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Trademark Appeal Case

使用商標の同一性判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−301519(T2008−301519/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4833607号商標(以下「本件商標」という。)は、「ごくうま」の平仮名文字を縦書きし、その下に「東海漬物」の漢字を小さく横書きしてなり、平成16年4月30日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,卵,冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,凍り豆腐,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」を指定商品として、同17年1月21日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品「食用油脂,乳製品,卵,冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,凍り豆腐,豆乳,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(商標公報の写し及び商標登録原簿の写し)を提出した。

(1)請求の理由

商標権者は、本件商標を継続して3年以上日本国内において、その指定商品について使用していない。また、本件商標の商標登録原簿には、専用使用権者は存在せず、さらに、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。

よって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(2)答弁に対する弁駁

ア 乙第1号証について

(ア)被請求人は、乙第1号証における「ごくうま」の4文字は、四角い外縁に当てはまるように角張った表示となっており、外観において、本件商標と大きく異なったものとなっているので、本件商標の書体の変更の範囲を脱している。

(イ)乙第1号証に表示されている「ごくうま東海漬物」の表示全体を本件商標と比較してみると、両者は構成の軌を異にする外観上きわめて大きな差を有している。

(ウ)さらに、称呼についてみると、本件の構成文字から「ゴクウマ」の称呼又は「トウカイツケモノ」の称呼が生ずる。一方、乙第1号証に表示されている「ごくうま東海漬物」の表示は、全体として一体のものと認識するから、「ゴクウマトウカイツケモノ」の称呼のみが生じるので、両者は異なる称呼を生ずる。

(エ)本件商標と乙第1号証に表示されている標章とは、外観及び称呼において異なっているから、取引の指標としての取引者・需要者に与える認識が異なるものとなっている。したがって、本件商標と乙第1号証の表示との差異は、社会通念上同一といえない。

(オ)さらに、乙第1号証は、その作成日が表示されていないから、本件審判の請求の登録前3年以内に存在したか否か不明であるにとどまらず、取引上使用されたことを証明するものではない。

イ 乙第2号証について

(ア)乙第2号証における表示は、文字の大きさにおいて「ごくうま東海漬物」及び「パリポリの味!」が密着して一連に表示されており、「ごくうま」を強く印象づける構成とはなってなく、全体として極めてまとまりの良い構成となっており、全体として一体のものと認識されることから、称呼においては、「ゴクウマトウカイツケモノパリポリノアジ」又は「ゴクウマトウカイツケモノ」の称呼が生ずるものであり、「ゴクウマ」又は「トウカイツケモノ」の称呼は生じない。

(イ)本件商標と乙第2号証に表示されている標章とは、外観及び称呼において異なっているから、両者の差異は単に書体の変更にとどまるものではなく、社会通念上同一と認められるものではない。

(ウ)さらに、乙第2号証には、その作成日が表示されていないから、本件審判の請求の登録前3年以内に存在したか否か不明であるにとどまらず、取引上使用されたことを証明するものではない。

ウ 乙第3号証について

(ア)乙第3号証に表示されている標章は、本件商標の構成とは、軌を異にし、外観上大きく異なっており、全体として極めてまとまりよく構成されているところから、称呼においては、「ゴクウマトウカイツケモノ」の称呼が生じ、「ゴクウマ」又は「トウカイツケモノ」の称呼は生じない。

(イ)本件商標と乙第3号証に表示されている標章とは、外観及び称呼において異なっているから、社会通念上同一と認められるものではない。

(ウ)さらに、乙第3号証には、その作成日が表示されていないから、本件審判の請求の登録前3年以内に存在したか否か不明であるにとどまらず、取引上使用されたことを証明するものではない。

エ 乙第4号証について

「納品書」は、被請求人が保有している正本を提出すべきところ、ここに提出された「納品書」は、正本ではなく、被請求人と利害関係を有する者が保有する「納品書」の「(控)」にすぎない。さらに、当該「納品書(控)」には、「デザイン、撮影費用」の欄に「数量」の項目に「1」と記載されているところから、納品されたものは一種の印刷物と推認されるので、乙第1号証、乙第2号証及び乙第3号証の3種類の物件と結び付くものではない。さらに、「品名」の項目の欄に「良菜一品案内パンフ」と記載されているところ、乙第1号証の表題は、「新良菜一品新発売のご案内」であって、品名が相違しているので、乙第4号証の「納品書」に記載されているパンフレットが乙第1号証ないし乙第3号証についてのパンフレットのである旨の被請求人の主張は否認する。

オ 乙第5号証について

被請求人は、「賞味期限120日の商品であるから、パッケージ裏面に記載の賞味期限の表示をもって、その製造日が逆算できる」とし、答弁書3頁に乙5号証各枝番の商品パッケージについて表にまとめている。しかしながら、「賞味期限120日」については、賞味期限は製造者が各製品毎に定めるものであるにかかわらず、その期間を証明するものは何ら示されていない。さらに、賞味期限の項目の欄の記載とパッケージの写しの賞味期限の記載とは異なっている。例えば、表中乙5−1では、賞味期限が2008年8月1日と記載されているが、パッケージの写しでは、2008年11月28日となっている等、乙第5号証各枝番は、信憑性に欠けるといわざるを得ないので不知である。

