Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2009−900063(T2009−900063/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5179576号商標(以下「本件商標」という。)は、「くろかめくら」及び「黒甕蔵」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成20年4月24日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年11月14日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4591786号商標(以下「引用商標1」という。)は、「TaKaRa」、「くろかめ」及び「黒甕」の文字を上中下三段に横書きしてなり、平成13年4月25日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成14年8月2日に設定登録されたものである。
同じく登録第4823184号商標(以下「引用商標2」という。)は、「黒壁蔵」の文字を標準文字としてなり、平成16年4月20日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年12月3日に設定登録されたものである。
同じく登録第5174252号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成20年3月7日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年10月17日に設定登録されたものである。
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは「引用商標」という。
(2)理由の要点
本件商標は、下記ア及びイのとおり、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号該当
本件商標は、引用商標1と「黒甕」の主要部を一にする類似商標であり、かつ、引用商標2と外観及び称呼において類似する商標であり、指定商品も抵触する。
イ 商標法第4条第1項第15号該当
引用する「黒甕」商標も「黒壁蔵」商標も申立人商標として広く知られており、本件商標は、これら引用商標と出所について混同を生ずるおそれがある。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当について
本件商標は、「黒甕蔵」の文字と、その上段に、小さく「くろかめくら」の平仮名文字を配してなるところ、同仮名文字が下段の漢字の読みを表したものとして理解されるものであり、上下段の構成各文字も、それぞれ、同じ書体、同じ大きさ、等間隔で一体的に表されているものである。
そして、「酒蔵(さかぐら)」が酒を貯えておく場所であり、「蔵」が酒蔵に通ずる語として把握される場合があるとしても、かかる構成態様にあっては、「黒甕」の文字部分のみが殊更に強く印象され記憶されて、これに相応する称呼や観念をもって取引に資されるとすべき特段の理由は見出し難いものであり、本件商標は、一連一体のものとして把握されるとみるのが相当というべきである。
また、構成文字に相応して生ずる「クロカメクラ」の称呼も、格別長いものでなく、一気に称呼し得るものである。
したがって、本件商標は、特定の観念を生じさせない一連の造語として看取されるものであり、その構成文字より「クロカメクラ」の一連の称呼を生ずるものというべきである。
一方、引用商標1及び3は、いずれも、その構成中顕著に表された「黒甕」の文字に相応して「クロカメ」の称呼を生じるものと認められる。
しかして、本件商標の称呼「クロカメクラ」と引用商標1及び3の称呼「クロカメ」とを対比すると、後半における「クラ」の音の有無の差異によって、明確に聴別され得るものであり、称呼上相紛れるおそれはないというべきである。
また、本件商標と引用商標1及び3とは、その外観構成において、顕著な相違を有しており、観念においては比較することができないものであるから、外観上及び観念上相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標1及び3に類似する商標ということはできない。
さらに、引用商標2は、「黒壁蔵」の文字からなるものであり、「クロカベクラ」あるいは「クロカベグラ」の称呼を生じるものである。
しかして、本件商標の称呼「クロカメクラ」と引用商標2の称呼「クロカベクラ」を対比してみると、「クロカ」及び「クラ」の音を共通にし、中間で「メ」と「ベ」の音に差異を有するものである。
ところで、称呼の類否については、一見共通する部分または似通った部分が認められるかのごとき称呼にあっても、その称呼の全部または一部に明らかに特定の観念を生じさせるものがあれば、それによって音の違いを明確に認識して区別し得るというのが相当というべきである(東京高裁 平成2年(行ケ)第154号事件判決参照)。
これを本件についてみると、本件商標は、全体としてみれば、観念を特定し得ない造語というべきものではあるが、本件商標の「カメ(甕)」と引用商標2の「カベ(壁)」とにおいて、明確に異なる観念を伴うものということができ、かかる観念の違いにより、称呼上の音の相違を明確に認識し聞き分けることができるというべきであるから、前記両称呼は、聞き違え、取り違えることなく、充分に区別され得ると判断されるものである。したがって、称呼において相紛れるおそれはないものである。
なお、引用商標2の「クロカベグラ」の称呼との間においても、同様に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標2とは、その外観構成において、顕著な相違を有しており、観念においては比較することができないものであるから、外観上及び観念上相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標2に類似する商標ということはできない。
以上のとおり、本件商標は、引用商標1ないし3に類似する商標とは認められないものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当について
申立人提出の証拠によれば、商品「焼酎」について商標「黒甕」が使用されていることを窺い知ることができるが、その全証拠をもってしても、本件商標の出願時に、商標「黒甕」がその需要者の間で広く認識されるに至っていたとまで認めることはできない。
本件商標が引用商標1及び3と類似するものと認められないことは、前記(1)のとおりであり、また、上記のとおり、商標「黒甕」が需要者の間に広く認識されるに至っていたとの実情も認められないから、本件商標の構成中に「黒甕」を含むとしても、本件商標は、引用商標や前記焼酎と関連づけられることなく、別異の出所を表示するものとして看取されるものといわざるを得ない。
また、申立人提出の証拠によれば、商品「焼酎」について商標「黒壁蔵」が使用されていることが認められる。しかし、前記のとおり、本件商標と引用商標2は非類似の商標であり、これらを更に関連づけてみなければならない理由は見出せない。
してみると、本件商標の出願時に、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する需要者が、引用商標1ないし3あるいは商標「黒甕」を想起し連想して、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信するとは認め難く、商品の出所の混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。