sokuhyo

Trademark Appeal Case

不使用取消と取引書類

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−300997(T2008−300997/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4555167号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年10月23日に登録出願、第14類「身飾品」を指定商品として、同14年3月29日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を以下のように述べた。

請求の理由

本件商標は、継続して3年以上、我が国において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用されていない。よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。

1 取引書類に関する登録商標の使用に関する証明

(1)本件商標権者の取引の業態

本件商標権者である長澤孝は、宝飾デザイナーであって、宝石デザイン会社「ジュエリープロジェクト長沢」の主宰者であり、日本ジュエリーデザイナー協会員である。1983年にダイヤモンドデザインコンテストで受賞して以来、数々のコンテストにおいて受賞している。上記「ジュエリープロジェクト長沢」においては、宝石、ネックレス、ペンダント、ブローチ、指輪等のオリジナル商品の開発を行い、仲介業者を介して、デパート、小売店、展示会にオリジナルデザインの上記身飾品を貸し出して委託販売を行ったり、オーダーメードによる宝石、ネックレス、ペンダント、ブローチ、指輪等の注文販売を行っている。その、オリジナルデザインの各種身飾品、及び、関連する取引書類に使用されている登録商標が本件商標「図形+Pomme」である。

(2)商標法2条3項8号について

商標法第2条3項には、「商標の使用」に関する定義が規定されており、同8号には、「商品若しくは役務に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」と規定されている。そして、上記「取引書類」とは、発明協会発行「工業所有権法逐条解説」(第16版)によれば、「9〈取引書類〉注文書、納品書、送り状、出荷案内書、物品領収書、カタログ等である。」(1045ページ)(乙第1号証)の記載がある。この観点から本件商標への指定商品の使用を立証する。

(3)各種取引書類に基づく本件商標の使用の立証

ア 「商品お預け書」(委託販売の際の納品書)への本件商標の使用

(ア)本件商標権者は、乙第2号証に示すとおり、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成19年10月24日付け発行の「商品お預け書」に使用している。この「商品お預け書」の法的性質は、上記のような本件商標権者の業態においては、いわゆる「出荷伝票」又は「納品書」に相当する。

すなわち、本件商標権者が主宰する「ジュエリープロジェクト長沢」が制作したオリジナルデザインの各種宝石を、販売仲介業者である「日栄商事株式会社」に委託して販売を依頼しているものであり、商品としての宝石を日栄商事株式会社に委託(お預け)することの確認のための書類である。日栄商事株式会社はジュエリープロジェクト長沢から委託された宝石を有名デパートである「三越」へ持ち込み、販売を行っているものである。

本書の左上には、宝石の委託販売先である「日栄商事株式会社御中」の記載があり、その直下には、「委託期間(平成)19年10月24日〜19年10月30日」の記載がある。本「商品お預け書」によれば、商品番号H4567552,H4533429,H4574531,H4582479,DB111148Pの5点の宝石(ダイヤモンド)が委託販売に付され、それぞれの「DAIMOND SORTING MEMO」(ダイヤモンド分類メモ)に各種のダイヤモンドの「カラット、カラー、クラリティ、カット」等の宝石のスペックが記載されている。

本件「商品お預け書」によれば、上記5件の分類メモの下方には、各宝石の価格が手書きで記載されている。そして、本件商品の販売委託先である「日栄商事株式会社」側担当者酒井氏による、「10/24 お預かりしました」という旨の覚書が本書の右下方に記載されていることからも、本書により平成19年10月24日に「日栄商事株式会社」あてに頒布されていることが分かる。本件「商品お預け書」には、明確な作成日付の記載はないが、委託販売先の担当者と思われる「酒井氏」による「お預かりしました」旨の記載が10月24日の日付けでなされていることから、本「商品お預け書」は、平成19年10月24日に作成されたものである。

したがって、本件商標と社会通念上同一の商標は、平成19年10月24日に頒布された取引書類に使用され、その結果、商標法2条3項8号に規定する商標の使用行為が行われている。

(イ)同様に、乙3号証に示すように、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成19年10月26日発行の「商品お預け書」に使用している。本「商品お預け書」によれば、リング(指輪)を2点、平成19年10月26日〜11月2日の間、「日栄商事株式会社」に委託販売を依頼していることがわかる。

