Trademark Appeal Case
称呼・外観の類否と商品関連性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900034(T2009−900034/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5174322号商標(以下「本件商標」という。)は、「DITA」の欧文字と「ディータ」の片仮名文字を二段に併記してなり、平成20年4月4日に登録出願され、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同年10月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)ペルノ リカール(以下「申立人A」という。)の申立て
ア 商標法第4条第1項第15号について
申立人Aは、フランスにおいて世界初のライチ・リキュールを1989年に完成させ、まずはフランスにおいて「SOHO(ソーホー)」という名称で発売した。
我が国へは、フランスでの発売後の1994年から、「DITA/ディタ」あるいは「DITA」と図形との組み合わせからなる商標(以下「引用商標A」という。)で輸入・販売された(甲第3号証及び第11号証)。
世界の銘酒を紹介する我が国の酒類事典にも毎年掲載されており、積極的なPR活動により(甲第3号証ないし第69号証)、遅くとも本件商標の出願時までには、我が国の取引者・需要者の間で周知・著名となっていたものであり、その周知・著名性は、現在においても継続しているものである。
そして、本件商標と引用商標Aとは、外観、称呼、観念のいずれにおいても類似するものであり、引用商標Aが使用される商品「リキュール」は、ファッション性の高い商品として、本件商標の指定商品と関連性の程度が高いものである(甲第76号証ないし第140号証)。
してみれば、本件商標がその指定商品について使用された場合、恰も、申立人Aとのコラボレーション商品であるかのように誤認・混同される可能性も十分に考えられるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
イ 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人Aの業務に係る商品等表示として日本国内の需要者の間に広く認識されている著名な引用商標Aに化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、他人の著名な商標に類似する商標を不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものといわざるを得ない。
(2)ディタ インコーポレーテッド(以下「申立人B」という。)の申立て
ア 商標法第4条第1項第11号について
申立人Bが、商標法第4条第1項第11号についての取消理由に引用している登録第4095820号商標(以下「引用商標B」という。)は、「DITA」の欧文字を書してなり、1995年11月1日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成8年4月17日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年12月19日に設定登録されたものである。
本件商標と引用商標Bとは、いずれも「ディータ」の称呼を生じ、本件商標の欧文字部分と引用商標Bとは外観も同一である。
そして、両者の指定商品である「洋服,帽子」等と「サングラス」とは、近時におけるトータルファッションの観点から、生産者、販売場所を共通にする場合も多く(甲第3号証ないし第5号証)、その用途を同一にし、需要者も同一であることから、両者の指定商品は、類似のものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
申立人Bは、1996年にハリウッドで創業して以来、商品「サングラス」に商標「DITA」を使用してきた(甲第6号証ないし第8号証)。
米国において多数の店舗を有しているばかりでなく、香港、東京、名古屋においても販売店を有している(甲第9号証ないし第11号証)。
そして、米国ばかりでなく、我が国をはじめ多くの国において、本件商標の出願日前から「DITA」あるいは「ディータ」の商標が付されたサングラスを雑誌に掲載しており(甲第12号証ないし甲第114号証)、日本国内及び海外のモデルやタレントに幅広く愛用されたこともあり、該商標は、日本及び諸外国において、申立人Bのサングラス及び眼鏡を示す商標として広く知られている。
また、申立人Bは近年、日本の販売店において、ジュエリー、鞄、洋服等の販売も開始し、トータルファッション化を進めている(甲第115号証ないし第121号証)。
そして、本件商標に係る指定商品と申立人Bが使用する商品「サングラス」及び「眼鏡」は、生産者、販売場所、用途及び需要者を共通にするものであり、ファッションに関する著名商標のトータルファッション化の傾向が著しい今日においては、出所の混同を考慮すべき関連性を十分に有している。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
ウ 商標法第4条第1項第8号について
申立人Bは、引用商標Bをハウスマークとしても使用しており、同商標は、申立人Bの名称の著名な略称として認識されているものであるから、本件商標は、申立人Bの名称の著名な略称「DITA」を含むものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)ペルノ リカール(申立人A)の申立てについて
