Trademark Appeal Case
「携帯通信」の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成9年審判第17334号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「携帯通信」の文字を横書きしてなり、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端朱による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,電話機、ファクシミリその他の通信機器の貸与」を指定役務として、平成7年2月2日に登録出願されたものである。その後、指定役務については、平成9年7月8日付手続補正書をもって、「移動体電話による通信」に補正されているものである。
2 原審の拒絶理由
原審は「この商標登録出願に係る商標は、『身につけて持つこと』の意のある『携帯』と『人がその意思を他人に伝えること』の意のある『通信』とで『携帯通信』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、指定役務との関係において、これよりは『他人にその人の意思を伝えるために身につけて持っているもの』の意味合いを容易に理解、認識させるものであるから、これを本願指定役務中、『移動体電話よる通信』に使用するときは、単に該役務の質(内容)を表示したものにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨の認定をし、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は、本願商標は、以下のとおり、自他商品の識別標識として認識されており、単に商品の品質を表示するものではなく、特別顕著性を有する商標である旨主張し、甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。
(1)本願商標は、全ての文字が同書、同大、等間隔にて不可分一体に表されたものであり、「携帯」又は「通信」あるいは、いずれかの語が組み合わされた語の意義を解説あるいは掲載した辞書、用語辞典等で「携帯通信」を照合しても何等該当する意味を見出せない。
(2)甲第5号証に記載されているように、「携帯」は「身につけて持つこと」を意味し、「機器」や「端末」は携帯できるが、「通信」は形が存在しないため携帯できない。
すなわち、本願商標は、請求人(出願人)の造語であり、具体的な商品の品質、あるいは役務の質を表示したものと認識されるには至らない語であり、特定の意味を有するものではない。
したがって、「携帯通信」から「移動体通信等の携帯用の電気通信のための機械器具」、あるいは「そのような機械器具の修理又は保守並びにこれらに関する工事」を想起することは不自然と言える。
(3)本願指定役務の業者等の取引界における実情についてみても、「携帯通信」なる語を他人が従来より使用していた事実は全く見当たらない。
また、「携帯通信」なる商標が、取引者及び需要者をして「移動体電話機の携帯用の電気通信のための機械器具」を意味し商品の品質、あるいは役務の質を表示したものと認められるように使用された事実も全くない。
4 当審の判断
我が国における近時の携帯電話、携帯通信情報端末(PDA)、携帯型パソコン等の普及は目ざましく、例えば、移動電話は、加入累計件数約3700万件、PHSは、加入累計600万件に達しているところである。
その利用形態も、携帯電話による電話通話、電子メールの送受信のみならず、携帯電話などを利用して、携帯型パソコンや携帯情報通信端末により、非通話情報(電子メール、FAX、ブータ等)の伝達手段としての利用等広範囲である。
また、例えば、日刊工業新聞(93.4.23の9頁、93.12.9の7頁、95.08.24の8頁、97.09.22の1頁)には、「デジタルセルラー電話等の携帯通信機器」、「携帯通信システムの小型・軽量化」、「パソコン通信や電子メール、ファクス送受信などの携帯通信端末としての用途を重視し、モデムや通信ソフトなどを組み込んだ端末にし」、「通産・郵政両省が共管する・・・パソコン、携帯通信端末、インターネットテレビなど、別々の仕様で市場に出ている端末によるコンテンツの共有や相互接続のあり方を考える」等と記載され、公開実用新案公報(実開昭60−6356号、実開平4−25276号)には、考案の名称として「携帯通信装置」、「携帯通信機器の崖体構造」等と記載されていることが認められる。
これらの事実からすれば、例えば、「携帯電話」の語が、「携帯型の電話機によって話すこと」を意味するばかりでなく、「携帯型の電話機」自体を意味するものとして一般に用いられているように、「携帯通信」の語は「携帯型の通信機器によって意思や情報を通ずること」のみならず、携帯型の通信機器あるいは携帯型の通信端末そのものをも意味するものとして、認識、理解されているというのが相当である。
してみれば、「携帯通信」の文字よりなる本願商標を、補正後の指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、該役務が「携帯型の通信機器としての移動体電話による通信」なる意を表したと認識するにとどまるものと認められるから、本願商標は単に役務の質を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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