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Trademark Appeal Case

著名バンド名の商標性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2007−13332(T2007−13332/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「HOUND DOG」の欧文字と「ハウンドドッグ」の片仮名文字を上下二段に書してなり、第9類「録音済みの磁気テープ・CD(コンパクトディスク)及びMD(ミニディスク),録音済みのDVD・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・ビデオテープ」及び第41類「インターネット又はコンピュータネットワークを通じた音楽・映像の提供」を指定商品及び指定役務として、平成18年7月6日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)

原査定は、以下の理由(1)ないし(3)のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は、大友康平がリーダーを務めるロックバンドとして著名な「HOUND DOG」の欧文字とその表音と認められる「ハウンドドッグ」の片仮名文字を上下二段に書した構成よりなるところ、これを本願指定商品及び指定役務中、前記文字に照応する商品及び役務、例えば、「前記グループを収録した録音済みの磁気テープ・CD(コンパクトディスク)及びMD(ミニディスク),同録音済みのDVD・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・ビデオテープ」及び「前記グループについてのインターネット又はコンピュータネットワークを通じた音楽・映像の提供」に使用するときは、単に商品の品質、役務の質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)本願商標は、大友康平がリーダーを務めるロックバンドとして著名な「HOUND DOG」「ハウンドドッグ」の文字よりなるものであり、かつ、その者の承諾を得たものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(3)本願商標は、大友康平がリーダーを務めるロックバンドが、「音楽の演奏」等に使用して本願商標出願前から著名となっている「HOUND DOG」「ハウンドドッグ」の文字からなるものであるから、出願人がこれを本願指定商品・役務について使用するときは、あたかもその商品・役務が上記グループの取扱いに係るものであるかのように、また、上記グループと組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係るものであるかのように、商品・役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について

ア 本願商標は、前記1のとおり、「HOUND DOG」の欧文字と「ハウンドドッグ」の片仮名文字とを上下二段に書してなり、第9類「録音済みの磁気テープ・CD(コンパクトディスク)及びMD(ミニディスク),録音済みのDVD・磁気ディスク・光ディスク・光磁器ディスク・ビデオテープ」及び第41類「インターネット又はコンピュータネットワークを通じた音楽・映像の提供」を指定商品及び指定役務とするものであるところ、これらの商品及び役務との関係では、「HOUND DOG」(ハウンドドッグ)とは、1976年にバンド結成され、1980年にいわゆるメジャー・デビューをし、代表曲として「ff(フォルテシモ)」(1985年)、「ONLY LOVE」(1988年)、「BRIDGE〜あの橋をわたるとき〜」(1992年)などがある、大友康平を中心とした人気ロックバンドの名称として、あるいは、2006年以降に大友康平がライブ活動等の音楽活動を行う際に使用するソロプロジェクトの名称として、理解、認識されるものとみるのが相当である。

このことは、例えば、以下の新聞記事からも容易にうかがい知ることができる。

(ア)2009年7月11日付けの日刊スポーツ 東京日刊には、「大友康平“晴れて”ハウンドドッグでライブ、裁判5月に優位な判決で終了」の見出しのもと、「大友康平(53)が〓晴れて〓ハウンドドッグとしてステージに立つ。大友は今日12日、東京・渋谷のO−WESTで、5月に発売したアルバム『HOUND DOG ULTIMATE BEST』の購入者を対象として限定ライブを行う。同アルバムは大友率いるハウンドドッグの代表曲14曲を再録音したもので、ライブもヒット曲連発の内容で、来年3月に迎える30周年にはずみをつける。...メンバーとの対立もあり、06年からハウンドドッグは大友1人となり、ライブはサポートメンバーで行われている。...」との記載がある。

(イ)2009年1月9日付けの日刊スポーツ 東京日刊には、「人気ユニットのCHAGEandASKAが事実上の解散」の見出しのもと、「...▼ハウンドドッグ デビュー25周年の05年、大友康平と所属事務所で意見対立が表面化。翌年に大友を中心とするロックバンドとして事実上の解散。以降は大友のソロプロジェクトとなっている。」との記載がある。

(ウ)2008年7月13日付けの日刊スポーツ 東京日刊には、「ハウンドドッグの大友康平がライブツアースタート」の見出しのもと、「ハウンドドッグの大友康平(52)が12日、東京国際フォーラムでライブツアー『J−STANDARD70’s』をスタートした。5月に発売した、70年代の曲をカバーした同名アルバムから『いちご白書をもう一度』『喝采』などを歌い、ハウンドドッグの代表曲『ff』もスローテンポにアレンジ。...ライブは19日福岡、20日大阪、8月1日名古屋で行われる。」との記載がある。

