Trademark Appeal Case
IDの普通名称性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2007−10846(T2007−10846/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「アイディー」の片仮名文字を標準文字で書きしてなり、第9類「加工ガラス(建築用のものを除く。),自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具(『テレビジョン受信機・ラジオ受信機・音声周波機械器具・映像周波機械器具』を除く。),電子応用機械器具及びその部品,スロットマシン,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD―ROM」を指定商品として、平成17年3月22日に登録出願された商願2005−24734に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同18年8月9日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品中、例えば、第9類『電気通信機械器具(「テレビジョン受信機・ラジオ受信機・音声周波機械器具・映像周波機械器具」を除く。),電子応用機械器具及びその部品』の『コンピュータ(電子応用機械器具等)、コンピュータシステムに関連する商品、あるいは、システム・情報等のセキュリティに関する商品』との関係において、『情報・システム等のセキュリティのために、その使用者を識別するための身分証明』の意味合いを表す語として一般的に使用される英語の『indentification(身分証明・パスワードの意味合い)』の略称であるローマ文字の2字『ID』の表音を容易に認識させる『アイディー』の標準文字よりなるものであるから、本願商標を前記の指定商品に使用しても、コンピュータ(電子応用機械器具等)、コンピュータシステム、あるいは、情報・システムのセキュリティに関連する一用語を認識させるにすぎず、需要者が何人かに係る商品であることを認識することができない商標である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ通知(要旨)
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、請求人に対して通知した、職権による証拠調べの結果は以下のとおりである。
1.本願商標は、欧文字「ID」の表音を表したものと容易に理解できるものであり、情報技術関連の分野においては、「ID」の文字は、「identification」又は「identifier」の略で、「識別子。ネットワークシステムなどの利用者を識別するための符号」等の意味で広く一般的に知られている語である。
そして、インターネットにおける各種の用語検索サイトにおいて、この「ID」は、「ID」、「アイディー」及び「あいでぃー」で検索することが可能であって、「ID」、「Identification」、「Identifier」及び「アイディー」の標題のもと行った職権による証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
(a)Yahoo IT用語辞典のウェブページ
ID(identifier) 読み方「アイディー」
身分証明書という英単語。ITの世界では、何らかの対象を集団の中で一意に識別するための識別符号のこと。コンピュータの利用者を識別するために一人一人に割り当てられたユーザ名がこれに当たる。(http://kaden.yahoo.co.jp/dict/?type=detail&id=4864)
(b)BINARY IT用語辞典のウェブページ
ID フルスペル:identification 読み方:アイディー
IDとは、システムの利用者を識別するために用いられる符号のことである。
ネットワーク上においては、インターネットに接続する際のプロバイダとの接続や、LAN上のデータベースに接続する際などに、ユーザ認証を行うために使用される。ネットワークに接続しないコンピュータでも、セキュリティ対策のためにログインIDを設けることがある。
IDは「ユーザ名」や「ユーザID」などと呼ばれることも多い。一般的にIDはパスワードとセットにして用いられる。多くのシステムでは、IDはアルファベットや数字を用いて設定することができる。(http://www.sophia-it.com/content/ID)
(c)RBBTODAY IT辞典のウェブページ
ID(アイ・ディ。Identifier)
ユーザIDとは、ユーザが誰であるかを証明するために数字や文字などを使用した識別子を指します。(注.人の身元を確認したり、証明したりする場合のIDはIdentificationの略)。(http://dictionary.rbbtoday.com/Details/term1442.html)
(d)アスキーデジタル用語辞典のウェブページ
ID あいでぃー【ID】Identification
システムの利用者を識別するための符号のこと。一般には英字や数字を組み合わせて使う。インターネットやサーバーにアクセスするときに、ユーザ名やパスワードを入力し、サーバーはこれによって正当な利用者であることを識別する。(http://yougo.ascii.jp/caltar/ID)
2.また、本願の指定商品中の「コンピュータや情報・セキュリティに関する機器等」との関係においては、例えば、「ID(アイディー)認証用のコンピュータプログラム・認証用装置」、「ID(アイディー)カード(個人情報を記録していないもの)」及び「ID(アイディー)カード作成用のコンピュータプログラム(ソフトウェア)」等のID(アイディー)に関連する商品が取引されており、これらの商品について、「アイディー」の文字が「ID」と共に、商品名の一部として、また、商品またはサービスにおける機能・用途等の説明として使用されている現状がある。
(1)有限会社ライトスタッフのウェブページでは、「『IDカード 作成ソフト IDメイト』の特長」の見出しのもと、「1.特長・・・『IDカード発行システム』他社様との比較も併せてご覧ください。(1)IDカードは、自社で発行するのが常識になってきました。」との記載がある。(http://www.lightstaff.co.jp/id-solution/index.htm)
(2)株式会社南州ソフトウェアのウェブページでは、「ID Station」の見出しのもと、「『ID Station(アイ・ディー・ステーション)』はタイムカードやIDカードを使用せず、IDナンバーと顔写真を併用し、指静脈にて出退勤の認証を行います。」との記載がある。(http://www.nanshusoft.com/idstation/)
