Trademark Appeal Case
LIPの記述性と商標類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−32865(T2008−32865/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「BALANCELIP」の欧文字と「バランスリップ」の片仮名文字を2段に横書きしてなり、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品として、平成19年4月23日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における同年11月30日付けの手続補正書により、第3類「唇用化粧品」に補正されたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第632121号商標(以下「引用商標」という。)は、「バランス」の片仮名文字と「BALANCE」の欧文字を2段に横書きしてなり、昭和37年7月28日に登録出願、第4類「化粧品、香料及薫料」を指定商品として、同38年12月16日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成16年11月17日に、第3類「化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」を指定商品とする書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。
本願商標は、「BALANCELIP」の欧文字と「バランスリップ」の片仮名文字を2段に横書きしてなるところ、本願商標を構成する「LIP」及び「リップ」の文字に関して行った証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1 「LIP」及び「リップ」の文字が有する意味
(1)「lip」の項に、「唇、口唇」の記載がある。
「lip・gloss」の項に、「リップグロス(唇につやを与える化粧品)」の記載がある。
「lip・stick」の項に、「リップスティック(棒型の)口紅」の記載がある。(以上、株式会社研究社発行 新英和大辞典 第6版)
(2)「リップ[lip]」の項に、「唇」の記載がある。
「リップ・グロス[lip gloss]」の項に、「化粧品の1。唇に光沢を与えぬれたように見せる、つや出し用の口紅。」の記載がある。
「リップスティック[lipstick]」の項に、「棒状の口紅」の記載がある。
「リップ・ライナー[lip liner]」の項に、「化粧品の1。唇の形を際だたせるために、唇の輪郭線に沿って塗る口紅の一種。」の記載がある。(以上、株式会社三省堂発行 コンサイスカタカナ語辞典 第3版)
(3)「リップクリーム[lip moisturizer,lip balm]」の項に、「唇を乾燥から守る目的で用いられるもの。」の記載がある。
「リップケア[lip care,lip treatment]」の項に、「唇は皮膚に比べ、荒れやすい部位であるため、荒れた唇に対しては適切なケアを施す必要がある。
「リップ化粧品[cosmetics for lip]」の項に、「唇に用いる化粧品の総称。口紅,口紅のつや出し(リップグロス),荒れ止め,色移り防止用などがある。」の記載がある。(以上、丸善株式会社発行化粧品事典)
(4)「リップクリーム[lip cream]」の項に、「口唇の荒れ止めと艶出しを目的とした製品で通常、口紅の油性基剤を基に、口唇の保護を強化した処方構成となっている。」の記載がある。
「リップグロウ[lip glow]」の項に、「口紅の中で着色がごくわずかか、無着色のものをリップグロウという。」の記載がある。
「リップスティック[lipstick]」の項に、「棒状口紅をリップスティックという。」の記載がある。(以上、株式会社廣川書店発行 廣川香粧品事典)
(5)「lip」の項に、「口唇、くちびる」の記載がある。
「lip balsam」の項に、「リップバルサム(口唇の荒れ止め製品)」の記載がある。
「lip gloss」の項に、「つや出し口紅」の記載がある。
「lip liner」の項に、「リップライナー(口唇の輪郭をかく製品)」の記載がある。
「lip protection」の項に、「口唇の保護」の記載がある。(以上、フレグランスジャーナル社発行 英和化粧品用語集)
(6)「リップ メイクアップ[lip make−up]」の項に、「唇のメイクアップのこと。」の記載がある。
「リップ ライン[lip line]」の項に、「唇の輪郭線」の記載がある。
「リップ グロウ(リップ グロス)[lip glow(lip gloss)]」の項に、「唇に潤いを与えつややかな輝きを出したい時に用いる化粧品。」の記載がある。
「リップ スティック[lipstick]」の項に、「棒状口紅をリップスティックという。」の記載がある。(以上、ザ・ビューレック社発行 エステティック用語辞典)
2 新聞記事情報において、「リップ」の文字が、「唇」を表す語として使用されている事実
