結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−300963(T2008−300963/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1954512号商標(以下「本件商標」という。)は、「サーマル」の片仮名文字を書してなり、昭和59年9月14日登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年5月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりなされ、さらにその後、平成19年3月22日に第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)被請求人が本件商標を取消請求に係る指定商品中「石けん類,化粧品」について使用していた旨主張して提出している乙第1号証ないし乙第8号証等を検討する。
ア 乙第1号証について
請求人は、被請求人の本件通常使用権者(「株式会社アユーラ ラボラトリーズ」)が議決権100%を所有している連結子会社であって国内化粧品事業を業務としていることは否定するものではない。
しかしながら、被請求人が本件商標についての通常使用権を本件通常使用権者に許諾しているとの記載は、本件商標の使用許諾契約書の開示がない以上、極めて信憑性の薄い主張といわざるを得ない。
イ 乙第2号証、乙第3号証及び乙第6号証を根拠に使用を立証する「サーマルTクレンズ」なる記載によって特定される商品(以下「本件第1商品」という。)について
被請求人の説明によれば、おおよそ、本件第1商品「洗顔料」は、以下のとおり記載されている。
(a)乙第2号証(商品パンフレット「MEETING PRESS 2006 Spring/Summer」同上9頁に「FACE CARE」の商品として、「黒ずみ防止温感ジェル」、「サーマルTクレンズ」及び「50g 税込3,150円(本体3,000円)」なる記載によって特定される商品。
(b)乙第3号証の2(当該商品の裏面が写っている写真B)
「アユーラ」の片仮名文字、その下方に「サーマルTクレンズ」の片仮名文字とローマ字が、角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって左横書きに表示され、その下方に「THERMAL」のローマ字が、その下方に「T−CLEANSE」のローマ字とハイフンが各々角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって左横書きに表示され、さらにその下方に「〈洗顔料〉」と表示されていると共にその下方に「Tゾーン用」と表示されている。
(c)乙第3号証の3(当該商品の包装箱の表面が写っている写真C)
ローマ字AYURAがロゴタイプ(デザイン文字)「ΛYURΛ」にて横書きに表示され、その下方に「黒ずみ防止温感ジェル」の漢字と平仮名文字と片仮名文字が明朝体にて同大・同一間隔をもって左横書きに表示され、その下方に「THERMAL T−CLEANSE」のローマ字とハイフンが角ゴチック体にて同大・同一間隔(ただし、「THERMAL」と「T−CLEANSE」との間は1文字部分離れている)をもって左横書きに表示されている。
(d)乙第3号証の4(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真D)
「アユーラ」の片仮名文字、その下方に「サーマルTクレンズ」の片仮名文字とローマ字が、各々角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって左横書きに表示され、さらにその下方に「(洗顔料)」と表示されていると共にその下方に「Tゾーン用」と表示されている。
しかしながら、請求人の調査によれば、被請求人は、乙第2号証(商品パンフレット「MEETING PRESS 2006 Spring/Summer」)、乙第3号証の2(当該商品の裏面が写っている写真B)、乙第3号証の3(当該商品の包装箱の表面が写っている写真C)、乙第3号証の4(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真D)に記載されている、「サーマルTクレンズ」の片仮名文字とその下方に「THERMAL T−CLEANSE」のローマ字とハイフンが、各々角ゴチック体にて同大・同一間隔(ただし、「THERMAL」と「T−CLEANSE」との間は1文字部分離れている)もって2段に左横書きに表示された商標と全く同一の商標と認められる登録第4504560号(甲第1号証)を所有している。
それ故、被請求人の提出した本件商標の使用を立証する乙第2号証、乙第3号証の2、乙第3号証の3、乙第3号証の4及び乙第6号証の各書面は、まさに商標登録第4504560号の使用を立証したにすぎないものである。
ちなみに、被請求人は、乙第3号証の2(当該商品の裏面が写っている写真B)は、「『サーマルTクレンズ』」の片仮名文字とローマ字が、各々角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって横書きに表示され、その下方に「THERMAL」のローマ字が、その下方に「T−CLEANSE」のローマ字とハイフンが各々角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって横書きに表示されている」旨主張する。
しかしながら、この表示方法は、「THERMAL T−CLEANSE」のローマ字を一行で横書きに表示した場合、包装容器面とこれに表示された文字全体のバランスが保てないために、「THERMAL」のローマ字と「T-CLEANSE」のローマ字とを二行に表示せざるを得なかったものであり、かかる記載方法は、商取引においては普通に行われているものである。
