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Trademark Appeal Case

称呼の類似性「S」の有無

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2008−890068(T2008−890068/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4947649号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4947649号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成17年9月7日に登録出願,第9類「スロットマシン,スロットマシン・パチスロマシン用特賞回数・特賞確率変動数表示装置(回胴式遊技機及びその部品又は附属品に属するものに限る。),スロットマシン・パチスロマシン用表示灯・照明灯・警報灯(回胴式遊技機及びその部品又は附属品に属するものに限る。)」及び第28類「パチンコマシン用特賞回数・特賞確率変動数表示装置(パチンコ器具及びその部品又は附属品に属するものに限る。),パチンコマシン用表示灯・照明灯・警報灯(パチンコ器具及びその部品又は附属品に属するものに限る。),遊戯用器具」を指定商品として,同18年3月30日に登録査定がなされ,同年4月21日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用する商標

請求人は,本件商標の登録の無効の理由に下記の4件の登録商標を引用しており(以下,これらの商標を総称するときは「引用各商標」という。),いずれも,現に有効に存続しているものである。

(a)登録第4825695号商標(以下「引用商標1」という。)は,「BICS」の欧文字を横書きしてなり,平成16年5月20日に登録出願,第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」,第9類「写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電池,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー」及び第11類「暖冷房装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,加熱器,調理台,流し台」を指定商品として,同年12月17日に設定登録されたものである。

(b)登録第4874090号商標(以下「引用商標2」という。)は,「BICS」の欧文字を横書きしてなり,平成16年7月13日に登録出願,第11類「暖冷房装置,冷凍機械器具,業務用衣類乾燥機,美容院用又は理髪店用の機械器具(いすを除く。),業務用加熱調理機械器具,業務用食器乾燥機,業務用食器消毒器,ガス湯沸かし器,家庭用ごみ焼却炉,太陽熱利用温水器,浄水装置,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,加熱器,調理台,流し台,アイスボックス,氷冷蔵庫,家庭用浄水器,浴槽類,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,化学物質を充てんした保温保冷具,火鉢類」を指定商品として,同17年6月24日に設定登録されたものである。

(c)登録第4926262号商標(以下「引用商標3」という。)は,「BICS」の欧文字を横書きしてなり,平成16年7月13日に登録出願された2004年商標登録願第68919号に係る商標登録出願を分割し,新たな商標登録出願として,平成17年3月1日に登録出願されたものであり,第28類「囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」を指定商品として,同18年2月3日に設定登録されたものである。

(d)登録第5051094号商標(以下「引用商標4」という。)は,「BICS」の欧文字を横書きしてなり,平成17年9月2日に登録出願,第28類「スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,釣り具」を指定商品として,同19年6月1日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張

請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を次のように述べた。

(1)本件商標と引用各商標との称呼の比較について

本件商標は,やゝ文字がデフォルメされているが,「BIC」と書してなるから,該文字より「ビック」の称呼を生じる。他方,引用各商標は,いずれも「BICS」と書してなるから,該文字より「ビック」又は「ビックス」の称呼を生じる。

したがって,本件商標と引用各商標とは,「ビック」の称呼を共通にし,類似する。また,「ビック」と「ビックス」の称呼は,濁音で始まる「ビック」を共通にし,相違するのは発音の最後に「ス」の音が付されるか否かのみである。声帯が振動せずに発せられる音「ス」は,聴覚上明瞭でないから,「ビック」と「ビックス」の称呼は同一又は極めて類似する。

(2)本件商標と引用各商標との観念の比較について

「BIC」は,「BIG」の派生語として,「(外見だけでなく中身も)大きい,偉大な」の意味を有する単語である。引用各商標は,語尾に「S」を付け複数形を表現するものであって,観念を変更するものではない。

したがって,「BIC」と「BICS」から生ずる観念は,極めて類似 する。

(3)商品の類似について

本件商標の指定商品については,商標法施行令別表にも示されているように,引用商標の指定商品とは販売ならびに需要者が同一で,類似する商品である。

なお,引用商標1及び2は,商品「電球類及び照明用器具」を指定しており,類似群コード「11A02」が付されており,また,引用商標3及び4は,商品「遊戯用器具,ビリヤード用具」を指定しており,類似群コード「24B02」が付されている。

(4)以上のとおり,本件商標と引用各商標とは,称呼及び観念を共通にする類似の商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。

したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に違反してされたものであるから,無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁

被請求人は,請求人の上記主張に対し,何ら答弁していない。

5 当審の判断

(1)商標の類否について

本件商標は,別掲に示したとおり,欧文字を立体影文字風に表したものであるが,容易に「BIC」の欧文字を表したものと理解されるから,該文字に相応して「ビック」の称呼を生ずるものと認められる。

他方,引用各商標は,いずれも「BICS」の欧文字を横書きしてなるものであるから,該文字に相応して「ビックス」の称呼を生ずるものと認められる。

そこで,本件商標から生ずる「ビック」の称呼と引用各商標から生ずる「ビックス」の称呼とを比較するに,両者は,語頭から始まる「ビック」の音を共通にし,相違するところは,わずかに語尾における「ス」の音の有無のみである。そして,この「ス」の音にしても,比較的響きの弱い無声摩擦音であるばかりでなく,聴取され難い語尾に位置することから,該「ス」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず,両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,全体の語調・語感が近似し,互いに聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。

また,外観についてみても,両商標は,看者に強い印象を与える語頭から始まる3文字までの綴り字を同じくし,わずかに語尾における「S」の文字の有無の差異を有するにすぎないものであるから,外観においても紛らわしさを否定できないものである。更に,観念の点については,両商標は,親しまれた成語とは認められないものであるから,少なくとも,両商標を観念の点から峻別して認識し得るとする要素はないものといわなければならない。

(2)指定商品の類否について

(ア)本件商標は,第9類及び第28類の前記した商品を指定商品とするものであるところ,指定商品中の第9類「スロットマシン」は,「遊戯用器具」の概念に属する商品であり(商標法施行規則別表の第28類「遊戯用器具」における例示商品を参照),指定商品中の第28類「遊戯用器具」は,商標法施行規則別表の第28類「遊戯用器具」の概念をそのまま指定したものである。

また,指定商品中の第9類「スロットマシン・パチスロマシン用特賞回数・特賞確率変動数表示装置(回胴式遊技機及びその部品又は附属品に属するものに限る。)」及び第28類「パチンコマシン用特賞回数・特賞確率変動数表示装置(パチンコ器具及びその部品又は附属品に属するものに限る。)」は,スロットマシンやパチスロマシンあるいはパチンコマシンに用いられるそれらの機器専用の特賞回数や特賞確率変動数の表示装置というべきものであるから,いずれも,それら本体の機器が属する「遊戯用器具」の概念に属するものと認められる。

そうとすれば,これらの商品は,いずれも,引用商標3及び引用商標4の指定商品中の第28類「遊戯用器具」と同一または類似する商品と認められるものである。

(イ)また,指定商品中の第9類「スロットマシン・パチスロマシン用表示灯・照明灯・警報灯(回胴式遊技機及びその部品又は附属品に属するものに限る。)」及び第28類「パチンコマシン用表示灯・照明灯・警報灯(パチンコ器具及びその部品又は附属品に属するものに限る。)」は,「〜用」の表示及び括弧書きをもって商品が限定されているところ,この限定により,該商品が「回胴式遊技機」あるいは「パチンコ器具」の専用の表示灯・照明灯・警報灯といえるものであるならば,これらの商品は,それら本体の機器が属する「遊戯用器具」の概念に属するものと解される。

そうとすれば,これらの商品は,いずれも,引用商標3及び引用商標4の指定商品中の第28類「遊戯用器具」に類似する商品と認められるものである。

なお,「〜用」の表示及び括弧書きにより限定されているとしても,例えば,「照明灯」などは一般的にはかなり汎用性の強い商品と解されることから,「回胴式遊技機」あるいは「パチンコ器具」の専用の部品又は附属品として「遊戯用器具」の概念に属する商品として捉えることが必ずしも適切とはいえないと解される場合も否定できないが,その場合には,汎用性のある照明灯などは,照明用器具として,商標法施行規則別表の第11類「電球類及び照明用器具」の概念に属するものとみるのが相当である。

この場合には,これらの商品は,引用商標1及び引用商標2の指定商品中の第11類「電球類及び照明用器具」に類似する商品と認められるものである。

(3)してみれば,本件商標と引用各商標とは,称呼において類似し,外観においても相紛らわしい類似の商標であり,かつ,本件商標の指定商品は,引用各商標の指定商品中に包含されているものである。

この点について,被請求人は,商標の類否や商品の類否を含め,何ら答弁するところがない。

(4)まとめ

以上のとおり,本件商標は,引用商標1ないし3との関係においては,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであり,また,引用商標4との関係においては,同法第8条第1項の規定に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効にすべきものである。

よって,結論のとおり審決する。

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