(3)株式会社リクルート キーマンズネットのウェブページでは、「SmartOn ID(スマートオンアイディー)」の見出しのもと、「製品概要:認証、アクセス制御、ログ管理といったPCセキュリティに不可欠を実現。」との記載がある。(http://www.keyman.or.jp/3w/prd/93/10010293/)
(4)株式会社CSDソリューションのウェブページでは、「リーズナブルで短納期。ハイクオリティーなIDカード制作」の見出しのもと、「社員証、会員証、入出場管理、セキュリティ確保、出退勤管理用に、写真入りのIDカード印刷を是非ご利用ください。」との記載がある。(http://www.ddnj.com/service/id_card/idcard.html)
(5)国立科学博物館のウェブページでは、「見学した展示がわかるICカード・IDカード」の見出しのもと、「登録された情報は、IDカード(パスワード付き)をお持ち帰りなり、国立科学博物館のWebサイトにアクセスして、ID番号とパスワードを入力することにより、館内で得た情報を引き出すことができます。」との記載がある。(http://www.kahaku.go.jp/visitor_info/ueno/id/index.html)
第4 証拠調べ通知に対する意見(要旨)
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成20年10月21日受付の意見書において、以下のように意見を述べている。
1.「アイディー」又は「あいでぃー」でインターネット検索をした場合、抽出結果の殆どは社名としての「アイディー」であって、「identification」又は「identifier」を意とするものではない。また、「identification」又は「identifier」を意とするものとして抽出されたものであっても、それらは必ず「ID」として抽出され、「アイディー」又は「あいでぃー」ではない。即ち、「identification」又は「identifier」は、「アイディー」や「あいでぃー」ではなく、「ID」として広く一般に使用されているもので、「アイディー」に接した需要者が、「identification」又は「identifier」、若しくは、「識別子。ネットワークシステムなどの利用者を識別するための符号」等を想起することはないと考えるのが至当である。
2.「アイディー」は、そのまま本願指定商品に結びつくことはないと考える。即ち、「ID」としては、今回の証拠調べ通知書にもあるように、本願指定商品と結びつかないこともないかもしれないが、「アイディー」を本願指定商品と結びつかせることは無理なこじつけと言わざるを得ず、「アイディー」を以て、本願指定商品に関連付け、「『識別子。ネットワークシステムなどの利用者を識別するための符号』を意味する語、さらには、『コンピュータ、情報セキュリティに関する一用語』である『ID』の表音を片仮名表記で表したものとして、認識、理解するにすぎない」とすることは速断に過ぎると考える。このことは、今回の証拠調べ通知書にもあるように、検索結果が全て「アイディー」ではなく、「ID」であることからも理解できるところである。
3.通常英文字で表現するものを、片仮名等で表記した場合には、すぐさま且つ明確に英文字のそれを想起すると断定することはできず、むしろ、一種の造語として理解・把握されることの方が多いと考えるのが至当である。例えば、「SL」を「エスエル」と表記した場合、「PS」を「ピーエス」と表記した場合、「IQ」を「アイキュー」と表記した場合、「NG」を「エヌジー」等と表記した場合には違和感があり、すぐさま且つ明確に、英文字表記した際に生ずる蒸気機関車、追伸等の観念を想起することはない。
4.以上のように、「identification」又は「identifier」を意とする場合は、必ず「ID」と表記され、「アイディー」、「あいでぃー」、「id」等と表記されることはない。このことは、“ユーザID”、“ログインID”若しくは“IDカード”等のような形で用いられ、その場合に「ユーザアイディー」、「ログインアイディー」、「アイディーカード」のように表記されることはなく、そのように表記した場合は違和感があり、且つ、本来の「ユーザID」等の意味を認識しなくなる可能性があるという事実に鑑みても、容易に理解できる。
第5 当審の判断
本願商標は、上記第1のとおり、「アイディー」の文字からなるところ、その構成中の「アイ」及び「ディー」の文字は、欧文字「I」及び「D」の表音を片仮名文字で表したものと容易に理解されるものであり、情報技術関連の分野においては、「ID」の文字は、「identification」又は「identifier」の略で、「識別子。ネットワークシステムなどの利用者を識別するための符号」等の意味で広く一般的に知られているものである。そして、「ID」の文字は、インターネットにおける各種用語検索サイトにおいて、「アイディー」、「あいでぃー」で検索可能であることは、上記証拠調べ通知においても述べたところである。
さらに、以下の一般的な辞書においても、「アイディー」をタイトルとする語は、いずれも「ID」又は「IDカード」を表わす語として解説されている。
(a)「アイ・ディー〔ID〕ID番号の略」[株式会社岩波書店 広辞苑 第六版]、「アイディー【ID】〔identification〕」〔株式会社三省堂 大辞林 第三版〕。
(b)「アイディー・カード【ID−】《identity card;identification card》身分証明書」〔株式会社小学館 大辞泉 第一版〕。
このことからも「アイディー」の文字は、「ID」の欧文字の表音を片仮名文字で表したものであることが容易に理解できる。
そうすると、「アイディー」の文字からなる本願商標を、本願の指定商品中の例えば「システム・情報等のセキュリティに関する商品を含む電子応用機械器具及びその部品並びに電気通信機械器具(『テレビジョン受信機・ラジオ受信機・音声周波機械器具・映像周波機械器具』を除く。)」に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「識別子。ネットワークシステムなどの利用者を識別するための符号」を意味する語、さらには、「コンピュータ、情報セキュリティに関する一用語」である「ID」の表音と理解・認識するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものといわなければならない。
なお、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきであると述べているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた登録例の存在によって上記認定判断が左右されるものではないから、請求人の上記主張は採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。