また、この事実は、乙第3号証の3(当該商品の包装箱の表面が写っている写真C)では、「THERMAL T−CLEANSE」のローマ字は、角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって一連に左横書きに表示されていることからも明白である。
したがって、本件第1商品「洗顔料」は、本件商標を構成する「サーマル」の使用とはいえないこと明らかである。
ウ 乙第2号証、乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証を根拠に使用を立証する「マスク(温)ヴァイタルエマージュ (サーマル)」なる記載によって特定される商品(以下「本件第2商品」という。)について
被請求人の説明によれば、おおよそ、本件第2商品「パック用化粧料」は、以下のとおり記載されている。
(a)乙第2号証(商品パンフレット「MEETING PRESS 2006 Spring/Summer」)同上12頁に「FACE CARE」の商品として、「マスク(温)」、「ヴァイタルエマージュ」、「(サーマル)」及び「100g税込5,040円(本体4,800円)」なる記載によって特定される商品。
(b)乙第4号証の3(当該商品の底面が写っている写真 G)及び乙第4号証の4(当該商品の底面を拡大した写真H)
「アユーラ」及び「ヴァイタルエマージュ」の各片仮名文字が、それぞれ角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって円弧状に左横書きに表示され、その下方に「サーマル」の片仮名文字が、角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって横書きに「(サーマル)」と丸括弧内に他の文字と区別して表示され、さらにその下方に「(マスク〉」と表示されている。
(c)乙第4号証の5(当該商品の包装箱の表面が写っている写真I)
ローマ字AYURAがロゴタイプ(デザイン文字)「ΛYURΛ」にて横書きに表示され、その下方に「マスク」の片仮名文字が明朝体にて同大・同一間隔をもって横書きに表示され、その右横に「温」の漢字が明朝体をもって「(温)」と丸括弧内に他の文字と区別して表示され、その下方に「VITALEMERGE」、その下方に「THERMAL」のローマ字が、各々角ゴチック体にて同大・同一間隔をもって横書きに表示され、その下方に「(THERMAL)」と丸括弧内に他の文字と区別して表示されている。
(d)乙第4号証の6(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真J)
「アユーラ」の片仮名文字、その下方に「ヴァイタルエマージュ」の片仮名文字が、その右横に「サーマル」の片仮名文字が各々角ゴチック体をもって同大・同一間隔をもって横書きに「(サーマル)」と丸括弧内に他の文字と区別して表示され、その下方に「マスク」と表示されている。
エ 「サーマル」「THERMAL」の文字についての説明
「サーマル」の文字は、以下の各辞典の記載からすれば、英語「themal(THERMAL)」に由来し、「熱の、温泉の」等を意味する一般に親しまれた英語であり、かつ化粧品事典、化粧品用語集及びインターネット上のウェブ記事のそれぞれの記載によれば、「サーマル」「thermal(THERMAL)」の文字(語)は、それぞれ商品「温熱(又は温感)効果のある石けん類・化粧品」又は「温泉効果のある石けん類・化粧品」等の品質・効能を表現する文字(語)として、「石けん類・化粧品」を取り扱う業界において、下記のとおり、広く採択され、使用されているものである。(甲第2号証ないし甲第12号証)
(a)(株)大修館書店発行の「ジーニアス英和辞典」には、「thermal」として「熱の、温度の、温泉の」等の記載がある。
(b)(株)小学館発行の「小学館ランダムハウス英和大辞典」には、「thermal」として「熱[温度]の、温泉[温浴、温水]の」等の記載がある。
(c)丸善(株)発行の「化粧品事典」には、「再資源化方法」中「サーマル」として「サーマルとは熱のことをさす」との記載がある。
(d)フレグランスジャーナル社発行の「英和化粧品用語集」には、「thermal」として「熱の、温度の」との記載がある。
(e)Australia & Newzealand Pharmacy Groupウェブページ中、「ロトルア温泉の泥パック」「THERMAL MUD」等の記載がある。
(f)エコロジー商品専門店のウェブページ中、請求人商品「SPEICK THERMAL/スパイク・テルメ」「治療に使われる温泉水と...を使用したBDIH認証シリーズ」等の記載がある。
(g)コスメ通販のウェブページ中、ビオテルム社の商品「ノンストップオリゴサーマルクリーム(ドライスキン)」「スパ成文が肌を整え、エネルギー溢れる肌に戻します。」等の記載がある。
(h)trend−cosme.com のウェブページ中、「メンズスキンケア&ヘアケア」 中 「bliss-homme(ブリスオム)improvement thermal shaving cream(シェービング)」「なめらかなクリームは肌にのせると、ほのかに暖かくなり、ホットタオルを乗せた後のようにスムーズにひげが剃れます。」等の記載がある。
(i)パリ発・香水・コスメ・化粧品通販サイトのウェブページ中、ラ ロシュポゼ社の商品名「THERMAL WATER 300ML 3 PIECES」「ターマルウオーター300ML 3本セット」「スプレー状の温泉水」等の記載がある。
