結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2008−890130(T2008−890130/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4731211号商標(以下「本件商標」という。)は、「シネマウォーカー」の片仮名文字と「cinema walker」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成15年4月17日に登録出願、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,録音済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・コンパクトディスク・その他のレコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,電子計算機用マウスパッド,電子計算機用マウス,コンピュータプログラムを記憶させた磁気ディスク・磁気テープ・その他の記録媒体,電子出版物,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD−ROM・デジタルバーサタイルディスク−ROM及び磁気テープ,業務用テレビゲーム機,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式へアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用へルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,新聞・雑誌・書籍・地図・図面・写真の画像・文字情報を記録させた電子回路・ROMカートリッジ・光ディスク・磁気ディスク・光磁気ディスク・磁気カード・磁気テープ,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ専用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD−ROM・デジタルバーサタイルディスク−ROM及び磁気テープ,家庭用テレビゲームおもちゃ専用のコントローラ・ジョイスティック・メモリーカード・ボリュームコントローラ・マウス,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,検卵器,電動式扉自動開閉装置,磁石,永久磁石,標識用ブイ,二輪自動車用シガーライター,耳栓」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」、第35類「インターネットによる広告,電子メールによる広告,その他の広告,ウェブサイト上の広告スペースの貸与,郵便による広告物の配布,その他の広告物の配布,広告に関する情報の提供,トレーディングスタンプの発行,インターネットによりデータベースを利用させる事業の管理又は運営及びそのための一般事務の代理又は代行,コンピュータによる顧客管理,コンピュータによる経営の診断及び指導,情報処理及び情報通信ネットワークの運営に関する事業の経営の診断及び指導・その他の経営の診断及び指導,企業の人事管理のための適性検査,商品の通信販売に関する情報の提供,電子計算機端末による商品の販売に関する情報の提供,書籍の販売に関する情報の提供,情報通信関連機器の販売に関する情報の提供,録画済みビデオディスク及びビデオテープの販売に関する情報の提供,新商品の販売に関する情報の提供・その他の商品の販売に関する情報の提供,事業情報の提供,建物又は土地に関する市場調査,コンピュータによる市場調査,その他の市場調査,市場調査に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,経営管理者・科学技術者・通訳のあっせん,その他の職業のあっせん,職業のあっせんに関する情報の提供,競売の運営(インターネットオークションの運営を含む。),競売の運営に関する情報の提供,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,通信販売に関する事務の代理又は代行,輸出入に関する事務の代理又は代行,一般事務の代理又は代行,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング及び電子計算機によるファイル管理,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与,コンピュータデータベースへの情報構築及び情報編集,建物又は土地に関する事業の企画,魚・花市場における相場に関する情報の提供,電子計算機端末による企業情報の提供,その他の企業情報の提供,事業の経営及び管理のための製品計画・商品の販売促進の企画に関する情報の提供,インターネットを利用した企業経営に関する情報の提供,経営の診断及び指導に関する情報の提供,事業の管理又は運営に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行に関する情報の提供,企業の経営管理に関するコンサルティング,企業経営に関する情報の提供,企業経営ノウハウに関する情報の提供,市場及び販売戦略に関する指導及び助言,事業の管理・運営及び組織に関する助言又は援助,新事業の経営・管理に関する製品計画・商品の販売促進の企画についての助言・指導,電子計算機の操作に関する助言,インターネットドメイン名取得申請手続きの事務の代行,受託による広告用看板の制作,アンケート調査に関する情報の提供,インターネットにおける商品の展示即売会の企画・運営又は開催,商品の展示即売会の企画・運営又は開催,商品の売買契約の媒介又は取次ぎ,電子計算機を用いて行う情報検索事務の代行」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,技芸・スポーツ又は知識の教授に関する情報の提供,研究用教材に関する情報の提供およびその仲介,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナー・研修会・講習会の企画・運営又は開催,セミナー・研修会・講習会の企画又は運営に関する情報の提供,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,電子書籍の制作,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ・コンパクトディスク・光学式ビデオディスクの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,ゴルフの興行の企画・運営又は開催,相撲の興行の企画・運営又は開催,ボクシングの興行の企画・運営又は開催,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,キャンプの企画・運営又は開催,その他のスポーツの興行の企画・運営又は開催,パーティーの企画又は運営,映画コンテストの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,フリーマーケット興行の企画・運営又は開催,当せん金付証票の発売,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供又はこれらに関する情報の提供,通訳,翻訳,書画の貸与,写真の撮影,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,美術品の貸与,メガホンの貸与,舞台用小道具の貸与,インターネットを利用した興行場の座席の手配その他の興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みビデオディスク及びビデオテープの貸与,録画済みマイクロフィルムの貸与,おもちゃの貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,美術用モデルの提供,電子計算機端末による通信を用いて行うゲーム又はカラオケのための映像及び楽曲・歌詞の提供,ビデオテープの編集,インターネット又はコンピュータネットワークを通じた対戦ゲームの提供,通信回線を利用したゲームの提供,インターネット上のゲーム大会の企画・運営・開催,インターネット上で遊戯する電子ゲームの提供,対戦ゲーム大会の企画・運営・開催,録音・録画済CD−ROM原盤の制作,家庭用テレビゲームおもちゃ専用のプログラムを記憶させた磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CD−ROM・デジタルバーサタイルディスク−ROM・RAM及び磁気テープの貸与,テレビゲームイベントの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,ビデオテープ映画の上映に関する情報の提供,コンピュータグラフィックスによる映画の制作,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供,演芸の上演・演劇の演出又は上演・音楽の演奏に関する情報の提供,放送番組の制作に関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)又はこれらに関する情報の提供,放送番組の制作における演出に関する情報の提供,テレビジョン受信機の貸与に関する情報の提供,ラジオ受信機の貸与に関する情報の提供,図書の貸与に関する情報の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与・録画済みビデオディスク及びビデオテープの貸与に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同年10月22日登録査定、同年12月5日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類『電子出版物,新聞・雑誌・書籍・地図・図面・写真の画像・文字情報を記録させた電子回路・ROMカートリッジ・光ディスク・磁気ディスク・光磁気ディスク・磁気カード・磁気テープ,録音済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・コンパクトディスク・その他のレコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,事故防護用手袋,計算尺』、第16類『印刷物,写真,写真立て,紙製幼児用おしめ,文房具類』、第35類『インターネットによる広告,電子メールによる広告,その他の広告,郵便による広告物の配布,その他の広告物の配布,広告に関する情報の提供,受託による広告用看板の制作,インターネットにおける商品の展示即売会の企画・運営又は開催,商品の展示即売会の企画・運営又は開催,ウェブサイト上の広告スペースの貸与,コンピュータによる顧客管理,コンピュータによる経営の診断及び指導,情報処理及び情報通信ネットワークの運営に関する事業の経営の診断及び指導・その他の経営の診断及び指導,商品の通信販売に関する情報の提供,電子計算機端末による商品の販売に関する情報の提供,書籍の販売に関する情報の提供,情報通信関連機器の販売に関する情報の提供,録画済みビデオディスク及びビデオテープの販売に関する情報の提供,新商品の販売に関する情報の提供・その他の商品の販売に関する情報の提供,事業情報の提供,建物又は土地に関する市場調査,コンピュータによる市場調査,その他の市場調査,市場調査に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,建物又は土地に関する事業の企画,電子計算機端末による企業情報の提供,その他の企業情報の提供,事業の経営及び管理のための製品計画・商品の販売促進の企画に関する情報の提供,インターネットを利用した企業経営に関する情報の提供,経営の診断及び指導に関する情報の提供,事業の管理又は運営に関する情報の提供,企業の経営管理に関するコンサルティング,企業経営に関する情報の提供,企業経営ノウハウに関する情報の提供,市場及び販売戦略に関する指導及び助言,事業の管理・運営及び組織に関する助言又は援助,新事業の経営・管理に関する製品計画・商品の販売促進の企画についての助言・指導,アンケート調査に関する情報の提供,商品の売買契約の媒介又は取次ぎ,インターネットによりデータベースを利用させる事業の管理又は運営及びそのための一般事務の代理又は代行,企業の人事管理のための適性検査,魚・花市場における相場に関する情報の提供,広告用具の貸与,トレーディングスタンプの発行』、第41類『映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給,ビデオテープ映画の上映に関する情報の提供,コンピュータグラフィックスによる映画の制作,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,演芸の上演・演劇の演出又は上演・音楽の演奏に関する情報の提供,放送番組の制作,放送番組の制作に関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)又はこれらに関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ・コンパクトディスク・光学式ビデオディスクの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),録音・録画済CD−ROM原盤の制作,放送番組の制作における演出に関する情報の提供,放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,インターネットを利用した興行場の座席の手配その他の興行場の座席の手配,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みビデ才ディスク及びビデオテープの貸与,録画済みマイクロフィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与・録画済みビデオディスク及びビデオテープの貸与に関する情報の提供』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第97号証(枝番を含む。)を提出した。
なお、枝番のある証拠について枝番のすべてを引用する場合は、以下、枝番の記載を省略する。
請求人(グループ会社を含む。)は、「ウォーカー(Walker)」の語を含む商標(甲2の1〜78)を使用した雑誌、雑誌の増刊号、ムック、書籍、フリーマガジン等(これらをまとめて、以下「請求人商品」という場合もある。)を多数発行している。また、請求人は、206件の「ウォーカー(Walker)」の語を含む商標の登録を受けている(又は登録出願中である。甲2の79)。
本件商標の存在により、請求人は、本件商標と同一又は類似の商標を印刷物や電子出版物に使用することができなくなるのみならず、本件商標を印刷物や電子出版物に使用するときは、これらが請求人の業務に係る商品であると需要者に誤認混同を与える。
さらに、請求人は、遅くとも平成13年12月より携帯電話用ウェブサイトにおいて「Movieウォーカー」や「Movie Walker」等のように「ムービー/Movie」と「ウォーカー/Walker」を結合した商標(以下「ムービーウォーカー/Movie Walker」という。)を使用して映画情報の提供等を行っている。本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、観念において極めて近似するため、本件商標を映画情報の提供等に使用するときは、請求人の業務に係る役務であると需要者に誤認混同を与える。
したがって、請求人は、本件商標の存在により、請求人の利益が著しく阻害されるおそれがあるから、本件審判を請求をするにつき利害関係を有する者である。
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号又は同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。
(1)請求人の使用商標について
ア 「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標を使用したウォーカーシリーズについて
(ア)請求人の発行する雑誌