(エ)2007年9月23日付けの東京新聞(朝刊)には、「TBS『お・ばんざい!』 大友康平 『二枚目半の職人』熱演中 役者業が新たな目標」の見出しのもと、「...おおとも・こうへい 本名同じ。1956年1月1日宮城県生まれ。76年、東北学院大学在学中にロックバンド「ハウンドドッグ」を結成。80年にメジャーデビュー。85年にシングル『ff(フォルテシモ)』が大ヒット。ソロアルバムもリリースするほか、映画『のど自慢』『パッチギ!』『いらっしゃいませ、患者さま』、ドラマ『リターンマッチ〜敗者復活戦〜』『勉強していたい!』などに出演。」との記載がある。

(オ)2005年11月8日付けの日刊スポーツ 東京日刊には、「ロックバンド『ハウンドドッグ』大友、解散説を一蹴」の見出しのもと、「解散説が浮上していたロックバンド『ハウンドドッグ』が、来年2月1日から全国ライブハウスツアーを行うことが7日、明らかになった。今年7月の25周年を機に解散も検討されたが、リーダー大友康平(49)が『ハウンドドッグはオレのもの』とバンド続行を強調。メンバーも6人から4人編成に変更して、年明けからシャウトする。...ハウンドドッグは76年に結成し、80年にデビュー。代表曲に『ff(フォルテシモ)』『ONLY LOVE』などがある。...」との記事がある。

(カ)2005年7月10日付けの日刊スポーツ 東京日刊には、「ハウンドドッグが武道館で25周年記念コンサート、解散しません」の見出しのもと、「人気ロックバンドのハウンドドッグが9日、東京・日本武道館でデビュー25周年記念コンサート『帰還(ホーム)』を行い、ボーカルの大友康平(49)が一部で報じられた解散を否定した。...武道館公演は8年ぶり49回目。...」との記載がある。

(キ)2004年6月4日付けの熊本日日新聞(夕刊)には、「『今こそ愛を歌いたい』 ハウンドドッグの大友康平」の見出しのもと、「迫力のライブで二十年以上にわたり根強い人気を誇るロックバンド『Hound dog(ハウンドドッグ)』。ボーカルの大友康平は『今こそ愛を歌いたい』と熱弁をふるう。...彼らの代表曲といえば『愛がすべてさ』と歌う『ff(フォルティシモ)』(一九八五年)だろう。...年間百本のペースでのライブは、デビュー以来変わらない。今年も三月から全国を縦断。...」との記載がある。

(ク)2001年9月2日付けの共同通信には、「『音楽ダイアリー』 ハウンドドッグの特別企画 初期ライブなど集め」の見出しのもと、「いつまでもパワフルなロックバンド、ハウンドドッグがデビュー二十周年を記念してボックスセット『HOUND DOG EARLY DAYS』(ソニー)を発売した。ライブなど初期の音源に焦点を絞り、日本のロックが形作られていく歴史をたどった企画。セットはCD四枚とDVD一枚。DISC1は『嵐の金曜日』『浮気な、パレット・キャット』『涙のBirthday』『ff(フォルテシモ)』などのシングル曲集。DISC2は『ラスト・ヒーロー』『夏のエンジェル』など名曲を収録。DISC3は、一九八○年から八四年にかけての宮城、東京・日比谷、神戸での未発表ライブ音源を十五曲分盛り込んだ。DISC4は八三年と八六年の日本武道館ライブとスタジオ録音の未発表版、『嵐の金曜日』『ff(フォルテシモ)』の二○○一年版と、豪華な内容。DVDには、八二年五月の東京・日比谷野外音楽堂でのライブの模様と、『今夜ハートで』『Knock Me Tonight』のビデオクリップを収録した。メンバーや歴代マネジャーのインタビュー、ハウンドドッグの歴史をまとめたものなど資料としての価値の高いブックレット付き。...」との記載がある。

(ケ)1999年6月28日付けのスポーツ報知には、「ハウンドドッグに3500人が熱狂 『夢の島Final−』ツアー東京公演」の見出しのもと、「ボーカル・大友康平(43)率いる6人組ロックバンド・ハウンドドッグのツアー『夢の島Final Year WISH』の東京公演が27日、東京・渋谷のNHKホールで行われた。...ヒット曲『ff(フォルテシモ)』『BRIDGE〜あの橋をわたるとき〜』...を含めた全20曲を熱唱した大友。...8月22日には10年間続いた夏のイベント『夢の島』の総決算として、静岡・熱海で野外ライブが行われる。」との記載がある。

(コ)1989年2月15日付けの朝日新聞(東京夕刊)には、「売れ行き落ちぬ『ゴールド』 ハウンドドッグ初のNY録音」の見出しのもと、「ハウンドドッグが1月に発表したアルバム『ゴールド』が好評だ。発売後1カ月たっても売れ行きが落ちず、ロングセラーの様相を見せている。...現在進めているオーバー・ランド・ツアーは昨年6月に始まって、終わりはまだ決まっていない。『平成になって一番多くライブをしているバンド』だという。3月からは首都圏30カ所でコンサートを行う。...」との記載がある。

