結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300544(T2008−300544/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4682131号商標(以下「本件商標」という。)は、「ビーエス−アイ」及び「BS−i」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成11年3月26日に登録出願、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第40類、第41類及び第42類に属する後記1に示す役務を指定役務として、平成15年6月13日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定役務中の後記2に示す指定役務についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、被請求人、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、後記2記載の指定役務について使用された事実がない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づいて、後記2記載の指定役務は、その登録を取消されるべきものである。
(2)弁駁
ア 被請求人は、被請求人の会社概要(乙第17号証)において、被請求人の事業として「テレビジョン放送による広告」があると主張しているが、当該証拠における事業内容において「テレビジョン放送による広告」の記述は無く、被請求人の主張は無効である。
すなわち、乙第17号証において記載されている被請求人の事業内容は、「放送衛星を利用する委託放送事業」「各種放送番組の企画、製作および販売」及び「映像、音声、文字などによる各種ソフトの企画、製作、複製および販売並びにこれらのソフトの放送・通信などの情報サービスの提供他」とあり、「テレビジョン放送による広告」といった「広告」に係る事業は記載されていない。
そうとすると、事業の内容として記載されていないにもかかわらず、被請求人が「テレビジョン放送による広告」を事業として実施しているとの主張は認めることはできない。
ちなみに、例えば、日本標準産業分類(甲第3号証)においては、被請求人の上記事業は「大分類G−情報通信業:中分類38−放送業」に分類されるものであって、「大分類L−学術研究、専門・技術サービス業:中分類73−広告業」に属する「テレビジョン放送による広告」に係る業務とは明らかに別異の事業として分類されており、被請求人が事業として「テレビジョン放送による広告」を実施しているのであれば、当然に会社概要においてもその旨が記載されてしかるべきものである。
イ 商品及び役務の区分第35類の「広告」には「テレビジョン放送による広告」が含まれることは認めるが、上記アにおいて述べたように、被請求人が事業として「テレビジョン放送による広告」を実施していることが認められない以上、「被請求人(商標権者)は、第35類『広告』中『テレビジョン放送による広告』について少なくとも使用している。」との主張は、無効であり認めることができない。
ウ 被請求人は、「テレビ局の広告について」の項において、一般的なテレビジョン広告の流れを説明するとともに、当該説明の中で料金表、セールスシート、放送確認書及び請求書にビーエス・アイの登録商標が使用されていると主張するとともに乙第6号証ないし同第12号証を提出しているが、これらの被請求人の主張及び証拠は、成り立たない。
なお、答弁書の「テレビ局の広告について」に関する主たる説明は不知。
(ア)被請求人は、「CM放送料金表」を乙第2号証ないし同第5号証として提出し、それぞれの左上に図案化された「BS−i」商標の記載があることから、「テレビジョン放送による広告」について本件商標を使用している旨主張し立証している。
確かに、当該乙各号証中に「BS−i」の文字が記載されていることは認められるが、これらの「CM放送料金表」が被請求人の業務に係るものであることを証明する主張及び証拠の提出はなく、また、これらの書類が業務上実際に使用されたものであることを証明する主張及び立証もされてはいない。
してみると、当該各証拠が被請求人に係るものであって、かつ、それらが被請求人よって業務上使用されたものと認めることはできない。