(j)(株)ベルモ社のウェブページ中、アヴェンヌ社の商品名「アヴェンヌウオーター 300ml」商品名「EAU THERMALE AVENE THERMAL WATERSOOTHING ANTI-IRRITAING SENSITIVE SKIN 300ml」等の記載がある。
(k)平成13年4月4日「化粧品回収の概要」ウェブページ中、「(1)一般名:基礎化粧品 販売名:マイルド サーマル トーナー」「(2)一般名:清浄用化粧品 販売名:サーマル ミルク ジェントル クレンザー」等の記載がある。
上記事実を踏まえ、乙第2号証(商品パンフレット「MEETING PRESS 2006 Spring/Summer」)の12頁に記載の本件第2商品「パック用化粧料」の項を検討すると、該商品は、上段に黄色の丸印を描き、その右横に赤色明朝体をもって大きく「マスク(温)」の文字を同大・同一間隔をもって横書きに表示し、その下方に商品の説明「温感ジェルのサーマルマッサージが血行を促し、疲れた肌もホッとくつろぎます。...」が表示され、その下方に「ヴァイタルエマージュ(サーマル)」「100g税込5,040円(本体4,800円)」等の如く記載されている。
すなわち、該商品中の「サーマル」の片仮名文字は、「マスク(温)」中「(温)」の漢字の英訳表記を、かつ「サーマルマッサージ」の片仮名表記は、「温感(又は「温熱」)マッサージ」等を意味するものであり、「肌を温める効果により肌の回復等を行う商品」であることを表示したにすぎないもの、言い換えれば、単に商品の品質等を表したものと理解させるにとどまるというべきである。
なお、被請求人は、「サーマル」(「Themal」)が個別商品であることは、乙第2号証(商品パンフレット)、乙第5号証(使用説明書)、乙第7号証(納品伝票)の同シリーズ商品から確認できる旨主張しているが、「ヴァイタルエマージュ(アクティブ)」「ヴァイタルエマージュ(カーミング)」中の「アクティブ」「カーミング」の文字は、「サーマル」の文字同様、すなわち、「アクティブ」(「active」)の文字は、「マスク(快)」中「(快)」の漢字の英訳表記を、かつ「快感クリーム」の「快感」等を意味するものであり、「肌を活性化させる効果により肌の回復等を行う商品」であることを表示したにすぎないものであり、また「カーミング」(「calming」)の文字は、「マスク(冷)」中「(冷)」の漢字の英訳表記を、かつ「冷感ジェル」の「冷感」等を意味するものであり、「肌を冷感化させる効果により肌の回復等を行う商品」であることを表示したにすぎないもの、すなわち、単に商品の品質等を表したものと理解させるにとどまるものである。
ちなみに、「アクティブ」(「active」)及び「カーミング」(「calming」)の文字は、同義の意味において、「石けん類・化粧品」を取り扱う業界において、広く採択され、普通に使用されているものである。
さらに、乙第2号証と同様に、乙第4号証の3(当該商品の底面が写っている写真G)及び乙第4号証の4(当該商品の底面を拡大した写真H)中の中段に丸括弧内に他の文字と区別して表示された「(サーマル)」の表示、乙第4号証の5(当該商品の包装箱の表面が写っている写真I)中の中段に丸括弧内に他の文字と区別して表示された「(THERMAL)」の表示、乙第4号証の6(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真J)中の「ヴァイタルエマージュ」の片仮名文字の右横に丸括弧内に他の文字と区別して表示された「(サーマル)」の表示、乙第5号証(使用説明書)中の中段に丸括弧内に他の文字と区別して表示された「(サーマル)」の表示、乙第7号証(納品伝票)中の「AY Vエマージュ」の右横に丸括弧内に他の文字と区別して表示された「(サーマル)」の各々の表示は、「肌を温める効果により肌の回復等を行う商品」であることを表示したにすぎない、単に商品の品質等を表したものと理解させるにとどまるものである。
以上のとおり、「サーマル」「thermal(THERMAL)」の文字(語)は、それぞれ商品「温熱(又は温感)効果のある石けん類・化粧品」又は「温泉効果のある石けん類・化粧品」等の品質・効能を表現する文字(語)として、「石けん類・化粧品」を取り扱う業界において、広く採択され、使用されているものにすぎないものである。
(2)以上のとおり、被請求人の提出した使用を立証する乙第1号証ないし乙第8号証の書面は、本件商標を審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その取消請求に係る「第3類 せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」に使用しているとは認められないものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標に係る通常使用権者が、本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において本件商標と同一と認められる商標及び社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品について使用している。
(1)被請求人(商標権者)は、本件商標についての通常使用権を株式会社アユーラ ラボラトリーズ(以下「本件通常使用権者」という。)に許諾している。
本件通常使用権者は、被請求人の「有価証券報告書 事業年度(第108期)自平成19年4月1日至平成20年3月31日 株式会社資生堂・表紙、第7頁、第191頁」(乙第1号証)に記載のとおり、被請求人が議決権100%を所有している被請求人の連結子会社であって、国内化粧品事業を業務としている(乙第1号証の第7頁参照)。