イ ところで、録音済みのCD(コンパクトディスク)・磁気テープ等のいわゆる音楽CD等には、その媒体の表面ないしジャケットに、音楽CD等に記録された内容(コンテンツ)を総称するタイトルや個々の収録曲のタイトルのほか、その収録曲を歌唱、演奏する歌手等の名前も表示されていることは、これら商品の需要者に広く知られているところである。また、このことは、インターネット又はコンピュータネットワークを通じた音楽・映像の提供においてもほぼ同様のことがいえる。

ウ そうすると、前記アのとおり、人気ロックバンド等の名称として理解、認識される本願商標をその指定商品及び指定役務に使用する場合には、これに接する取引者・需要者は、本願商標を当該商品の製造、販売元として、あるいは、当該役務の提供元として理解、認識するというよりは、当該商品に係る収録曲を歌唱、演奏する者や当該役務に係る音楽・映像を歌唱、演奏する者ないし出演者が、当該人気ロックバンド等の「HOUND DOG」(ハウンドドッグ)であることを表示したものとして理解、認識するというのが相当である。そして、本願商標の指定商品及び指定役務にあっては、例えば、歌唱力、演奏力、演技力、表現力等といったものは、そのアーティストの才能や技量等によっても評価を受けるものであり、その収録曲が「だれ」によって歌唱、演奏されたものであるのかといったことや、その映像に「だれ」が出演しているのかといったことも、その商品の品質や役務の質と密接な関連を有するというべきであるから、結局、本願商標は、その商品の品質又は役務の質を表示したものと認識されるにすぎず、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。

また、本願商標をその指定商品及び指定役務中、上記「HOUND DOG」(ハウンドドッグ)と何ら関係のない商品及び役務に使用する場合には、その商品の品質又は役務の質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「ハウンドドッグ」の楽曲や映像は極めて多数存在しているので、需要者・取引者が、本願商標を付した商品・役務に接した場合であっても、その内容が「ハウンドドッグ」に関する楽曲や映像であるといった程度の認識はできても、本願商標が付されているのみでは、その内容が例えばどの楽曲が収録されているのか、アルバムなのか、ライブ映像なのか、プロモーションビデオなのか、いつ演奏されたものなのか等を具体的に把握することはできないから、本願商標は、単に商品の品質、役務の質を表示するにすぎないものには該当しない旨主張する。

しかし、商標法第3条第1項第3号所定の「商品の品質(役務の質)」を請求人が主張するように限定的に解すべき理由はない。本願商標の指定商品及び指定役務との関係では、前記(1)ウのとおり、当該商品に係る収録曲を歌唱、演奏する者や当該役務に係る音楽・映像を歌唱、演奏する者ないし出演者が「だれ」であるかということも、商品の品質又は役務の質と密接な関連を有するというべきであるから、その「だれ」であるかということも、商品の品質又は役務の質に当たるというべきである。

したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。

イ 請求人は、著名に至っていると思われるロックバンド等の名称に係る多数の登録商標が有効に存在しているので(甲第2号証ないし甲第10号証)、本願商標もまた充分識別力を発揮する商標に該当すると判断されるべきである旨主張する。

しかし、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務とに基づいて、その商標が使用される商品・役務の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に拘束されるべき理由はない。

したがって、請求人の上記主張も、採用することができない。

ウ 請求人は、本願商標は、出願人(請求人)である有限会社イエホックに所属する著名なロックバンド「ハウンドドッグ」を表すものであるにもかかわらず、識別力が弱いとの理由から出願人(請求人)が本願商標の登録を受けることができないとすれば、例えば本願商標を録音済みのCDや録画済みのDVD等について、出願人(請求人)以外の者が自由に使用することができる結果となり、出願人(請求人)の利益はもちろんのこと、音楽関係者や「ハウンドドッグ」のファンを始めとする需要者・取引者の利益をも害する結果を招き、却って法目的に反し妥当でない旨主張する。

しかし、本願商標の指定商品及び指定役務との関係では、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであることは、前記(1)に示したとおりであるから、そうである以上、本願商標は、商標登録を受けることができないものといわざるを得ないのであって、何ら商標法上の法目的に反することにはならない。なお、請求人が指摘するような問題が仮に生じるとするならば、それについては、別途、不正競争防止法等で保護を受けるべき問題であって、自他商品・役務の識別力を有する商標の保護を本質とする商標法に保護を求めるべき問題ではない。

したがって、請求人の上記主張も、採用することができない。

(3)むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その余の拒絶理由について判断するまでもなく、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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