請求人は、平成2年3月、東京を中心とした首都圏のテレビ番組、新作商品、映画、グルメ、ファッション、旅行、ドライブ等、様々な分野の情報を網羅した都市情報誌「東京ウォーカー/Tokyo Walker」(雑誌名をいう場合は、以下「東京ウォーカー誌」という。)を創刊し、現在に至っている。その後、請求人は、東京ウォーカー誌と同様のコンセプトで、関西を中心とした都市情報誌「関西ウォーカー/Kansai Walker」を平成6年6月に発刊し現在に至っている。さらに、「東海ウォーカー/TokaiWalker」(平成8年7月〜)、「ワールドウォーカー/WorldWalker」(平成9年1月〜同10年12月)、「九州ウォーカー/KyushuWalker」(平成9年6月〜)、「横浜ウォーカー/YOKOHAMAWalker」(平成10年3月〜)、「千葉ウォーカー/ChibaWalker」(平成11年6月〜)、「神戸ウォーカー/KobeWalker」(平成12年6月〜同20年3月)、「北海道ウォーカー/HokkaidoWalker」(平成12年6月〜)を創刊した(甲3〜甲11、甲91。上記雑誌について、「東京ウォーカー誌」と同様に、以下、「関西ウォーカー誌」、「東海ウォーカー誌」のように、省略していう。)。
(イ)雑誌の販売部数及び印刷部数
東京ウォーカー誌等、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標を使用した雑誌(以下「『都市名又は地域名+ウォーカー/Walker』誌」という場合もある。)の各年における1号当たりの販売部数は、社団法人日本ABC協会から発行された雑誌の販売部数に関するレポート(1992年〜2005年上半期)に記載のとおりである(甲12)。また、印刷部数は、印刷会社発行の印刷部数等の証明書より明らかである(甲75、甲76)。
「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌の販売部数は、本件商標の登録出願日及び登録査定日の前後を通して、雑誌(週刊誌、隔週刊誌及び月刊誌も含む)としては非常に多いといえる。また、印刷部数も、販売部数同様、大量に印刷された事実がある。したがって、このことは、それだけ多くの「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌が市場に流通し、取引者・需要者の目に触れる機会があったことを示している。
さらに、他の雑誌と比較して販売部数が多いことは、2週間に販売される部数を比較した場合、例えば、平成12年において、東京ウォーカー誌(週刊)、関西ウォーカー誌(隔週刊)、東海ウォーカー誌(隔週刊)、九州ウォーカー誌(隔週刊)、横浜ウォーカー誌(隔週刊)の合計は、平均100万部を優に超えた。加えて、千葉ウォーカー誌が約13.4万部、神戸ウォーカー誌が約14.4万部、北海道ウォーカー誌が約15.6万部ずつ、各号ごとに発行されており、総販売部数は、150万部前後となり、全国誌である週刊誌「週刊朝日」、「週刊新潮」、「週刊ポスト」よりもはるかに多い。
以上の比較からしても、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌は周知・著名である。
(ウ)雑誌閲読率ランキングについて
株式会社ビデオリサーチによる「雑誌閲読率ランキング」によれば、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ全体は、平成11年以来、7年間の長期にわたって、第3位又は第4位という高い閲読率を維持している。また、閲読率が「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ全体よりも高い雑誌は、7年間を通して、コミック誌「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年マガジン」、会員誌「JAFMate」だけであり、例えば、女性週刊誌「女性自身」や写真週刊誌「FRIDAY」と比較しても、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ全体の閲読率は、非常に高いといえる。また、20代の女性では、平成11年から5年連続で首位を獲得している(甲13の1〜5)。
したがって、需要者の閲読率という観点からみても、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズは非常に多数の取引者・需要者に認知されている。
(エ)新聞・雑誌に掲載された記事について
「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌は、全国紙・地方紙問わず多数の新聞媒体にも取り上げられ(甲14、甲16)、また、一般誌や経済誌の雑誌媒体及び書籍にも取り上げられた(甲15)。これらの記事から、特定の地域に偏らず、全国の需要者に「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌の存在が認識されていたことは明白である。
(オ)合同企画・イベント開催等について
「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌の発行に伴って、請求人は、東京ウォーカー誌等の複数の各誌で、合同のイベント・企画・懸賞を行った(甲4の10、甲5の3、甲6の4、甲7の2、甲8の5、甲9の5、甲10の2、甲11の3等)。その際、各地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌には、それ以外の地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌が存在していることを認識できるイベント等の記事が多数掲載されている。さらに、請求人は、販売促進活動の一環として、定期的に「全国ウォーカー祭り」、「Walkerミーティング」などの全国一斉のイベントを開催しており、各地の会場において、他の地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌を紹介してきた(甲30の5の2、甲30の5の7、甲30の5の10〜12)。
(カ)ウォーカークラブ等について
請求人は、平成12年6月から平成15年4月まで、全国約400の書店で他の地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌が購入できる「WalkerClub」という企画を実施し(甲17)、各誌の主要な配布地域以外の書店においても、他の地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌が一般取引者・需要者の目に触れるところとなっていた。また、請求人は、東京ウォーカー誌等を通じて定期的に「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌の年間購読の宣伝広告をしている(甲4の12、甲5の5)。
(キ)公式サイト「Walkers Net」「Walkerplus」について
請求人は、平成7年ころから、出版物と連動させてウェブサイトを開始しており、平成9年から「Walkers Net」を開始し、その後、平成12年から「Walkerplus」で、各地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌と連動させ、又は、独立したサービスとして展開している。これらの各サイトは、各地域に「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌が存在していることを認識させるように構成され、全国の需要者に各誌の存在を広く知らしめることに寄与していることは明らかである(甲31)。
(ク)増刊号、ムック、書籍、フリーマガジンについて
請求人は、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌以外にも、これらの雑誌の増刊号、ムック、書籍、フリーマガジンを種々発行している(甲19)。これらの増刊号やムック等の多くには、表紙に「TokyoWalker増刊号」、「KansaiWalker増刊号」等の表示が記載され、増刊号やムックに接した取引者・需要者に、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌の存在をより知らしめることになり、さらには、「○○ウォーカー/Walker」商標を使用した請求人商品は、請求人の業務に係る商品であると認識させることは明らかである。
(ケ)日本有名商標集への掲載について
「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の登録商標のうち、定期的に発行している8誌に係る登録商標が日本有名商標集に選定されている(甲18の1)。したがって、これらの商標は、商標審査便覧に定める「原則としてわが国における需要者の間に広く認識されている商標と推認して取り扱う」べき商標である(甲18の2)。
(コ)まとめ
以上のとおり、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標の使用実績にかんがみれば、これら商標は、請求人商品の商標として、取引者・需要者の間に広く認識されているものである。
イ 「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」シリーズについて
(ア)使用の事実について
請求人は、提供される情報の対象を「都市・地域」というカテゴリではなく、特定の内容に特化した「ゲーム」等の情報を示す語(以下「その他の情報を示す語」という。)+ウォーカー/Walker」商標を使用した、雑誌「ゲームウォーカー/GameWalker」(平成6年〜同12年)、雑誌「メンズウォーカー/MEN’SWALKER」(平成8年〜同12年)、雑誌「大人のウォーカー」(平成16年〜)、雑誌「ファミリーウォーカー/FamilyWalker」(平成16年〜)、増刊号「ボーイズウォーカー/Boys’Walker」(平成10年10月)、増刊号「ドライブウォーカー/driveWalker」(平成10年8月)、増刊号「フレッシャーズウォーカー/FRESHER‘SWALKER」(平成9年4月〜)、フリーマガジン「シネコンウォーカー」(平成17年10月〜)、フリーマガジン「ハイウェイウォーカー/HighwayWalker」(平成18年4月〜)、ムック「ウォーカームックシリーズ」(No.1〜No.51まで。平成13年8月以降)等(上記雑誌等を、個々にいう場合は、以下、「ゲームウォーカー誌」、「メンズウォーカー誌」等のように、省略していう。)を本件商標の登録出願日前より現在に至るまで多数発行した(甲20〜甲25等)。その結果、現在においては、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標は、同じ出所より発行されている雑誌等であると、取引者・需要者に認知された周知著名な商標となっている。
(イ)発行部数について
甲20〜甲23に示す「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」シリーズ誌のうち、定期的に発行している(していた)雑誌の印刷部数は、印刷会社発行の証明書より明らかである(甲75)。例えば、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標を使用した雑誌(以下「『その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker』誌」という。)は、平成9年には、1か月当たり、ゲームウォーカー誌、メンズウォーカー誌、ワールドウォーカー誌の3誌で約50万部が印刷された。同様の計算方法で、平成10年には約31万部、平成11年には約29.2万部、平成12年には約13.6万部が印刷された。さらに、メンズウォーカー誌についての株式会社ビデオリサーチが実施した平成9年の東京30km圏における閲読率は、高校生男子が5.0%(22位/240誌)、大学生男子が7.6%(22位/240誌)、20代男性で6.2%(23位/240誌)であった(甲77)。この数値は、例えば、大学生男子であれば「週刊SPA」の6.3%を上回り、20代男性では「週刊プレイボーイ」(7.1%)や「MEN’S NON・NO」(6.8%)等の著名な雑誌と引けをとらない結果となっている。
したがって、かなり多くの取引者・需要者が「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」誌を目にする機会があったことに加え、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌が発行されていることも考慮すれば、書店やコンビニエンスストアの雑誌コーナーには、必ず、いずれかの「○○ウォーカー/Walker」商標が使用された雑誌等が陳列されていたことは容易に推測できる。
また、甲25に示す「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」誌についての印刷部数は社内管理データより明らかである(甲76)。
これらから、請求人が複数種類の「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標を請求人商品に使用してきたことは明らかである。
(ウ)新聞・雑誌に掲載された記事について
「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌と同様に、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」誌は、多数の新聞媒体に取り上げられた(甲27)。
(エ)インターネットを利用した取引状況について
現在もインターネットオークションで、休刊から数年を経たゲームウォーカー誌やメンズウォーカー誌が個人間で取引されたり、個人のホームページやブログで紹介されたりしている(甲28)。このような事実は、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」誌が、多くの取引者・需要者に読まれ、知られていたかを示すものであり、また、請求人から複数発行されていたことを現在の取引者・需要者に広く知らしめる作用を果たしている。
(オ)「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌との関連性について
「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」誌と「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌とは、提供される情報の内容・性質の違いはあるものの、共にウォーカーシリーズの出版物として関連性を持って発行されるものである。
例えば、「東京ウォーカー/Tokyo Walker」という「ウォーカー/Walker」を含む雑誌タイトルが付いた雑誌内に、同様の「○○ウォーカー/Walker」の雑誌タイトルの広告を積極的に掲載してきた。
このような広告が掲載されることにより、同一出版社から「ウォーカー/Walker」を含む雑誌が複数種類発行されていることを取引者及び需要者は認識することになり「○○ウォーカー/Walker」の雑誌の存在を「東京ウォーカー/Tokyo Walker」等との関連性をもって取引者及び需要者が認識することになった。
また、全国で販売される「Tokyo Walker増刊号/○○Walker」というタイトルの増刊号に接した東京以外の需要者は、各地域において販売されている各地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌と関連付けて「Tokyo Walker」の存在を認識する。それだけではなく、増刊号のタイトルである「○○ウォーカー/Walker」についても「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」と関連するものとして「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標が使用された請求人商品の存在を認識することとなる。
このように複数種類の「情報を示す語」と「ウォーカー/Walker」の語を組み合わせた請求人商品を多数出版するという商標戦略によって、請求人は「ウォーカーシリーズ」として統一されたブランドイメージを取引者及び需要者に形成してきた(甲79、甲80の1、別紙2)。
請求人がこのような事業展開を行い、またそれが取引者及び需要者に認識されているからこそ、新聞や雑誌において「ウォーカーシリーズ」、「ウォーカーブランド」、そして「ウォーカー」と総称されて、広く紹介されているのである(甲15の8、甲27の6等)。
(カ)「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」シリーズのまとめ