本件通常使用権者は、本件商標についての通常使用権に基づき本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において本件商標と同一と認められる商標及び社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品中の「石けん類,化粧品」の各範疇に属する各商品について使用している。
(2)すなわち、先ず、商品パンフレット「MEETING PRESS 2006 Spring/Summer・表紙、第9頁、第12頁及び裏表紙・株式会社アユーラ ラボラトリーズ・2006.01発行」(乙第2号証)は、その表紙に「MEETING PRESS 2006 Spring/Summer」と印刷されていると共に裏表紙に「ΛYURΛ(株)アユーラ ラボラトリーズ 東京都港区南青山3−1−14 〒107−0062 お問い合せアユーラ コミュニケーションスタジオ 0120−090−030 FAX(03)3401−3405 http://ayura.jp(パソコン・ケータイ)パンフレット内容表示価格は、希望小売価格です 2006.01」と印刷されていることから明らかなとおり、本件通常使用権者が2006年(平成18年)の春から夏にかけて我が国の需要者・取引者に頒布したものであり、その第9頁には「黒ずみ防止温感ジェル」、「サーマルTクレンズ」及び「50g 税込3,150円(本体3,000円)」なる記載によって特定される商品(本件第1商品)とその写真を掲載しており、また、その第12頁には「マスク(温)」、「ヴァイタルエマージュ」、「(サーマル)」及び「100g 税込5,040円(本体4,800円)」なる記載によって特定される商品(本件第2商品)とその写真を掲載している。
(3)次に、「写真A、B、C及びD・撮影年月日:2008年(平成20年)9月9日・撮影者の居所及び氏名:京都府京都市左京区東大路丸太町上る 上田写真場内 上田耕三・撮影依頼者:本件代理人 弁理士 安藤順一」(乙第3号証の1、2、3及び4)は、本件第1商品の実物並びにその包装箱の実物を撮影したものであり、写真A(乙第3号証の1)には当該商品の表面が、写真B(乙第3号証の2)には当該商品の裏面が、写真C(乙第3号証の3)には当該包装箱の表面が、写真D(乙第3号証の4)には当該包装箱の裏面が、それぞれ写っている。
なお、乙第3号証の1、2、3及び4の各写真が本件第1商品の実物並びにその包装箱の実物を撮影したものであることは、「写真B」(乙第3号証の2)に写っている「サーマルTクレンズ」、「3,000円(税抜)50g」、「発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ」なる各表示並びに「写真C」(乙第3号証の3)に写っている「黒ずみ防止温感ジェル」なる表示及び「写真D」(乙第3号証の4)に写っている「サーマルTクレンズ」、「3,000円(税抜)50g」、「発売元 アユーラ ラボラトリーズ」なる各表示によって確認でき、さらに、「写真A」(乙第3号証の1)と乙第2号証の第9頁に掲載している写真とを照合することによって確認できる。
また、「写真E、F、G、H、I及びJ・撮影年月日:2008年(平成20年)9月9日・撮影者の居所及び氏名:京都府京都市左京区東大路丸太町上る 上田写真場内 上田耕三・撮影依頼者:本件代理人 弁理士 安藤順一」(乙第4号証の1、2、3、4、5及び6)は、本件第2商品の実物並びにその包装箱の実物を撮影したものであり、写真E(乙第4号証の1)には当該商品の正面が、写真F(乙第4号証の2)には当該商品の平面が、写真G(乙第4号証の3)には当該商品の底面が、それぞれ写っており、写真H(乙第4号証の4)は当該商品の底面を拡大(約2倍)したものであり、写真I(乙第4号証の5)には当該包装箱の表面が、写真J(乙第4号証の6)には当該包装箱の裏面が、それぞれ写っている。
なお、乙第4号証の1、2、3、4、5及び6の各写真が本件第2商品の実物並びにその包装箱の実物を撮影したものであることは、「写真G」(乙第4号証の3)・「写真H」(乙第4号証の4)に写っている「ヴァイタルエマージュ」、「(サーマル)」、「〈マスク〉」、「4,800円(税抜)100g」、「発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ」なる各表示並びに「写真I」(乙第4号証の5)に写っている「マスク(温)」なる表示及び「写真J」(乙第4号証の6)に写っている「ヴァイタルエマージュ」、「(サーマル)」、「〈マスク〉」、「4,800円(税抜)100g」、「発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ」なる各表示によって確認でき、さらに、「写真E」(乙第4号証の1)と乙第2号証の第12頁に掲載している写真とを照合することによって確認できる。
(4)また、本件通常使用権者は、本件第2商品の包装箱に該商品と共にその使用説明書「ΛYURΛ VITAL・発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ・東京都港区南青山3−18−14・お問い合せ先 アユーラ コミュニケーションスタジオ 0120−090−030」(乙第5号証)を折り畳んで添付している。
なお、乙第5号証が本件第2商品の使用説明書であることは、同号証における「ヴァイタルエマージュ」、「(サーマル)」、「〈マスク〉」、「100g 4,800円(税抜)」、「〈ご使用法〉」なる各表示によって確認できる。
(5)次に、「納品伝票・伝票番号:000624・百貨店名:(株)岩田屋本店・取引先名:アユーラ ラボラトリーズ」(乙第6号証)は、複写式伝票の本件通常使用権者側保存用伝票であり、その品名欄に「AY サーマルTクレンズ」、売価(円)欄の単価欄に「3000」、摘要欄に「税抜」、日付欄に「07年10月07年10月04日」と記載されていることから明らかなとおり、本件通常使用権者は、本件第1商品を2007年(平成19年)10月4日付にて株式会社岩田屋本店(福岡市中央区天神2丁目5番35号)に納品(販売)している。