さらに、使用に係る商標は、自他役務を識別する標識として使用されるものであるから、商標としての機能(自他役務識別機能)を果たす使用、すなわち「商標としての使用」でなければならないところ(甲第4号証)、これら「CM放送料金表」中の「BS−i」の表示は、当該料金表中の装飾的意味合いで表示されたものであって、付記的な表示として認識されるに止まるものであるから、当該料金表に係る役務の提供者を表示したものとは認められない。
(イ)被請求人は、「SALES SHEET」と称する書面(乙第6号証)を提出し、当該書類の右上及び表紙下部に図案化された「BS−i」商標が表示されている旨主張している。
しかし、当該「SALES SHEET」が被請求人に係るものであることを証明する主張及び立証はされておらず、また、これらの書類が業務上実際に使用されたものであることを証明する主張及び立証もされてはいない。
また、当該書面の各頁の右上に書面の全体からみると小さな構成で「BS−i」及び「SALES」の文字が四角枠内に表示されているが、この表示は当該書面の装飾的意味合いで表示されたものであって、付記的に表示されているに止まるものであるから、当該書面に係る役務の提供者を表示したものとは認められない。
そうとすると、使用に係る商標は、自他役務を識別する標識として使用されるものであるから「商標としての使用」でなければならないところ(甲第4号証)、当該「BS−i」の文字が商標としての自他役務識別のための機能を有する使用態様で使用されているものとは認められない。
さらに、乙第6号証から判断する限り、その表紙下部に記載された「BS−i」の表示は、その表された状況を客観的にみて、恰も事後的に記載されたものではないかとの疑義が生じても致し方ない程の不自然な表示であって、当該表示をもって、本件商標が当該「SALES SHEET」と称する書面に適法に使用されたものと認めることはできない。
(ウ)被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証として、「放送申込書」を提出しているが、いずれもテレビ放送に係る申し込みであって、当該証拠が「テレビジョン放送による広告」に係る放送の申込書であることは認められないし、また広告主名の記載は認められるものの、テレビジョンを通じて放送されるべき広告の具体的な内容も何等示されておらず、これらの証拠をもって、「テレビジョン放送による広告」の申し込みがなされたものと認めることはできない。
また、これらの証拠は本件商標の使用に係るものではないことから、これらの証拠に関しては不知。
(エ)被請求人は、「テレビ番組CM放送確認書写」と称する書面(乙第9号証及び同第10号証)を提出し、それぞれの書類の左下に図案化された「BS−i」商標が表示されている旨主張している。
しかし、これらの「BS−i」の表示は、当該「テレビ番組CM放送確認書」の装飾的意味合いで表示されたものであって、付記的な表示として認識されるに止まるものであるから、当該確認書に係る役務の提供者を表示したものとは認められない。
また、被請求人は、「テレビ放送料金請求書写」と称する書面(乙第11号証及び同第12号証)を提出し、それぞれの書類の左下に図案化された「BS−i商標が表示されている旨主張している。
しかし、これらの「BS−i」の表示は、当該「テレビ放送料金請求書」の装飾的意味合いで表示されたものであって、付記的な表示として認識されるに止まるものであるから、当該請求書に係る役務の提供者を表示したものとは認められない。
そうとすると、使用に係る商標は、自他役務を識別する標識として使用されるものであるから「商標としての使用」でなければならないところ(甲第4号証)、当該「BS−i」の文字が商標としての自他役務識別のための機能を有する使用態様で使用されているものとは認められないので、当該表示をもって本件商標を使用しているとの主張及び立証は成り立たない。
(オ)被請求人は、「オンエアー(2)」として、CM放送画面の一部に図案化された「BS−i」商標が表示されている旨を主張し、乙第13号証並びに乙第14号証ないし同第16号証を提出している。
しかし、乙第13号証においては、放送画面上に表示された「BS−i」の白抜き文字(不鮮明ではあるが、「BS−i」と推認可能。)が表示されていることは認められるものの、当該表示は画面上の商品ヨーグルトとの関連で使用された標章であるとするのが自然であって、当該表示をもって被請求人が本件商標を業務上「テレビジョン放送による広告」として表示しているものと認識することは、被請求人の主張及び乙第14号証ないし同第16号証からは認めることができない。
