Trademark Appeal Case
著名商標POLOの混同性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年審判第1413号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「POLOCITY」及び「ポロシティー」の文字を上下二段に横書きしてなり、第24類「布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,シャワーカーテン,テーブル掛け,どん帳,織物製トイレットシートカバー,布製ラベル,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」を指定商品として、平成9年10月23日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、「本願商標は、米国のトップデザイナー、『ラルフ・ローレン』によって主宰されるアパレルその他各種の生活関連メーカーである『ザ ポロ/ローレン カンパニーリミテッド パートナーシップ』の商標として著名な『POLO』『ポロ』の文字をその構成中に有するから、これをその指定商品に使用するときは、あたかも、該商品が前記会社の業務に係る商品又は前記会社と経済的もしくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定判断して、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張
請求人は、要旨次のように主張している。
(1) 本願商標は、イギリスに実在するポロクラブである。もともとポロの「高貴」で「優雅」なイメージは、アメリカやイギリスに実在する「ポロ・クラブ」が長年に渡り築き上げたものである。諸事情により各実在する「ポロ・クラブ」は、日本での「商品化事業」とその収益を必要としている。
(2) 日本国内及び海外の辞書、事典を調査したところ、全て「POLO」は、「スポーツ名」としか記載されておらず、「ラルフ・ローレン」の事は一切記載されていない。「POLO」は、「テニス」「ゴルフ」と同様にスポーツ名にすぎず、一般用語として認められるべきである。
(3)「POLO」との合成語の全ての商標が「ラルフ・ローレン」のものと決めつけることは、いくら海外との関係を重視しなければならないと考えとしても、余りにも一営利企業を利することになる。
(4) 「POLO」商標のみに関し、それ程まで独占的地位を「ラルフ・ローレン」に与えることは、日本の国益に叶うとは思えない。その結果、日本の市場の自由な競争を閉ざし、「ラルフ・ローレン」商品の独占的販売を許していることは正しいとはいえず、国内の「不正競争防止法」の観点からも問題がある。
4 当審の判断
(1) 「POLO」商標の周知性について
株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド辞典’84ザ・ブランド」の記載によれば、次の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年ネクタイのボー・ボランメル社にデザイナーとして入社、巾広ネクタイをデザインし、圧倒的に若者に支持され、世界に広まった。翌1968年独立し、ポロ・ファッションズ社(以下、「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、スーツ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。その頃からその名前は我が国服飾業界においても知られるようになり、そのデザインに係る一群の商品には、横長四角形中に記載された「Polo」の文字、「by RALPH LAUREN」の文字、馬に乗ったポロ競技のプレーヤーの図形からなる各商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)が用いられ、これらは「ポロ」の略称でも呼ばれている。
そして、株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」「ポロ/Polo」の項及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け同52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等の、同53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。また、ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告、前記「男の一流品大図鑑」、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行別冊チャネラー「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年4月25日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(昭和56年6月20日発行)、前記「舶来ブランド事典’84ザ・ブランド」、株式会社講談社昭和60年6月25日発行「流行ブランド図鑑」のそれぞれにおいて、メガネについては、前記「世界の一流品大図鑑’80年版」、「ファッション・ブランド年鑑’80年版」、「男の一流品大図鑑’81年版」、「世界の一流品大図鑑’81年版」のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」、「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
他に、これを覆すに足りる証拠はない。
なお、以上の刊行物は、請求人が当事者となっている平成8年審判第6645号、同9年審判第21736号、同10年6194号等の審決において掲げたものと同一のものである。