以上のように、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標も、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標と同様に、請求人商品の商標として、取引者・需要者の間に広く認識されており、全体として「○○ウォーカー/Walker」商標が請求人の識別表示であると広く認識されていることは明らかである。
ウ 雑誌の構成について
「○○ウォーカー/Walker」商標を使用した請求人商品は、一つのまとまったシリーズとして同様のコンセプトで、かつ、請求人と関係する商品であると取引者・需要者に認識されるよう、誌面内において、「○○ウォーカー/Walker」の標章が請求人の発行する雑誌等の商標と何らかの関連があることを需要者に浸透させることを意図し、「○○ウォーカー/Walker」の雑誌における種々のコーナーにおいて、各記事のタイトルに頻繁に「○○ウォーカー/Walker」を使用し(甲5の5、甲6の4)、さらに毎号提供される情報記事の分野については、各コーナーの欄外に「MUSIC WALKER」、 「MOVIE WALKER」等のミニ情報掲載欄のコーナー名を長年にわたって使用する(甲4〜甲17)ような工夫をしている。
そして、このようなコーナー名であっても、長年にわたって継続して使用されている場合には、仮に「MUSIC Walker」という商標が使用された雑誌が発行された場合には、取引者・需要者は、「○○ウォーカー/Walker」シリーズの雑誌に存在する情報掲載欄の名称を想起し、その分野の情報を特集したウォーカーシリーズの雑誌、すなわち、請求人が発行する雑誌が発行されたものと認識する。
エ ウォーカーシリーズの宣伝・広告等の販売促進活動について
(ア)店頭等におけるキャンペーン
請求人は、「○○ウォーカー/Walker」商標を使用した雑誌について、その創刊時や多くの需要が見込める入学・入社時期やゴールデンウィーク、雑誌創刊○○周年記念時には、大々的にキャンペーンを行ってきた(甲30の1)。
(イ)各種媒体での広告等
請求人は、新聞広告、電車の中吊り広告及びラジオやテレビなどの広告等によっても販売促進活動を行ってきた(甲30の2〜5等)。
(ウ)請求人が開催するイベント
請求人は、販売促進活動の一環として定期的に「Tokyo Walker」や「Kyushu Walker」の商標を使用したイベントを各都市・各地域で開催し、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」のウォーカーシリーズを各都市・各地域ごとに展開していった結果、ウォーカーシリーズの雑誌は全国に拡大することになった。これに伴い、請求人は「全国ウォーカーまつり」、「Walkerミーティング」といった全国一斉のイベントを開催してきた(甲30の5の2、甲30の5の7、甲30の5の10〜12)。
これらのイベントにおいて、複数の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標が列記されており、各イベントに参加した全国の取引者・需要者は、自己の地域以外の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌が存在していることを容易に認識することができた。その他、請求人は、「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の商標を冠して、ミスコンテストを行うといった販売促進活動も行っている(甲6の2)。
(エ)新聞・雑誌に掲載された宣伝広告に関する記事
請求人が多大な費用を費やして宣伝・広告してきた事実は、多数の新聞媒体にも取り上げられている(甲14の41・85・247、甲15の7等)。
オ 他の企業や団体等との共同によるウォーカーシリーズの発行
請求人の「ウォーカー/Walker」商標の使用実績によって、「ウォーカー/Walker」の語は、「情報を提供する」ことの代名詞のように理解され、「情報を示す語」に「ウォーカー/Walker」の語を結合した商標は、角川グループの代表的な識別表示であると、本件商標の登録出願時・登録査定時以前より取引者・需要者に認識されていた。請求人は、「○○ウォーカー/Walker」商標のブランド力を活用したいと考える他の企業や団体等と共に、「他の企業や団体等の商標」と「ウォーカー/Walker」とを組み合わせて、他企業や団体等の商品やサービスに関する情報を掲載した雑誌や別冊付録等のフリーマガジンを多数発行している(甲19、甲25、甲75、甲76等)。また、請求人自身もこの種の雑誌やフリーマガジンの発行について自社の宣伝媒体で広告している(甲29)。これらの雑誌等の共同発行者には、一般需要者に広く知られた有名企業や、政府機関等が多数含まれており、このことは、周知・著名なウォーカーシリーズのブランド力を利用して、自社の商品等に関する情報を提供しようと試みる企業や団体が多数存在していることを示している。
また、ウォーカーシリーズは、新聞雑誌にも多数取り上げられている(甲27の43等)。
カ 出版物以外の商品・役務へのウォーカーシリーズの活用
請求人は、出版物と他の媒体(ラジオ・テレビ・インターネット等)と連動させて相乗効果を出すというマルチメディア戦略をとっており、ウォーカーシリーズもその戦略にのっとって事業展開を行っており、雑誌で圧倒的な販売部数を誇るウォーカーシリーズを、雑誌やムック等の出版物の範囲にとどまることなく、ラジオ、テレビ、そしてインターネットにおいても展開してきた。
(ア)ラジオ番組・テレビ番組へのウォーカーシリーズの活用
請求人は、ニッポン放送とタイアップをして平成11年10月に、首都圏の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌、ウェブサイトと連動する「サウンドウォーカー」というタイトルのラジオ番組放送を開始した(甲14、甲15、甲27、甲59等)。この番組は、大々的な記者会見も開かれ(甲59)、また、人気の女性タレントがラジオのパーソナリティを務めることもあって、多数の新聞雑誌に紹介された(甲14の133・171、甲15の17等)。
そして、この番組内でも「Music Walker」というコーナー名が設けられ(甲4の12)、また、番組で紹介された情報は、連動していたウェブサイトにおける「Music Walker」のコーナーでも提供していた(甲60)。この番組は平成11年10月から同14年9月末まで3年間という長期にわたって放送された実績があることから,多数のリスナーが存在していた。
また、テレビ番組についても同様に、平成10年3月から数年にわたり、テレビ神奈川と共同で「横浜ウォーカーTV」を放送し(甲61)、平成12年4月には、テレビ東京で、東京ウォーカー誌に掲載の情報等を紹介する番組「TV Walker」を放送した(甲4の12)ほか、衛星デジタルラジオ、BSデジタルデータ放送等番組においても「○○ウォーカー/Walker」の語を活用した(甲14、甲15、甲27等)。
(イ)ウェブサイト上のウォーカーシリーズについて
請求人は、出版物と連動させてインターネット上のウェブサイトを展開していることは、前記(1)ア(キ)のとおりである。
このような請求人の事業展開ついては、多数の新聞雑誌に記事が掲載された(甲14の53の1、甲15の21、甲31の1の1〜甲32等)
(ウ)その他の事業者との協賛・提携について
請求人は、東洋水産との提携による「東京ウォーカー/Tokyo Walker」等の商標を使用したカップラーメンの販売では、各地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌で広告をするなど、出版・放送・インターネット等の分野以外の業種の企業とも積極的に提携を進め、その事業展開でも「ウォーカー/Walker」の語を含む商標を使用してきた(甲14、甲15、甲27)。
このように請求人が雑誌・ムック等の出版物とは異なる商品・役務に「ウォーカー/Walker」の語を含む商標を使用することができるのは、ウォーカーシリーズの商標が非常に高いブランド力を有しているからにほかならない。
そして、このような印刷物以外の商品・役務に「ウォーカー/Walker」の語を含んだ商標を使用することにより、請求人の主たる商品である雑誌、ムック等の「印刷物」についての「○○ウォーカー/Walker」の商標を取引者及び需要者に更に周知著名に認識させることができるという相乗効果を生み出している。
キ 「ムービーウォーカー/Movie Walker」の使用実績について
(ア)使用の経緯
「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、遅くとも平成13年12月までには、請求人の携帯サイト「日刊ウォーカー」や「MyWalker」内の映画情報を提供するサイト名称であり(甲88の1・2)、「映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」等に使用され、平成14年1月には、請求人のパソコン上のウェブサイト「Walkerplus」内において、「ムービーウォーカー/Movie Walker」のもとで、「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供」や「映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」等に使用されていた(甲88の3)。さらに、携帯サイトにおいては、「ムービーウォーカー/Movie Walker」を独立したサイトヘと移行し、KDDI株式会社提供の「EZweb」及びジェイフォン株式会社(当時)の「J−スカイ」では平成14年11月に、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの「i−mode」では平成15年1月に、正式にサービスを開始した(甲88の4・5)。
そして、請求人は、「ムービーウォーカー/Movie Walker」のもとで、上記情報の提供を行っているのみならず、他社のために「通信ネットワーク上での広告スペースの提供」をしたり、「役務の提供促進のための企画又は助言、録音又は録画済み記録媒体の販売に関する情報の提供」等を行っている(甲89の1〜甲90)。
(イ)東京ウォーカー誌等での広告・宣伝
「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、東京ウォーカー誌等に広く紹介された(甲88、甲4〜11)。
(ウ)ポータルサイト「Walkerplus」の著名性
「ムービーウォーカー/Movie Walker」の親サイトである「Walkerplus」は、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌と連動した公式サイトとして、新聞・雑誌等を通じて広く需要者・取引者に認識され、また多数のウェブサイトの閲覧者がいる(甲33)。「Walkerplus」にアクセスする多数の需要者・取引者は、「ムービーウォーカー/Movie Walker」を使用したウェブサイトが存在していること、「ウォーカー/Walker」の語を含む商標の使用実績により、「ムービーウォーカー/Movie Walker」が請求人の「映画に関する情報の提供」を示すものであることは容易に認識できる(甲91)。
(エ)キネマ旬報の映画データベースの活用
請求人は、平成14年3月に、それまで他社が手がけてきたキネマ旬報の映画データベースの運営に関し、「ムービーウォーカー/Movie Walker」にて手がけることになり、日本でも有数の「キネマ旬報」の情報を活用することにより、「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、映画情報に関連するサイトとして飛躍的に発展した(甲33の47・50等)。
(オ)有料会員数等
携帯電話サイト「ムービーウォーカー/Movie Walker」の有料会員数は、審判請求書94頁から95頁にかけて示す表のとおりであり、有料会員数等からも、「ムービーウォーカー/Movie Walker」が多数の需要者・取引者に認識されていたことは明らかである。
(カ)新聞・雑誌における記事
「ムービーウォーカー/Movie Walker」の使用に関してもいくつか新聞や雑誌に掲載された(甲33の40・47・49・50、甲15の53)。
(キ)まとめ
以上より、「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、本件商標の登録出願時以前に、第35類「広告,通信ネットワーク上での広告スペースの提供,役務の提供促進のための企画又は助言,録音又は録画済み記録媒体の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供」、第41類「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」についての使用を開始しており、取引者・需要者に広く認識されていたことは明らかである。
ク 裁判所及び特許庁における過去の判断について
裁判所及び特許庁における判断からも、請求人の「○○ウォーカー/Walker」商標が全国的に周知・著名な商標であることは明らかな事実である(甲34〜甲39、甲66、甲67)。
(2)被請求人の使用商標
ア 被請求人は、携帯電話を通じて女性を対象とした情報提供を行ったり、女性物の被服やアクセサリー等の通販事業を行う事業者(甲47の1)であり、同人の携帯サイトにおいて、「音楽に関連する情報を需要者に発信する。」ページが「music walker」であることから、「ウォーカー/Walker」の語を「情報を提供する」という意味合いで使用し、請求人が長い年月をかけて築き上げたきたブランドイメージと同様の使用方法をし、請求人のブランドイメージにただ乗りしている(甲62の1〜3、甲71)。
また、被請求人の商標の中でとりわけ請求人の使用商標と構成が似通っているものとして、「girls walker」、「boys walker」、「Cinema walker」、「shibuyawalker」、「bridalwalker」、「マンガwalker」があり、携帯電話の各サイトでは請求人と同様に「○○ウォーカー/Walker」商標を用いて種々のブランド展開を行っている(甲47の2、甲50、甲51、甲69、甲70の1、甲72)。
イ 被請求人は、請求人のメンズウォーカー誌が休刊した平成12年9月の直後である同年11月、同年12月に、「girls walker」や「BOYS WALKER」を登録出願し、同時期に携帯サイトにおいて「girls walker」の使用を開始した。
請求人のメンズウォーカー誌は、4年の使用実績があり、また首都圏の高校生・大学生を中心に広く読まれていた雑誌であり、被請求人の現在の代表取締役である大濱史太郎自身、昭和46年生まれで、東京出身である。そうすると、被請求人は、請求人の東京ウォーカー誌やメンズウォーカー誌等の存在を認識し、請求人のブランド展開により「○○ウォーカー/Walker」商標に化体した信用を利用する目的で商標登録出願をしたことは明白である。
ウ 被請求人は、平成18年1月19日に、「○○ウォーカー/Walker」商標を80件登録出願した(甲53)。このことは、請求人の「○○ウォーカー/Walker」商標に化体した信用又はブランド力を弱めようとする意思の表れであり、「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標が誰でも使用できる商標であるという認識を第三者に与えようとしているものである。
エ 被請求人は、その関連会社である株式会社響谷フミキ・クルーズ名義で取得した商標「ファッションウォーカー/Fashion Walker」を使用したファッションウェブマガジンの展開を平成18年初めに開始し、その広告をしている(甲55〜甲57)。
さらに、被請求人の関連会社が運営するファッション関連の情報サイト及び小売サイト「shibuyawalker」のメールマガジンにおいて、平成20年1月は「shibuyawalker News」という一連一体に書したタイトルであったにもかかわらず、その後、「週刊/Shibuyawalker/News」、「週刊Shibuyawalker」とロゴの態様を代えた(甲74)。この態様の変化は、請求人の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」のブランドイメージにフリーライドするものである。
