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Trademark Appeal Case

商標使用証拠の適否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2008−301507(T2008−301507/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4110519号商標(以下「本件商標」という。)は、「ディオ」の文字を書してなり、平成8年4月15日に登録出願、第8類「園芸ばさみ,金切りばさみ,つめはさみ,はさみ刃,洋ばさみ,らしゃばさみ,理髪用ばさみ,果物ナイフ,洋食ナイフ」を指定商品として、同10年2月6日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標は、その指定商品、第8類『園芸ばさみ,金切りばさみ,つめはさみ,はさみ刃,洋ばさみ,らしゃばさみ,理髪用ばさみ,果物ナイフ,洋食ナイフ』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。

1 請求の理由

請求人は、本件商標の指定商品、第8類「園芸ばさみ,金切りばさみ,つめはさみ,はさみ刃,洋ばさみ,らしゃばさみ,理髪用ばさみ,果物ナイフ,洋食ナイフ」について調査しても、継続して3年以上日本国内において、本件商標が商標権者である被請求人によって使用された事実を見出せない。

さらに、被請求人以外の者が、被請求人から前記指定商品のいずれかについて通常使用権の許諾を受けて、本件商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用した事実も認められない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人は、本件商標をその指定商品中の「園芸ばさみ,洋ばさみ等」について、本件審判請求日である平成20年12月3日から遡る3年の期間内において我が国で現実に使用している旨を主張し、当該期間内に自らが販売したという商品の写真と、納品書(控)及び荷物領収原票(着店用)を提出している。

しかしながら、以下に述べるとおり、前記商品写真等は、本件商標がその登録取消を免れるに足る使用事実の証明資料としては不十分であるから、被請求人の主張には理由がない。

(1)先ず、被請求人が平成19年1月16日に販売した商品と同じ商品の写真として提出された乙第2号証によれば、商品パッケージの裏面下側において、被請求人の住所及び電話番号として「〒592 堺市築港浜寺西町2番地 TEL(0722)68−0118」の文字が記載されている。

しかしながら、(ア)平成10年2月より、全国的に郵便番号の桁数が3桁から7桁へ変更されていること(甲第3号証)、(イ)また、平成13年7月より、大阪府堺市の電話番号の市内局番が2桁から3桁に変更されていること(甲第4号証)、(ウ)さらに、平成18年4月より、大阪府堺市が政令指定都市に移行し、住所に区名が追加されていること(甲第5号証)、(エ)その結果、被請求人の現在の住所及び電話番号は、乙第1号証の納品書(控)に記載されている「〒592−8352 堺市西区築港浜寺西町2番地 TEL:072−268−0118」であること、

以上からすれば、乙第2号証に示された商品は、まさに現在製造販売されている商品ではなく、過去に製造された古い商品であることが明らかであり、具体的には、当該商品は、早くても郵便番号の7桁化が実施された平成10年2月以前に製造された商品であることが推察される。

(2)次に、乙第2号証に示される商品パッケージの表面及び裏面上部には、それぞれ「ディオ250S」「HB−250S」「Hana」の文字が記載されていると共に、商品パッケージの裏面右上には「Hana(華)シリーズ」「切ワザ姉妹品」の文字が2段表記され、その文字の下に3つのはさみの写真及びそれらの商品名と品番(「ディオ360S CRI−360S」「ディオ500S HM−500S」「ディオ600S HM600S」)と思われる文字が併記されている。

以上よりは、乙第2号証に示される商品「はさみ」は、被請求人の販売する「Hana」シリーズの一商品であり、商品名が「ディオ250S」、品番が「HB−250S」であることが窺える。

そして、被請求人が顧客に商品を販売した時に発行された乙第1号証の納品書(控)の品番・品名欄には、「ディオHB−250S(ステンレス)」の文字が認められ、運送会社「福山通運(株)横浜南支店」が顧客に商品を配達した際の乙第3号証の荷物領収原票(着店用)には、「HB−250S」の文字が認められる。被請求人は、これらの資料に基づいて、乙第2号証に示される「はさみ」と同じものを平成19年1月に顧客に販売したと主張している。しかしながら、被請求人がインターネット上で運営しているホームページ(http://www.chikamasa.co.JP/)に掲載された販売商品情報によれば、「HANA」シリーズの商品一覧(甲第6号証)のみならず、その他の商品一覧(甲第7号証)においても、「ディオ」の文字は一切見られず、乙第1号証ないし乙第3号証に示される「ディオ250S」「HB−250S」「ディオHB−250S」といった商品名又は品番のいずれも見当たらない。また、乙第2号証の商品パッケージ裏面に示される姉妹品についても、その商品名及び品番(「ディオ360S CRI−360S」「ディオ500S HM−500S」「ディオ600S HM600S」)が、前記商品一覧(甲第6号証及び甲第7号証)中に全く見当たらないのである。

