Trademark Appeal Case
結合商標の構成要素の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2008−32420(T2008−32420/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、平成19年4月2日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、国際登録第884748号商標(以下「引用商標」という。)と類似の商標であって、同一又は類似の商品及び役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
そして、引用商標は、別掲2に示すとおりの構成よりなり、2005年7月11日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2006年(平成18年)1月11日に国際商標登録出願、第29類「Preserved, dried and cooked fruit; crystallized fruits; fruit peel; fruit pulp; desiccated coconut; prepared nuts; potato crisps; edible jellies, jams, compotes; eggs, milk and milk products; edible oils and fats; cheese spreads; chocolate spreads.」、第30類「Coffee, tea, cocoa, sugar, rice, tapioca, sago, artificial coffee; flours and cereal preparations, bread, pastry and confectionery, chocolate, pralines, ices; honey, treacle syrup; yeast, baking-powder; salt, mustard; vinegar, sauces (condiments); spices; ice for refreshment.」及び第43類「Services for providing food and drink, coffee shops, cafeterias, self-service restaurants; tea-rooms; snack bars; catering services.」を指定商品及び指定役務として、平成20年5月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
第3 当審の判断
1 本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、別掲1のとおり、水色で書された「100%」の文字と焦茶色で書された「ChocolateCafe.」の欧文字を横一列に書してなるものである。
しかして、本願商標の構成前半の「100%」の文字と構成後半の「ChocolateCafe.」の文字は、色彩が異なることから、視覚上分離して把握される場合があるとみるのが自然である。
また、本願商標の構成中の「100%」の文字が、「10割。ある量の全部。完全無欠。申し分ないこと。満点。最上。」(広辞苑第六版)等を意味する語であり、「Chocolate」の語が、「チョコレート」(小学館ランダムハウス英和大辞典)等を意味する語であり、「Cafe」の語が、「コーヒー店」(小学館ランダムハウス英和大辞典)等を意味する語であるとしても、これらの文字を結合し、さらにピリオドを付した「100%ChocolateCafe.」の文字構成全体からは、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められない。
さらに、その構成中の「100%」の文字は、前述のとおり、「10割、満点、最上」を意味する語で、本願商標の指定役務の提供の用に供する「菓子、パン」、「清涼飲料及び果実飲料」、「茶、コーヒー、ココア」及び「加工食品」との関係において、その商品の成分の純度や原材料の割合等を表示するものとして、普通に使用されている(別掲3参照)ことからすれば、該文字部分は、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、あるいは有するとしても、非常に弱いものと認識されるものである。
そして、本願商標「100%ChocolateCafe.」の文字より生ずる「ヒャクパーセントチョコレートカフェ」の称呼も冗長であることから、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、独立して、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認めらる「ChocolateCafe.」の文字部分に印象を留め、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきものである。
したがって、本願商標は、その構成文字全体から生ずる「ヒャクパーセントチョコレートカフェ」の一連の称呼のほか、「ChocolateCafe.」の文字部分に相応した「チョコレートカフェ」の称呼をも生ずるものであり、「チョコレートを提供するコーヒー店」の観念を生ずるものとみるのが相当である。
他方、引用商標は、「&」様の記号と円図形を結合した図形(以下「図形」という。)とその図形に重ね、上段に「Chocolates」の欧文字を書し、「Chocolates」の文字の2番目の「c」から「s」の下に、大きく「Cafe」(「e」は、アクサンテギュが付されている。以下同じ。)の欧文字を配してなり、図形と文字は、共に陰影をもって書されているものである。
しかして、引用商標は、その構成中の図形と文字部分とが、構成全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、図形と文字部分を常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものである。
そして、引用商標構成中の「Chocolates」及び「Cafe」の文字部分より生ずる「チョコレーツカフェ」の称呼は、特段冗長とはいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
してみれば、引用商標は、「Chocolates」及び「Cafe」の文字部分より、「チョコレーツカフェ」の称呼を生ずるものであり、「Chocolates」は、「chocolate」の複数形であり、「チョコレート」を意味する語であるから、「チョコレートを提供するコーヒー店」の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標から生ずる「チョコレートカフェ」と引用商標から生ずる「チョコレーツカフェ」の称呼を比較するに、両者ともに同数の音構成よりなり、異なる点は、中間に位置する「ト」と「ツ」の音の差異のみである。