(1)2002年7月9日付け繊研新聞の9面には「マックス・ヒューバーリサーチラブ 唇用トリートメント剤発売」の見出しの下に「化粧品メーカー、マックス・ヒューバーリサーチラブが9月に発売する唇用トリートメント剤『ドゥ・ラ・メールリップバーム』は、保湿効果の高いクリーム『ミラクルブロス』のほか、北極海で発見された海洋プロテイン『マリーンアンチフリーズプロテイン』を業界で初めて配合した。携帯に便利な透明ポット容器入り。6千円。」の記載がある。
(2)2004年8月10日付け日経MJ(流通新聞)の19頁には「スーパーボリュームリップ――魅力的な唇に中高生飛びつく(ヒットの芽)」の見出しの下に「ぷるっと魅力的な唇になれます――。昨年秋、こんなうたい文句で売り出したサナ(神戸市)の唇用美容液『スーパーボリュームリップ』の売れ行きが好調だ。黒人歌手などのふっくらとした唇にあこがれを抱く中高生がまず飛びついた格好。このほど新色を追加、さらなる購買層の広がりが期待できそうだ。美容液に配合したトリートメント成分『マキシリップ』が、唇の内部組織に働きかけ、皮膚をふっくらはりのある状態に仕上げるという。」の記載がある。
(3)2005年8月23日付け読売新聞(東京朝刊)の11頁には「唇用美容液『サナ スーパーボリュームリップ』の新商品を発売/常盤薬品工業」の見出しの下に「常盤薬品工業は、唇用美容液『サナ スーパーボリュームリップ』シリーズに、新色『ラズベリー』を追加して発売した。ラズベリーの香りや色の特徴に加え、保湿成分のあるエキスやヒアルロン酸などを配合し、唇をふっくらと張りのある状態に整えるという。12グラム、840円。」の記載がある。
(4)2006年8月17日付け化学工業日報の6頁には「大塚製薬、唇用の美容液発売へ」の見出しの下に「大塚製薬は唇用美容液『インナーシグナル リジュブネイト クリア リップ』を九月十五日から発売する。保湿成分アデノシンーリン酸2ナトリウム(AMP)、グリセリンなどを配合し、水溶性成分の浸透効率に配慮した製品で、唇への潤いを高める。価格は四千七百二十五円(税込み、五グラム)。」の記載がある。
(5)2007年11月5日付け「FujiSankei Business i.」の15頁には「【新商品】数量限定唇用美容スティック『パワ トリートメント グロス』」の見出しの下に「『トリニティーライン』のリップケアアイテム。グロスをトリートメントリップクリームで包んだ2層構造を採用。形状記憶型ヒアルロン酸などの配合で、唇表面をなめらかに整え、ふっくらとした唇に導く。価格は1890円。通信販売限定で12月1日発売。」の記載がある。
(6)2007年12月11日付け朝日新聞(東京夕刊)の7頁には「美 マリオン」の見出しの下に「◆有機栽培原料のリップバーム 環境に配慮した製品づくりに取り組むスキンケアブランド『パンゲア オーガニクス』が、リップバーム『エコセントリック リップケア』を発売。ヒマワリ種子油、アロエベラ葉エキスなど、有機栽培の原料から抽出した成分を配合し、唇を乾燥から保護してハリを出すという。『ピレニーズ ラベンダー with カルダモン』など全3種(各7グラム1890円)。 ◆エイジングケアのリップバーム スイスのスキンケアブランド『ラ・プレリー』が、『セルラー リップラインプランパー』(2.5グラム1万500円)を発売。唇の輪郭を整えるトリートメントバーム。ペプチドやトウモロコシエキスなどを配合し、唇のコラーゲン生成を助けながらシワの印象を和らげ、若々しい口元に整えるという。 ◆桜エキス配合の唇用美容液 パラドゥが、唇用の美容液『サクラヴェール リップN』(2.4グラム730円)をリニューアル発売。ニンジンエキスやビタミンEに加え、新たに桜(ソメイヨシノ)エキスを配合。潤いを与えて血行を促進し、健康的な桜色の唇に導くという。」の記載がある。
(7)2008年6月13日付け日経MJ(流通新聞)の16頁には「はちみつなどの天然成分配合、ベキュア(新製品)」の見出しの下に「はちみつやローヤルゼリーなどの天然成分を配合した唇用美容液『ベキュア ハニーラスターR』2種類。つけるほどに美容効果を実感できるという『美容液』(3色)は、乾燥しやすい唇の保護効果を高め、血行を促す。つややかでボリュームのある唇に仕上げる。パール色剤を配合し、やわらかな発色の『リップグロス』(7色)は、唇を立体的に演出する。」の記載がある。
(8)2008年6月24日付け化学工業日報の9頁には「カネボウ化粧品、『エビータ』から新ナイトクリーム、保湿効果向上」の見出しの下に「カネボウ化粧品は9月1日、50代向けセルフスキンケアブランド『エビータ』から、ナイトクリーム『EX スーペリアナイト』などを新たに発売する。・・・同製品のほかに、シート状マスク『EX ローヤルリフトマスク』やパック『モイスチャーパックn』、唇用美容液『リップエッセンス』、口紅『エッセンスルージュ』の新色2種、ヘアカラー『トリートメントヘアカラー』を発売する。」の記載がある。
(9)2008年11月17日付け化学工業日報の10頁には「小林製薬、DDS採用の唇用美容液を通販」の見出しの下に「小林製薬は、高級機能スキンケアの『リアルラボ』に、唇用美容液『リップグラマラスエッセンス』を追加し、18日から通信販売する。薬物送達システム(DDS)の考えを取り入れており、みずみずしくふっくらとした唇に仕上げる。同製品には、浸透力の高い美容成分ジパルミトイルヒドロキシプロリンとミクロカプセル化したレチノール、トコフェロールが唇の縦シワの奥にある角質層へ浸透。また保湿機能を高めるアーモンド油などの成分が加齢にともない、しぼんだ唇に潤いを与える。」の記載がある。
