結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2008−301361(T2008−301361/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件審判請求に係る登録第4503765号商標(以下「本件商標」という。)は、「ランド」の文字を標準文字で表してなり、平成12年3月27日に登録出願、第36類「資金の貸付け及び手形の割引,前払式証票の発行,ガス料金又は電話料金の徴収の代行,有価証券の売買,商品市場における先物取引の受託,生命保険の引受け,損害保険の引受け,中古自動車の評価,企業の信用に関する調査,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」を指定役務として、同13年9月7日に設定登録がされたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
本件商標は、その全指定役務について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は、乙第1号証ないし同第4号証には本件商標が記載されているから本件商標は指定役務「損害保険の引受け」について使用されている、と主張しているが、かかる主張は失当である。以下、その理由を述べる。
(1)本件商標
本件商標は片仮名(標準文字)で「ランド」と一連に横書きして構成されている。
(2)乙第1号証ないし同第4号証
ア 乙第1号証中には、欧文字で「THE LAND」と一連に横書きされた表示が存在するにすぎず、「ランド」の表示を見出すことができない。
イ 乙第2号証中にも、欧文字で「THE LAND」と一連に横書きされた表示と共に、「THE」と「LAND」の欧文字とを円図形内に2段横書きした表示が存在するにすぎず、「ランド」の表示を見出すことができない。
ウ 乙第3号証中にも、欧文字で「THE LAND」と一連に横書きされた表示が存在するにすぎず、「ランド」の表示を見出すことができない。
エ 乙第4号証中にも、欧文字で「THE LAND」と一連に縦書きされた表示が存在するにすぎず、「ランド」の表示を見出すことができない。
(3)比較考察
乙第1号証ないし同第3号証の「THE LAND」と一連に横書きされた表示、同第2号証の「THE」と「LAND」とを円図形内に2段横書きした表示及び同第4号証の「THE LAND」と縦書きした表示 (以下纏めては「使用標章」という。)と、本件商標とを比較すると次のとおりである。
ア 外観
使用標章の外観は、本件商標の外観と顕著に相違する。
イ 称呼
使用標章からは「ザ ランド」の称呼が生ずるのに対し、本件商標からは「ランド」の称呼が生じ、称呼においても使用標章は、本件商標と相違する。
ウ 観念
英語「THE」は「特定のもの」或いは「唯一無二のもの」を示す場合に使用され、英語「LAND」は「陸」及び「土地」を意味することが認められるから、使用標章からは「特定の陸」、「特定の土地」、「唯一無二の陸」或いは「唯一無二の土地」の観念が生ずる。
これに対して、本件商標からは単に「陸」あるいは「土地」の観念が生じ、使用標章は、観念においても本件商標と明確に相違する。
(4)結語
上述のとおり、乙第1号証ないし同第4号証には、本件商標が記載されているとの被請求人の主張は、失当であって容認し得ないものであり、また、本件商標が指定役務「損害保険の引受け」について使用されているとは認めることができない。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出した。
本件商標の商標権者である「株式会社ジオ・インシュランス・リサーチ」は、本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定役務中「損害保険の引受け」について、本件商標を使用している。
(1)商標の使用者
乙第1号証「パンフレット及び納品書」、同第2号証「パンフレット及び請求書」及び同第3号証「パンフレット及び請求書」には、商標権者が表示されている。
また、乙第4号証「住宅新報、2006年8月8・15日号(平成18年)第2976号」には、「ジオ・インシュランス・リサーチ」が記載されている。
(2)使用役務
乙第1号証ないし同第3号証には、「地盤総合保証」の記載、また、同第4号証には、「住宅地盤総合保証制度」の記載がそれぞれされている。
(3)使用標章
乙第1号証ないし同第4号証には、本件商標が記載されている。
(4)使用時期