エ 本件商標と乙各号証に表示された標章とは、外観上明らかな差異を有するものであるにもかかわらず、乙各号証に記載された図案化された「BS−i」商標と本件商標とが社会通念上同一と認められる商標といえる理由について、被請求人は何等の説明もしておらず、ただ結論として「社会通念上同一と認められる」と主張しているのみであって、到底、当該主張を認めることはできない。
むしろ、本件商標は、ゴシック書体にて表記された片仮名文字「ビーエスアイ」と同欧文字「BS−i」とを二段に書してなるものであるところ(甲第2号証)、当該欧文字の発音を片仮名文字にて表記した場合、「ビーエスハイフンアイ」と表示するのが自然であって、一方、本件商標中の片仮名文字は「ビーエスアイ」であることから、当該片仮名文字は同欧文字部分「BS−i」の発音を表記したものであるとは認めるべきではない。したがって、本件商標を構成する両文字はそれぞれ関連性を有しないものと捉えるべきである。
そうとすると、登録商標の使用とは、登録されている商標の構成・書体及び態様をもって使用されなければ、本来登録商標の使用とは認められないところ、被請求人の提出した乙各号証に表示された標章「BS−i」の使用のみをもって本件商標の使用と認めることは、登録商標の使用の適切な使用とは認められないばかりか、商標法第50条第1項に規定する「社会通念上同一と認められる商標」に該当するものとも認められない。
ましてや、乙各号証中に表示された標章「BS−i」は、図案化された文字構成・態様からなる点に需要者の注意を引く特徴及び印象を有することから、当該標章の使用のみをもって、ゴシック書体にて表記された片仮名文字と欧文字の二段で構成される本件商標とは、明らかに相違するものであって、このような使用方法を社会通念上同一の商標の使用であると認めることは、同法第50条第1項における「社会通念上同一と認められる商標」の規定の立法趣旨及び解釈並びに運用を拡大するものであって不適切といわざるを得ない。
オ 乙各号証は、「CM放送料金表」、「SALES SHEET」、「テレビ番組CM放送確認書」、「テレビ放送料金請求書」等の取引書類のみであって、しかもそれらの書類に表示された標章は、自他役務を識別するための「商標としての使用」とは認められない付記的な表示に止まるものであるばかりか、それらの表示も本件商標とはその構成及び態様を異にするものであって、「社会通念上同一」と認めることはできないものであるから、被請求人の上記主張及び立証は、本件商標が「テレビジョン放送による広告」について使用されているものとは認められない。
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第17号証を提出した。
(1)第35類「広告」の使用について
ア 被請求人は、放送衛星を利用するテレビジョン放送事業、放送番組の企画製作及び販売等を事業とする会社である(乙第17号証)。その事業には、「テレビジョン放送による広告」がある。
イ 本件審判請求の役務中、被請求人(商標権者)は、第35類「広告」中「テレビジョン放送による広告」について少なくも使用している。
第35類「広告」中に「テレビジョン放送による広告」が含まれることは、例えば、商標登録第4767911号において、第35類「テレビジョン放送・ケーブルテレビジョン放送・ラジオ放送・オンライン放送による広告及びプロモーション,その他の広告」との役務指定されていることからも明らかである(乙第1号証)。
ウ テレビ局の広告について
テレビジョン広告の流れ図(参考資料1)に従い、テレビ局の広告の仕方及び各段階における商標の使用について説明する。
テレビ局の場合は、放送(時間)に商品価値を設け、広告主(スポンサー)がその商品である時間に対価を支払い、視聴者(消費者)からは直接対価を受け取っていない。これは大勢の視聴者が一度に接触するという、マスをターゲットにしたテレビの特性を生かしたものである。この特性は、視聴者(消費者)がコマーシャルを視聴して企業や商品を認知し、購買行動を起こすための媒体価値として活用できることから、広告主(スポンサー)はその対価として広告料金をテレビ局に支払う。そして、テレビ局は直接広告主(スポンサー)と取引するのではなく、間に広告代理店が入る。