以上の事実を総合的に勘案すると、本願商標を構成する「LIP」及び「リップ」の文字部分は、「唇」の意味を有する語であること、その指定商品「唇用化粧品」との関係では、リップスティック、リップグロス、唇用美容液等のリップ化粧品が多数取引されている実情にあることが認められる。
そうとすれば、本願商標中の「LIP」及び「リップ」の文字部分は、前記の意味を有する語であって、かつ、一般に親しまれた語と認められるところ、その指定商品との関係では、取引者、需要者をして、その商品の品質、用途を表示したものと認識させるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて識別力が弱い文字部分であると看取されるから、本願商標の自他商品の識別標識としての機能を果たす文字は、前半の「BALANCE」及び「バランス」の文字部分にあるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体に相応して「バランスリップ」の称呼のほか、「BALANCE」及び「バランス」の文字部分に相応して「バランス」の称呼及び「釣り合い、均衡」の観念を生ずるものである。
他方、原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第632121号商標は、「バランス」の片仮名文字と「BALANCE」の欧文字を2段に横書きしてなるから、該構成文字に相応して「バランス」の称呼及び「釣り合い、均衡」の観念を生ずるものである。
したがって、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念において類似するものであり、かつ、その指定商品も同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
第4 職権証拠調べに対する意見の要点
請求人は、「本願商標は、分離不可能な一連一体の造語であるから、その構成文字全体に相応して『バランスリップ』の称呼のみが生じ、『釣り合いのとれたリップ』といった程度の観念が生じる。」旨述べている。
第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「BALANCELIP」の欧文字と「バランスリップ」の片仮名文字を2段に横書きしてなるところ、該文字は、全体として特定の意味合いを有する語として知られているものではなく、これを常に一体不可分のものとして把握しなければならないとする格別の事由も認められないものである。
しかして、その構成中の「LIP」及び「リップ」の文字部分は、「唇」の意味を有する語として、一般に親しまれているものであり、その指定商品「唇用化粧品」との関係では、リップスティック、リップグロス、唇用美容液等のリップ化粧品が多数取引されていることが、前記第3の証拠調べ通知に記載の事実より窺い知ることができる。
そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「LIP」及び「リップ」の文字部分を、商品の品質、用途を表示したものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たす文字部分は、構成中の前半にあって、看者の注意を惹く「BALANCE」及び「バランス」の文字部分にあるものと理解し、該文字部分から生ずる称呼、観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
してみれば、本願商標は、その構成文字全体から生ずる「バランスリップ」の称呼のほか、自他商品の識別機能としての機能を果たす「BALANC
E」及び「バランス」の文字部分を捉えて、これより、単に「バランス」の称呼及び「天秤、釣り合い」の観念をも生ずるものといわざるを得ない。
他方、引用商標は、前記第2のとおり、「バランス」の片仮名文字と「BALANCE」の欧文字を2段に横書きしてなるところ、その構成文字に相応して、「バランス」の称呼及び「天秤、釣り合い」の観念を生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観において差異が認められるとしても、それぞれより生ずる「バランス」の称呼及び「天秤、釣り合い」の観念を共通にする互いに紛れやすい類似の商標であり、かつ、本願商標の補正後の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似のものであるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
なお、請求人は、他の登録例を挙げ、本願商標と引用商標とは類似しない旨述べているが、該登録例は、いずれも本願とは商標の構成態様を異にするばかりでなく、商標の類否判断は、比較する両商標について個別具体的に考察し、検討されるべきものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではないから、請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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