乙第1号証には、「発行日:2006年06月07日」と、同第2号証には、「発行日:平成20年02月29日」と、及び同第3号証には、「発行日:平成19年12月28日」とそれぞれ記載されている。
また、乙第4号証には、「2006年8月8・15日号」と記載されている。
以上のとおり、本件商標の使用権者は、本件審判請求の予告登録前3年以内に我が国において指定役務中「損害保険の引受け」について、本件商標の使用をしている。
(1)乙第1号証は、表紙に「THE LAND」及び「地盤総合保証制度」の表題などが表示された商標権者に係るパンフレットであり、このパンフレットに関しての「発行日付:2006/06/07」とする納品書が添えられている。
ア 該パンフレットの4葉目の「地盤保証のQ&A」とする箇所に
「Q この保証制度の概要を教えて下さい。」
「A この保証制度は地盤調査・補強改良工事を行ったにもかかわらず建物が不同沈下した場合に原状回復させるための工事費用及び諸経費をお支払いするものです。保証期間は引渡日より10年間です。」
「Q 保証書は発行されるのですか?」
「A 他の地盤保証制度の保証書は調査・補強改良会社が独自に発行している保証書ですが、この保証制度では保険会社の付保証明書が付いている保証書が物件ごとに発行されます。」
「Q 付保証明書とは?」
「A 確かな保証を行うために、株式会社ジオ・インシュランス・リサーチと保険会社で保険契約が結ばれていることを証明するものです。」などの掲載が認められる。
イ 該パンフレットからは、表題以外にも「THE LAND」の表示は確認できるが、該納品書を含めて、片仮名で単に「ランド」と表示している記載箇所は見出せない。
(2)乙第2号証は、表紙に「地盤総合保証」及び「THE LAND」の表題などが表示された商標権者に係るパンフレットであり、及びこのパンフレットに関しての「発行日:平成20年02月29日」とする請求書が添えられている。
ア 該パンフレットの2葉目「はじめに」とする箇所に
「●株式会社ジオ・インシュランス・リサーチは国内損害保険会社と、住宅瑕疵担保履行法に伴う内容(地盤に起因する事故は免責)に対応した10年確定PL保険契約をしました。」などの掲載が認められる。
また「『THE LAND』の概要」とする箇所に図表が示されており、その右側に矢印に沿って「保険契約」、その矢印の先に「引受保険会社」とビルの図や、「国内損害保険会社」などの掲載が認められる。
イ 該パンフレットの5葉目「Q&A」とする箇所に
「Q 他の地盤保証とどのような違いがあるのでしょうか?」
「A 大手保険会社が引き受け保険会社である点...「THE LAND」は国内損害保険会社との保険契約により、その必要な資金を確保し、確実に地盤調査・改良会社が保証を行うことができる安心なシステムとなっています。」などの掲載が認められる。
ウ 該パンフレットからは、表題以外にも「THE LAND」や「THE」と「LAND」とを円図形内に2段横書きした表示は確認できるが、該請求書を含めて、片仮名で単に「ランド」と表示している記載箇所は見出せない。
(3)乙第3号証は、「地盤総合保証に安心を!」、「地盤総合保証制度」及び「THE LAND」などが表示された商標権者に係るパンフレットであり、このパンフレットに関しての「発行日:平成19年12月28日」とする請求書が添えられている。
そして、該パンフレットからは、「THE LAND」の表示は確認できるが、該請求書を含めて、片仮名で単に「ランド」と表示している記載箇所は見出せない。
(4)乙第4号証は、「住宅新報」(2006年8月8・15日号(平成18年)第2976号)とする抜粋記事であり、「IT活用の異色企業 サムシンググループ」「地盤調査の信頼性向上」及び「保証までを一貫サービス」との見出しの下、「...保証分野を担う2社ジオ・インシュランス・リサーチ...の5社で構成。測量・調査から解析、改良工事、地盤保証までをワンストップサービスで提供するほか...また、グループ会社が調査または工事を行った地盤を対象に、AIU保険会社と提携して、不同沈下などに起因する建物損壊の復旧費用を10年間保証する住宅地盤総合保証制度『THE LAND』も提供し、品質に対する信頼度の厚みを増している。...」の掲載が認められる。
そして、該記事抜粋からは、「THE LAND」の表示は確認できるが、片仮名で単に「ランド」と表示している記載箇所は見出せない。
(1)登録商標の使用について
被請求人は、使用標章については、乙各号証に本件商標が記載されていると述べる以上に、その使用態様において本件商標あるいは社会通念上同一と認められるべき理由や使用状況などについて具体的に述べるところがない。