オ 以上のように、被請求人の使用は、出版物に使用されている請求人の「○○ウォーカー/Walker」商標と関係があることを感じさせる不正な使用態様であり、「○○ウォーカー/Walker」商標のブランドイメージヘのフリーライドの意思が十分にうかがえる。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 前記(1)キのとおり、「ムービーウォーカー/MovieWalker」は、本件商標の登録出願時以前に、第35類「広告,通信ネットワーク上での広告スペースの提供,役務の提供促進のための企画又は助言,録音又は録画済み記録媒体の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供」、第41類「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」について使用され、取引者・需要者に広く認識されていた。
本件商標の指定商品中、第35類「インターネットによる広告、電子メールによる広告、その他の広告、郵便による広告物の配布、その他の広告物の配布、広告に関する情報の提供、受託による広告用看板の制作、インターネットにおける商品の展示即売会の企画・運営又は開催,商品の展示即売会の企画・運営又は開催,ウェブサイト上の広告スペースの貸与,コンピュータによる顧客管理,コンピュータによる経営の診断及び指導,情報処理及び情報通信ネットワークの運営に関する事業の経営の診断及び指導・その他の経営の診断及び指導,商品の通信販売に関する情報の提供,電子計算機端末による商品の販売に関する情報の提供,書籍の販売に関する情報の提供,情報通信関連機器の販売に関する情報の提供,録画済みビデオディスク及びビデオテープの販売に関する情報の提供,新商品の販売に関する情報の提供・その他の商品の販売に関する情報の提供,事業情報の提供,建物又は土地に関する市場調査,コンピュータによる市場調査,その他の市場調査,市場調査に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,建物又は土地に関する事業の企画,電子計算機端末による企業情報の提供,その他の企業情報の提供,事業の経営及び管理のための製品計画・商品の販売促進の企画に関する情報の提供,インターネットを利用した企業経営に関する情報の提供,経営の診断及び指導に関する情報の提供,事業の管理又は運営に関する情報の提供,企業の経営管理に関するコンサルティング,企業経営に関する情報の提供,企業経営ノウハウに関する情報の提供,市場及び販売戦略に関する指導及び助言,事業の管理・運営及び組織に関する助言又は援助,新事業の経営・管理に関する製品計画・商品の販売促進の企画についての助言・指導,アンケート調査に関する情報の提供,商品の売買契約の媒介又は取次ぎ,インターネットによりデータベースを利用させる事業の管理又は運営及びそのための一般事務の代理又は代行,企業の人事管理のための適性検査,魚・花市場における相場に関する情報の提供,広告用具の貸与」及び第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営に関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給,ビデオテープ映画の上映に関する情報の提供,コンピュータグラフィックスによる映画の制作,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」は、「ムービーウォーカー/MovieWalker」が使用される役務と同一又は類似する役務である。
イ 「シネマ/cinema」の語と「ムービー/Movie」の語は、「映画」を意味する語として日本の取引者・需要者にも広く親しまれた英語である(甲93)。また、「ウォーカー/Walker」の語は、「散歩する人」の意味合いが生ずる英語として、日本の需要者・取引者に広く親しまれた英語であり、このことに加え、請求人の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標の使用実績の結果、「情報を提供する」ことの代名詞のように一般に認識されるようになっている。
さらに、被請求人も「ウォーカー/Walker」の語を「情報を発信する」という意味合いで使用している。
したがって、本件商標及び「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、いずれも「映画に関する情報を提供する請求人の識別表示」と理解されることから、同一の観念を生ずる類似する商標というのが相当であって、本件商標の上記指定役務については、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 前記(1)のとおり、請求人は、東京ウォーカー誌を旗艦誌として、「情報を示す語」と「ウォーカー/Walker」を含む構成からなる商標を中心に使用することによって事業を展開している。そして、この使用実績から、取引者・需要者間において、請求人の「○○ウォーカー/Walker」から構成される商標は、雑誌の内容・テーマ・対象によって「○○」が異なるということが、十分に認識されており、そのような商標を請求人が使用してシリーズ化した商品展開やそれに関連するサービス展開を行っていることは、広く認識されているところである。
そして、商品「印刷物」について「○○ウォーカー/Walker」の商標を、請求人以外の第三者が一般的、大々的に使用している事実・状況は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において存在せず(甲81〜83)、かつ、「ウォーカー/Walker」 という語が「情報を提供する」ための代名詞のようになった認識を、請求人のウォーカーシリーズの存在ゆえに、取引者及び需要者が持つようになっている状況下では、例えば、東京ウォーカー誌及び横浜ウォーカー誌がシリーズ化された商品であると知っている取引者及び需要者が、本件商標のような「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標を使用した雑誌等に接した場合、「ウォーカー/Walker」の語の前に「情報を示す語」が記載されているという商標の構成が共通であるという点から、「著名情報雑誌『東京ウォーカー誌』等と関連する雑誌である」と誤認混同することは当然といえる。
また、そもそも取引者及び需要者は、「都市名又は地域名」を示す名詞と「その他の情報を示す語」(都市名又は地域名以外の名詞)を必ずしも区別して認識したり、両者の間に質的な差異を認めたりしているとはいえないから、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の態様で出所混同を生ずるおそれが認められる以上、「(都市名又は地域名以外の)その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」の態様においても、出所混同を生ずるおそれが認められる。このことは、平成20年に、請求人が首都圏を中心とする書店従業員等に対して行ったアンケート結果(甲85)及びインターネット利用した一般需要者向けのアンケート結果(甲86)からも裏付けられている。なお、これらのアンケート結果は、現時点のものであるが、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、第三者が発行する「ウォーカー/Walker」の語をタイトルに含む雑誌やムックが存在しなかったから、本件商標が登録出願された当時であってもこの結果に大きな変化はないと思われる。
イ 本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであることは、最高裁判所平成12年7月11日第三小法廷判決(平成10年(行ヒ)第85号)における「混同を生ずるおそれ」の判断基準に照らしても明白である。以下、この判断基準にしたがって説明する。
(ア)類似性の程度
請求人の使用商標と本件商標は、いずれも雑誌の内容・テーマ・対象となるような情報を示す語と、「散歩する人」等を意味する英語「ウォーカー/Walker」の語とを結合するという構成からなり、商標の構成が同一である。
(イ)他人の表示の著名性
前記(1)のとおり、請求人の使用商標は、本件商標の登録出願時以前に、取引者・需要者に広く知られている商標であり、「○○ウォーカー/Walker」商標は、請求人商品を表示するものとして認識されている。
(ウ)独創性の程度
「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標の独創性について、請求人の旗艦商標である「東京ウォーカー/Tokyo Walker」は、「東京を散歩する人」のようなイメージを生じさせるものの、全体として既存の名詞や用語などではなく、独創的な造語の商標である。
また、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標の独創性についても、例えば、「ゲームウォーカー/Game Walker」や「メンズウォーカー/MEN’S WALKER」という商標をみると「ゲームを散歩する人」、「男性たちの散歩する人」というイメージは生ずるものの、それが何を意味するのかは、その商標からは明確に理解できない。
以上によれば、請求人の「○○ウォーカー/Walker」の構成からなる商標は、請求人の独創的な商標である。
(エ)本件商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との関連性
本件商標中の「印刷物」は、請求人の使用商標が使用される出版物とは同一又は類似の商品である。また、紙媒体の雑誌や書籍を閲覧するのと何ら変わりなく、これらの出版物を電子計算機端末や携帯電話機端末で閲覧できるという商取引の実情及び請求人が電子出版物の配信や提供を行っているという実績から、「電子出版物」等も商品「印刷物」と関連性が高い商品というべきである。
(オ)需要者等の共通性
本件の対象となる商品は「印刷物」、「電子出版物」等であるため、取引者を共通にする。また、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌は、10代後半から30代前半の需要者を対象としており、被請求人も20歳から35歳の需要者を中心にビジネスを展開している(甲47)。したがって、両者の商品等は、取引者及び需要者を共通する。さらに、被請求人は、東京をはじめとする大都市を中心として事業を展開していることがうかがえるから、その事業地域も共通する。
(カ)その他の取引実情
請求人以外の第三者が「○○ウォーカー/Walker」の語をタイトルに含んだ雑誌・ムック等を使用している事実・状況は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において存在しないこと、ウォーカーシリーズで使用されている商標が、シリーズ商標として取引者・需要者に認識されていること等の取引実情がある。
(キ)需要者等において普通に払われる注意力
請求人の使用商標は、主として雑誌・ムック等の出版物のタイトルや関連するウェブサイトの名称として、目を引く部分に使用されている。また、本件商標も携帯電話用のウェブサイトの名称として目を引く形で使用されている(甲70等)。本件商標が同様の態様で出版物に使用された場合、最も目を引く態様で使用されることは容易に予測できるところである。
ウ 以上のとおり、本件商標は、「シネマ/cinema」という明確に雑誌の内容やテーマを示す「情報を示す語」と「ウォーカー/walker」の語とを結合させた独創性のある造語商標ということができ、請求人が長年にわたって使用し、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、著名性を獲得していた「東京ウォーカー/TokyoWalker」をはじめとする「○○+ウォーカー/Walker」商標と同じコンセプトに基づく商標である。
また、他に同様の構成からなる商標を商品「印刷物」に使用している第三者が存在しないこと、略称・総称として「ウォーカーシリーズ」や「ウォーカー」と新聞や雑誌等で報道されており、シリーズ商品として認識されていること、被請求人が請求人のブランドイメージにフリーライドしようとする意図があること等の様々な実情があることにかんがみれば、本件商標が前記(3)アで述べた役務はもちろんのこと、「印刷物,電子出版物、新聞・雑誌・書籍・地図・図面・写真の画像・文字情報を記録させた電子回路・ROMカートリッジ・光ディスク・磁気ディスク・光磁気ディスク・磁気カード・磁気テープ」をはじめ、第9類「録音済みの磁気カード・磁気シート・磁気テープ・コンパクトディスク・その他のレコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,事故防護用手袋,計算尺」、第16類「写真,写真立て,紙製幼児用おしめ,文房具類」、第35類「トレーディングスタンプの発行」、第41類「演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,演芸の上演・演劇の演出又は上演・音楽の演奏に関する情報の提供,放送番組の制作,放送番組の制作に関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)又はこれらに関する情報の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオ・コンパクトディスク・光学式ビデオディスクの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),録音・録画済CD−ROM原盤の制作,放送番組の制作における演出に関する情報の提供,放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,インターネットを利用した興行場の座席の手配その他の興行場の座席の手配,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済みビデオディスク及びビデオテープの貸与,録画済みマイクロフィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与・録画済みビデオディスク及びビデオテープの貸与に関する情報の提供」(以下、これらをまとめて「請求の趣旨掲記商品及び役務」という。)に使用された場合、それに接した取引者・需要者は、本件商標のコンセプトである「○○ウォーカー/Walker」という商標の構成に強い印象を受け、その商品又は役務が請求人又は同人と営業上何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 被請求人の「ウォーカー/Walker」の語の使用方法等については、前記(2)のとおりである。
したがって、被請求人の上記使用は、出版物に使用されている請求人の著名な「○○ウォーカー/Walker」商標にフリーライドする不正の目的を有する。
イ 「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、第35類「広告,通信ネットワーク上での広告スペースの提供,役務の提供促進のための企画又は助言,録音又は録画済み記録媒体の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供」、第41類「映画の試写会映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」について、本件商標の登録出願時及び登録査定時の前後を通して周知・著名な商標である。
そして、「ムービーウォーカー/Movie Walker」と類似する本件商標を、その指定商品及び指定役務中の請求の趣旨掲記商品及び役務について使用することは、不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
「ムービーウォーカー/Movie Walker」の態様、周知・著名性等について
(1)使用する商標の態様が、常に同じでなければ、当該商標が周知商標にならないという合理的な理由はなく、広告戦略上のデザイン変更の必要性等に応じて商標の使用態様を変更することは、商業活動において普通に行われているところである。
「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、いずれの態様も「ムービー/Movie」の語と「ウォーカー/Walker」の語とを結合した態様の商標であって、「ムービーウォーカー」の称呼が生じ、「映画に関する情報提供」の観念が生ずるものである。
したがって、「ムービーウォーカー/Movie Walker」の態様が同一でないとしても、その称呼及び観念は変わることがなく、需要者は、「ムービーウォーカー/Movie Walker」という商標を認識しているのである。
