Trademark Appeal Case
記述的結合商標の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成8年審判第8306号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「屋根なし駐車専用ワックス」の文字を横書してなり、第3類「つや出し剤」を指定商品として、平成6年1月20日登録出願されたもので、その後、当審において、平成8年9月30日付け手続補正書により、「自動車用つや出し剤」と指定商品を減縮補正したものである。
2 原査定の理由
原査定は、『本願商標は、「屋外の駐車場専用」の意を直感させる「屋根なし駐車専用」と「艶出しに使用する蝋(ろう)」の意味を表すものとして一般に認識させる「ワックス」の文字を一連に「屋根なし駐車専用ワックス」と普通に用いられる方法で書してなるにすぎないものであるから、これを本願指定商品に使用しても、需要者は上記それぞれの意味を理解するにとどまり、何人かの業務に関わる商品であるかを認識することが出来ない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第6項に該当する。』と、認定して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は、1.本願商標は、新しい商品・自動車用ワックスに付ける目的で創案した造語商標であって、それ自体一連不可分の商標であり、「屋根なし駐車専用」と「ワックス」に分離するものではない。2.「屋根なし駐車」は、「屋外の駐車場」即ち、風雨に晒され、あるいは直射日光を長時間受ける過酷な状況の屋外の駐車を直観させるものである。3.「専用」については、「・・・専用」と結びつくことで、消費者にその商品の使用対象を示し説明するために使用される慣用句である。4.「屋根なし駐車」は、出願人が創案した語であって、その語自体が独特の面白さ、意味合い、そして印象強さをもつ非常に個性的な造語でであり、それが「・・・専用」という、ある一定の目的のためにこそ使われるという特定力・断定力のある語と結びつくことで、「屋根なし駐車専用」の標章の印象はさらに増幅され、取引者・需要者に新規な印象深い標章と認識され、自他商品識別力のある商標と認められる。5.「屋根なし駐車専用ワックス」という標章は、屋外の過酷な状況の中でも車体のつやを保護し、またその屋外の過酷な状況の中で汚れたりして失われたつやを回復する、野晒にされてもを絶対大丈夫なむしろそのため塗布されるワックスという、強力なつや出しワックスをイメージさせる商標であり、このようなイメージを重視して自動車用ワックスに採択・使用しているもので、本請求人が与えたイメージを理解し、何人かの業務に関わる商品であることを容易に認識し得るものである(甲第76号証乃至同第90号証)。6.本願商標の指定商品が属する自動車用ワックス業界では、効能・用途・品質等を暗示させるような商標が競って採択・使用されており、このような商標も自他商品識別機能を有するものとして、市場において認知・流通している。7.請求人は、平成6年3月15日より自動車用ワックスの新商品に商標「屋根なし駐車専用ワックス」を表示して、全国に販売を開始した(甲第1号証の1乃至7)。8.請求人は、平成6年3月15日より平成8年6月22日現在まで商標「屋根なし駐車専用ワックス」を付した商品を合計335,931個、販売合計額362,805,480円の売上実績を上げており、請求人のヒット商品として主力商品に育っている。(甲第92号証)9.代理店及び小売業者も本願商標「屋根なし駐車専用ワックス」を付した自動車用ワックスが請求人の商品であることを認識しており、本願商標が自他商品識別機能を有する商標として市場に定着している(甲第76号証乃至甲第90号証)。10.本願商標は、「屋根なし駐車専用ワックス」一連不可分の商標として、指定商品「自動車用つや出し剤」との関係では、自他商品識別機能を十分に発揮し得るものである、以上のとおり、本願商標「屋根なし駐車専用ワックス」は、自他商品を識別する機能として特別顕著性を有していることが明らかであるので商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。
4 当審の判断
本願商標は、「屋根なし駐車専用ワックス」の文字を横書してなるところ、原審が認定したように、屋外駐車専用のワックスであることを記述的に表したものと認められ、前記したように、請求人も「『屋根なし駐車』とは、『屋外の駐車場』即ち、風雨に晒され、あるいは直射日光を長時間受ける過酷な状況の屋外の駐車を直観させるものである」、旨自認するところである。
しかして、自動車のワックスに関する新聞記事が1985年8月27日発行の日経産業新聞の第11頁に「○○○、植物油系の車用ワックス」の見出しで「・・・・・自動車ワックスはシリコン系製品が主流になっているが、雨や日射に弱いのが欠点。同社が開発した新タイプのワックスは植物油系撥水(はっすい=水をはじく)剤をベースに防錆剤と水溶性金属などを成分にした。この水溶性金属が車体表面に皮膜を作るので雨や日射に強い耐久力を発揮する。・・・・・」と掲載されているし、1985年8月31日発行の日本経済新聞の北陸版に「○○○、植物油系の車用ワックス開発」の見出しで同様の記事が掲載されている事実がある。
そうしてみると、本願商標は、これをその指定商品「自動車用つや出し剤」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、その記述的表現及び上記の実情から、該商品が「屋外に駐車する自動車を専用とした車体の表面に皮膜を作り雨や日射に強い耐久力を発揮するつや出し剤」の意味合いを、即ち、商品の品質、効能を表示したものと理解、認識させるに止まり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認められるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1号第6項に該当する。
なお、請求人は、平成6年3月15日より平成8年6月22日現在まで商標「屋根なし駐車専用ワックス」を付した商品を合計335,931個、販売合計額362,805,480円の売上実績を上げており、請求人のヒット商品として主力商品に育っている(甲第65号証、甲第92号証)ところであるから、使用による識別性の有ることを主張し、その事実を立証するために甲第1号証乃至同第97号証を提出している。
しかしながら、請求人の提出に係る甲第65号証及び甲第91号証に示されているものは、「屋根なし駐車」、「専用」及び「WAX」の文字を三段に、しかも、「WAX」の文字部分が強調するように大きく書されているものであるから、本願商標とはその構成態様を異にするものである。また、その他の提出に係る証拠を総合的に勘案するも、これらによっては、本願商標がその指定商品に使用した結果、取引者、需要者に広く認識されているものであることを立証するに足りる充分なものとは認められない。
したがって、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであるとする請求人の主張は、これを採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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