このことは、被請求人のホームページに、被請求人が販売する新商品及び廃番商品に関する情報を新着情報(甲第8号証)として随時掲載していることから考えると極めて不自然である。

つまり、被請求人は、そのホームページにおいて、新商品については新着「情報PDF」として商品チラシのPDFデータをダウンロード可能としている(甲第9号証)一方、廃番商品については、当該廃番商品の品番と廃番の開始時期を具体的に掲載しており、平成18年9月1日からの廃盤商品の品番についても告知している(甲第10号証)。このように被請求人は、自らの販売商品の情報は漏れなくホームページに掲載しているにもかかわらず、前記「ディオ」「ディオ250S」「HB−250S」「ディオHB−250S」の商品名または品番が、現在の商品情報の中にも、平成18年9月1日に廃番された商品の中にも全く見当たらないことからすれば、乙第2号証に示される商品は、遅くとも平成18年9月1日より前に既に廃番となっていたものと推察されるのである。

しかも、被請求人は、遠隔地の顧客に対してはホームページ上で商品のインターネット販売を行っており、被請求人が乙第2号証の商品の販売先であるとする神奈川県横浜市在住の顧客からもインターネット等で注文を受け付けた可能性が考えられるが、この横浜市在住の顧客がどのようにホームページ上に公開されていない前記「ディオ」「ディオ250S」「HB−250S」「ディオHB−250S」という商品名や品番を知り得て注文を行ったのかについても疑問が残らざるを得ない。

以上のとおり、平成18年9月1日より前に廃番にされていたと考えられる商品にもかかわらず、平成19年1月に顧客に販売したという被請求人の主張には甚だ不自然さを感じるのである。

(3)ところで、被請求人のホームページに掲載されている被請求人の所有する商標一覧の中には、「HANA」の文字からなる商標が掲載されている(甲第11号証)。当該商標は平成10年8月5日に商標登録出願がされ、平成11年10月1日に商標登録第4320140号として登録されている(甲第12号証)。当該登録商標「HANA」は、ホームページの「HANA」シリーズの商品情報(甲第6号証)にも掲載されており、現在の「HANA」の商標の使用態様と思われる。

しかしながら、乙第2号証の商品パッケージに記載されている「Hana」の文字は、その書体、デザイン等が明らかに現在の「HANA」の使用態様と相違する。前述のとおり郵便番号の7桁化の実施が平成10年2月であることと、登録商標「HANA」の出願日が平成10年8月であることを併せて考えると、平成10年の郵便番号の7桁化に伴い商品パッケージの改定が行われ、同時期に乙第2号証に示す「Hana」の文字から現在の「HANA」の文字へとデザイン変更が行われ、新しい書体の「HANA」の文字で商標登録出願がされたことも想像される。

(4)以上の事実を総合すれば、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証には不自然な箇所が多数見られ、信憑性について疑わしい部分がある。すなわち、被請求人は、現在より10年以上も前に製造販売された商品名「ディオ250S」及び品番「HB−250S」の商品パッケージを写真撮影して乙第2号証としたのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。

3 以上申し述べたとおり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証のいずれによっても、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品、第8類「園芸ばさみ,金切りばさみ,つめはさみ,はさみ刃,洋ばさみ,らしゃばさみ,理髪用ばさみ,果物ナイフ,洋食ナイフ」について現実に使用された事実は明らかにされていないから、被請求人の主張には理由がない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

1 被請求人は、本件審判請求の日である平成20年12月3日から遡る3年の期間内において、本件商標をその指定商品、第8類「園芸ばさみ,金切りばさみ,つめはさみ,はさみ刃,洋ばさみ,らしゃばさみ,理髪用ばさみ,果物ナイフ,洋食ナイフ」中の「園芸ばさみ,洋ばさみ等」に使用している。

(1)すなわち、乙第1号証である納品書(控)の記載から明らかな如く、被請求人は、平成19年1月16日付けで、「お客様コードNo.0499」(=個人の一般客用No.)の「横浜市栄区野七里○−○−○」(審決注:個人情報保護の観点から”○”で表記した、以下同じ)に所在の「茂木○○」に対し、被請求人の製造にかかる「はさみ」の「ディオHB−250S(ステンレス)」の6丁〔単価1453円で6丁分計8718円、立替送料(代引き手数料込み)840円の〕を、合計9558円(内消費税等455円)で、「茂木○○」に代引きで販売している。

(2)また、乙第2号証は、上記「ディオHB−250S(ステンレス)」がどんな商品であるかを示すものであり、上記「茂木○○」へ販売したものと同じ「園芸用はさみ又は用ばさみ」と称されるものである。

