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Trademark Appeal Case

冷シャンプーの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2009−193(T2009−193/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「冷シャンプー」の文字を横書きしてなり、第3類、第21類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成20年3月18日に登録出願されたものである。そして、願書記載の指定商品及び指定役務については、当審において、同21年3月16日付け提出の手続補正書により、第3類「シャンプー」、第21類「化粧用具」及び第44類「美容,理容」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『冷シャンプー』の文字を普通に書してなるところ、新聞やインターネットの情報によれば、頭髪及び身体用シャンプーの取引業界において、頭皮や肌等を冷却して毛穴の引き締めや爽快感をもたらす商品が販売され、また、理容との関係においては、上記の特徴を有するシャンプーを使用したり、シャンプー剤やすすぎ用の水を冷やして使ったりと、頭皮に清涼感を与える効果を持った洗髪メニューを提供している事実が確認できることから、本願商標をその指定商品及び指定役務中、例えば『頭皮・肌を冷却する効果を有するシャンプー』及び『頭皮を冷却する効果を有する洗髪の提供』に使用したときには、単に商品の品質、効能又はその役務の質、効能を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成21年6月9日付けで証拠調べの結果を通知した。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見(要点)

本願商標は、「冷シャンプー」と書してなり、証拠調べ通知書に記載された「冷やしシャンプー」の文字とは、その構成及び印象を異にするものであるから、本願商標の使用例を示したことにはならず、また、前記通知書に記載された「冷シャンプー」の使用例は、商標の使用に当らないものである。よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び商標法第4条第1項第16号に該当しない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本願商標は、前記1のとおり、「冷シャンプー」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「冷」の文字は、「冷たいこと。また、そのさま。」(「大辞林 第三版」2006年10月27日株式会社三省堂発行)及び「つめたい。ひえる。ひやす。」等(「角川大字源」1992年2月10日株式会社角川書店発行)の意味を有し、また、「シャンプー」の文字は「洗髪剤。また、洗髪すること。」等(「大辞林 第三版」2006年10月27日株式会社三省堂発行)の意味を有することから、本願商標全体として、「冷たいシャンプー」程の意味合いを容易に看取させるものである。

そして、前記3証拠調べ通知によれば、2004年頃山形県において「メントール成分入りの冷やしたシャンプーを用いた洗髪」を「冷やしシャンプー」と称し提供したところ好評を博したため、2007年全国理容連合会が、涼しさと清涼感や爽快感を楽しめる洗髪を「冷シャンプー」と称し普及活動を行なったところ、これが全国の理容店に広がり、また、凍らせたシャンプー(洗髪剤)や、ミント又はメントールを配合し爽快感を得られるシャンプー(洗髪剤)も、「冷やしシャンプー」又は「冷シャンプー」と称されるようになり、現在では、「冷シャンプー」又は「冷やしシャンプー」の文字は、「清涼感や爽快感が得られ、ひんやりと冷たい洗い心地のシャンプー(洗髪及び洗髪剤)」を意味する語として、一般に広く使用されている実状にあるといい得るものである。

してみれば、本願商標を、その指定商品中、例えば「ひんやりと冷たい洗い心地のシャンプー(洗髪剤)」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と理解するに止まり、また、その指定役務中、例えば「ひんやりと冷たい洗い心地のするシャンプー(洗髪)」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、役務の質、提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と理解するに止まり、自他商品及び役務の識別標識としての機能を果たし得る商標とは認識しないというべきであり、かつ、前記商品及び役務以外の商品及び役務に使用するときは、商品の品質及び役務の質について誤認を生じさせるおそれがあると判断するのが相当である。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張

請求人は、平成21年3月21日付け手続補正書(方式)において、本願商標に係る指定商品を取り扱う業界において、取引者、需要者の間で、本願商標が、普通に使用されておらず、また、何人も使用を欲するものではなく、一私人に独占を認めることが不当である商標に該当しなければ、登録が認められてしかるべきである旨、主張する。

しかしながら、本願商標「冷シャンプー」の文字は、本願指定商品を取り扱う業界及び指定役務を提供する業界において、商品の品質等及び役務の質等を表示する文字として、一般に使用されていることは、前記のとおりであり、また、このような商標は、取引に際し必要適切な表示として、なんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当ではないというべきである。

また、請求人は、地域のヘアサロンで使い始めた商標は「冷やしシャンプー」であって、本願商標自体を使っているわけではなく、また、「冷シャンプー」の文字を含む旗を理容店等に配布し、使用してもらっていることから、理容店等で本願商標も併せて実質的に許諾していることは明らかである旨、主張する。

しかしながら、「冷シャンプー」の文字が理容店で一般に使用されていることは、前記3証拠調べ通知書に記載したとおりであるところ、同通知書2(2)、(6)ないし(10)によれば、請求人以外の者による製造、販売に係る洗髪剤又はそれを用いた洗髪の提供であっても、「冷シャンプー」の文字が使用されており、また、同(11)によれば、「冷シャンプー」に用いる洗髪剤の選定は各理容店に任されており、さらに、同(8)及び(10)によれば、請求人配布の旗とは異なるポスターを掲げながらも「冷シャンプー」の提供をうたっていることから、請求人が提供する商品の有無及び旗の配布とは関係なく、「冷シャンプー」の文字が広く一般に使用されているといい得るものであるから、請求人が本願商標の使用を実質的に許諾しているということにはならない。

さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品又は指定役務との関係における、その商品又は役務の取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されないといわなければならない。

また、請求人は、平成21年7月21日付け意見書において、本願商標と、証拠調べ通知書に記載された「冷やしシャンプー」の文字とは、その構成及び印象を異にするものであるから、本願商標の使用例を示したことにはならず、また、同通知書に記載された「冷シャンプー」の使用例は商標の使用に当たらず、本願商標は自他商品識別標識としての機能を果たすものである旨、主張する。

しかしながら、本願商標「冷シャンプー」と、「冷やしシャンプー」とは、その構成文字が酷似する上に、同じ意味合いをもって一般に広く使用されていることからすれば、近似した印象を与えるというべきであり、構成及び印象を異にするとはいえない。

また、「冷シャンプー」の使用例は、請求人も自認するように商標の使用というよりは、むしろ、シャンプー(商品)の品質、効能及びシャンプー(役務)の質、提供の方法を表示したにすぎないものであるから、本願商標は、自他商品及び自他役務を識別する機能を果たすものとは、到底認められない。

(3)むすび

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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