乙第5号証各枝番の商品パッケージの表面左上隅に、「ごくうま」「東海漬物」の平仮名と漢字からなる文字が二段に横書きに表示されており、この表示は、乙第1号証における表示と同一である。当該表示と本件商標とは、外観及び称呼において異なっているから、社会通念上同一と認められるものではない。

カ 乙第6号証について

被請求人は、部門別月別実績表として、乙第6号証を提出し、「良菜一品シリーズ各商品が、2008年(68期)の9月、10月、11月、12月と継続的に販売実績があることを示すものである。」と述べているが、乙第6号証によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前に使用されていたことを証明することはできない。当該実績表は、その2段目に「21年1月」と記載されているところから、本件審判の請求の登録の日(平成20年12月17日)(審決注:本件審判の請求の登録日は平成20年12月19日である。)より後に被請求人の社内で作成された内部資料である。また、「商品名」の欄には、本件商標である「ごくうま」も「東海漬物」の表示もないから、ここに記載されている商品に本件商標が表示されていることを証明するものではない。

キ 乙第7号証について

乙第7号証の1及び同2における「商品カルテ依頼書」が、被請求人の内部における品質に関する連絡票にすぎないものであることは、「商品カルテ依頼書」中の「回覧順序」の欄に被請求人内の部門の名称が連続して記載されているところから明らかである。乙第7号証の1及び同2の書面は、第三者との間の商品の取引を証明するものではない。乙第7号証の1の2008商品規格書の商品写真欄の商品パッケージの左上部に表示されている標章は、乙第1号証の表示と同じであり、当該標章と本件商標とは、外観及び称呼において異なっているから、両者の間の差異は、単に書体の変更にとどまるものではなく、社会通念上同一と認められるものではない。

ク 乙第8号証について

乙第8号証として提出された「2009年度版会社案内」は、本件審判の請求の登録の日より後に作成されたものであるから、この証拠をもって本件商標の登録の取消しを免れることはできないことは明白である。

(3)まとめ

被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第8号証をみると、本件商標に類似する標章が表示されてはいても社会通念上本件商標が表示されている物件はなく、作成日が本件審判の請求の登録(平成20年12月17日)(審決注:本件審判の請求の登録日は平成20年12月19日である。)前3年以内のものであることを証明できているものはなく、被請求人の内部資料であって市場において取引された商品自体又は取引書類と認められるものもなく、さらに、第三者による証明等によってその存在が証明されている物件は、皆無である。

よって、被請求人が「『野菜の漬物』において種々使用している」旨の主張は、かかる証拠に基づくものであるからこの主張は成り立たない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)被請求人は、2008年7月以降、「ごくうま東海漬物」の文字を、「良菜一品」小内容量シリーズの「高菜こんぶ」「ザーサイきのこ」「ゆず昆布大根」、「沢庵」シリーズ中の「梅かつお味」及び「パリパリ菜」たくあん漬小容量シリーズにサブタイトルとして使用してきている。各製品のパンフレットを乙第1号証ないし乙第3号証に示す。表紙には、シリーズ名とは別に、平仮名と漢字からなる「ごくうま東海漬物」の文言が大きく表示されている。なお、これらのパンフレットは、凸版印刷を通じて作成されている。乙第4号証として、2008年7月24日付け納品書の写しを示す。

(2)また、「良菜一品」シリーズについての具体的な商品パッケージは、乙第5号証の各枝番号に示すとおりである。賞味期限120日の商品であるから、パッケージの裏面に記載の賞味期限の表示をもって、その製造日が逆算できる。例えば、乙5−2号証の高菜こんぶは、賞味期限(120日)が 2009年5月21日、製造日は、2009年1月21日となり、乙5−4号証のザーサイきのこは、賞味期限(120日)が2009年5月15日、製造は、2009年1月15日となる。

このように、2008年7月末以降、被請求人は、「ごくうま東海漬物」の文字を漬物について継続的に使用し、販売しているものである。また、これらのパッケージの表面左上隅には、「ごくうま東海漬物」の平仮名と漢字からなる文字が横書きで記載されている。

(3)次に、部門別月別実績表を示す(乙第6号証)。これは、良菜一品シリーズ各商品が、2008年(68期)の9月、10月、11月、12月と継続的に販売実績があることを示すものである。また、乙第7号証として、スーパーマーケットなどの量販店からの商品カルテ依頼書及びこれに対する回答書を添付する。この書面は、商品の品質管理に慎重な量販店側の意向を受けて、商品販売時に交わす書面であり、第三者との取引を端的に示す資料である。これらの書面は、いずれも2008年7月のものであるから、同時期には、既に商談が開始されていたことを示している。同書面中にも、商品パッケージの写真が付されており、「ごくうま東海漬物」の表示が含まれている。以上のとおり、出願人は、本件商標を各種の漬物に付して製造・販売しているのであって、本件審判請求の前から、実際に各地のスーパーマーケット等で広く需要者が購入することができる状態にあった。