なお、乙第6号証が、本件第1商品に係る納品伝票であることは、同号証における「サーマルTクレンズ」、「3000」、「税抜」なる各記載によって確認できる。
また、「納品伝票・伝票番号:000037・百貨店名:松坂屋静岡店・取引先名:アユーラ ラボラトリーズ」(乙第7号証)は、複写式伝票の本件通常使用権者側保存用伝票であり、その品名欄に「AY Vエマージュ(サーマル)」、売価(円)欄の単価欄に「4800」、摘要欄に「税抜」、日付欄に「06年04月13日」と記載されていることから明らかなとおり、本件通常使用権者は、本件第2商品を2006年(平成18年)4月13日付にて株式会社松坂屋静岡店(静岡市葵区御幸町10番地の2)に納品(販売)している。
なお、乙第7号証が、本件第2商品に係る納品伝票であることは、同号証における「Vエマージュ(サーマル)」、「4800」、「税抜」なる各記載によって確認できる。
先ず、乙第2号証、乙第3号証及び乙第6号証によって本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において商取引に付された事実が証明できる本件第1商品は、乙第2号証の第9頁における「...Tゾーン用洗顔料。」なる記載、乙第3号証の2(当該商品の裏面が写っている写真B)における「〈洗顔料〉」なる表示及び乙第3号証の4(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真D)における「〈洗顔料〉」なる表示から明らかなとおり、商標法施行規則第六条の別表における「第三類」の「せっけん類」ないし「化粧品」の範疇に属する商品である。
次に、乙第2号証、乙第4号証、乙第5号証及び乙第7号証によって本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において商取引に付された事実が証明できる本件第2商品は、乙第5号証(当該商品の使用説明書)において「...洗顔後、サクランボ粒2コ程度(約5g)を目のまわり、眉、髪の生えぎわ、唇を避けて、肌がかくれるくらいの厚さにのばしてください。...約3分後に、ティッシュペーパーで軽くおさえるようにしてふきとるか、水またはぬるま湯で洗い流します。...」と記載されている使用法から明かなとおり、パック用化粧料の一種であって商標法施行規則第六条の別表における「第三類」の「化粧品」の範疇に属する商品である。
なお、インターネット「Wikipedia記事検索「マスク」(乙第8号証)に「...シート状でなくても、パックの代りにマスクという名称が用いられることもある(塗布後、しばらくおいて洗い流したり乾いたものを剥がしたりするタイプ)。...」と記載されているタイプのパック用化粧品には、「パック」なる名称と「マスク」なる名称とが同義的に使用されており、本件第2商品には後者の名称を採用している。
(1)前記2及び3で明らかしたとおり、本件通常使用権者は、本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において本件商標の指定商品中の「石けん類,化粧品」の各範疇に属する本件第1商品「洗顔料」と本件第2商品「パック用化粧料」を商取引に付している。
そして、本件通常使用権者は、本件商標と同一と認められる商標を本件第2商品「パック用化粧料」について使用し、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件第1商品「洗顔料」について使用している。
(2)すなわち、先ず、本件第2商品「パック用化粧料」には、乙第4号証の3(当該商品の底面が写っている写真G)、乙第4号証の4(当該商品の底面を拡大した写真H)に見られるとおり、「アユーラ」及び「ヴァイタルエマージュ」の各片仮名文字が円弧状に横書きに表示され、その下方に「サーマル」の片仮名文字が横書きに丸括弧内に他の文字と区別して表示されており、さらにその下方に「〈マスク〉」と表示されている。
また、本件第2商品「パック用化粧料」の包装箱には、乙第4号証の5(当該商品の包装箱の表面が写っている写真I)に見られるとおり、ローマ字AYURAがロゴタイプ(デザイン文字)「ΛYURΛ」にて横書きに表示され、その下方に「マスク」の片仮名文字が横書きに表示され、その右横に「温」の漢字が丸括弧内に表示されており、その下方に「VITALEMERGE」のローマ字が横書きに表示されており、その下方に「THERMAL」のローマ字が横書きに丸括弧内に他の文字と区別して表示されており、乙第4号証の6(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真J)に見られるとおり、「アユーラ」の片仮名文字が横書きに表示され、その下方に「ヴァイタルエマージュ」の片仮名文字が横書きに表示され、その右横に「サーマル」の片仮名文字が横書きに丸括弧内に他の文字と区別して表示されており、さらにその下方に「〈マスク〉」と表示されている。
上掲各表示の内、「アユーラ」なる表示及び「ΛYURΛ」なる表示は、それぞれ営業商標(ハウスマーク)であり、「ヴァイタルエマージュ」なる表示及び「VITALEMERGE」なる表示は、それぞれシリーズ商品商標(シリーズブランド)であり、「サーマル」なる表示及び「THERMAL」なる表示は、それぞれ個別商品商標(個別ブランド)である。