(ウ)同様に、乙4号証に示すように、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成19年12月14日発行の「商品お預け書」に使用している。本「商品お預け書」により8点の宝石が委託販売に供されている。

(エ)同様に、乙5号証に示すように、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成19年12月20日発行の「商品お預け書」に使用している。本「商品お預け書」により3点の宝石が委託販売に付されている。

(オ)同様に、乙6号証に示すように、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成19年2月12日発行の「商品お預け書」に使用している。本「商品お預け書」により3点の宝石が委託販売に付されている。

(カ)同様に、乙7号証に示すように、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成20年4月23日発行の「商品お預け書」に使用している。本「商品お預け書」によれば、3点の宝石が委託販売に供されている。

(キ)同様に、乙8号証に示すように、本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前である、平成20年7月8日発行の「商品お預け書」に使用している。本「商品お預け書」によれば、4点の宝石が委託販売に供されている。

(ク)乙9号証は、上記のような「商品お預け書」ではなく、コピー機の上に委託販売の対象となる宝石等を載せて直接にコピーしたものである。当該コピー用紙に平成17年10月19日付け作成の「納品書」(乙10号証)を添付して、委託販売先である「小峰」様宛に頒布していることを示す。このコピー用紙および「納品書」からは、各商品である宝石に、平成17年10月19日に「図形+Pomme」が使用されていることが分かる。

(ケ)乙11号証は、同様な手法による商品を示すコピー用紙を示し、乙12号証は、当該コピー用紙に添付された、平成17年11月4日付け作成で、同様に「小峰様」宛てに頒布された「納品書」である。したがって、乙11号証及び乙12号証からは、平成17年11月4日の時点で各商品である「宝石」に「図形+Pomme」が使用されていることが分かる。

(コ)乙13号証は、同様な手法による商品を示すコピー用紙を示し、乙12号証は当該コピー用紙に添付された、平成20年3月19日付け作成の「岩田様」宛てに頒布された「納品書」である。したがって、乙12号証からは、平成17年11月4日の時点で各商品である「宝石」に「図形+Pomme」が使用されていることが分かる。

(サ)乙14号証は、同様な手法による商品を示すコピー用紙を示し、乙12号証は、当該コピー用紙に添付された、平成18年6月29日付け作成の「日栄商事株式会社」あてに頒布された「納品書」である。したがって、乙14号証からは、平成17年11月4日の時点で各商品である「宝石」に「図形+Pomme」が使用されていることが分かる。

イ 「納品書」への本件商標の使用

以下に「日栄商事株式会社」を介しての顧客からの注文によりオーダーメードで製作した宝石の、「日栄商事株式会社」への納品の際に使用される「納品書」への本件商標の使用を証明する。日栄商事株式会社あての下記の日付の「納品書」に本件商標と社会通念上同一の商標である「図形+Pomme」の標章を、本件商標登録後であって本件審判請求登録前に使用している。

(ア) 平成20年4月22日付け納品書(乙第15号証)

(イ) 平成20年4月30日付け納品書(乙第16号証)

(ウ) 平成20年4月30日付け納品書(乙第17号証)

(エ) 平成20年5月20日付け納品書(乙第18号証)

(オ) 平成20年5月20日付け請求書(乙第19号証)

(4)結論

したがって、上記から明らかなように、本件審判請求に係る登録商標「図形+Pomme」に関しては、本件不使用取消審判請求登録前3年以内において、商標権者が、本件指定商品に係る「身飾品」に関する取引書類である納品書に、さらに、指定商品である「身飾品」そのものに、本件商標と社会通念上同一の商標を多数回使用していることから、法50条2項の規定により、本件商標登録は取り消されるべきものではないものと思料する。

第4 請求人の弁駁

請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第5 当審の判断

1 被請求人の主張及び提出に係る乙各号証からは、以下の事実が認められる。

(1)被請求人である「長澤孝」は、宝飾デザイナーであって、宝石デザイン会社「ジュエリープロジェクト長沢」の主宰者である。

(2)宝石デザイン会社「ジュエリープロジェクト長沢」が制作した各種宝石を、販売仲介業者である「日栄商事株式会社」等に委託して販売を依頼している。

(3)乙第2号証ないし乙第8号証は、商品の委託期間を記載した「ジュエリープロジェクト長沢」から「日栄商事株式会社」あての、「商品お預け書」とするものである。

そして、「商品お預け書」の左上に、赤色の丸隅四角形内に「委託」の文字が配された表示、「商品お預け書」の右上には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示され、その下に「ジュエリープロジェクト長沢」と被請求人

