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Trademark Appeal Case

称呼・観念の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−31918(T2008−31918/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第29類「加工野菜及び加工果実,乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと,ふりかけ,豆乳」及び第30類「調味料,香辛料,穀物の加工品,サンドイッチ,しゅうまい,菓子及びパン」を指定商品として、平成20年3月14日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『すぐれていること』の意味を有し、商品に使用した場合には、商品の品質が優れていることを表すものと認められる『優』の文字を多少デザイン化してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に、商品の品質、等級を表示するにすぎないものと認められる。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋(要旨)

当審において、平成21年4月15日付け審尋をもって、本願商標は、本願に係る同20年10月1日付け拒絶理由通知に引用した登録商標と類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当する旨をあらためて通知し、相当の期間を指定して請求人に意見又は反論の機会を与えたものである。

(1)引用商標

(ア)登録第2472414号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成1年11月24日登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年10月30日に設定登録されたものである。その後、同14年6月11日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同年12月18日に指定商品を第29類、第30類及び第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。

(イ)登録第2487095号商標は、別掲3のとおりの構成からなり、平成1年11月24日登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年12月25日に設定登録されたものである。その後、同14年7月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに、同年12月18日に指定商品を第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がなされたものである。

((ア)及び(イ)の商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。また、これらをまとめて、以下「引用商標」という。)

(2)本願商標と引用商標との類否について

本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、構成文字に相応して「ユウ」の称呼を生じ、かつ、「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念を生じるものである。

他方、引用商標は、別掲2及び3の構成からなるところ、図形部分と文字部分とは、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、その文字部分中、「優」の文字は、顕著に大きく表されていることから、これに接する取引者、需要者は、該文字部分に強く印象を留め、該文字部分から生ずる「ユウ」の称呼及び「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念をもって、取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。

そうすると、本願商標と引用商標とは、外観においては相違するとしても、「ユウ」の称呼及び「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念を共通にする類似の商標といわざるを得ず、また、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

4 審尋に対する請求人の回答(要旨)

本願商標は「優」の一文字からなり、「ユウ、マサル」の称呼を生じ、そのデザインに特徴を有するものである。一方、引用商標は、「アジノルネッサンスユウ」、「アジノルネッサンス」及び「ユウ」の称呼が生じ、観念においては、例えば「花の図形及びAji no Renaissanceの文字を結合した優の文字」及び「柔らかい・優美な・やさしい印象を思わせるデザイン化を施された優の文字」等を想起させる。本願商標と引用商標とは、「ユウ」の称呼を共通にし、「優」という漢字をともに有していても、総合的に見て、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号について

本願商標は、別掲1のとおり、「優」の文字を筆文字風に書してなるところ、該文字の態様は、普通に用いられる方法で表示されているとはいい難く、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を表示するとは認められない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第11号について

(ア)本願商標と引用商標の類否について

本願商標は、別掲1のとおり、「優」の文字を筆文字風に書してなるところ、該文字の態様は、請求人も自認するとおり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、構成文字に相応して「ユウ」の称呼を生じ、かつ、「やさしいこと。しとやかなこと。」(「広辞苑第五版」)の観念を生じるものである。

他方、引用商標は、別掲2及び3のとおり、「優」の文字を表し、その文字の上方に該文字に比べて極めて小さく「Aji no」及び「Renaissance」の欧文字を二段に配し、さらに、その欧文字の右側に、花を模したと思しき図形を、「優」の文字の一部に隣接するように表した構成からなるところ、図形部分と文字部分とは視覚上分離して認識されるばかりでなく、これらを観念上常に一体不可分のものとしてのみ観察しなければならない特段の事情をも見出し得ないものであるから、該図形部分と該文字部分とは、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。