(2)請求人は、「ムービーウォーカー/Movie Walker」の態様及び周知・著名性について、請求の理由で主張したところであるが、東京ウォーカー誌等の誌面において、掲載される内容がいかに影響力を有するものであるかは、知財高裁の判決に示された事実認定からも明らかである(甲95)。
(3)本件商標との類否について
被請求人は、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」の観念について、いずれも造語であると主張しているが、後記第3の2(2)オにおいて、「『ウォーカー』が『情報提供の代名詞』として需要者・取引者に認識されている自他商品識別力のない語である」旨主張し、さらに、他の無効審判事件において、「『ガールズウォーカー』と『girls walker』との文字を二段併記してなる本件商標は、『女の子に関する情報を提供するもの』との一連の観念を需要者・取引者に認識させる」旨主張しているところからすると、本件商標は、「映画についての情報を提供する」の観念が生ずることになる。
したがって、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、いずれも「映画に関する情報を提供する角川グループの識別表示」との観念を生ずる類似の商標である。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番を含む。)を提出した。
請求人が本件審判の請求について利害関係を有することについては、争わない。
(1)「ウォーカーシリーズ」の語について
請求人は、請求の理由中で、「ウォーカーシリーズ」なる造語を頻繁に使用しているが、該語は、請求人及び一部の記事以外には使用されておらず、一般の需要者・取引者にこれら商品がシリーズ商品として認識され、かつ、「ウォーカーシリーズ」と称されている事実を証する証拠は見当たらない。
(2)請求人の「ウォーカーシリーズ」における商標の使用実績
ア 「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標を使用したウォーカーシリーズについて
(ア)請求人ホームページ(甲3の1〜8)は、本件商標の登録査定後のものである。本件商標の登録査定前に同サイト上で、「TokyoWalker」等の文字が使用されていたという証拠はない。また、本件商標の登録出願時及び登録査定時に発行されていたのは、東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、東海ウォーカー誌、九州ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌、千葉ウォーカー誌、神戸ウォーカー誌、北海道ウォーカー誌のみであり、その他は、既に廃刊又は未発行であった(甲4の2〜甲11)から、本件商標が登録出願時及び登録査定時に商標法第4条第1項第15号に該当していたかどうかの判断には関係がない。
(イ)東京ウォーカー誌の平成15年7月1日号が配本された地域は、ほとんど東京及びその周辺に限られており、東京・神奈川・埼玉・千葉の4都県で90%を超えている(甲12の12の1:259頁)。関西ウォーカー誌は、関西6県で95%以上であり、東海ウォーカー誌は、愛知・岐阜・三重・静岡で99%を占める。九州ウォーカー誌も九州、横浜ウォーカー誌も神奈川にほとんど限られている。この配本比率の偏りは、その後の配本比率(甲12の2〜14)でも変わらず、平成14年以前も地域的に配本比率が偏っていたものと推定される。したがって、請求人発行の都市情報各誌は、それぞれ「Walker」の前に冠された地域のみで販売されている事実が証される(甲5の12の1等)。
そうすると、このような地域的に偏った販売を行っている状況にかんがみれば、種類は複数発行されているものの、これがシリーズ化された商品であると認識している需要者がそれほど多いとは認め難い。
(ウ)ビデオリサーチ雑誌閲読率ランキングについて
上記調査は、請求人が都市情報誌を配本している区域とほぼ重なっている都市部(全国7地区)でのみ行われ(甲13の14)、調査が行われる区域だけに都市情報誌の配本が著しく偏っているためにその区域での閲読率が高いのは当然である。
(エ)新聞・雑誌に掲載された記事について
これらの内容は、記事中に「東京ウォーカー」等の雑誌名が単に含まれているだけのものが大多数であり、請求人の主張するところの「ウォーカーシリーズ」がシリーズ商品として著名である事実を証明するものはほとんど含まれていない。請求人は、「全国紙や全国的に販売される雑誌も多数含まれている」と述べているが、新聞は、地方紙、全国紙の地方版及び業界紙、雑誌は、業界誌が多く、これらの読者が「印刷物」等の需要者層と一致しているとは到底認められない。
(オ)合同企画・イベント開催等について
企画・イベントについての応募者や参加者の人数が明らかにされていない。また、「全国ウォーカーまつり」等(甲30の5の2等)からは、各都市情報誌の名称がシリーズ商品であることを認識させるような商標の使用態様はほとんど見当たらない。
(カ)ウォーカークラブ等について
「WalkerClub」が実施されたのは、平成12年6月から同15年4月までとのことであり、これは、企画倒れに終わったものと推測される。事実、平成12年以降の配本比率(甲12の12の1等)は、各誌ともそれ以前と変わらず、地域的に著しく偏ったままである。
(キ)公式サイト「Walkers Net」「Walkerplus」について
サイト閲覧者数等が明確でない。
(ク)増刊号、ムック、書籍、フリーマガジンについて
各増刊号、ムック等の発行部数は一部しか明らかにされておらず、配布した地域や配布方法等も明らかにされていない。また、平成4年から同6年の発行のもの(甲19の1〜15)は、その後発行された事実はないので、本件商標の登録出願時及び登録査定時にまで何らかの影響が残っていたとは考えられないし、その他のほとんどは、本件商標の登録出願及び登録査定後の発行に係るものである。
(ケ)日本有名商標集への掲載について
平成16年発行のものなので本件審理に影響を及ぼさない。
(コ)請求人は、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標は、請求人商品の商標として取引者・需要者の間に広く認識されていると主張する。
しかし、前述のように、証拠として採用できるのは、都市情報誌の中でも本件商標の登録出願及び登録査定前に発行された一部のみであり(甲4等)、仮に、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、東京ウォーカー誌等の都市情報誌が、それぞれ各発行地域においてある程度の周知性を獲得していたとしても、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」商標が請求人商品の商標として、需要者・取引者間に広く認識されていた事実が存在したとは到底認められない。
イ 「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」シリーズについて
(ア)雑誌が何らかの情報を媒介するものである以上、対象となる情報の種類を需要者が直ちに認識できるように、雑誌の題号に「情報を示す語」を使用することはごく一般的に行われており、請求人が独占排他的に「情報を示す語」を含む商標を雑誌の題号を採用しているわけではない。さらに、後述のように、遅くとも本件商標の登録出願時から現在に至るまで、「ウォーカー/Walker」の語は、「○○ウォーカー」、「○○Walker」のように事物を表す語を冠した態様で、その事物に関する情報を提供する雑誌や書籍の題号として当業界において請求人以外の者により汎用され、また、多数の商標登録がなされている事実がある。
(イ)請求人の発行に係る各雑誌のうち、マンスリーウォーカー誌は平成8年10月、メンズウォーカー誌は平成12年9月、ワールドウォーカー誌は平成10年12月、ゲームウォーカー誌は平成12年8月に、それぞれ廃刊になっており、また、平均印刷部数が漸減していた(甲75)ことからも、これら商標の使用の影響は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に消失していたものと解される。その他、大人のウォーカー誌、ファミリーウォーカー誌、シネコンウォーカー誌、ハイウェイウォーカー誌は、本件商標の登録査定後の発行に係るものであり、また、本件商標の登録出願前に発行されたものや単発的な増刊号などについては本件審判の審理に影響しない。
また、メンズウォーカー誌の閲読率(甲77)については、同誌が大人の男性向けの東京に関する情報を提供する都市情報誌であるから、おそらく配本比率も東京ウォーカー誌と同様に首都圏に偏っているはずであるから、閲読率が高いのも頷ける。
さらに、ウォーカームックシリーズ誌(甲25の75)なるシリーズ名はどこにも記載されておらず、これらが請求人のいうところの「ウォーカームックシリーズ」と総称されているものと認めるに足る証拠はない。本件商標の登録出願前に発行されたウォーカームック誌4冊(甲25の75の1〜4)が、請求人の「ウォーカー」がシリーズ化された商品の表示であることの周知著名化に寄与したとは到底認め難い。上に挙げた以外の甲25の枝番のものについては、いずれも東京ウォーカー誌などの増刊であって、一部を除き発行部数が不明であり、配布方法や販売地域等も不明である以上、「ウォーカー」の著名性にそれほど影響があったとは認められない。
(ウ)新聞・雑誌に掲載された記事について
記事の内容の大半が、「○○ウォーカー」が創刊されたとか発行されていたりとか元編集長の人事異動を伝えている程度にとどまり、シリーズ商品を表すものとして需要者に認識されている事実はもとより、これらの商標が周知著名である事実すらうかがわせるような記述は見当たらない。また、これらのほとんどは、本件商標の登録出願日よりはるか以前か、登録査定後のものである。
(エ)インターネットを利用した取引状況について
それぞれの商品説明には、アイドルやタレントの名前が挙げられており、これらのアイドルやタレントのファンやマニアの間で、アイドルの写真やインタビューなどが掲載されているという理由で、収集のために取引の対象になっているにすぎない。これは、ゲームウォーカー誌やメンズウォーカー誌に限られた事情ではなく、他の雑誌でも同様の取引がされているので、上記雑誌が他の雑誌に比べて多くの需要者に読まれていたことの証明にならない。他のインターネット上で紹介された事実(甲28の2)についても、他の雑誌に比べて特異なケースであるとは認められない。
(オ)「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」シリーズ誌との関連性について
請求人は、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」誌の増刊号・ムック等と、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌とは、提供される対象とする情報の内容・性質の違いはあるものの、共にウォーカーシリーズの出版物として関連性を持って発行されるものである旨主張するが、そのような事実は見当たらない。逆に、請求人がこれらを一つのシリーズとしては認識していなかった証拠として新聞広告(甲30の2の15)が挙げられる。同新聞広告において、東京ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌、千葉ウォーカー誌の3誌が「首都圏Walker」と総称され、東海ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、九州ウォーカー誌の3誌が「各都市Walker」と総称され、これら都市情報誌が右端近くに表示されているのに対し、メンズウォーカー誌は、都市情報誌とは離れた左端の位置に、月刊フィーチャー誌、マリ・クレール誌とともに配置され、また、同広告の左上には「MEN’SWALKER+feature presents/7大都市トーク&試写会」のようなイベント告知があり、メンズウォーカー誌はむしろ「feature」と関連づけられて宣伝されていることがわかる。これによれば、メンズウォーカー誌と都市情報誌とが「ウォーカーシリーズ」、「ウォーカーブランド」などと称していることはなく、この広告は、平成11年4月20日の時点における、請求人自身の「ウォーカー」に関する認識が端的に現れたものであって、「各雑誌がウォーカーシリーズと認識されている」という事実を証するものではない。
また、請求人は新聞や雑誌の記事を挙げて「・・・新聞や雑誌において『ウォーカー』や『ウォーカーシリーズ』と総称されて、広く紹介されているのである」と主張するが、そのような例は、請求人が提出した膨大な記事のうちの数えるほどしかなく、その他の大多数はこれらをシリーズ商品として認識しているような書き方はしていない。
(カ)以上のように、各証拠によるも、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、「その他の情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標が雑誌等の商標として周知であるとの事実が存在したとは到底認め難い。
ウ 雑誌の構成について
「『情報を示す語+ウォーカー/Walker』商標を使用された出版物は、・・・誌面内においても種々の工夫を行っている。」と主張する。
しかし、そもそも「ウォーカーシリーズ」なる商品群は存在しないから、「工夫」などという意図的な行動を取れたはずもない。
エ ウォーカーシリーズの宣伝・広告等の販売促進活動について
各雑誌についての販売促進活動が行われていたことは認めるが、「ウォーカー」が請求人の発行に係るシリーズ化された商品を表すものとして需要者に印象づけられるようなものではない。
オ 他の企業や団体等との共同によるウォーカーシリーズの発行について
請求人が発行しているフリーマガジン等は、一部を除きそれらの発行部数はいずれも明らかではないし、本件商標の登録出願前に発行されたものはごく一部であり、発行部数はそれほど多くはない。また、これらの配布方法や配布地域が明らかではなく、どれほどの数が実際に需要者の手に渡ったかも証明されていない。
また、これらが請求人の広告活動の結果発行されたものであるとの証明もない。
さらに、請求人は、周知・著名なウォーカーシリーズのブランドカを利用して、自社の商品等に関する情報を提供しようと試みる企業や団体が多数存在していることを示している旨主張するが、むしろ、単にフリーマガジンを発行するに際して「○○ウォーカー」と称すれば、「○○を歩き回る人」、「○○を散歩する人」といった「○○」についての情報を提供するというフリーマガジンの内容を直ちに需要者に理解させやすいという理由で企業や団体が選択したものと考える方がより自然であり、「ウォーカー」が「情報提供の代名詞」として取引者・需要者に認識されている自他商品識別力のない語であるが故に、当業者により書籍やムック等の題号に「○○ウォーカー」の態様が好んで使用され、また多数の商標登録がなされているという事実が派生したのであって、「ウォーカー/Walkerといえば角川」のような認識があったとは認められない。
カ 出版物以外の商品・役務へのウォーカーシリーズの活用について
請求人は、ラジオ・テレビ番組やインターネットのウェブサイトにおける展開及びクレジットカード会社との提携について、雑誌・ムック等の印刷物についてのウォーカーシリーズが非常に高いブランドカを有しているからにほかならない旨主張するが、ラジオ・テレビ番組はスポンサーになっただけであり、ウェブサイトの開設は個人でもできることである。クレジットカード会社等との提携についても、特に難しい条件があるとも思えない。また、ラジオ・テレビ番組の聴取率や視聴率、サイトのアクセス回数、カード発行枚数等は全く明らかにされていないので、これらの活用が「ウォーカー」商標の周知著名性にどのような影響を与えたか不明である。
キ 「ムービーウォーカー/Movie Walker」の使用実績について
請求人は、「ムービーウォーカー/Movie Walker」と一括りにしているが、実際に使用している商標は様々な態様があり(甲88、甲89の1及び2、甲90、甲91)、いずれの商標が著名であると主張しているのか不明である。また、上記商標は、いずれも本件商標の登録出願時までの使用期間は長いとはいえず、使用規模もごく小さいので、そのいずれかが本件商標の登録出願時に周知商標であったとは到底認め得ない。
(3)裁判所及び特許庁における過去の判断について