しかして、請求人も述べるように、纏めては「使用標章」とした、横書の「THE LAND」、円図形内に2段横書きした「THE」と「LAND」及び縦書「THE LAND」を当該登録商標の使用に係る標章と解し、これが本件商標と社会通念上同一といえる商標であるかについて判断する。
ア 本件商標
本件商標は、上記のとおり、「ランド」の片仮名からなり、これに照応して「ランド」の唯一の称呼が生じ、また、「ランド」の文字が「陸、土地、国」を意味する語として日本語化しているものであるから、それらの観念が生じるということができる。
イ 使用標章
使用標章は、上記のとおり、横書の「THE LAND」、円図形内に2段横書きした「THE」と「LAND」及び縦書「THE LAND」からなるところ、その構成中の「THE」の文字は、英単語の定冠詞であり普通名詞の前に付いて、同類のものの中で特に代表的・典型的なものとして強調する語であり(広辞苑参照)、同じく「LAND」の文字は、英単語の名詞としては「陸、土地、国」などの意味を有するものであって、これに照応して、使用標章から生じる称呼は「ザランド」というのが相当である。
そして、「THE LAND」の文字からは、「代表的・典型的な陸、代表的・典型的な土地、代表的・典型的な国」程度の観念が生じるということができる。
ウ 小括
してみると、本件商標と使用標章とは、称呼、観念及び外観において異なるものであるから、本件商標は、商標法第50条で規定するところの「登録商標」と社会通念上同一の商標の使用と認めることはできない。
その他、乙第1号証ないし同第4号証からは、本件商標ないしこれと社会通念上同一と認められる商標の使用は見出すことができない。
したがって、被請求人提出に係る当該パンフレット(乙第1号証ないし同第3号証)及び当該記事の抜粋(同第4号証)における使用標章の使用は、本件商標の使用ということができない。
(2)使用役務について
被請求人は、「答弁の理由」の箇所においては、「商標権者がその請求に係る指定役務中『損害保険の引受け』について、本件商標を使用している。」旨述べて、また「本件商標の使用の事実」の箇所では「...使用役務について、乙第1号証ないし同第3号証には、『地盤総合保証』の記載、また、同第4号証には、『住宅地盤総合保証制度』の記載がそれぞれされている。」旨述べているので、当該地盤総合保証ないし住宅地盤総合保証制度における商標権者の行う業務が指定役務「損害保険の引受け」に該当するものであるかについて判断する。
ア 上記1で認定した事実によれば、「THE LAND」標章の下での「地盤総合保証制度」(乙第1号証、同第3号証)、「地盤総合保証」(同第2号証)及び「住宅地盤総合保証制度」(同第4号証)の紹介や解説などがされており、これらのいずれもが、地盤調査・補強改良工事を行ったにもかかわらず建物が不同沈下した場合に原状回復させるための工事費用及び諸経費の支払いを保証すること、及びこの保証システムの特色の一つは、他の国内損害保険会社との保険契約により、その必要な資金を確保し、地盤調査・改良会社が保証を行うことができるシステムであることは理解できるものである。
しかしながら、乙各号証における当該保証制度の掲載において、商標権者自身が直接的に「損害保険の引受け」の役務を行っいてるとの点は認められない。
イ また、「損害保険の引受け」ができるのは、保険業法により当該大臣の免許を受けた者でなければ事業を行うことができないところ、商標権者が免許を受けた損害保険会社であることを窺わせる主張及び立証はない。
ウ 小括
そうすると、乙第1号証ないし同第4号証によっては、商標権者が当該保証制度のシステムにおいて工事費用及び諸経費の支払いを保証するなどの業務を行っているとしても、直に「損害保険の引受け」の役務を行っているとの点は立証し得ない。
以上のとおり、本件商標が使用されたとして提出された証拠(乙第1号証ないし同第4号証)をもってしては、使用標章が本件商標と社会通念上同一の商標といえないばかりでなく、取消請求に係る指定役務中の「損害保険の引受け」に使用されたとも認められないものである。
また、その他の取消請求に係る指定役務について、本件商標の使用を窺わせる主張及び立証はない。
そうすると、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、本件審判請求の登録前3年以内に、取消請求に係る指定役務に使用されたことを認めることができない。また、不使用についての正当理由に係る主張及び立証はない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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