人が販売した住宅の不動産売買契約書(新築住宅用)及び平成18年6月20日付けの重要事項説明書(土地建物の売買・交換用)であり、不動産売買契約書の建築概要の工事名称欄には、「○○スモリの家新築工事−魔法瓶の家−」の記載があり、同建築場所の欄には、東大阪市吉田本町3丁目2番9の記載がある。さらに、同構造規模の欄には、木造二階建て(魔法瓶の家)の記載がある。そして、この売買に係る住宅は、板倉不動産がスモリ工業株式会社より技術供与を受けたスモリの家=高気密・高断熱住宅のことを、「魔法瓶の家」として、購入者に宣伝、アピールするものであり、家の図面にも「魔法瓶の家」の表示がある。

さらに、乙第19号証に添付された東大阪市吉田本町3丁目2番9の地図に準ずる図面に記録された内容証明は、前記不動産売買契約書に係る住宅の所在地について、大阪法務局枚岡出張所が平成18年6月19日に内容証明したものであることが確認できる。

(3)上記事実認定より、以下のとおり判断する。

前記(2)イないしエは、建築一式工事の請負の広告及び板倉不動産の工事請負契約書であることからすれば、板倉不動産は、建築一式工事を業としているものと認められる。

また、前記(2)オの乙第18号証及び乙第19号証では、本件通常使用権者である板倉不動産は、平成18年6月20日に、本件商標と社会通念上同一と認められる「魔法瓶の家」の商標を使用し、建築一式工事を含む不動産売買契約を行ったといえる。

(4)そうとすると、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者により、請求に係る指定役務について使用されたものと認められる。

(5)したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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