なお、「ヴァイタルエマージュ」なる表示がシリーズ商品商標であって「サーマル」が個別商品商標であることは、乙第2号証(商品パンフレット)の第12頁における「ヴァイタルエマージュ(アクティブ)95g 税込5,040円(本体4,800円)」、「ヴァイタルエマージュ(サーマル) 100g 税込5,040円(本体4,800円)」及び「ヴァイタルエマージュ(カーミング) 100g 税込5,040円(本体4,800円)」なる各記載によって確認でき、また、乙第5号証(使用説明書)における「アユーラ ヴァイタルエマージュ (アクティブ) 〈マスク〉 95g 4,800円(税抜)」、「アユーラ ヴァイタルエマージュ (サーマル) 〈マスク〉100g 4,800円(税抜)」及び「アユーラ ヴァイタルエマージュ (カーミング) 〈マスク〉 100g 4,800円(税抜)」なる各記載によって確認でき、さらに、乙第7号証(納品伝票)における品名欄と納品数量欄の「AY Vエマージュ(サーマル)、2」及び「AY Vエマージュ(カーミング)、2」なる各記載によっても確認できる。
被請求人は、上述のとおり、本件第2商品「パック用化粧料」並びにその包装箱に、「サーマル」の片仮名文字からなる個別商品商標が付されているのであるから、本件通常使用権者が、本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において、上記第1に記載のとおりの構成からなる本件商標と同一と認められる商標を本件商標の指定商品中の「化粧品」の範疇に属する商品について使用していることは明白と思料する。
(3)次に、本件第1商品「洗顔料」には、乙第3号証の2(当該商品の裏面が写っている写真B)に見られるとおり、「アユーラ」の片仮名文字が横書きに表示され、その下方に「サーマルTクレンズ」の片仮名文字とローマ字が横書きに表示され、その下方に「THERMAL」のローマ字が横書きに表示され、その下方に「T−CLEANSE」のローマ字とハイフンが横書きに表示されており、さらにその下方に「〈洗顔料〉」と表示されていると共にその下方に「Tゾーン用」と表示されている。
また、本件第1商品「洗顔料」の包装箱には、乙第3号証の3(当該商品の包装箱の表面が写っている写真C)に見られるとおり、ローマ字AYURAがロゴタイプ(デザイン文字)「ΛYURΛ」にて横書きに表示され、その下方に「黒ずみ防止温感ジェル」の漢字と平仮名文字と片仮名文字が横書きに表示され、その下方に「THERMAL T−CLEANSE」のローマ字とハイフンが横書きに表示されており、乙第3号証の4(当該商品の包装箱の裏面が写っている写真D)に見られるとおり、「アユーラ」の片仮名文字が横書きに表示され、その下方に「サーマルTクレンズ」の片仮名文字とローマ字が角横書きに表示されており、さらにその下方に「〈洗顔料〉」と表示されていると共にその下方に「Tゾーン用」と表示されている。
上掲各表示の内、「アユーラ」なる表示及び「ΛYURΛ」なる表示は、それぞれ営業商標(ハウスマーク)であり、「サーマルTクレンズ」なる表示、「THERMAL T−CLEANSE」なる表示及び「THERMAL」なる表示は、それぞれ個別商品商標(個別ブランド)であるが、当該各個別商標の各使用態様(構成)と上記第1に記載のとおりの本件商標の構成とは一致していない。
しかし、商標法第50条には「...登録商標(...当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。...」と規定され、その運用に当たって“片仮名とローマ字の相互間の使用であって同一の称呼及び観念が生ずる商標であり、かつ、片仮名とローマ字のいずれかに別異の観念が含まれないとき”には、登録商標の使用と認められており、本件商標を構成する“サーマル”なる語は英語“THERMAL”の発音表記であるから、本件商標の構成から生ずる称呼と英語“THERMAL”から生ずる称呼とは同一であり、また、本件商標の構成から英語“THERMAL”の有する語意以外の観念が生ずることはあり得ないので、上記各個別商品商標「サーマルTクレンズ」、「THERMAL T−CLEANSE」及び「THERMAL」の内、個別商品商標「THERMAL」は、本件商標と社会通念上同一と認められるべきものといえるのである。
そして、本件第1商品「洗顔料」に接する取引者、需要者によって当該商品に表示されている「THERMAL」とその下方に表示されている「T−CLEANSE」とが一体として認識されることはなく、当該「THERMAL」の表示は個別商品商標「THERMAL」として認識されるといえるのである。
何故なら、本件第1商品「洗顔料」並びに包装箱に表示されている個別商品商標「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」から生ずる称呼「サーマルティクレンズ」が長音を含む8音節からなる長い称呼であって簡易迅速を旨とする商取引においては当該称呼の一部を省略して称呼されることが多く、個別商品商標「サーマルTクレンズ」が称呼されるときには片仮名文字とローマ字の差異に起因し「サーマル」部分と「Tクレンズ」部分とで区切って称呼され、個別商品商標「THERMAL T−CLEANSE」が称呼されるときには1文字分の間隔の存在に起因し「THERMAL」部分と「T−CLEANSE」部分とで区切って称呼され、かつ、「Tクレンズ」なる語及び「T−CLEANSE」なる語がTゾーン用洗顔料を暗示する語であるため、当該商品並びに当該包装箱に表示されている個別商品商標「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」に接する取引者、需要者は「Tクレンズ」部分及び「T−CLEANSE」部分を省略して「サーマル」と称呼し認識するものと推定できるので、当該取引者、需要者が当該商品に表示されている「THERMAL」とその下方に表示されている「T−CLEANSE」とを一体(一連)に「サーマルティクレンズ」と称呼し認識するとは到底考えられないからである。