(ア)まず、次期シーズンの番組編成が決定すると、編成表に基づき放送(時間)ごとにCM料金が決まる。
乙第2号証ないし同第5号証は、過去2年間のCM料金表である。CM料金表は、価格表であり、その左上には、図案化されたBSi商標の記載がある。
(イ)広告代理店と共に編成内容を広告主(スポンサー)に説明をし、企業や商品に対してどの時間枠がターゲットに対して効果的なのか、検討をする。
そして、効果的な時間枠が決まると、その時間の個別番組の内容の検討となる。そのとき、SALES SHEETが使用される(乙第6号証)。乙第6号証は、2007年4月の使用に係るもので、右上及び表紙下部に図案化されたBSi商標が表示される。最終頁に、CM料金表の月額が記載されている。
(ウ)広告主(スポンサー)が決定すると広告代理店を通じてテレビ局に対して放送申込書による放送申込みがある(乙第7号証及び乙第8号証)。これは通常取引の発注書に該当する。
これらの資料には、件名「榊原・嶌のグローバルナビ」放送料、放送時間が2007/04/01〜04/28であること、広告主名:株式会社大和証券グループ本社であること(乙第7号証)、広告主名:電源開発株式会社であること(乙第8号証)についての記載がある。
(エ)申込後は、CMの制作に入り、期日までにテレビ局へCMが納品される。
(オ)オンエアー
(カ)オンエアー終了後は、テレビCMが間違いなく放送されたことをテレビ放送番組確認書として広告代理店及び広告主(スポンサー)宛に発行する(乙第9号証及び乙第10号証)。左下に、図案化されたBSi商標が付される。
(キ)最後に請求書が広告代理店に発行される(乙第11号証及び乙第12号証)。左下に、図案化されたBSi商標が付される。
(ク)以上が一般的なテレビジョン広告の流れであり、料金表やセールスシート、放送確認書、請求書にビーエス・アイの登録商標が使用されている。
(ケ)オンエアー(2)
また、通常のCMではビーエス・アイの文字やロゴを放送画面に表示しないが、一部インフォマーシャル(インフォメーションとコマーシャルを合成した造語)と呼ばれる長尺広告で「BS−i」が表示されていたものがある。
グリコ乳業株式会社のヨーグルトCM「グリコ おいしいカスピ海」では、画面右上に図案化されたBSi商標が表示される(乙第13号証)。同番組は、放送時間2007/10/03〜10/27 広告主名:グリコ乳業株式会社による(乙第14号証ないし乙第16号証)。
(2)図案化されたBSi商標と本件商標との関係
本件商標は、上記の態様からなり、取引書類に付される図案化されたBSi商標は、乙各号証に記載のとおりであるから、社会通念上同一と認められる商標といえる(商標法50条1項括弧書)。
(3)したがって、本件審判請求の役務中、商標権者は、第35類「広告」中「テレビジョン放送による広告」について本件商標を使用している。
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 「CM放送料金表 2006年4月〜」(乙第2号証)、「2007年4月期 CM料金表」(乙第3号証)、「2007年10月〜 CM料金表」(乙第4号証)及び「2008年1月〜 CM料金表」(乙第5号証)の上段の左上に、いずれも、別掲に示した標章の相似形となる標章が表示されている。そして、「2007年4月期 CM料金表」のCM料金表中には、番組名として、土曜日の8時枠に「グローバルナビ」、21時枠に「グローバルナビ(再)」が表示されているのが認められる。
イ 乙第7号証は、株式会社電通(以下「電通」という。)から被請求人に対する2007年4月27日付け放送申込書であり、広告主を「株式会社大和証券グループ本社(以下「大和証券グループ本社」という。)」とし、番組名「榊原・蔦のグローバルナビ」について、放送日を4月1日から4月28日の間の土曜日21時から21時54分とし、放送料が記載されている。
乙第8号証は、電通から被請求人に対する2007年4月25日付け放送申込書であり、広告主を「電源開発株式会社(以下「電源開発」という。)」とし、番組名「榊原・蔦のグローバルナビ」について、放送日を4月7日から4月28日の間の土曜日8時30分から9時30分とし、放送料が記載されている。
ウ 被請求人から大和証券グループ本社及び電通宛の2007年5月1日発行の「テレビ番組CM放送確認書(控)」(乙第9号証)では、2007年4月分として、番組名「榊原・蔦のグローバルナビ(再)」、放送日4月7日、同14日、同21日、同28日の21時から21時54分の放送時刻において、一日あたり4回各30秒づつのCM放送をした旨の報告がされている。