請求人の挙げた判決例・審決例等は、商標の構成等において本件と事案を異にするものであり、それらの判決例・審決例をもって本件の出所混同の判断の基準とするのは適切ではない。また、ある登録商標が無効にされるか否かの判断は、個々の登録商標ごとに個別具体的に検討判断されるべきことは明らかであることよりすると、請求人の挙げている判決例等に拘束されるものではない。
(1)「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、上述のように、その態様が特定できず、それぞれについての使用開始時期、使用期間、使用規模等が立証されていないので、これらが周知であるとは到底認められない。
(2)「ムービーウォーカー/Movie Walker」がいずれの態様であっても、以下のとおり、本件商標とは類似するものではない。
ア 外観
本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」(甲88、甲89の1及び2、甲90、甲91)は、外観上相紛らわしいものではない。
イ 観念
本件商標は、「cinema」、「シネマ」と「walker」、「ウォーカー」の両語を結合した商標であり、それぞれの単語の意味から「映画の散歩する人」との意味合いが読み取れるとしても、これは既成語ではなく、特定の観念をもって認識され取引者、需要者に記憶されるものではない。
したがって、本件商標は、特定の意味合いを有しない一連の造語としてのみ看取されると解するのが自然である。
また、「ムービーウォーカー/Movie Walker」も同様に、造語として把握されるから、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」とは、観念上比較すべくもない。
なお、「シネマ」も「ムービー」も英和辞典で対応する日本語は、「映画」であるが、「シネマ」、「ムービー」及び「映画」はそれぞれ異なる概念であり、一つの語より直ちに他方の語を想起し得る程度に、観念的に相互・互換性を有するものとまではいい難い(乙12)。
ウ 称呼
本件商標の称呼「シネマウォーカー」と「ムービーウォーカー/Movie Walker」の称呼「ムービーウォーカー」とは相紛らわしいものではない。
エ 以上のように、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」とは、外観、観念及び称呼のいずれにおいても相紛らわしいものではなく、非類似である。
(3)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
ア 本件商標は、構成全体をもって、「シネマウォーカー」の一連の称呼のみを生ずる造語よりなる商標と判断されるから、「東京ウォーカー/TokyoWalker」等とは外観、観念及び称呼のいずれにおいても相紛らわしいものではない。
また、甲各号証を総合するも、「ウォーカー」が請求人のシリーズ商品を表す著名な商標であるとの事実もうかがえないから、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、一般消費者が本件商標に接したとしても、請求人の事業を想起して出所の混同を生ずるおそれもない。
イ ウォーカーシリーズで使用される商標に対する需要者・取引者の認識については、前記2で述べたとおりである。
なお、請求人は、「○○ウォーカー」商標が請求人以外に使用されていないかのような主張をするが、誤りである。被請求人が調べた限りでは「○○ウォーカー」のような商標が、商品「印刷物」、「電子出版物」を指定商品として多数登録されており(乙1、乙2)、また、現に「○○ウォーカー」の名称の書籍が多数流通し続けている(乙3)。
さらに、アンケート等は、平成20年に実施されたものであり、本件商標の登録出願時及び登録査定時とはかけ離れており、何の証拠ともなり得ない。
ウ 最高裁判例の判断基準のあてはめについて
(ア)当該商標と他人の表示との類似性の程度
上記アのとおり、本件商標は、「TokyoWalker」等の商標とは相互に類似しない。
(イ)他人の表示の周知著名性
本件商標の登録出願時及び登録査定時には、「TokyoWalker」等の商標が使用されていたにとどまり、仮に、各都市情報誌が販売されている限定的な地域内でのみ、各商標が個々にある程度周知になっていたとしても、これを超えて「ウォーカー/Walker」の語が請求人のシリーズ商品や一連の事業を表示するものとして著名性を獲得していたとは到底認められない。
(ウ)独創性の程度
「ウォーカー/Walker」は、「歩く人」、「散歩する人」等の意味を有する英単語又は英国系の人名及びその発音の日本語表記であり、我が国でも広く知られた語である。請求人の各使用商標は、既存の語(東京、関西、九州、東海等とウォーカー/Walker)を組み合わせたにすぎない構成であるから、純然たる造語に比較すると独創性は薄い。
(エ)本件商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の関連性の程度
本件請求に係る指定商品「印刷物」と、請求人の商品「雑誌」とが同一又は類似であることは認めるが、ウェブサイトやラジオ放送との関連性は薄い。
(オ)商品等の取引者及び需要者の共通性
上記(エ)のとおり、商品が同一又は類似なので需要者等も共通すると認めるが、被請求人がどのような事業を行っているかについては関係がない。
(カ)その他の取引の実情
取引の実情とは、指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的なものを指すものであって、特殊的、限定的なものを指すのではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号、同49年4月25日判決)。
本件における取引の実情とは、以下のような事実である。
通常、書籍等の刊行物の題号は、その書籍等に記載されている内容を需要者に了知させるためのものであり、出所識別標識とは認められないが、新聞・雑誌等の定期刊行物に限れば、題号が内容を示すものであっても、新聞社・出版社ごとにその内容が異なるので、出所表示機能を有するものと認め得る。すなわち、新聞・雑誌等の定期刊行物の題号は、他の商品に使用される商標と比較して、一般的な出所の混同が生ずるとされる類似範囲が極めて狭く解釈され、したがって、具体的な出所の混同の生ずる範囲も非常に狭くならざるを得ない。
(キ)需要者等において通常払われる注意力
需要者は、一般消費者であるから、通常程度の注意力が払われるとみて差し支えなく、また、取引業者はより高い注意力を有する。
エ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
被請求人は、商標法第4条第1項第19号で規定する「不正の目的」に該当するような行為は一切行っていない。同規定は、著名商標と同一又は同一に近い場合に適用されるが、本件商標と請求人の使用商標とは非類似である。
なお、被請求人は、本件商標の使用状況及び被請求人の主要な活動に示すとおり、他人のブランドイメージにフリーライドするような行為は一切行っていない(乙4の1〜45、甲47)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のように、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではない。
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、当事者間に争いがなく、当審も、請求人は本件審判の請求人適格を有するものと判断するので、以下、本案に入って審理する。
(1)請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 請求人(そのグループ会社も含むものとする。以下同じ。)は、平成2年3月に東京を中心とする首都圏のイベント、レジャー、映画、音楽、スポーツ、テレビ番組、演劇、ドライブ、飲食店の情報等について掲載する都市情報誌である東京ウォーカー誌を創刊した(甲14の3。当初は週刊、平成16年4月から隔週刊)。その後、請求人は、その地域の都市情報を掲載する都市情報誌として,平成6年6月に関西ウォーカー誌、平成8年7月に東海ウォーカー誌、平成9年6月に九州ウォーカー誌、平成10年3月に横浜ウォーカー誌、平成11年6月に千葉ウォーカー誌、平成12年6月に神戸ウォーカー誌(同20年3月で休刊)及び北海道ウォーカー誌を創刊し、神戸ウォーカー誌を除き、現在まで発刊している(甲14の40・66・89・114・160・207・234等)。
そして、これらの雑誌の表紙は、いずれも、上部に「TokyoWalker」、「KansaiWalker」、「TokaiWalker」等の英文字による雑誌名が大きく横書きされ、中央にモデルの写真が配置されるなどの類似した構成が採られている(甲4〜甲11)。
イ 上記各誌の販売部数は、東京ウォーカー誌は平成4年が約28万部、平成6年の約42万部を頂点として毎年増大したが、その後やや減少し、本件商標の登録出願日(平成15年4月17日)及び登録査定日(同15年10月22日)である平成15年には、上半期で約11万部(下半期の販売部数を示す資料はない。)、関西ウォーカー誌は、創刊された平成6年には約27万部、平成10年の約50万部を頂点として毎年増大したが、その後やや減少し平成15年には約45万部、東海ウォーカー誌は、創刊された翌年の平成9年が約19万部、平成15年には約28万部、九州ウォーカー誌は、創刊された翌年の平成10年が約18万部、平成15年には約24万部、横浜ウォーカー誌は、平成12年が約18万部、平成15年には約24万部であり、また、東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌の平均販売部数は、著名な週刊誌の一つである週刊朝日の平均販売部数を上回る時期もあり、東海ウォーカー誌、九州ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌の平均販売部数も相当数に及ぶもので、いずれも、平成15年の販売部数は、多くの雑誌の中で上位を占めていた(甲12)。なお、平成15年における千葉ウォーカー誌、神戸ウォーカー誌、北海道ウォーカー誌の販売部数を示す資料はない。
そして、東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、東海ウォーカー誌、九州ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌の読者層は、20代の社会人、大学生が圧倒的多数を占めている(甲12の12の1)。
また、上記各誌の都道府県別配本比率は、平成15年1月から6月の時点において、東京ウォーカー誌は、東京が56.93%、埼玉が14.37%、神奈川が11.39%、千葉が7.40%、茨城が2.01%、栃木が1.05%であるほかは、すべて1%未満であり、関西ウォーカー誌は、大阪が57.74%、兵庫が15.50%、京都が12.89%、奈良が5.18%、滋賀が3.64%、和歌山が2.54%であるほかは、すべて1%未満、東海ウォーカー誌は、愛知が68.19%、岐阜が13.28%、三重が10.51%、静岡が7.20%であるほかは、すべて1%未満、九州ウォーカー誌は、福岡が70.85%、佐賀が7.74%、大分が5.52%、長崎が4.57%、熊本が3.94%、山口が3.68%、鹿児島が1.47%、宮崎が1.09%であるほかは、すべて1%未満、横浜ウォーカー誌は、神奈川が89.37%、東京が7.61%であるほかは,すべて1%未満であって(甲12の12の1)、これらの情報誌の販売地域は、各誌の題号の一部となっている情報対象地域が中心であって、これに加えその周辺地域という限定された範囲内であり、その前後の時期においても、このような傾向に変化があったと認めるに足る証拠は見いだせない。
ウ 東京ウォーカー誌が創刊された際には、新聞、雑誌等に取り上げられ、これに続く関西ウォーカー誌や東海ウォーカー誌などの「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌が創刊された際にも、東京ウォーカー誌の販売部数が多いことなどを引き合いにして、新聞、雑誌等に取り上げられた(甲14〜甲16)。
また、請求人は、平成12年6月ころから、請求人と特約した全国の書店において、他の地域で発売している東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、東海ウォーカー誌、九州ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌、千葉ウォーカー誌、神戸ウォーカー誌及び北海道ウォーカー誌を購入することができる「Walkerclub」の制度を実施し(甲17)、その内容を上記各誌に掲載した(甲5の2、甲6の3・5等)。なお、「WalkerClub 覚書」(甲17の2)には、「この覚書の有効期限は1年間とする。その後は、両者の了承により1年ごとに更新する。」との記載があるが、該制度の更新又は終了時期を明らかにする証左は見いだせない。
さらに、請求人は、上記8誌についての年間購読の広告を各誌それぞれの誌面に掲載したり(甲4の12、甲5の5等)、8誌合同の企画や「Walkerまつり」などのイベントなどを開催し、これらのイベント等において、「TokyoWalker」などの「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」8誌の雑誌名を表記(甲5の3、甲6の4、甲7の5、甲10の2・4、甲11の5)するとともに、平成12年11月の新聞紙上で、「全国Walkerまつり」、「全国300万部、好評発売中!」と記載し、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」8誌を紹介した広告を行った(甲30の2の20)。
エ 請求人は、平成8年11月に、東京ウォーカー誌と連動するウェブサイトを開設し(甲4の8、甲32の1)、平成9年11月には、その時点で発売されていた東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、東海ウォーカー誌及び九州ウォーカー誌に掲載された各種情報について、インターネットでも発信する「WalkersNet」を開始し(甲32の4等)、平成12年6月から「Walkerplus.com」を運営し、同ウェブサイトにおいて、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌と連動した地域情報の提供サービスを開始した(甲16の24等)。
また、それと同時期に、各誌上で紹介した商品やサービスをインターネット等を介して購入したりできる利便さから、請求人は、JCBなどと提携してカードを発行したり、他の商品販売業者等とも業務提携をした(甲16の34・48・49、甲33の12・19・33・37等)。
さらに、ニッポン放送は、請求人と提携し、平成11年10月から、東京ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌、千葉ウォーカー誌の誌面で取り上げた様々な情報を提供するラジオ番組「SoundWalker」を放送し(甲14の174、甲15の17、甲16の7〜9・11・18、甲59等)、テレビ神奈川においても、平成10年3月に、横浜ウォーカー誌の創刊を記念した特別番組が放送され、同年8月から、同誌と連動した情報番組「YokohamaWalker TV」が放送された(甲14の128、甲61)。
オ 東洋水産は、請求人と提携し、平成12年8月及び11月から、同人の製造に係るカップ麺の容器の上面に「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌の表紙デザインをあしらい、容器の側面には「Walkerplus.com」の文字を表し、中身はその地域に関連するラーメン味として、「東京ウォーカー醤油豚骨ラーメン」、「北海道ウォーカーみそラーメン」、「神戸ウォーカー豚骨醤油ラーメン」、「横浜ウォーカー 横浜醤油ラーメン」、「東海ウォーカー みそ煮込みうどん」、「九州ウォーカー 博多豚骨ラーメン」を発売した(甲14の236・260、甲15の33、甲8の6、甲80の2)。
カ 請求人は、平成3年ころから、東京ウォーカー誌において、各種情報コーナーの名称を「EVENTウォーカー」、「MOVIEウォーカー」、「MUSICウォーカー」、「SPORTSウォーカー」などと、誌面の欄外下部などに表示した(甲4の2〜7)。同表示は、その後創刊された他の地域の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌にも使用された(甲5の2、甲6の3、甲7の4、甲8の8、甲9の4、甲10の2、甲11の2等)。