の住所と同一の「東京都中野区江古田4−29−11フォンテーヌ中野101」の表示がされている。

そして、乙第7号証の「商品お預け書」には、「委託期間20年4月23日〜20年4月30日」の記載、「中村様」、「○決(○内に「決」が表示されている。) 4/30伝票」「0.90ct」「6万」の記載等とともに、「エメラルド色の身飾品」が表示されている。

(4)乙第9号証は、コピー機の上に委託販売の対象となる宝石等を載せて直接にコピーしたものであるが、そこには、リース状のブローチ(¥280,000のものと¥338,000の2点)、カフスボタン等の商品11点(3点のカフスボタンは、楕円で囲まれ、「メンズ注文で3点」が記載されている。)が示されており、それらのタグには、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている。

(5)乙第10号証は、被請求人が主張する乙第9号証の平成17年10月19日付の「納品書」とするものであり、「ジュエリープロジェクト長沢」を略したと推認される「J、P 長沢」から「小峰」あてのものであり、数量欄に「11」「9」の記載、その下に、「メンズ3点/リース1点}注文でお願いします。(338,000の方)」が記載されている。乙第10号証は、その記載内容から、乙第9号証の「納品書」に相当するものと認められる。

(6)乙第11号証は、乙第9号証と同様な手法による商品を示すコピーであるが、そこには、指輪、時計等9点が示されており、それらのタグには、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている。

(7)乙第12号証は、乙第11号証に添付された平成17年11月4日付の「納品書」である旨、被請求人が主張するするものであるが、その「納品書」の「8点(E/4,ネック/3、メキOP/1)」の記載内容からは、乙第11号証の商品の数等、符合しない。

(8)乙第13号証は、乙第9号証及び乙第11号証と同様な手法による商品を示すコピーであるが、そこには、「8点」「H20.3/19」「岩田様」の記載と、小袋に入れられた「ネクタイピン」等の商品8点が示されており、それらのタグには、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている。

(9)乙第14号証は、乙第9号証、乙第11号証及び乙第13号証と同様な手法によるブローチ等の商品を示すコピーであるが、そこには、本件商標と社会通念上同一の商標が表示され、「日栄商事(株)御中」「H18.6/29」の記載等がされている。

(10)乙第15号証ないし乙第19号証は、平成20年4月22日、同月30日及び同年5月20日における、「日栄商事株式会社」あての、「納品書(控)」であり、そこには、本件商標と社会通念上同一の商標の表示、「品名」、「CT/g」、「数量」、「金額」等記載されている。

そして、乙第17号証の平成20年4月30日付「納品書(控)」には、「品名」欄に「MI 23924 中村様 エメラルド」の記載、「CT/g」欄に「0.90」の記載、「金額」欄に「60000」の記載があり、乙第7号証の記載内容と符合する。

2 以上の事実を総合勘案すれば、被請求人と実質同一と認められる「ジュエリープロジェクト長沢」が制作した身飾品を、「日栄商事株式会社」に「平成20年4月23日〜20年4月30日」の間、委託し(乙第7号証)、そのうちの「エメラルド色の身飾品」が、本件審判の請求の登録(平成20年8月19日)前3年以内である平成20年4月30日付けで、「ジュエリープロジェクト長沢」から「日栄商事株式会社」に納品されたこと(乙第17号証)、同じく、「ジュエリープロジェクト長沢」が制作したブローチ等の身飾品を、販売仲介業者である「小峰」に委託し(乙第9号証)、そのうちの「リース状のブローチ」「メンズ用のカフスボタン」が、本件審判の請求の登録(平成20年8月19日)前3年以内である平成17年10月19日付けで「ジュエリープロジェクト長沢」から「小峰」に納品された(乙第10号証)ものと推認される。

そして、乙第7号証、乙第9号証及び乙第17号証には、本件商標と社会通念上同一の商標が使用され、また、少なくとも、上記使用にかかる「エメラルド色の身飾品」、「リース状のブローチ」及び「メンズ用のカフスボタン」は、請求に係る指定商品「身飾品」の範疇に属する商品と認められる。

3 結語

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標を請求に係る指定商品「身飾品」について使用していたことを証明したというべきである。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品「身飾品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。