(3)さらに、乙第3号証の「荷物領収原票」(着店用)は、上記被請求人製造に係るはさみを、「福山通運(株)横浜南支店」の上記代引販売制度を介して、直接に被請求人から「茂木○○」へ販売したことを示すものである。

2 以上のように、被請求人は、本件審判請求の日である平成20年12月3日から遡る3年の期間内において、本件商標をその指定商品、第8類「園芸ばさみ,金切りばさみ,つめはさみ,はさみ刃,洋ばさみ,らしゃばさみ,理髪用ばさみ,果物ナイフ,洋食ナイフ」中の「園芸ばさみ,洋ばさみ等」に使用している。

したがって、請求人の上記主張に根拠はなく、本件審判請求は成り立たないものである。

第4 当審の判断

1 被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第3号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、平成19年1月16日付けの被請求人から、顧客の「茂木 ○○」宛の「納品書(控え)」で、被請求人の住所「〒592−8352 堺市西区築港浜寺西町2番地 TEL:072−268−0118」、品番・品名の欄に「ディオHB−250S(ステンレス)/立替送料(代引き手数料込み)」、数量と単位の欄にかけて「6丁」、単価の欄に「1,453.00」、金額の欄に「8,718」、「840」合計の欄に「¥9,558」、備考の欄に「内消費税等(455)」と品名、数字等が記載されている。

(2)乙第2号証は、その形状から「園芸ばさみ」と推認される商品パッケージの表裏の写真で、表には「園芸ばさみ」が中央に入れられ、パッケージの上部に「チカマサ」「ディオ250S」「Hana」(ややデザイン化されている)「ステンレス」「HB−250S」の各表示、下部に「CHIKAMASA CO.,LTD」の表示、裏面には上部に「ディオ250S」「Hana」(ややデザイン化されている)「ステンレス」「HB−250S」、そのやや右下に「Hana(華)シリーズ」「切ワザ姉妹品」の各表示、下部左角に「製造元/株式会社 近正」、「〒592 堺市築港浜寺西町2番地/TEL(0722)68−0118」の各表示がなされている。

(3)乙第3号証は、平成19年1月16日付けの「福山通運(株)横浜南支店」から被請求人への「荷物領収原票(着店用)」で、届け先の欄に「045−○○○−○○○○/横浜市.../茂木○○」、荷送人の欄に「(072)268−0118/堺市築港浜寺西町2番地/(株)近正」、品名の欄に「HB−250S 6丁」とそれぞれ記載されている。

2 以上、商品「園芸ばさみ」に表示されている「ディオ250S」「HB−250S」の各表示(乙第2号証)、平成19年1月16日付けの顧客への「納品書(控え)」の品番・品名の欄における「ディオHB−250S(ステンレス)」の品名(乙第1号証)、及び平成19年1月16日付けの「福山通運株式会社横浜南支店」から被請求人への「荷物領収原票(着店用)」品名の欄の「HB−250S 6丁」(乙第3号証)の各表示を総合すると、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標の指定商品中の「園芸ばさみ」ついて、本件商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。

3 請求人の主張について

請求人は、弁駁書において乙第1号証ないし乙第3号証には不自然な箇所が見られ、信憑性について疑わしい部分がある旨を主張して、甲第3号証ないし甲第12号証を提出しているが、以下のとおりである。

(1)住所、電話番号等の旧表示について

確かに、平成10年2月2日より、全国的に郵便番号の桁数が3桁から7桁へ変更されている(甲第3号証)。また、平成13年7月より、大阪府堺市の電話番号の市内局番が2桁から3桁に変更されている(甲第4号証)。さらに、平成18年4月1日より、大阪府堺市が政令指定都市に移行し、住所に区名が追加されている(甲第5号証)。

しかしながら、商品をパッケージした場合、在庫商品においては、そのパッケージに表示した住所、電話番号等の表示を変更しないまま販売する場合もあり得ることであり、このことをもって、製造年が古い商品であったとしても、その商標の使用が本件審判の請求の登録前3年以内の使用ではないとはいえないというのが相当である。

実際、甲第1号証及び甲第3号証における平成19年1月16日付け取引上の日付は、本件審判の請求の登録前3年以内であり、また、甲第3号証における被請求人の電話番号は新しい番号「(072)268−0118」であるが、住所は旧のままであって、ゴム印等にて表示する場合、旧住所のまま表示される場合もあり得るというのが相当であるから、この点に関する被請求人の主張は直ちには採用し難い。

(2)ホームページ上「HANA」シリーズに関する主張について

請求人主張のように、被請求人のホームページ上には本件商標を付した商品が販売、紹介されていないが、これらのことは、あくまで被請求人の都合ともいえるものであるから、この点に関する請求人の主張も直ちには採用できない。

4 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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