また、被請求人から電源開発及び電通宛の2007年5月1日発行の「テレビ番組CM放送確認書(控)」(乙第10号証)では、2007年4月分として、番組名「榊原・蔦のグローバルナビ」、放送日4月7日、同14日、同21日、同28日の8時30分から9時24分の放送時刻において、一日あたり2回各30秒づつのCM放送をした旨の報告がされている。そして、これらCM放送確認書の左下には、いずれも、別掲に示した標章の相似形となる標章が表示されている。
エ 2007年4月30日付けの被請求人から電通宛のテレビ放送料金請求書(乙第11号証)によれば、「広告主 件名」欄に「株式会社大和証券グループ本社 榊原・蔦のグローバルナビ」として、2007年4月分のCM放送料の請求がされている。また、同日付けの被請求人から電通宛のテレビ放送料金請求書(乙第12号証)によれば、「広告主 件名」欄に「電源開発株式会社 榊原・蔦のグローバルナビ」として、2007年4月分のCM放送料の請求がされている。そして、これら請求書の左下には、いずれも、別掲に示した標章の相似形となる標章が表示されている。
オ 乙第14号証は、電通から被請求人に対する2007年10月24日付け放送申込書であり、広告主を「グリコ乳業株式会社(以下「グリコ乳業」という。)」とし、番組名「あこがれの朝」について、放送日を10月3日から10月27日の間の水木金土の22時54分から23時とし、放送料が記載されている。
そして、被請求人からグリコ乳業及び電通宛の2007年11月1日発行の「テレビ番組CM放送確認書(控)」(乙第15号証)では、放送日10月3日等において放送された旨の報告がされ、2007年10月31日付けの被請求人から電通宛のテレビ放送料金請求書(乙第16号証)によれば、「広告主 件名」欄に「グリコ乳業株式会社 あこがれの朝」として、放送料の請求がされている。そして、これら放送確認書及び請求書の左下には、いずれも、別掲に示した標章の相似形となる標章が表示されている。
また、前記「あこがれの朝」でされたCM放送を写したと思われる画面(乙第13号証)右上には、やや不鮮明ながら、別掲に示した標章の相似形となる標章が表示されている。
(2)上記(1)アないしオによれば、被請求人は、依頼者から申込みを受けるに際して、番組やCM料金の説明に供するため、別掲に示したと同様の標章が表示された書類(CM放送料金表)を用い、広告代理店である電通を通じて、広告主から放送番組「榊原・蔦のグローバルナビ」あるいは「あこがれの朝」の放送時間枠内でCM放送をする依頼を受けたこと、また、別掲に示したと同様の標章が表示された取引書類をもって、被請求人から広告主(電源開発、大和証券グループ本社及びグリコ乳業)及び広告代理店(電通)に対して前記テレビCMが行われた旨の報告をしたこと、同様の標章が表示された書類をもって、被請求人から代理店を通して、広告主へのCM代金の請求を行ったことが、推認され得るものである。
そして、前記(1)の書類の日付は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内の時期に当たるものと認められる。
なお、「SALES SHEET」(乙第6号証)は、「榊原・蔦のグローバルナビ」「2007年4月」との表示があるが、番組料金頁にある放送日時は、生放送日時についてはともかく、再放送を毎週日曜日22時から22時54分としており、2007年4月期のCM料金表(乙第3号証)等の証拠と一致していないから、乙第6号証の存在については疑義が否定できないものの、提出された他の証拠によって、上記のとおり認定できる。
(3)本件商標は、「ビーエス−アイ」及び「BS−i」を二段に表してなるものであるところ、上段の「ビーエス−アイ」部分が下段の「BS−i」部分の表音とみて自然なものであるから、「ビーエスハイフンアイ」の称呼、あるいは、その仮名文字に相応して「ビーエスアイ」の称呼が生じるというのが相当である。そして、上下段のいずれの部分も特定の意味合いを表すことのない文字からなると認められるものである。