そして、文字部分をみると、これから生じる「アジノルネッサンスユウ」の称呼は、極めて冗長であることに加えて、全体として特定の観念を生じない上に、その構成中、「優」の文字は、顕著に大きく表されていることからすれば、これに接する取引者、需要者は、「優」の文字部分に強く印象を留め、該文字部分から生じる「ユウ」の称呼及び「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念をもって、取引に当たる場合も決して少なくないというべきである。

そうとすると、引用商標は、請求人も自認するとおり、「ユウ」の称呼を生じ、かつ、「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念を生じるものである。

してみれば、本願商標と引用商標とは、外観においては相違するとしても、「ユウ」の称呼及び「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念を共通にする類似の商標というべきであり、また、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。

したがって、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、引用商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当すると判断するのが相当である。

(イ)請求人の主張について

請求人は、「引用商標から生ずる『ユウ』の称呼と、本願商標から生ずる『ユウ』の称呼とは同一で、それがいずれも『優』なる漢字から生じている点は、出願人の同意するところである。しかしながら、引用商標中の『優』の文字は、図形を結合し、さらに英文字を配置するという構成を有しているため、引用商標の外観は、本願商標の外観とは異なる。また、観念においても、両者は例えば『花の図形及びAji no Renaissanceの文字を結合した優の文字』及び『柔らかい・優美な・やさしい印象を思わせるデザイン化を施された優の文字』等を想起させ、互いに類似しない。よって、本願商標と引用商標とは、『ユウ』の称呼を共通にし、『優』の漢字を有していても、総合的にみて、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。」旨主張する。

しかしながら、本願商標は、筆文字風のデザインが施されているとしても「優」の文字から「やさしいこと。しとやかなこと。」の観念が生じること前記のとおりであり、また、引用商標が、欧文字、花を模したと思しき図形及び「優」の文字から構成されているとしても、それらが観念的に常に融合して、「やさしいこと。しとやかなこと。」とは別異の、独自の印象や観念を看取させることを裏付ける具体的な証左が何ら見当たらないことからすれば、本願商標と引用商標とは、観念において類似しないということはできない。

そうとすれば、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にするものでありながら、外観が相違することによって、これらの共通点を凌駕し、両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所について混同を生じさせるおそれがないとは、到底いい難いものである。

また、請求人は、「『優』の文字を有する自己の登録商標と、引用商標とが、ともに登録されて並存していること、『優』の文字を標準文字で表した自己の出願に係る商標が識別力なしと判断されたこと、『優』の文字からなる他人の出願に係る商標が、当庁において商標法第3条第1項第3号に該当すると判断されたことなどを例に挙げ、『優』の文字は識別力が弱く、該文字を有する引用商標が登録されたのは、図形と文字とを一体的に観察するべき特段の事情があるというのが相当である。」旨主張する。

しかしながら、商標の類否の判断においては、対比させる商標の外観、称呼及び観念等を総合的に判断して決すべきものであり、また、出願された商標が識別力を有するか否かの判断においては、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであるから、請求人保有の登録商標と引用商標とが並存して登録されていることや、請求人が挙げた審査例を理由に、「優」の文字は一律に識別力が弱いということにはならない。

そして、別掲2及び3のとおり、引用商標中の「優」の文字は、欧文字及び図形に比べて、その構成中に圧倒的な大きさで書されているものであり、これに接する取引者、需要者が、このように大きく読みやすく、かつ、記憶しやすい一文字の漢字「優」に着目することは疑いの余地がないばかりでなく、このような構成からなる「優」の文字が、直ちに商品の品質等を表しているものと理解されるとは極めて少ないというべきであり、さらに、請求人自信も引用商標から「ユウ」の称呼を生じることを認めていることからすれ

ば、引用商標中の「優」の文字は識別力を有し、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、当該文字は識別力が弱く、引用商標を一体的に観察するべき特段の事情があるとは、到底認めることはできない。

そうとすれば、請求人のいずれの主張も採用することはできない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

しかしながら、本願商標は、同法第4条第1項第11号に該当することから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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