Trademark Appeal Case
略語の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−16419(T2008−16419/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「MBR」の欧文字を標準文字で表してなり、第17類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成19年7月10日に登録出願され、その後、指定商品については当審における平成20年9月1日受付けの手続補正書により、第17類「ゴム(ラテックスを除く。)」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『メチルメタクリレートブタジエンゴム』をあらわす略語として使用されている『MBR』を標準文字で書してなるものであるから、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといえる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、「MBR」の欧文字を書してなるところ、主に原料としてのゴム及びそれらの半加工品(基礎製品)を取り扱う分野において、該語は、通常「メチルメタクリレートブタジエンゴム」の略語として用いられているものである。
そして、その事実に関しては、原審における拒絶査定で示したインターネット情報等(2007年8月2日発行化学工業日報の記事は除く。)の他に、例えば、以下の書籍及びインターネット情報における記載からも十分裏付けられるところである。
(1)書籍
(ア)「ゴム用語辞典」(社団法人日本ゴム協会、1997年9月30日初版発行、223頁)の[メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス]の項において、「methyl methacrylate-butadiene latex(略)
MBR
ラテックス ブタジエンとアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとの共重合体ラテックス.主として紙加工,繊維加工あるいは接着剤に使用.」の記載がある。
(イ)「第2版 略語大辞典」(丸善株式会社、平成15年2月10日第2刷発行、899頁)の、[
MBR
]の項に、「methacrylate-butadiene rubber;a synthetic rubber;[Chem] メタクリレートブタジエン系合成ゴム」の記載がある。
(ウ)「改訂・新技術略語辞典」(株式会社工業調査会、昭和63年9月5日改訂版発行、156頁)の[
MBR
]の項に、「methacrylate-butadiene rubber メタクリレート・ブタジエン系合成ゴム」の記載がある。
(エ)「ゴム工業便覧<第四版>」(社団法人日本ゴム協会、平成6年1月20日発行、1047及び1048頁)において、「繊維加工に使用される原料ゴムとしては天然ゴムラテックス,SBR・NBR・
MBR
ラテックス等がある.アクリル,ウレタン等のラテックスも使用されるが,これらはゴムラテックスよりは樹脂ラテックスが主流を占め,合成ゴムとしてはSBR・NBR・
MBR
ラテックスが主流である.」、「
MBR
ラテックスがその耐熱性,耐光性,耐水性の特徴から電気カーペット,あるいはフォームバッキングによる水回りマット等に使われるようになってきた.また
MBR
ラテックスはカーシートのバッキング用としても使われるようになった.」との記載があり、また、[表38−1 合成ゴムラテックスの繊維加工用途例]において、電気カーペットのバッキング(補強材)などに用いるラテックスの種類を表す表示として「
MBR
」が用いられている。
(オ)「機能性インキ技術」(株式会社シーエムシー出版、2007年2月22日普及版第1刷発行、178頁)において、「布地印刷用のバインダーとしてはスチレンブタジエンラバー(SBR)・メチルメタクリレートブタジエンラバー(
MBR
)・アクリルニトリルブタジエンラバー(NBR)等が代表的である。」との記載がある。
(カ)「接着剤と接着技術」(株式会社シーエムシー出版、2007年10月25日普及版第1刷発行、54頁)において、「汎用ゴムとは異なるが、MMAとブタジエンの共重合体のラテックス(
MBR
ラテックス)は、MMAの含有量が30%〜40%で、熱や光による変色が少ないことから、耐変色性を要求される用途に使用されている。」との記載がある。
(キ)「初心者のための接着技術読本」(日刊工業新聞社、2004年5月31日初版1刷発行、100頁)の「5)他の合成ゴムラテックス」の項に、「
MBR
ラテックスは、メタクリル酸メチル(MMA)とブタジエンとの共重合体」との記載がある。
(2)インターネット情報
(ア)株式会社シーエムシー出版のウェブサイトにおいて、「内外化学品資料」の説明中、「【各ファイルの詳細項目】 Aファイル No.28
MBR
ラテックス」との記載がある。<http://www.cmcbooks.co.jp/books/c00ss.php> また、当該項目から表示される頁サンプル(PDF)には、「
MBR
(メチルメタアクリレート・ブタジエンゴム)ラテックスは,メチルメタクリレート(MMA)モノマーとブタジエンの共重合ラテックス」などの記載がある。<http://www.cmcbooks.co.jp/books/image/naigai/a-set/a_028.pdf>
(イ)兵神装備株式会社が「エンジニアズブック17版改訂版」に基づいてインターネット上で提供している「技術データ集 検索機能」<http://ebw.eng-book.com/heishin/vfs/search.jsp>で、「MBR」による検索でヒットする「セメント混和用ポリマー(コンクリート材料工法ハンドブック)」の表中に、「メタクリル酸メチルブタジェンゴム(
MBR
