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Trademark Appeal Case

「賃貸経営受託システム」の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2008−30885(T2008−30885/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「賃貸経営受託システム」の文字を標準文字で表してなり、第35類ないし第37類、第41類、第42類及び第45類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年3月14日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定役務については、原審において、同20年2月14日付け提出の手続補正書により、第35類ないし第37類、第40類ないし第42類、及び第45類に属する、別掲の1のとおりの指定役務に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『賃貸経営受託システム』の文字を普通に書してなるところ、該文字は『賃貸(住宅)の経営に関する受託システム』の意味を容易に認識させるものであるから、これを本願指定役務中、例えば、賃貸住宅の経営に関する役務に使用するときは、該役務が、賃貸住宅の経営に関する受託システムを利用した役務、賃貸住宅の経営に関する受託システムに係る役務等であることを認識させるに止まり、単に役務の内容、質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲の2に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成21年4月27日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の対応

証拠調べ通知書に記載された「賃貸」、「経営」、「受託」及び「システム」の各文字が有する意味、並びに「賃貸経営」及び「受託システム」の文字が有する意味は、本願指定役務との関係において適切な解釈ではなく、本願商標「賃貸経営受託システム」の文字が有する意味とは相違する。本願商標は造語商標であり、特別顕著性を有するものであるから商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当しない。

5 当審の判断

本願商標は、前記1のとおり、「賃貸経営受託システム」の文字を標準文字で表してなるものである。

前記3で示した証拠調べ通知によれば、「賃貸」の文字は、「賃貸借契約に基づいて目的物の使用・収益をさせること。」の意味を有し、「経営」の文字は、「継続的・計画的に事業を遂行すること。」の意味を有し、また、賃貸経営を提案する企業においては、立地環境評価から事業計画、入居者募集から家賃の集金、管理運営業務、建物周辺の清掃、建物メンテナンスなど賃貸経営にまつわる業務をサポートし、引受けるシステムが整っていることを窺い知ることができるものである。

そして、「賃貸経営」の文字は、請求人も自認するように「家主が土地、建物等を貸し、受け取る貸し賃を以って生計を立てる。」程の意味合いをもって、広く一般に使用されているといい得るものである。

また、前記証拠調べ通知によれば、「受託」の文字は、「仕事の委嘱、金品の委託などを受けること。」の意味を有し、「システム」の文字は、「組織。仕組み。」等の意味を有し、さらに「受託システム」の文字は、例えば「管理人業務受託システム」、「借上社宅業務受託システム」、「賃貸管理業務受託システム」、「賃貸管理受託システム」などのように、引受ける仕事の内容を表す文字の後に付されて、「○○受託システム」と表示され、各種の役務を提供する業界において使用されている実状にあるといい得るものである。

そして、「受託システム」の文字は、請求人が主張するように、「賃貸経営を引受ける専門知識を持った集団、会社」、いわば「仕事の委託を引受けるシステム」程の意味合いをもって、広く一般に使用されているといい得るものである。

そうとすると、本願商標「賃貸経営受託システム」の文字から、「賃貸経営の委託を引受けるシステム」程の意味合いを容易に理解させるというべきである。

してみれば、本願商標をその指定役務中、土地・建物などの賃貸経営及びそれに関連する役務、例えば「賃貸住宅経営の診断・指導・市場調査又は経営情報の提供,賃貸オフィスビル又はマンションの管理者に代わってする一般事務処理の代行,高齢者用住宅の賃貸事業及び介護施設事業の管理,建物又は土地の賃借希望者等の募集のための広告,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物・土地又は地上権の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,建物又は土地の情報の提供,賃貸料の徴収の代行,建物および土地の所有者に対する滞納家賃の支払保証,借り受けた建物の転貸,人材派遣による建物の管理,建物の修理又は保守,建物の外壁の清掃,窓の清掃,道路の清掃,引越し後の建物内外の清掃,賃貸住宅管理に関する講習会・研修会の開催,賃貸住宅管理者に対する教育研修,土地・建物の有効利用に関するセミナーの企画・運営・開催,土地・建物の有効利用に関する知識の教授,個人の身元又は行動に関する調査及びそれらの情報の提供」等に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「賃貸経営に関する委託を引受けるシステム」程の意味合いを容易に理解し、単に役務の質、内容、提供の方法を表わしたものと理解するに止まり、自他役務の識別標識としての機能を有する商標とは認識し得ないというべきであり、かつ、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第4条第1項第16号に該当するものである。

なお、請求人は、「証拠調べ通知書に記載された『賃貸』、『経営』、『受託』及び『システム』の各文字が有する意味、並びに『賃貸経営』及び『受託システム』の文字が有する意味は、本願指定役務との関係において適切な解釈ではない。『賃貸経営」の文字は家主側が家賃などの賃料を借り主から頂いて生計を立てるということを指しており、また『受託システム』も本願商標においては賃貸経営を引受ける専門知識を持った集団、会社と解すべきである。『賃貸経営受託システム』は、家主様の支出面(原状回復費・修繕費負担)におけるリスク回避を含めた受託システムであること、賃貸経営について事業計画から設計・施工、管理運営、収入・支出変動リスクへの対応など、一貫したサービスを提供していることなど広く宣伝してよく知られていることから、本願商標は特別顕著性を有し、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないこと明らかである。」旨、主張する。

たしかに、証拠調べ通知書中辞書から引用した意味合いは、請求人が意図する意味合いとはわずかに相違する記載もあるかもしれない。

しかしながら、「賃貸経営」及び「受託システム」の各文字は、請求人が主張する意味合いとほぼ同義の語として、本願指定役務をはじめ各種役務を提供する業界において、役務の説明、広告又は宣伝の文中に、役務の質等を表示する文字として使用されているといわざるを得ないことから、本願商標に接する取引者、需要者は、全体として、役務の質、内容、提供の方法を表したものと認識すると判断するのが相当であること、前記のとおりである。

そうとすると、本願商標「賃貸経営受託システム」の文字が、たとえ、請求人が意図している意味合いと細部において相違することや、請求人が提供する役務に本願商標を用いて宣伝しているとしても、そのことを理由に、本願商標が直ちに特別顕著性を有するということにはならず、さらに、同号の適用を免れるということにはならないといわなければならない。

また、請求人は、「本願商標を出願前から使用し、テレビ、新聞において繰り返し宣伝し周知をはかってきており、この間第三者から一切の苦情もないことから、本願商標は出願人の所有であるという認識が徹底され、周知商標に至っているものである。」旨、主張する。

しかしながら、請求人が、平成20年12月25日付けで提出した手続補正書及び同21年6月4日付けで提出された意見書によると、請求人は平成19年2月頃から、自社のパンフレットやイベントにおける展示物、新聞紙上における広告記事、及びテレビ放送によるコマーシャル等において、「賃貸経営受託システム」の文字を使用していることは確認できるものの、提出された全証拠を総合勘案しても、該文字が請求人により使用をされた結果、自他役務を識別する機能を有するに至ったとまでは認められないことから、請求人がこれまでに行った宣伝活動及び該文字の使用について、第三者からの苦情がないことを理由に、本願商標が周知商標であるということはできない。

さらに、請求人は、登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、それらは商標の具体的構成において相違するばかりか、指定商品又は指定役務においても相違するものであるから、本願商標とは事案を異にするといわざるを得ず、また、登録出願された商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係において、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、それら登録例の存在によって、前記判断は何ら左右されないというべきである。

そうとすれば、請求人のいずれの主張も採用することはできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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