sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2009−900071(T2009−900071/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5180514号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5180514号商標(以下「本件商標」という。)は、「AIRPENGUIN」の文字を標準文字で表してなり、平成20年3月31日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物」を指定商品として、同年10月15日に登録査定、同年11月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3330382号商標(以下「引用商標」という。)は、「PINGUINO」の文字を横書きしてなり、平成6年5月11日に登録出願、第11類「単位誘導式空気調和装置,中央式空気調和装置,窓掛け式空気調和装置,家庭用ルームエアコン」を指定商品として、同9年7月11日に設定登録され、その後、同19年5月29日に商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

3 本件登録異議申立ての理由(要点)

申立人は、本件商標は欧州を中心として世界各国において広く一般に知られている引用商標と類似する商標であるから、取り消されるべきである旨主張し、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、その構成中の「AIR」の文字部分が、指定商品の品質、内容を表示し自他商品の識別力を有しないものであるから、「PINGUINO」の文字部分が識別機能を果たし、当該文字部分から「ペンギン」の称呼、観念が生ずる。

一方、引用商標は、その構成文字に相応して、「ピングイーノ」又は「ピンギーノ」の称呼を生じ、「ペンギン」の観念を生ずる。(なお、申立人は、本件登録異議申立書において、引用商標から「ペンギン」の観念が生じることから、「ペンギン」の称呼も生じ得る旨述べているが、同申立書中の称呼の比較においては、引用商標から「ピングイーノ」又「ピンギーノ」の称呼が生じるとした上で、本件商標から生じる「ペンギン」の称呼と比較しているものの、引用商標から「ペンギン」の称呼が生じるとの言及も比較もしていないことから、引用商標から「ペンギン」の称呼を生じる旨の主張はしていないものと判断した。)

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、文字の共通部分が多いため外観において類似するものであり、観念を同じくするものである。

また、本件商標から生ずる「ペンギン」の称呼と、引用商標から生ずる「ピングイーノ」又は「ピンギーノ」の称呼は、全体をもって称呼するときは、相紛れるおそれのある類似の称呼である。

したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、観念及び称呼のいずれの点においても類似する商標である。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、世界的規模で事業を行うイタリアのグループ企業である。申立人の業務に係る商品「ポータブル暖房器具、エアコンディショナー、空気清浄器具」は、世界トップクラスのものである。特に、引用商標を付したポータブルエアコンディショナー(以下「申立人商品」という。)は、欧州を中心として世界的に著名であり、一般家庭をはじめ、ショッピングセンターや病院などの産業用のものまで幅広くシェアを伸ばしている。

このように、引用商標は、申立人商品を表示するものとして著名であるから、これと類似する本件商標をその指定商品に使用することは、混同を生ずるおそれがある。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記1のとおり、「AIRPENGUIN」の文字を、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で外観上まとまりよく標準文字で表されてなるものであり、また、本件商標の構成文字全体に相応して生じる「エアペンギン」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものであるから、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分のものとして認識、把握されるとみるのが相当である。

そうとすれば、本件商標は、「エアペンギン」の称呼のみを生じるものであって、特定の意味合いを有しない一種の造語よりなるものと認識されるものである。

ところで、申立人は、本件商標中の「AIR」の文字部分が指定商品の品質、内容を表示するものであるから、「PENGUIN」の文字部分が識別機能を果たす旨主張している。

しかしながら、申立人からは「AIR」の文字部分が指定商品の品質、内容を表示することを示す証左の提出はなく、また、当審において職権をもって調査するもその事実を見出せず、他に「PENGUIN」の文字部分が独立して自他商品を識別する機能を果たす事情も見当たらないから、申立人の主張は採用することができない。

他方、引用商標は、前記2のとおり、「PINGUINO」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、「ペンギン」を意味するイタリア語であるものの、我が国におけるイタリア語の普及度を考慮すると、引用商標に接する取引者、需要者が、これを「ペンギン」の意味を有するイタリア語であると理解するとはいい難く、特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されるものと判断するのが相当である。

そうとすれば、引用商標は、その構成文字に相応して、「ピングイーノ」又は「ピンギーノ」の称呼を生じるものであって、特定の意味合いを有しない一種の造語よりなるものというべきである。

そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、両者は外観においては、それぞれの構成は前記のとおりであって、その構成文字に顕著な差異を有し、また、称呼においては、それぞれから生じる「エアペンギン」と、「ピングイーノ」又は「ピンギーノ」の比較において、その構成音の差異により明確に聴別し得るものである。

さらに、両者は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、観念において比較することはできない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、引用商標が取引者、需要者に広く認識されている商標である旨主張し、甲第3号証ないし甲第8号証を提出しているので、これについて検討する。

ア 請求人が提出した上述の甲各号証によれば、次の事実が認められる。

(ア)甲第3号証は、2000年から2007年の間における申立人商品に係る各国別販売数量、売上高であり、80以上の国における販売数及び売上が記載されている。

(イ)甲第4号証は、1995年における海外での宣伝費用であり、ドイツ、ハンガリーの項に「PINGUINO」の文字と金額が記載されている。

(ウ)甲第5号証は、1998年における各国別、ブランド別売上高表であり、「Pinguino」の項には、オーストラリア、ドイツ、オランダにおける売上高が記載されている。

(エ)甲第6号証は、2005年度広告宣伝活動表であり、10以上の国における、商品毎の広告期間及び費用が記載されている。

(オ)甲第7号証は、メディア別広告宣伝費用表であり、「Nuovo Pinguino」の文字と経費が記載されている。

(カ)甲第8号証は、2004年から2006年の間における主要商品売上高表であり、品名の欄に「Pinguino」及び「Pinguino Applique」の記載と、その年度別の売上高が記載されている。

イ 前記事実からすれば、申立人は、暖房器具、家電製品、台所用調理器具などの製造、販売を業とするイタリアの法人であって、本件商標の登録出願前より、欧米諸国を中心に営業活動を行ってきたことを推認することができる。

しかしながら、引用商標が申立人商品について使用されている事実を示す証拠は何ら見当たらない。

また、上述の甲各号証が、引用商標が使用される商品をポータブルエアコンディショナー(申立人商品)に係るものという前提に立ってみても、申立人商品は、日本国内において、2000年から2007年にかけてわずか15台しか販売されていない(甲第3号証)ばかりか、2004年から2006年における申立人の主要商品の売上高(甲第8号証)にしても、我が国においてどの程度の売上げがあったのか不明であり、また、日本国内において2005年に行ったとされる宣伝広告活動(甲第6号証)は、わずか2カ月半程度のものでしかなく、さらに、海外での宣伝費用(甲第4号証)はその内容が不明である上に、メディア別広告宣伝費用(甲第7号証)は、宣伝地域、内容及び時期が不明である。

そうとすれば、引用商標は、本件商標の登録出願の時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている商標であったと認めることはできない。

ウ してみれば、引用商標は、取引者、需要者に広く認識されている商標であるとは認められず、また、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であること上述(1)のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、申立人の業務に係る商品を連想又は想起するものとは認められず、さらに、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれもないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。