)」の記載がある。
(ウ)日本エイアンドエル株式会社のウェブサイトにおいて、「ラテックス事業部>製品ラインナップ」中、「【SBR・
MBR
】」として掲載されている商品「ナルスター」の説明で「ナルスターのSBR・
MBR
シリーズは、各種繊維・プラスチック・金属・木質材料などの基材の表面処理・補強・接着用途向けに開発されたラテックスです。」との記載がある。<http://www.n-al.co.jp/sbr/sbr_top.html> また、同ウェブサイトの「ラテックス事業部 相談室Q&A」において、「
MBR
ラテックスとは?」という質問に対し、「
MBR
はメタクリル酸メチル(MMA)とブタジエン(BDE)を主成分とした合成ゴムラテックスのことです。
MBR
ラテックスは一般にSBRラテックスより耐熱性・耐光性が優れていると言われています。」と回答している。
(エ)株式会社フェリシモのショッピングサイト「kraso」において、「エントランスを落ち着いた印象にする防臭フロアシートの会」の項の下、当該シートの商品説明中、「■素材/ポリエステル不織布 裏面:
MBR
合成ゴム(メタクリル酸メチルブタジエンラバー)」との記載(写真付き)がある。<http://www.felissimo.co.jp/kraso/v9/cfm/products_detail001.cfm?WK=13545&GCD=435312#>
(オ)オーヨー株式会社の「オーヨー オンラインショップ」において、「アンダーマット」の商品説明中、「■仕様 材質:外枠/
MBR
(合成ゴム)、内側/PE」との記載(写真付き)がある。<http://www.oyogkn.co.jp/item/gum/clean_sheet1109.php>
(カ)株式会社ショービの「LOVER’S ROOM」のウェブサイトにおいて、「10.others Design Goods」の項の下、「サッカーマット SoccerMat コナー/タッチライン/ペナルティーエリア」の商品説明中、「material 表:ナイロン 裏:特殊合成ゴム(
MBR
)」との記載(写真付き)がある。<http://www.lovers-room.com/other2.html>
(キ)ケンコーコム株式会社のウェブサイトにおいて紹介している「キッチンマット シトロン 60*180cm」の製品仕様中に、「すべり止め加工:合成ゴム(
MBR
)」との記載(写真付き)がある。<http://www.kenko.com/product/item/itm_6900745472.html>
(ク)STEILAR C.K.M株式会社の「夢隊WEB」において、「エバーロック」の商品説明中に、「材質/ABS樹脂、ポリウレタン、
MBR
ゴム、ポリエチレン」との記載(写真付き)がある。<http://www.yumetai.co.jp/shop/g/g14599000000/>
(ケ)株式会社ウエノのオンラインショップ「DIRECT TOWN」において、「ピタリロック」の商品説明中に、「材質:吸盤
MBR
ゴム、カバー・フック・ネジ ポリウレタン、フィルム 塩化ビニル」との記載(写真付き)がある。<http://store.shopping.yahoo.co.jp/directtown/bx08151.html>
(コ)株式会社アイ・キューの「人材バンクネット」で募集している、「ゴム研究開発技術者」の募集要項中、「必要な経験・スキル」の項に、「
MBR
の素材開発または成型に携わった経験をお持ちの方。」との記載がある。<http://www.jinzai-bank.net/opp_2.cfm/offerid-313365/>
(なお、例えば、日刊工業新聞社発行のマグローヒル科学技術用語大辞典では「メタクリル酸メチル」の欧文字表記として「methyl methacrylate」が記載されている。そうとすれば、「メタクリル酸メチルブタジェンゴム」と「メチルメタクリレートブタジエンゴム」は同意のものと理解し得るところである。)
以上よりすると、本願商標を、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「MBR」の文字がゴムの一種としての「メチルメタクリレートブタジエンゴム」を表したものと理解するというのが相当である。
したがって、本願商標は、原審説示の如く、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標に該当するものであり、また、本願指定商品は「ゴム(ラテックスを除く。)」であるから、本願商標を「メチルメタクリレートブタジエンゴム」以外のゴム(ラテックスを除く。)に使用した場合には、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、「『メチルメタクリレートブタジエンゴム』とは、ゴムの中でも一般的な固形ゴムに対比して分類される、水性媒体中にゴム状ポリマーが分散したラテックスと言われる状態であるゴムの一種である。よって、本願指定商品を『ゴム(ラテックスを除く。)』とする補正により、商標法第3条第1項第3号に該当するとの理由は解消した。」旨主張しているが、「メチルメタクリレートブタジエンゴム」がラテックスのみに対して用いられる語であると認めるに足る証左の提出もなく、また、前記(2)の(エ)などのように、固形化した状態のゴムに対しても用いられている語である事例の存在からすれば、この点における請求人の主張は採用できない。
また、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張しているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該出願に係る商標についての査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する
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