申立人Aは、「DITA/ディタ」の商標(引用A商標)が、申立人Aの業務に係るライチ・リキュールの商標として周知・著名である旨主張している。
しかしながら、引用商標Aの周知・著名性を立証するものとして提出されている証拠は、「リキュールの世界」や「世界の名酒事典」等の書籍(甲第3号証ないし第11号証)の外、ファッションショーの開催・協賛、スーパーモデルの起用に係る証拠(甲第12号証ないし第18号証)、有名デザイナーとのコラボレーションに係る証拠(甲第19号証ないし第59号証)、その他のPR活動、新製品の開発等に係る証拠(甲第60号証ないし第68号証)であり、また、引用商標Aに係るリキュールの販売数量については、日本食糧新聞(甲第12号証)において、「94年から98年までの5年間で14倍増の売上げを達成しているライチのリキュール。98年には、前年比44%増の3万7000ケースを実現、シェア拡大を続けている。」との記事及び食品産業新聞(甲第69号証)において、2007年度の輸入酒銘柄別ランキングにおいて、「DITA(ディタ)」がリキュール部門で第6位に位置している旨記載されている程度である(これとても、アンケートに基づくものであり、輸入数量もしくは販売数量で集計とある)。
これらの証拠によれば、我が国において、引用商標Aに係るリキュールが、一定程度知られていたことを否定することはできないとしても、販売数量を示す証拠は極めて断片的なものであって、我が国における洋酒全体における位置付け、あるいは、少なくとも、リキュール全体における位置付けを把握することができず、申立人Aの提出に係る証拠によっては、引用商標Aに係るリキュールが、我が国の需要者の間において広く認識されていたものと認めるに充分なものとはいい難い。
しかも、本件商標は「ディータ」の称呼を生ずるものであるのに対して、引用商標Aは「ディタ」の称呼をもって使用されているものであるから、称呼においても充分に区別し得る非類似の商標といわなければならない。
してみれば、引用商標Aの周知・著名性が認められない以上、その周知・著名性を前提にした申立人Aによる商標法第4条第1項第15号及び同第19号についての主張は、その余の要件について検討するまでもなく、採用することはできない。
(2)ディタ インコーポレーテッド(申立人B)からの申立てについて
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおり、「DITA」と「ディータ」の文字からなるところ、「DITA」の文字は、「(植物)ジタノキ」を表す英語であり(リーダーズ英和辞典の「dita」の項参照)、片仮名文字部分は、その欧文字の自然な読みを表したものといえるから、本件商標からは「ディータ」の称呼を生ずるものと認められる。
一方、引用商標Bは、前記のとおり、「DITA」の欧文字を書してなるところ、申立人Bは、これを「ディータ」の表記をもって使用しており、「ディータ」の表記は、「DITA」の欧文字の自然な読みを表したものといえるから、引用商標Bからも「ディータ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標と引用商標Bとの類否についてみるに、両商標は、「ディータ」の称呼を共通にする類似の商標ということができる。
しかしながら、本件商標の指定商品である第25類の「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着」等々の商品と、引用商標Bの指定商品である第9類の「サングラス,普通眼鏡,その他の眼鏡」とは、申立人Bが主張しているように、トータルファッションの観点から、販売場所や需要者を共通にする例のあることを一概に否定することはできないとしても、通常行われている生産・流通経路をみれば、その生産部門や販売場所を異にし、需要者も異にし、用途においては全く異なる非類似の商品というべきものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標Bとは、称呼を共通にする類似の商標であるとはいえても、両者の指定商品は類似するものとは認められないから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
イ 商標法第4条第1項第8号及び同第15号について
申立人Bは、「DITA」の標章がサングラス等の眼鏡の商標として著名であり、また、申立人Bの名称の著名な略称である旨主張している。
しかしながら、「DITA」の標章の著名性を立証するものとして提出されている証拠は、インターネットにおける情報記事や東京及び名古屋における販売店の写真及び「LEON」、「SENSE」、「GLITTER」、「HIGH STYLE」等々の雑誌における記事や広告(甲第6号証ないし第114号証)のみである。
これらの証拠によれば、我が国において、「DITA」の標章に係るサングラス等の眼鏡が一定程度知られていたことを否定することはできないとしても、「DITA」の標章に係るサングラスの販売数量や売上高についての証拠は全く提出されていないから、我が国における眼鏡全体における位置付けを把握することができず、申立人Bの提出に係る証拠によっては、「DITA」の標章に係るサングラスが、我が国の需要者の間において広く認識されていたものと認めるに充分なものとはいい難く、また、申立人Bの名称の著名な略称とも認められない。
してみれば、「DITA」の標章の著名性が認められない以上、その著名性を前提にした申立人Bによる商標法第4条第1項第8号及び同第15号についての主張は、その余の要件について検討するまでもなく採用することはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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