(4)最後に乙第8号証として、2009年度版の会社案内を示す。11頁と12頁の見開き中央に「ごくうま東海漬物」と表示された「良菜一品」シリーズが、13頁中段左に「ごくうま東海漬物」と表示された沢庵シリーズ「梅かつお味」が掲載されている。かかる会社案内への掲載は、長期的な視野のなかで「ごくうま東海漬物」という表示を使用しつづける意思を示すものであり、決して泡沫的な使用ではないことを申し添える。

(5)以上のとおり、被請求人は、「ごくうま東海漬物」の標章を昨年7月より商品「漬物」において継続的に使用している。

してみると、取消対象とされた指定商品において、「ごくうま東海漬物」の平仮名文字と漢字からなる使用があることは明確である。

4 当審の判断

被請求人は、被請求人自身が本件商標と社会通念上同一の商標を本件商標の指定商品に含まれる「漬物」について、「本件審判の請求の登録前3年以内に使用している旨主張し、証拠を提出しているので、これについて検討する。

(1)乙第5−1号証、乙第5−3号証及び乙第5−5号証は、商品「漬物」のパッケージの写真であるが、そこには、本件商標と社会通念上同一とみられるオレンジ色の横長の長方形内に、上段に「ごくうま」の文字、下段に「東海漬物」の文字を白抜きで表してなる標章が各々左上部に付されており、また、裏面の右上部に賞味期限として、「08.11.28 K」、「08.11.27 K」及び「08.11.26 K」の各々刻印が確認できる。

これらのパッケージの写真は、賞味期限の刻印を含めいずれも、通常取引されている商品「漬物」の一般的な形態のものであって、その刻印された数字から賞味期限は、2008年11月28日、同27日、及び同26日と認められるから、これらの「漬物」は、少なくとも本件審判の請求の登録前3年以内に製造され、販売されたものと推認して差し支えないものと認められる。

そして、他にこれを覆し得る事情は見い出すことができない。

(2)以下の各乙号証は、要証期間のものとは認められないが、次の事実を認めることができる。

ア 乙第1号証は、被請求人の「漬物」の「商品パンフレット」であるが、そこには、本件商標と社会通念上同一とみられるオレンジ色の横長の長方形内に、上段に「ごくうま」の文字、下段に「東海漬物」の文字を白抜きで表してなる標章がパンレット表面の左上部、及び、各商品パッケージの写真の左上部に付されている。

イ 乙第2号証は、被請求人の「漬物」(たくあん漬)の「商品パンフレット」であるが、そこには、本件商標と社会通念上同一とみられるややレタリングされ、一連に横書きされた「ごくうま東海漬物」の標章が、パンレット表面の左上部に、及び各商品パッケージの写真に付されている。

ウ 乙第3号証は、被請求人の商品「漬物」(たくあん漬)の「商品パンフレット」であるが、そこには、本件商標と社会通念上同一とみられる一連に縦書きされた「ごくうま東海漬物」の標章がパンレット表面の右上部に、及び一連に横書きされた「ごくうま東海漬物」の標章が各商品パッケージの写真の左上部に付されている。

エ 乙第8号証は、会社案内2009年版の写しであるが、11頁と12頁の中央部に「ザーサイきのこ」及び「ゆず昆布大根」(「ゆ」の文字は隠れている)の商品パッケージの写真があり、そこには、オレンジ色の横長の長方形内に、上段に「ごくうま」の文字、下段に「東海漬物」の文字を白抜きで表してなる標章が各々左上部に付されている。また、会社案内の裏表紙の右下隅には「2009.1D」の記載がある。

オ これらの事実からすれば、被請求人は、2009年についても本件商標と社会通念上同一と認められる商標を商品「漬物」について継続して使用していることを窺い知ることができる。

(3)請求人は、各号証に表示されている標章(以下「表示標章」という。)は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないと旨主張する。

ところで、商標法第50条第1項は、「...登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。...)...」と規定している。

本件商標と表示標章とは、その態様に縦書き、横書き、文字の大きさや書体の違いはあるものの、いずれも、ひらがな文字「ごくうま」と漢字「東海漬物」からなるものであり、さらにいえば、両者は、それぞれ構成文字全体から生じる「ゴクウマトウカイツケモノ」の称呼を共通にするものである。

してみれば、表示商標は、同項に規定する登録商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標と判断するのが相当であるから、請求人の主張は採用できない。

(4)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、取消請求に係る指定商品中に含まれる「漬物」について使用していたことを証明したものと認めることができる。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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