キ 請求人は、平成4年から同6年にかけて、カドカワトラベルハンドブックとして、外国の主要都市又は地域に関する旅行情報を掲載した書籍15冊を発行し、それぞれの書籍に、「ニューヨーク・ウォーカー」、「パリ・ウォーカー」のように、観光情報の対象地域となる外国の主要都市又は地域の名称に「ウォーカー/Walker」の語を結合した題号を使用した(甲19の1〜15)。
ク 請求人は、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌のほかに、定期刊行物として、平成6年9月から同12年6月までゲーム情報を掲載した月刊情報誌「ゲームウォーカー誌」(甲26の2、甲81)を、平成7年4月から同8年まで生活情報月刊誌「マンスリーウォーカー誌」(甲26の2、甲81)を、平成8年11月から同12年9月まで男性向け隔週刊誌「メンズウォーカー誌」(甲26の2、甲81)を、平成9年1月から同11年まで海外旅行情報の月刊誌「ワールドウォーカー誌」(甲26の3、甲75の1)を、それぞれ発行した(甲20〜甲23の4の2)。
なお、1か月当たりの印刷部数は、ゲームウォーカー誌が、平成7年に約15万部であったが、その後減少し平成12年には約5万部、メンズウォーカー誌が、平成9年に約28万部であったが、その後減少し平成12年には約8万部、ワールドウォーカー誌が、平成9年に12万部、平成10年に約6万部であった(甲75)。
ケ 請求人は、平成8年ころから、東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、東海ウォーカー誌、九州ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌、千葉ウォーカー誌、神戸ウォーカー誌、北海道ウォーカー、メンズウォーカー誌、ゲームウォーカー誌等の増刊号、フリーマガジン、ムック本等を単発的又は数回にわたる形や定期的な形式で、例えば、次の出版物を発行した。
平成8年に、パソコン情報誌「クリックウォーカー/ClickWalker」(甲25の2)、ミュージカル情報誌「MusicalWalker」(甲25の3)、平成9年に、新社会人向け情報誌「フレッシャーズウォーカー/FRESHER’SWALKER」(甲25の4の1)、デジタル商品情報誌「DIGITAL WALKER」(甲25の6)、平成10年に、男性若者向けのファッション雑誌「ボーイズウォーカー/Boys'Walker」(甲25の9)、東京ゲームショウ'98秋のガイドブック「東京ゲームショウウォーカー/TOKYO GAMESHOW Walker」(甲25の10)、平成11年及び同13年に、「広島ウォーカー/HiroshimaWalker」(甲19の18)、平成12年に、旅行情報誌「HawaiiWalker」(甲19の19)、インターネットについての情報誌「eWalker」(甲25の17)、同「ネットワークウォーカー/NetworkWalker」(甲25の23)、パソコン情報誌「ウェブウォーカー/WebWalker」(甲25の22)、平成13年に、地域情報誌「JAPANWalker」(甲19の22)、同「東北ウォーカー/TohokuWalker」(甲19の25)、同「静岡ウォーカー/ShizuokaWalker」(甲19の26)、旅行情報誌「ItaliaWalker」(甲19の27)、飲食店情報誌「ウォーカームックNo.1 ウォーカーグルメ 東京」(甲25の75の1)、同「ウォーカームックNo.2 ウォーカーグルメ 横浜」(甲25の75の2)、同「ウォーカームックVol.3 関西ウォーカーグルメ」(甲25の75の3)、平成13年及び同14年に、旅行情報誌「ソウルウォーカー/SeoulWalker」(甲19の23)、平成14年に、地域情報誌「埼玉ウォーカー/SaitamaWalker」(甲19の29)、旅行情報誌「東海ドライブ・ウォーカー/東海DriveWalker」(甲25の31)、同「東海/温泉ウォーカー/OnsenWalker」(甲25の35の1)、結婚情報誌「ウォーカームックVol.6 ウエディングウォーカー/WeddingWalker」(甲25の75の4)、平成15年に、地域情報紙「湾岸ウォーカー」(甲25の36)、小学生女子とその親を対象とした情報誌「ウォーカーキッズ/Walkerkids」(甲25の37の1)。
コ 請求人は、商品の宣伝広告等を目的とする旅行会社、自動車会社、鉄道会社、携帯電話通信事業会社、電気製品製造会社、衣服販売会社、日本中央競馬会などの企業や機関等との共同発行又はその依頼に基づく企画編集等として、東京ウォーカー誌等の別冊付録、雑誌、フリーマガジン等の形で、例えば、次の出版物等の発行に関与した。
平成7年に、「マックウォーカー/MacWalker」(甲25の1)、平成11年に、年刊誌「UniformWalker」(甲25の11の1)、「ドコモウォーカー/DoCoMoWalker」(甲25の12)、「KC旅ナビクラブWalker」(甲25の14)、「ドライブウォーカー/DriveWalker」(甲25の15)、平成12年に、「無印良品Walker」(甲25の19)、「アイモードウォーカー/imodeWalker」(甲25の20)、平成13年に、「ウォーカーズリビング/Walker’sLiving」(甲25の28)、「コナカウォーカー/KonakaWalker」(甲25の76)、平成13年及び同14年に、「就職ウォーカー/SHUSHOKUWalker」(甲25の29の1・2)、平成14年に、「競馬ウォーカー/KeibaWalker」(甲25の78)、平成14年及び同15年に、「関門ウォーカー/KanmonWalker」(甲25の32・79)、平成15年に、「江戸ウォーカー」(甲19の33)、「ジェイアールウォーカー/JRWalker」(甲25の38)。
なお、請求人は、平成17年6月と同8月に、映画情報を掲載したフリーマガジン「ムービーウォーカー/MovieWalker」を発行し(甲25の48)、その後、平成17年10月に映画情報を掲載したフリーマガジン「シネコンウォーカー」を創刊(甲25の55)し、東京ウォーカー誌の付録「MovieWalker」を発行(甲25の87。請求人の主張によれば、平成17年11月発行)したが、上記「ムービーウォーカー/MovieWalker」が、上記期日以前に発行されたと認められる証拠は見いだせない。
サ 前記エ認定のとおり、請求人は、平成9年11月から運営を開始した「WalkerNet」において、電子メールで映画情報の配信を開始し、その名称に「WalkerNet映画倶楽部」を使用した(甲32の19〜21)。また、平成12年6月からから運営を開始した「Walkerplus」において、提供する情報の内容別に名称が使用され、例えば、グルメ情報の提供について「グルメWalker」、映画情報の提供について「MovieWalker」、結婚式に関する情報の提供について「WeddingWalker」、ヘアサロン情報の提供について「salonwalker」などのように、「Walker」の語を含む名称が使用された(甲31の2の12〜16)。そして、「Walkerplus」において、グルメ、レジャー、映画情報等の提供が開始される旨の新聞報道があったことは認められる(甲33)が、これらの記事において、映画情報の提供である「ムービーウォーカー」についての記載例は、平成14年7月30日付け日本工業新聞(甲33の49)、平成18年4月12日付け琉球新報(甲33の77)と極めて少なく、そのほかには、平成16年10月11日発行の日経パソコン(甲15の50)において紹介されていることが認められる。
また、東京ウォーカー誌に掲載された「Walkerplus」に関する掲載記事として、「Jフォンの携帯電話で利用できるJスカイサービスにお遊び情報満載の『日刊ウォーカー』が登場した。」(平成13年8月28日号、甲88の1)、「ケータイで得する『MyWalker』本誌連動で完全スタート」(平成13年11月27日号、甲88の2)などの記載と共に、これらに記載された各種サービスへのアクセス方法解説欄に「ムービーウォーカー」の文字が記載された。さらに、同誌における「Walkerplus」に関する広告として、「ウォーカープラスの看板サイト『映画』ページが『ムービーウォーカー』と名称変更して、再登場!」及び「ムービーウォーカーついに誕生!」(平成14年1月29日号、甲88の3)、「『MovieWalker』が誕生」(平成14年11月26日号、甲88の4)、「『MovieWalker』でチェック」(平成15年2月11日号、甲88の5)と記載された。
その他、東京ウォーカー誌、北海道ウォーカー誌、千葉ウォーカー誌、横浜ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、神戸ウォーカー誌、九州ウォーカー誌において、誌面の欄外下部等に「ムービーウォーカー」、「Movieウォーカー」、「MOVIE WALKER」と記載された(甲4の2、甲5の2、甲6の6、甲7の4、甲9の2、甲10の3、甲11の2等)。
請求人のウェブページには、「MovieWalker」のサイトがあり、映画情報を掲載している(甲89〜甲91)。
なお、請求人は、携帯電話サイト「ムービーウォーカー/Movie Walker」の有料会員数は、本件商標の出願日である平成15年4月の時点で、39189人、本件商標の登録査定日である平成15年10月の時点で、78651人であったと主張するが、これを裏付ける証拠の提出はない。
(2)ア 前記(1)で認定した事実によれば、請求人は、平成2年3月に東京ウォーカー誌を創刊し、その後、平成6年6月に関西ウォーカー誌、平成8年7月に東海ウォーカー誌、平成9年6月に九州ウォーカー誌、平成10年3月に横浜ウォーカー誌、平成11年6月に千葉ウォーカー誌、平成12年6月に神戸ウォーカー誌及び北海道ウォーカー誌を創刊し、これらの雑誌のうち、証拠上、平均販売部数が明らかとなっている東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、東海ウォーカー誌、九州ウォーカー誌及び横浜ウォーカー誌については、各対象とする地域及びその周辺地域で多数の販売部数を得てきたこと、また、これらの「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌については、請求人が発行する、各対象地域のイベント、レジャー、映画、音楽、スポーツ等の情報を掲載する同種の雑誌として、統一した名称の下での合同の販売促進活動や各雑誌内で他の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」の存在について言及されるなどしており、本件商標の登録出願日(平成15年4月17日)及び登録査定日(同15年10月22日)の時点において、東京ウォーカー誌をはじめとする「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌は、請求人が発行する定期刊行雑誌として、全国で周知著名となっていたと認められる。
イ 一方、前記認定のとおり、請求人は、東京ウォーカー誌をはじめとする「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌のほかに、平成6年9月から同12年までゲーム情報を掲載した月刊情報誌「ゲームウォーカー誌」を、平成7年4月から同8年まで生活情報月刊誌「マンスリーウォーカー誌」を、平成8年11月から同12年9月まで男性向け隔週刊誌「メンズウォーカー誌」を、平成9年1月から同11年まで海外旅行情報の月刊誌「ワールドウォーカー誌」を、それぞれ発行し、これらの発行部数も「印刷部数に関する証明書」(甲75)等のとおり、10万部や20万部を超えるときもあったが、それぞれの雑誌は、情報の内容や想定された対象読者層等はそれぞれ異なるものであって、たとえ広義の意味では各種情報について記載する雑誌であるにしても、必ずしも統一的に理解されるものではなく、また、定期刊行された期間も比較的短いものもあり、請求人がこれらの雑誌を発行していたことをもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者又は需要者が請求人が発行する雑誌等に付される商標と考える状況にあったとは認め難い。
また、前記認定のとおり、請求人は、東京ウォーカー誌、関西ウォーカー誌、メンズウォーカー誌、ゲームウォーカー誌等の増刊号の形式やムック本又は単行本などで、また、商品の宣伝広告等を目的とする企業等との共同発行又はその依頼に基づく企画編集等として、単発的又は数回にわたる形や定期的な形で、「クリックウォーカー/ClickWalker」、「MusicalWalker」、「フレッシャーズウォーカー/FRESHER’SWALKER」、「DIGITALWALKER」、「ボーイズウォーカー/Boys'Walker」、「マックウォーカー/MacWalker」、「UniformWalker」、「アイモードウォーカー/imodeWalker」等の多数の出版物の発行をしているが、これらについては、その発行の時期、対象地域、対象読者層、情報の内容、発行回数が単発か継続的なものかということまで多種多様であって、たとえ広義の意味では、各種情報について記載する刊行物等であるにしても、必ずしも統一的に理解されるものではなく、請求人がこれらの刊行物等を発行していたことをもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者、需要者が請求人が発行する雑誌等に付される商標と考えることがあったとは認め難い。
これに加えて、請求人の運営する携帯電話サイト「Walkerplus」は、東京ウォーカー誌等を通して紹介され、また、新聞等によって報道されていた事実からすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、これが請求人の運営に係るウェブサイトであると、取引者、需要者にある程度知られていたことを推認し得るとしても、「Walkerplus」の中の情報サイトの一つである「ムービーウォーカー/MovieWalker」は、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌や「Walkerplus」と比較して、宣伝広告された事例が少ない上に、新聞等の報道で取り上げられた数も極めて少なく、また、東京ウォーカー誌等の誌面下部等に記載された「ムービーウォーカー」、「Movieウォーカー」及び「MOVIE WALKER」についても、取引者、需要者が映画に関する情報欄に付される名称として認識するとしても、上記のとおり、「○○+ウォーカー/Walker」の名称一般が、請求人が発行する雑誌等に付される商標と考えることがあったとは認め難いことを併せ考慮すれば、「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」はもとより、「広告,通信ネットワーク上での広告スペースの提供,役務の提供促進のための企画又は助言,録音又は録画済み記録媒体の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供」を表示するものとして、取引者又は需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
これに対して、請求人は、請求人が東京ウォーカー誌を旗艦誌とし「情報を示す語」と「ウォーカー/Walker」を含む構成からなる商標を中心に使用することによって事業を展開しており、この請求人の使用実績から、取引者及び需要者間において、請求人の「○○ウォーカー/Walker」から構成される商標は、雑誌の内容・テーマ・対象によって「○○」が異なるということが十分に認識され、そのような商標を請求人が使用してシリーズ化した商品展開やそれに関連するサービス展開を行っていることは、広く認識されている、したがって、取引者及び需要者が「(都市名又は地域名以外の)情報を示す語+ウォーカー/Walker」との雑誌等に接すれば、請求人の商品と認識する、と主張する。
しかし、このような「情報を示す語」との名詞等は無限といってよいほどに存在するものであるところ,請求人が発行した「(都市名又は地域名以外の)情報を示す語+ウォーカー/Walker」との雑誌等については,上記のとおり、そのそれぞれの発行の時期、対象地域、対象読者層、情報の内容が異なり、発行も単発的なものも少なくなかったこと、後記3のとおり、現在に至るまで、請求人とは無関係の第三者が、指定商品に出版物や電子出版物を含む多数の「情報を示す語+ウォーカー/walker」との商標を出願登録していることや、請求人とは無関係の第三者が出版する「情報を示す語+ウォーカー/walker」の書籍等が流通していることなどからすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、そのような無限といってよいほどの「情報を示す語+ウォーカー/walker」との商標について、請求人と関連するものであると取引者及び需要者が認識することがあったと認めることはできない。