被請求人は、上述のとおり、本件第1商品「洗顔料」に、「THERMAL」のローマ字からなる個別商品商標が付されているのであるから、本件通常使用権者が、本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において上記第1に記載のとおりの構成からなる本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品中の「石けん類」ないし「化粧品」の範疇に属する商品について使用していることは明白と思料する。
被請求人は、以上述べたとおり、本件商標に係る通常使用権者が本件審判の請求の登録(平成20年8月14日)前3年以内に日本国内において、本件商標と同一と認められる商標を本件商標の指定商品中の「化粧品」の範疇に属する商品「パック用化粧料」に使用していると共に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件商標の指定商品中の「石けん類」ないし「化粧品」の範疇に属する商品について使用している事実を乙第1号証ないし乙第8号証によって証明した。
請求人は、「被請求人が本件商標についての通常使用権を本件通常使用権者に許諾しているとの記載は、本件商標の使用許諾契約書の開示がない以上、極めて信憑性の薄い主張といわざるを得ない。」旨主張しているので、先ず、この点について以下判断する。
(1)通常使用権は、一般的には、商標権者又は専用使用権者との使用許諾契約に基づいて発生するものであるところ、右契約は、商標権者と使用者との意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要とせず、口頭による契約も認められるものと解される。
(2)被請求人の事業年度を平成19年4月1日ないし平成20年3月31日とする「有価証券報告書」(乙第1号証)によれば、株式会社アユーラ ラボラトリーズは被請求人の連結子会社であることが認められる。
(3)前記(1)及び(2)を勘案すれば、商標権者と株式会社アユーラ ラボラトリーズとの間で、本件商標に関する具体的使用許諾契約が書面でなされていないとしても、被請求人と株式会社アユーラ ラボラトリーズとの間には本件商標について黙示の使用許諾があったとみても不自然ではなく、株式会社アユーラ ラボラトリーズは本件商標に係る通常使用権者とみて差し支えないというべきである。
(1)被請求人の提出する乙第2号証ないし乙第7号証によれば以下の事実が認められる。
(ア)乙第2号証は、平成18年1月に作成された本件通常使用権者の2006年春夏用カタログと認められるところ、「FACE CARE」(9頁)の「Tゾーン用」の商品に「ΛYURΛ」の文字が記載されたチューブ状容器の写真を掲載し、「黒ずみ防止温感ジェル」として「サーマルTクレンズ」の記載があり、「小鼻の黒ずみ・ざらつきを防ぐ、Tゾーン用洗顔料。」等の商品説明、「50g」、「税込3,150円(本体3,000円)」」等の記載がある。
(イ)同カタログの「FACE CARE」の「VITAL(即効マスク)」の項(12頁)に「ΛYURΛ」の文字が記載された丸形容器の写真を掲載し、「マスク(温)」として「ヴァイタルエマージュ(サーマル)」の記載があり、「「温感ジェルのサーマルマッサージが血行を促し、疲れた肌もホッとくつろぎます。古い角質によるくすみも防いで透明感を引きだし、バラ色に輝く肌へ。」の商品説明、「100g」、「税込5,040円(本体4,800円)」等の記載がある。
(ウ)乙第3号証の1及び2は、平成20年9月9日に撮影されたチューブ状容器の正面及び裏面の写真と認められるところ、正面には「ΛYURΛ」の記載があり、裏面に「アユーラ」「サーマルTクレンズ」「THERMAL」「T−CLEANSE」「洗顔料」「Tゾーン用」「3,000円(税抜)」「50g」「発売元」「株式会社アユーラ ラボラトリーズ」等がそれぞれ横書きに記載されている。
乙第3号証の3及び4は、平成20年9月9日に撮影された包装箱の写真と認められるところ、正面上部に「ΛYURΛ」の記載があり、同下部に「黒ずみ防止温感ジェル」及び「THERMAL T−CLEANSE」の記載があり、上面に「サーマルTクレンズ」の記載があり、裏面に「アユーラ」「サーマルTクレンズ」「洗顔料」「Tゾーン用」「3,000円(税抜) 50g」「発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ」等がそれぞれ横書きに記載されている。
(エ)乙第4号証の1ないし4は、平成20年9月9日に撮影された丸形容器の写真と認められるところ、正面には「ΛYURΛ」の記載があり、底面に「アユーラ ヴァイタルエマージュ」「(サーマル)」「<マスク>」「「4,000円(税抜)100g」「発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ」等が記載されている。
乙第4号証の5及び6は、平成20年9月9日に撮影された包装箱の写真と認められるところ、正面上部に「ΛYURΛ」の記載があり、同下部に「マスク(温)」「VITALEMERGE」「(THERMAL)」の記載があり、上面に「ヴァイタルエマージュ(サーマル)」の記載があり、裏面に「アユーラ」「ヴァイタルエマージュ(サーマル)」「<マスク>」「4,800円(税抜)100g」「発売元 株式会社アユーラ ラボラトリーズ」等がそれぞれ横書きに記載されている。
(オ)乙第5号証は、アユーラ ヴァイタルエマージュの「カーミング」「アクティブ」「サーマル」共通の取扱説明書と認められるところ、使用方法として「週に1〜3回、肌の疲れが気になるときにお使いください。」「洗顔後、サクランボ粒2コ程度(約5g)を目のまわり、眉、髪の生えぎわ、唇を避けて、肌がかくれるくらいの厚さにのばしてください。」等の記載があり、また、アユーラ ヴァイタルエマージュ(サーマル)の項には、「なめらかにのびるジェルの温熱感により、健康的に輝くしなやかな素肌を持続させます。のばすときにマッサージすると、よりいっそう温熱感が高まります。」等の説明が記載されている。