さらに、ラルフ・ローレンの「POLO」、「Polo」、「ポロ」の商標について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決(東京高裁平2(行ケ)183、平成3.7.11)があるほか、上記商標の周知性を認めた判決として、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11年12月16日)、同268号、同289号(以上平成11年12月21日)、同288号(平成12年1月25日)、同298号、同299号(以上平成12年2月1日)、同192号(平成12年2月29日)がある。
以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、引用商標は、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服類及び眼鏡製品に使用する標章として遅くとも本願商標の登録出願時までには既に我が国において取引者・需要者間に広く認識されるに至っていたものと認められ、その状態は、現在においても継続しているというのが相当である。
(2) 商品の混同のおそれについて
本願商標は、上記のとおりの構成からなるところ、その構成中の「POLO」及び「ポロ」の文字は、「ポロ競技」(馬に乗ったプレーヤーによる2チームが互いにマレットで1個のボールを奪い合い、ゴールに打ち込むことを競う球技)を意味し、「CITY」及び「シティー」の文字は「都市、市」等を意味する語であって、これらが一連一体の熟語として親しまれた観念を有するものとして広く認識されているともいえないばかりでなく、その構成中、看者の注意を強く惹く語頭部分に、上記(1)のとおり、取引者・需要者間に広く認識されているラルフ・ローレンに係る引用商標「POLO」と同一の綴り字からなる「POLO」の文字を有しているものである。
また、本願商標の指定商品には、布製身の回り品、敷布、布団カバー、まくらカバー等が含まれ、これらの商品と引用商標が使用されている被服類及び眼鏡類とは、共にファッションに関連した商品であって、統一ブランドの下にファッションをまとめようとする昨今にあっては少なからぬ関係を有するものといえる。
他方、上記(1)のとおり、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されている引用商標は、「ポロ」(競技)の観念及び「ポロ」の称呼を生ずるものといえる。
そうすると、上記(1)の認定のとおり、我が国において遅くとも本願商標の登録出願時までには既にラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして引用商標が取引者、需要者の間に広く認識されていたという取引の実情を考慮すると、本願商標は、その指定商品に使用する場合には、時と処を別にしてこれに接する取引者、需要者者は、「POLO」及び「ポロ」の文字部分に着目して、引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(3) 請求人の主張について
ア) 請求人は、本願商標を構成する文字はイギリスに実在するポロクラブ名を表す旨主張しているが、その事実を立証する証拠は見出せないし、我が国においては、上記ポロクラブが一般に知られたものとはいえない。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者が本願商標から直ちに上記ポロクラブを表したものと理解し、これを一連一体のものとして認識するとはいい難いから、請求人の主張は採用できない。
イ) 請求人は、「POLO」は「テニス」「ゴルフ」と同様にスポーツ名にすぎず、一般用語として認められるべきであり、また、世界中の辞書、事典を調べても「ラルフ・ローレン」との関係の記述はないから、本願商標は登録されるべきである旨主張しているが、かかる主張は、上記認定判断に照らし、失当であり、採用することはできない。
なお、株式会社小学館、1998年1月10日発行「小学館ランダムハウス英和大辞典」2097頁によれば、「Polo」の項に「(商標)ポロ:米国のRalph Laurenデザインによるバッグなどの革製品」との記述がある。
ウ) 請求人は、「POLO」商標について独占的地位を「ラルフ・ローレン」に与えることによって、日本の市場の自由な競争を閉ざし、「ラルフ・ローレン」商品の独占的販売を許している旨主張しているが、上記(1)の認定のとおり、引用商標はラルフ・ローレンのデザインに係る商品に使用する商標として本願商標の登録出願前から需要者間に広く認識されていたものであり、これを保護することは商標法の目的にも適うものであるから、請求人の主張は採用することができない。
エ) その他、請求人は、同一商標が拒絶査定不服審判で登録されている例(登録第4041602号)ほか、当庁における審査例等を掲げて種々主張している。しかしながら、過去にされた審査例等は具体的、個別的な判断が示されているのであって、必ずしも確立された統一的な基準によっているものとはいえず、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、具体的事案の判断にあたっては、過去の審査例等の一部の判断に拘束されることなく検討されるべきであるから、この点に関する請求人の主張も採用することができない。
なお、商標登録第4041602号は、登録異議申立があった結果、その登録が取り消され、さらにその取消決定が東京高等裁判所において支持されている(平成12年2月29日判決言渡)。
(4) まとめ
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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