Trademark Appeal Case
著名商標と称呼の類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900057(T2009−900057/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5178197号商標(以下「本件商標」という。)は、「シェルライン」の片仮名文字を標準文字で表してなり、平成19年11月16日に登録出願、第1類「肥料」を指定商品として、同20年9月30日に登録査定、同年11月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の取消理由に引用している商標は、次のとおりの商標である(以下、これらの商標を一括して「引用各商標」という。)。
なお、アないしエの登録商標は、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第734199号商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、昭和40年12月17日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同42年2月23日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成19年6月20日にされた指定商品の書換登録により、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
イ 登録第1015586号商標は、「Shell」の欧文字を横書きしてなり、昭和46年3月12日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同48年6月1日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成15年9月10日にされた指定商品の書換登録により、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
ウ 登録第1125597号商標は、別掲(2)のとおりの構成からなり、昭和47年6月6日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同50年6月9日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成18年3月29日にされた指定商品の書換登録により、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
エ 登録第183800号商標は、別掲(3)のとおりの構成からなり、大正14年9月7日に登録出願、第55類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年8月19日に設定登録されたものであり、指定商品については、その後、平成20年9月24日にされた指定商品の書換登録により、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。
オ 国際登録第977610号商標は、別掲(4)のとおりの構成からなり、2008年3月11日にスイス国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し、2008年(平成20年)5月14日に国際登録、第1類、第4類、第6類、第8類、第9類、第11類、第14類、第16類、第18類、第19類、第21類、第24類、第25類、第26類、第27類、第28類及び第37類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、我が国を指定する通知は、2008年10月16日になされ、現在、審査に係属しているものである。
カ その他に、申立人は、その構成中に「Shell」あるいは「SHELL」の欧文字を有する30件の商標を引用している(甲第2号証の6ないし35参照)。
(2)商標法第4条第1項第8号について
「シェル」及び「SHELL」は、貝の図形とともに申立人及びその関連会社によって永年に亘って使用されてきた著名な略称である。本件商標は、その構成中に著名な略称「シェル」を含むものであり、申立人は、商標権者に対して、本件商標の出願及び登録を承諾した事実は一切ない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標中の「シェル」は、本件商標の出願時及び登録査定時には、申立人及びその関連グループ会社の業務にかかる商品又は役務であることを指称する著名性を獲得していたものであるから(甲第3号証ないし甲第8号証)、本件商標を使用した商品に接する取引者・需要者は、本件商標の「シェル」に着目し、ここから申立人らの著名商標を想起・連想し、恰も申立人若しくはその関連会社の取り扱いに係る商品であるかの如く誤って認識する可能性が極めて高い。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)本件商標と引用各商標との類否について
本件商標は、前記のとおり、「シェルライン」の文字よりなるところ、該文字は標準文字をもって、同書・同大・同間隔に外観上まとまりよく一体的に構成されており、その全体をもって称呼してもよどみなく一気一連に称呼し得るものである。そして、たとえその構成中の「ライン」の文字が「線、系列、輪郭」等を意味する語であるとしても、前半部の「シェル」の文字も「貝殻」を意味する一般に知られた日常語といえるものであるから、これら両文字間に軽重の差は見いだせない。しかも、貝殻(shell)は、細粉にして、肥料や塗装用に用いられているものである(東洋経済新報社発行「商品大辞典」1996年4月15日第13版 参照)。
そうとすれば、本件商標は、「シェル」と「ライン」という一般にも良く知られた語(文字)を組み合わせた一体不可分の造語商標とみるのが相当であり、「シェルライン」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。そして、他に、構成中の「シェル」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
他方、引用各商標は、前記あるいは別掲に示したとおり、いずれも、「SHELL(Shell)」の欧文字をその構成要素に有するものであるから、該構成文字に相応して「シェル」の称呼を生ずるものである。
そこで、この両称呼を比較するに、両者は、前半の「シェル」の音部分を共通にするとしても、後半部分において、「ライン」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するも、その音構成の差により称呼上十分に区別し得るものである。
その他、本件商標と引用各商標とを類似するものとすべき特段の理由は見いだせない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
上記したとおり、本件商標は、「シェルライン」の片仮名文字よりなる一体不可分の造語商標と理解・認識されるものであり、構成中の「シェル」の文字部分のみが独立して認識されることはないものであるから、申立人の著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって,本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記したとおり、本件商標は、一体不可分の造語商標というべきものであって、引用各商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見いだし得ないから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用各商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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