結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−301339(T2008−301339/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4879676号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成16年10月25日に登録出願、第9類「デジタルカメラ」を指定商品として、同17年7月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
請求人の調査によれば、本件商標は、その指定商品「デジタルカメラ」について継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。
また、本件商標は、その商標登録原簿より明らかなように、平成20年10月8日現在、「デジタルカメラ」に対する他人への専用使用権の設定も通常使用権の許諾も登録されていない。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を使用した事実がないことは明白であるから、本件商標の登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証(提出された証拠は、「甲号証」として表記されているが、以下、「乙号証」という。)を提出している。
被請求人は、デジタルカメラの商品化を見据え、商品名を「DIGI−PACK」とし、特許出願直後より、カメラメーカーや精密部品メーカーにデジタルカメラの商品化の提案を行った。そのため、「DIGI−PACK」については、指定商品を「第9類 デジタルカメラ」として平成16年10月25日に商標登録出願し、平成17年7月15日に登録された。
様々なメーカーに打診を行う中で、平成17年中旬に富士写真フイルム株式会社にコンタクトをとり、平成17年9月20日、担当者に商品説明を行う機会を得た。
当日は、本件商標を付したデジタルカメラ「DIGI−PACK」の模型を持ち込み、デジタルカメラの特徴について簡単に紹介した「DIGI−PACK」のパンフレットに基づいて機能等の説明を行い、担当者からは社内で商品化の可否について検討する旨の回答を得た。その後、平成17年12月12日に、類似先行技術およびコストの関係から検討を留保する旨の回答書(乙第2号証)が封書(乙第3号証)にて被請求人へ送付された。
しかし、担当者によれば、会社上層部は興味を示していたとのことであったため、被請求人代表取締役の橋本はその後も数回、電話等で連絡をとっている(但し、証拠として提出できる書面等はなし)。
平成17年12月12日付の回答書の1行目にもあるように、被請求人がメーカー各社に商品化を提案していたデジタルカメラは「DIGI−PACK」として認識されており、少なくとも本件審判の請求の登録日(平成20年11月5日)前3年以内に、被請求人が、日本国内において、登録商標を使用していたことは明らかである。
したがって、本件審判請求の理由における、指定商品について継続して3年以上日本国内において本件商標が使用されていない、とする請求人の請求はこれを否認するものである。
なお、当然のことながら、上記の本件商標使用の事実は、前記デジタルカメラの特許性の有無に係る判断とは全く無関係であり、たとえ、前記デジタルカメラの特許出願が拒絶査定を受けることとなったとしても、本件商標使用の事実が覆されるものではない。
(1)乙第1号証は、特許出願公開番号が特開2006−121635号の公開特許公報の写し(公開日:平成18年5月11日)であり、出願人は被請求人「有限会社ユニット」、発明者は「橋本 裕一郎」、出願番号は「特願2004−336625号」、出願日は平成16年10月25日(2004.10.25)、発明の名称は「デジタルカメラ」である。
(2)乙第2号証は、2005年(平成17年)12月12日付けの富士写真フイルム株式会社の担当者から「橋本 裕一郎」宛の書面であり、デジタルカメラの商品化に関して、「9月20日にご提案いただきました『DIGI−PACK』につきまして、その後社内関連部門(電子映像事業部)の商品企画マネージャーに説明し、商品化の可能性について検討させました。・・・」という文言より始まり、最終的には「ご要望にお応えできず、誠に申し訳ありませんが、上記のような検討結果でございます。・・・お預かりいたしました『特許願』はそのまま返却さしあげ、弊社では一切写しを残しておりませんことを付記させていただきます。・・・」という旨の回答がなされている。
(3)乙第3号証は、富士写真フイルム株式会社のお客様コミュニケーションセンターから「モトマン株式会社」の「代表取締役 橋本 裕一郎」宛の封書の表の写しであり、郵便料金計器による証紙には、「麻布(AZABU)」及び「11.12.05」の日付け(郵便窓口への提出日)が認められる。
また、被請求人は、富士写真フイルム株式会社へ自身の前記特許出願に係るデジタルカメラ(DIGI−PACK)について、平成17年9月20日に商品の製品化について提案をし、結果として、富士写真フイルム株式会社から「要望には応じられない」旨の回答を2005年(平成17年)12月12日付けの書面にて受けていることが認められる。
してみれば、本件商標の使用に関しては、乙第2号証の富士写真フイルム株式会社からの連絡文書中に「DIGI−PACK」の文字が見られるものの、被請求人は、これ以外に本件商標「DIGI−PACK」を表示した商品「デジタルカメラ」を製造、販売していることを証する注文書、納品書、収支報告書などの取引書類等及び本件商標を使用した商品についての広告を行ったという具体的証拠は何ら提出していないものである。
(1)上記における「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力、放火、破壊等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために使用をすることができなかったような場合をいうものと解される(東京高裁平成7年(行ケ)第124号、平成8年11月26日判決及び知財高裁平成19年(行ケ)第10227号、平成19年11月29日判決参照)。そして、商標権者等において商標の使用の準備を進めていたにもかかわらず、商標権者等の責めに帰することのできない特別の事情により現実の使用に至らなかったなどの事実関係が、具体的に主張立証されているのであれば格別、単に商標の使用の準備が進められていたという事実のみから、上記正当な理由を認めることはできないというべきである(東京高裁平成14年(行ケ)第50号、平成14年9月20日判決参照)。
(2)これを本件についてみるに、被請求人は、答弁書において「デジタルカメラの商品化提案を、富士写真フイルム株式会社への打診の後も継続していたが、前記回答書において先行類似技術の存在が提示されたこともあり、平成19年10月22日に前記デジタルカメラの出願審査請求を行い、特許の可否に係る判断を待って、特許査定の後に再度、商品化を推進しようとした。」と述べるにすぎないものである。
そして、被請求人は、本件商標を「デジタルカメラ」に使用するための具体的準備が進められていること等を立証する証拠については何ら提出していない。
そうとすれば、被請求人は、自身の特許出願に関し、出願審査請求を行い、特許の可否に係る判断を待って、特許査定の後に再度、商品化を推進しようとしたわけであるから、この間具体的な事業計画や商標使用の計画が何ら示されていない以上、本件商標の使用をするために具体的な準備を進めていたものとはいい難い。
ましてや、自身の特許出願に関し、特許査定の後に再度、商品化を推進しようとしたとの理由のみでは商標の不使用についての正当な理由に当たるとはいえないし、これは専ら被請求人自身の自己都合というべきであって、天災地変や法令による禁止等の不可抗力に起因するものではなく、被請求人の責めに帰することのできない事由とは認められない。
したがって、被請求人の主張する理由は、商標法第50条第2項ただし書きにいう「正当な理由」に該当するものとは認められない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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