(カ)乙第6号証は、株式会社岩田屋本店宛ての本件通常使用権者の平成19年10月4日付け納品伝票と認められるところ、品名「AV サーマルTクレンズ」を3個納品したことが認められる。
(キ)乙第7号証は、松坂屋静岡店宛ての本件通常使用権者の平成18年4月13日付け納品伝票と認められるところ、品名「AV Vエマージュ(サーマル」を2個納品したことが認められる。
(2)以上によれば、本件通常使用権者は、平成19年10月4日に「洗顔用ジェル(洗顔料 本件第1商品)に「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」の商標を使用して、販売したことが認められ、平成18年4月13日にパック用化粧料(本件第2商品)に「サーマル」「THERMAL」の商標を使用したことが認められ、そして、上記使用日時は、いずれも本件審判請求の予告登録日(平成20年8月14日)前3年以内であり、使用商品である洗顔用ジェル及びパック用化粧料は、本件審判請求にかかる指定商品中の化粧品に属するものと認められる。
(3)商標の同一性について
請求人は、「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」は、被請求人の所有する、「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」を二段に横書きしてなる登録第4504560号商標の使用を立証したにすぎない旨主張している。
しかしながら、被請求人が前期登録商標を所有しているとしても、そのことにより、前記「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」の使用が本件商標の使用とはいえないとはいうことができない。
そして、使用商標「サーマルTクレンズ」はカタカナ文字「サーマル」及び「クレンズ」に対して「T」はローマ文字であることから、「サーマル」の文字部分が視覚的に分離されるものであり、また、同じく「THERMAL T−CLEANSE」は、「THERMAL」と「T−CLEANSE」の間に1文字分の空白を有することから、視覚的に分離されるばかりでなく、化粧品の分野において、おでこ及び鼻の部分を「Tゾーン」と称して「T」の文字が頻繁に用いられ(例えば乙第2号証)、また、「cleanse」は、「清潔にする」等の意味を有する英語(株式会社研究社 新英和中辞典)であって、商品指定商品との関係では、清潔にする化粧品であることを認識させることは明らかであり、「クレンズ」及び「CLEANSE」は、汚れを落とす化粧品を表すものとして、普通に使用されている語であるから、使用商標「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」にあっては、その構成中の「サーマル」及び「THERMAL」の部分が自他商品の識別機能を有する部分というのが相当である。
そうとすると、本件第1商品に使用する「サーマルTクレンズ」及び「THERMAL T−CLEANSE」の商標、本件第2商品に使用する「サーマル」及び「THERMAL」の商標は、いずれも本件商標とは、社会通念上同一の商標であると認められる。
(4)「サーマル」及び「THERMAL」の識別標識としての使用について
請求人は、「『本件第2商品』に付して使用している商標(各表示)は『肌を温める効果により肌の回復等を行う商品』であることを表示したにすぎず、単に商品の品質等を表したものと理解させるにとどまるものである。」旨主張して、甲第2号証ないし甲第12号証を提出している。
確かに、「thermal」は、「熱、温度、温かい」、「熱[温度]の」(英和辞典:甲第2号証及び甲第3号証)とあり、また、「化粧品辞典」(甲第4号証)に「...サーマルとは熱のことをさし、燃焼したときに発生する熱エネルギーを利用するリサイクルのことで、...」とあり、「化粧品用語集」(甲第5号証)に「熱の、温度の」とそれぞれ挙げられており、さらに、インターネット情報のホームページ上に、「ロトルア温泉の泥パック」「THERMAL MUD」、商品名等として「SPEICK THERMAL」、「温泉水」、「ノンストップオリゴサーマルクリーム(ドライスキン)」、「bliss−homme(ブリスオム)improvement thermal shaving cream(シェービングクリーム)」、「ターマルウォータ」、「THERMAL WATER」及び「販売名:マイルド サーマル トーナー」(甲第6号証及び甲第12号証)とそれぞれ挙げられている。
しかしながら、これらの表示は、単に「thermal」の語義であるか、記述中に用いられている言葉であるか、さらには、商品名中の構成の一部として用いられている例であるから、これらの例のみをもってしては「『サーマル』が『肌を温める効果により肌の回復等を行う商品』であることを表示したにすぎず、単に商品の品質等を表したものと理解させるにとどまるものである。」とまではいうことができないから、請求人の上記主張は採用できない。
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件商標の指定商品中の「化粧品」に包含される「洗顔料」及び「美容用マスク」ついて、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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