また、請求人は、「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、著名な東京ウォーカー誌等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌において広く紹介され、これら誌面に掲載される内容がいかにその需要者に影響力を及ぼすものであるかは、知財高裁の判決に示された事実認定からも明らかである旨主張する。
しかし、東京ウォーカー誌等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌が請求人の発行する雑誌であることがその需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌の著名性とその掲載内容の一つである「Walkerplus」サイト内の映画情報等の名称である「ムービーウォーカー/Movie Walker」の周知、著名性とが必ずしも一致するものとはいえないのみならず、「ムービーウォーカー/Movie Walker」が、本件商標の登録出願前に、請求人の提供する役務「映画情報の提供」等を表示するものとして、周知、著名性を獲得していなかったことは、前記認定のとおりである。
したがって、請求人の上記主張はいずれも理由がない。
被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)セイコー株式会社を権利者とする「FUNWALKER/ファンウォーカー」(登録第4976248号、平成17年9月2日出願、同18年7月14日登録査定、同年8月4日設定登録。指定商品「第9類 電子出版物等」)ほか、第三者による「○○+ウォーカー」又は「○○+Walker(WALKER)」からなる41件の登録商標が存在し、この内、19件の登録商標は、本件商標の出願日以前に登録出願されたものである(乙2)。
(2)平成19年3月時点において、請求人とは関係なく発行された、題名を「○○+ウォーカー(WALKER)」とする書籍等として、「スピリチュアル・ウォーカー−5000年後からのメッセージ(単行本)」(乙3の1)、「キャット・ウォーカー(コミック)」(乙3の2)、「青春ウォーカー(コミック)」(乙3の3)、「ミステリーウォーカー−デートコース 心霊不思議スポットガイド 首都圏版(単行本)」(乙3の4)、「泥沼ウォーカー(単行本)」(乙3の5)、「パピーウォーカー−盲導犬のたまごとくらす幸せ(単行本)」(乙3の6)、「ナチュラル・ウォーカー 長崎県九州自然歩道ガイド(新書)」(乙3の7)、「ドリーム・ウォーカーRIONA(コミック)」(乙3の8)、「DARK WALKER−闇を歩く者(単行本)」(乙3の9)、「TOKYO LONELYWALKER−自称・東京通たちに贈る『真のトレンディ』ガイド(単行本)」(乙3の10)、「スリープ・ウォーカー(単行本)」(乙3の11)、「パラダイス・ウォーカー(単行本)」(乙3の12)、「スペース・ウォーカー(文庫)」(乙3の13)、「フォトウォーカー(秋号)(単行本)」(乙3の14)が流通しており、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、ほぼ同様の状況にあったものと推認することができる。
(3)以上の事実によれば、請求人以外の会社等を権利者とし、指定商品を印刷物や電子出版物等とする多数の「○○+ウォーカー(walker/Walker/WALKER)」とする商標登録が存在し、また、請求人以外が発行する「○○+ウォーカー(WALKER)」とする出版物が流通しており、本件商標の登録出願時及び登録査定時においても、印刷物や電子出版物の取引者又は需要者において、「○○+ウォーカー(walker/Walker/WALKER)」との名称が、請求人の発行する出版物等に付される商標と考えることがあったとは認め難い。
(1)「ムービーウォーカー/Movie Walker」が請求人の業務に係る「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」のみならず、「広告,通信ネットワーク上での広告スペースの提供,役務の提供促進のための企画又は助言,録音又は録画済み記録媒体の販売に関する情報の提供,その他の商品の販売に関する情報の提供」を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないことは、前記2(2)イ認定のとおりである。
(2)本件商標は、前記第1のとおり、「シネマウォーカー」の片仮名文字と「cinema walker」の欧文字とを二段に横書きしてなるものであるところ、上段の「シネマウォーカー」の文字部分は、「cinema walker」の文字部分を片仮名で表記したと理解されるものであって、各文字が同一の書体で表され、構成全体としてもまとまりよく一体的に表されているものであるから、「シネマウォーカー」、「cinema walker」として外観上の不可分一体性は強いものということができる。また、本件商標から生ずる「シネマウォーカー」の称呼は、冗長にわたるものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものであって、殊更、これを「cinema」、「シネマ」と「walker」、「ウォーカー」の文字部分に分離して称呼、観念しなければならないとする特段の理由は見いだせない。
そして、本件商標中の「cinema」、「シネマ」の文字部分は、一般的には、「映画」を意味する英語ないし外来語として、また、「walker」、「ウォーカー」の文字部分は、「歩く人、散歩する人」を意味する英語ないし外来語として、いずれもよく知られているものである。しかし、本件商標は、「映画」を意味する「cinema」、「シネマ」と「歩く人、散歩する人」を意味する「walker」、「ウォーカー」を組み合わせることによって、親しまれた熟語的な意味合いも想起されないところから、これらの意味を有する二つの単語を単に並べた造語からなるものと理解されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものと認めることができる。
(3)一方、「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、「ムービーウォーカー」、「Movie Walker」、「Movie/ウォーカー」、「MovieWalker/ムービーウォーカー」又は「MovieWalker」の文字からなるものである(甲88、甲89の1・2、甲90、甲91)ところ、これらの文字は、外観上まとまりよく表されているばかりでなく、これらから生ずる「ムービーウォーカー」の称呼もよどみなく称呼し得るものであるから、外観及び称呼上一体のものとして把握、認識されるものである。また、「ムービーウォーカー/Movie Walker」中の「ムービー」、「Movie」の文字部分は、「映画」を意味する英語として、また、「ウォーカー」、「Walker」の文字部分は、「歩く人、散歩する人」を意味する英語として、いずれもよく知られているものであるとしても、「ムービーウォーカー/Movie Walker」全体からすれば、親しまれた熟語的な意味合いが生ずるものではない。
したがって、「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、本件商標と同様に、「ムービー」、「Movie」と「ウォーカー」、「Walker」の2語を単に並べた造語からなるものと理解されるとみるのが相当であるから、構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものとみることができる。
ウ してみれば、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、外観において明らかな差異を有するばかりでなく、本件商標から生ずる「シネマウォーカー」の称呼と「ムービーウォーカー/Movie Walker」から生ずる「ムービーウォーカー」の称呼とは、前半部において、「シネマ」の音と「ムービー」の音の顕著な差異を有するものであるから、称呼上も明らかに相違するものであり、また、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、いずれも造語からなるものであるから、観念上比較することができない。
したがって、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(4)以上によれば、本件商標は、その他の要件について論及するまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(1)前記2(2)認定のとおり、東京ウォーカー誌をはじめとする「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」誌について使用される「東京ウォーカー/TokyoWalker」、「関西ウォーカー/KansaiWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人が発行する定期刊行雑誌に使用される題号(商標)として、全国で周知著名となっていたものと認めることができる。
一方、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者又は需要者が請求人が発行する雑誌等に付される商標と考えることがあったとは認め難く、また、「ムービーウォーカー/Movie Walker」が請求人の業務に係る「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」等を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものとも認められない。
(2)本件商標は、前記4(2)認定のとおり、構成全体をもって、「シネマウォーカー」とのみ称呼される一体不可分の造語からなるものである。
一方、「東京ウォーカー/TokyoWalker」、「関西ウォーカー/KansaiWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標は、いずれも同一の書体をもって、外観上まとまりよく表されているばかりでなく、これら商標から生ずる「トウキョウウォーカー」、「カンサイウォーカー」等の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、殊更、これを「東京」、「Tokyo」と「Walker」、「ウォーカー」、「関西」、「kansai」と「Walker」、「ウォーカー」などの文字部分に分離して称呼、観念しなければならないとする特段の理由は見いだせない。
そして、「東京ウォーカー/TokyoWalker」からは、「東京を歩く人(散歩する人)」なる観念が無理なく生ずるものであって、その他の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標においても同様に、「当該都市名又は地域を歩く人(散歩する人)」の観念が生ずるものである。そうすると、「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標は、いずれも外観、称呼及び観念上一体の商標を表したと把握、認識されるというべきものである。
してみれば、本件商標と「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標とは、外観において明らかな差異を有するばかりでなく、本件商標から生ずる「シネマウォーカー」の称呼と「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標から生ずる「トウキョウウォーカー」、「カンサイウォーカー」等の称呼とは、前半部の音において顕著な差異を有するものであるから、称呼上も明らかに相違するものである。また、本件商標は、造語からなるものであるから、「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標とは、観念上比較することができない。
したがって、本件商標と「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(3)そうすると、本件商標の指定商品中の「印刷物」等と「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標が使用される雑誌とが同一又は類似するものであり、かつ、本件商標の指定役務と「ムービーウォーカー/Movie Walker」が使用される役務とが「映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」等において同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、「東京ウォーカー/TokyoWalker」等の「都市名又は地域名+ウォーカー/Walker」からなる商標及び「ムービーウォーカー/Movie Walker」とは、外観、称呼及び観念において非類似のものであるのみならず、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般が、常に請求人が発行する雑誌等に付される商標であるとは取引者、需要者に認識されていなかったことを併せ考慮すれば、「シネマウォーカー」と「cinema walker」の各文字からなる本件商標をその指定商品及び指定役務中、請求の趣旨に記載の商品及び役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が直ちに請求人の発行する雑誌等に使用される商標を想起又は連想することはないというべきである。
以上によれば、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務中、請求の趣旨に記載の商品及び役務について使用した場合は、該商品及び役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがある商標と認めることができない。
(4)上記に関し、請求人は、「情報を示す語+ウォーカー/Walker」商標の使用実績及び請求人以外に「ウォーカー/Walker」の語をタイトルに含む雑誌を発行している者がいないという事情から、需要者・取引者間は、「○○ウォーカー(○○Walker)」という雑誌名といえば、請求人が発行しているウォーカーシリーズを想起するから、本件商標を雑誌・新聞・ムック等の出版物に使用した場合、その出版物が請求人の業務に係る商品であると誤認・混同するおそれがある旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、少なくとも平成19年3月時点において、請求人以外の者の発行に係る書籍等の題号に「○○+ウォーカー(WALKER)」が多数使用されている事実があることに加え、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般につき、取引者、需要者が請求人が発行する雑誌等に付される商標と考える状況にあったとは認められず、これらにつき広義の混同が生ずるものとは認められないところであるから、請求人の上記主張は理由がない。
(5)以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
前記認定のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「○○+ウォーカー/Walker」との名称一般が、常に請求人が発行する雑誌等に付される商標であるとは取引者又は需要者に認識されていなかったことに加え、「ムービーウォーカー/Movie Walker」が、請求人の業務に係る「映画の試写会の企画・運営又は開催及びそれに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給に関する情報の提供」等を表示するものとして、取引者、需要者に認識されていなかったものである。また、本件商標と「ムービーウォーカー/Movie Walker」とは、外観、称呼及び観念において非類似のものである。
そうすると、本件商標は、不正の目的をもって使用されるものということができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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