Trademark Appeal Case
使用による特別顕著性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−10287(T2008−10287/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおり「玉家」の文字を筆書体で横書きにしてなり、第43類「沖縄そば又はうどん・そばの提供」を指定役務として、平成18年9月1日に登録出願、その後、指定役務については、当審における同20年6月26日付け手続補正書により、第43類「沖縄そばの提供」に補正されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『玉家』の文字を書してなるところ、『玉家』の語は、飲食物の提供の店としてありふれた店名と認められるので、これをその指定役務について使用しても、本願商標に接する需要者は、『如何なる玉家の飲食物の提供であるか』を特定することができず、結局、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審においてした審尋
当審において、以下の要旨の審尋を改めて通知し、相当の期間を指定して請求人に意見を求めたものである。
本願商標は、「玉家」の文字を筆書体風に書してなるところ、「玉家」の文字は、別掲2に示すとおり、多数の者が、該文字を店名として使用していることが認められる。
さらに、本願商標は、筆書体風に書されているものの、「玉家」の文字を十分に認識できる構成態様であるから、普通に用いられる態様の域を脱しない方法で表示されたとみるのが相当である。
そうとすると、本願商標は、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、これを本願指定役務に使用しても自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。
第4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
審尋によって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当すると判断されたところ、原査定の適用条文と審尋の適用条文が異なることについては、争うつもりはない。
しかしながら、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するとされたことを受けて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであることを主張する。
請求人の提出した証拠資料からすれば、本願商標は、平成12年6月から継続して使用している結果、取引者・需要者は、請求人の業務に係る「沖縄そばの提供」に使用する商標であることを認識することができるものであり、いわゆる使用による特別顕著性が発生していると認識しうるものである。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるとしても、同条第2項の規定により、商標登録を受けることができる商標である。
第5 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第4号の該当性について
前記第3の審尋により通知した本願商標の拒絶の理由は、妥当なものと認められる。
2 本願商標の商標法第3条第2項の該当性について
(1)商標法第3条第2項について
商標法第3条は、同条第1項第一号ないし第六号に該当する商標については、商標登録できない旨の規定であるが、同条第2項において、「商標法第三条第一項第三号から第五号までに該当する商標であっても、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」とされている。
そして、工業所有権法逐条解説[第17版](特許庁編集 社団法人発明協会発行 1173頁)によれば、「本条(商標法第3条)二項は、いわゆる使用による特別顕著性の発生の規定である。前述のように一項各号に掲げる商標は自他商品又は自他役務の識別力がないものとされて商標登録を受けられないのであるが、三号から五号までのものは特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果、その商標が、その商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるので、このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をしうることにしたのである。」と説明されている。
また、知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)10441号判決(判決日 平成19年3月29日)(以下「判決例」という。)において、「商標法3条2項は、商標法3条1項3号等に対する例外として、『使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの』は商標登録を受けることができる旨を規定している。その趣旨は、特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として長期間継続的かつ独占的に使用し、宣伝もしてきたような場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は乏しいということができるから、当該商標の登録を認めるというものであると解される。そして、このような商標法3条2項の趣旨からすると、商標法3条2項の要件を具備し、登録が認められるための要件は、1.実際に使用している商標が、判断時である審決時において、取引者・需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができるものと認められること、2.出願商標と実際に使用している商標の同一性が認められること、であると解される。」旨判示されている。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
(2)本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて
a 本願商標が、取引者・需要者において請求人の業務に係る役務であるかを認識することができるものであるかについて
請求人により提出された証拠資料を総合判断するに、請求人は、沖縄県内で、本願商標をその指定役務「沖縄そばの提供」について使用し、また、百貨店等で開催される「沖縄物産展」等のイベント(以下「イベント」という。)に出店している事実は認められる(第2号証及び第3号証、第9号証ないし第17号証、第23号証、第26号証、第30号証ないし第40号証)。
また、沖縄に関する情報誌やウェブサイトに本願商標に関する情報が掲載されている事実も認められるものである(第3号証ないし第8号証、第27号証ないし第29号証、第31号証及び第32号証)。
さらに、本願商標の著名性について、「株式会社 沖縄情報ドットネット」、「有限会社 彩企」、「株式会社 沖縄物産公社」、「株式会社東急百貨店」による証明書が提出されている(第20号証及び第21号証、第24号証ないし第25号証の2)。
しかしながら、証拠資料からすると、請求人が、本願商標をその指定役務「沖縄そばの提供」ついて使用し、現在、実際に営業を行っているのは、沖縄県内の2店舗(第30号証)にすぎず、その他の地域に出店を行っている事実はなく、単に、イベントへの出店にすぎない。
そして、そのイベントも、地域や期間が限定されていることから、イベントへの出店の事実をもって、本願商標が、請求人の業務にかかる役務であることを認識させるものとはいえない。
また、本願商標に関する情報も、沖縄に関する情報誌やウェブサイトによるものであって、全国の一般需要者が接する機会が多いとは認定することができない。
さらに、請求人自らが、本願商標について、一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、本願商標に関し、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実を認めることができない。
さらにまた、請求人は、本願商標の著名性を立証するために、複数の「証明書」を提出しているが、かかる証明書は、同業他社によって発行されたものではなく、その各証明書の内容も、ほぼ同一であることから、本願商標の著名性を立証するものとしては、その客観性が認められないものである。
そして、別掲2のとおり、「玉家」の文字は、請求人以外の多数の者が「飲食物の提供」等の業務について、実際に使用している事実があることからすると、本願商標は、判決例にいう「特定人が当該商標をその業務に係る役務の自他識別標識として長期間継続的かつ独占的に使用し、宣伝もしてきたような場合」には、あたらないものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、本願商標に接する取引者・需要者をして、請求人の業務に係る役務であることを認識することはできないものである。、
b 出願商標と実際に使用している商標の同一性について
本願商標「玉家」の文字は、筆書体風に書されているものであるが、請求人の提出した証拠資料をみるに、そこで使用されている「玉家」の文字は、本願商標の構成態様とは異なり、通常の書体の「玉家」の使用例が多数であり、本願商標と同一の態様であると認められるものは、請求人のホームページ等、本人が作成したものに限定されている。
してみれば、提出された証拠資料からは、本願商標と実際に使用されている商標が同一であるとは認められないものである。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、取引者・需要者において請求人の業務に係る役務であるかを認識することができるものとは認められず、かつ、その使用されている商標と、同一であるとは認められないものであるから、商標法第3条第2項の要件を具備するものとは認められない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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