一方、前記(1)において取引書類等に表示された標章は、別掲に示した標章の相似形となる標章であり、図案化されてはいるけれども、「B」「S」「−」「i」と容易に看取される各文字及び記号を一連に表した構成及び態様のものと認められるから、本件商標の下段部分と同じ構成であり、欧文字部分に相応して「ビーエスハイフンアイ」あるいは「ビーエスアイ」の称呼を生じるものである。
しかして、使用に係る商標は、外観において異なるとはいえ、本件商標の欧文字及び記号部分と同一の構成であり、その称呼を共通にするものであって、かつ、観念上の変動を伴うものではないから、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されたものというべきである。
なお、請求人は、本件商標について、その片仮名文字は欧文字の発音表記と認めるべきでなく、両文字はそれぞれ関連性を有しないものと捉えるべきである旨主張するが、前記のとおり、片仮名文字の間に「−」を介した構成の「ビーエス−アイ」が欧文字の発音表記とみて自然であって、仮名文字を表していない使用商標が、本件商標の識別性の上で重要な部分を欠くものであるとまでいうことはできない。さらに、請求人は、上記の取引書類等に表示された標章について、装飾的意味合いで表示されたものであって、付記的な表示に止まる旨主張するが、これらが装飾的意味合いで表示されたものであることを首肯し得る理由はみいだせず、むしろ、当該標章は、自他役務の
識別標識としての機能を充分に果たし得る態様での表示というべきものである。
また、前記商標の使用に係る役務は、前記(1)及び(2)よりすれば、テレビジョン放送の時間枠中で、被請求人が依頼者(スポンサー)のため行う「広告」の役務と認め得るものである。
したがって、本件期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標が役務「テレビジョン放送による広告」について取引上現に使用をされたと認めることができるものである。
(4)請求人は、日本標準産業分類を挙げつつ、被請求人の会社概要(乙第17号証)に「広告」に係る事業の記載がない点を理由として、被請求人が「テレビジョン放送による広告」を事業として実施しているとは認められない旨の主張をしている。
しかしながら、テレビジョン放送事業者である被請求人は、放送法(昭和25年法律第132号)にいう一般放送事業者にあたるものと解され、放送番組そのものを提供する事業者であるが、これと同時に、テレビジョン放送の時間枠内において、広告主のためにその依頼を受けて宣伝広告(広告の放送)の労務便益を業として提供しているものとみるのが、取引の実情に照らして相当というべきである(放送法第51条の2参照)。このことは、広告依頼者と放送事業者の間に、いわゆる広告代理店が介在(仲介)する場合においても同様に解されるものである。
しかして、被請求人に係る「会社概要」上の記載は、被請求人の事業の概要(あらまし)を示しているとみられるものであり、その性格上、事業範囲を厳格に規定するものとはいえないうえ、一般放送事業者たるテレビジョン放送事業者の事業が前記のとおり解される以上、当該概要に「テレビジョン放送による広告」の直截的な記載がないことをもって、被請求人には同広告に関しての事業がないと断ずることはできない。
また、日本標準産業分類において、放送業と広告業とが別異の業種として分類されているけれども、当該産業分類が事業者の経済的活動に関する統計上の標準を示すものであることを勘案すれば、被請求人の事業が当該産業分類上仮に「放送業」に分類されるからといって、被請求人が広告に関しての事業を行えないとの当然の帰結を得るものとは到底いえないというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(5)以上のとおり、被請求人提出の証拠によれば、商標権者である被請求人によって、本件審判請求の登録前3年以内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る指定役務中の「テレビジョン放送による広告」について使用をされたと認められるものである。
(6)したがって、本件商標は、取消請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定によって、その登録を取り消すことはできないものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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