そして、その差異音にしても、共に破裂音で調音方法を共通にする近似音であるばかりでなく、比較的聴取し難い中間に位置することもあわせ考慮すると、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、称呼全体の語調・語感が近似したものとなり、称呼において彼此相紛らわしい類似の商標と判断するのが相当である。
また、本願商標の構成中「ChocolateCafe」の文字と、引用商標の構成中「Chocolates」及び「Cafe」の文字との差異は、「s」の文字の有無にすぎず、その他の文字の綴りを同一にするものであるから、両商標は、外観上近似した印象を与えるものである。
さらに、本願商標の構成中「ChocolateCafe」及び引用商標の構成中の「Chocolates」及び「Cafe」の文字より、共に、「チョコレートを提供するコーヒー店」の観念を生ずるものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観において近似し、称呼において類似し、「チョコレートを提供するコーヒー店」の観念を共通にするものである。
そして、本願商標の指定役務中「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と、引用商標の指定商品中第29類「Preserved, dried and cooked fruit; crystallized fruits; fruit peel; fruit pulp; desiccated coconut; prepared nuts; potato crisps; edible jellies, jams, compotes; chocolate spreads」及び第30類「Coffee, tea, cocoa, artificial coffee; cereal preparations, bread, pastry and confectionery, chocolate, pralines, ices; yeast, baking-powder」は、役務の提供と商品の製造・販売が同一事業者によって行われることが一般的であり、役務の提供場所と商品の販売場所を同一にし、さらに、需要者を共通にするものである。
そうしてみると、本願商標の上記指定役務と引用商標の上記指定商品とは、類似するものである。
してみれば、本願商標を上記指定役務に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められることから、本願商標と引用商標とは類似の商標といわざるを得ない。
2 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張について
(1)請求人は、平成20年12月24日付け審判請求書(「請求の理由」については、平成21年4月24日付け手続補正書により補完)において、「本願商標及び引用商標の構成中『Chocolate(s)Cafe』の語は、『チョコレートを提供するカフェ』といった意味合いが生じることから、本願商標の指定役務及び引用商標の指定商品及び指定役務との関係において、自他商品・自他役務の識別力が乏しいものである。」旨主張する。
しかしながら、「Chocolate(s)Cafe」の文字が、請求人の主張の如く「チョコレートを提供するカフェ(コーヒー店)」の意味合いを認識させるとしても、本願商標の指定役務であるいわゆる小売り等役務や引用商標の指定商品との関係において、該文字が、役務の質や商品の品質等を表示するものとして、普通一般に使用されている事実も認められないものである。
してみれば、本願商標及び引用商標の構成中『Chocolate(s)Cafe』の語は、自他商品・自他役務の識別力が乏しいものと判断しなければならない合理的な理由は認められず、請求人のかかる主張は、採用することができない。
(2)請求人は「本願商標を『主としてチョコレートを提供するカフェ』『チョコレートの通信販売サイト』の商標として実際に使用しており、インターネット上の検索サイト『google』で『100%ChocolateCafe』を検索した結果、約10800件がヒットし、上位20件のサイトを調べると、いずれも請求人の『100%ChocolateCafe』が検索された。したがって、本願商標は請求人の業務に係る商標として既に周知の商標であり、『ヒャクパーセントチョコレートカフェ』の一連の称呼のみで、取引されるものである。」旨主張し、その根拠として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
そこで、請求人が提出した甲第1号証及び甲第2号証をみるに、請求人が、その取り扱いに係る商品「チョコレート」の通信販売のサイトに、本願商標を使用していること(甲第1号証)、また、インターネット上の検索サイト「google」において、「100%ChocolateCafe」の文字を検索した結果、約10800件のヒット件数があったこと(甲第2号証)は、その証拠資料から認められるものである。
しかしながら、提出された資料において、本願商標が使用されているのは
、甲第1号証の1ページ目のみである。
また、甲第2号証をみるに、その検索の方法が、「100%ChocolateCafe」の一連一体での使用例のみが結果として反映される方式で検索を行ったものではなく、「100%」、「Chocolate」、「Cafe」等の個別のキーワードが検索結果として反映される方式で行われていることから、約10800件のヒット件数をもって、本願商標が周知であるとは、直ちに、認めることはできない。
さらに、請求人提出の証拠資料からは、本願商標の使用開始時期・使用期間・使用地域、生産・証明若しくは譲渡の数量又は営業の規模、広告宣伝の方法・回数及び内容等を把握することができない。
そして、請求人が一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、本願商標に関し、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実は認められないものである。
してみると、「本願商標は請求人の業務に係る商標として既に周知の商標であり、『ヒャクパーセントチョコレートカフェ』の一連の称呼のみで、取引されるものである」旨の請求人の主張は、これを採用すべき理由は認められず、本願商標を、常に一連一体のものとしてのみ捉えなければならない特段の事情があるものとはいえない。
そして、本願商標と引用商標とが、類似する商標であることは、上記1で認定したとおりであり、請求人のこの主張も採用することができない。
(3)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、これを取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。
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