Trademark Appeal Case
NYロゴの類似と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2008−900180(T2008−900180/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5107763号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成19年5月22日に登録出願され、第25類「洋服,セーター類,ワイシャツ類,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として平成20年1月25日に設定登録されたものである。
2 本件商標に対する取消理由
当審において、平成21年1月16日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)米国には、プロ野球リーグとしてアメリカンリーグとナショナルリーグからなるメジャーリーグベースボール(以下「メジャーリーグ」という。)があり、「大リーグ」とも呼ばれ、2006年現在全30球団が所属している。
メジャーリーグの歴史は、1876年にナショナルリーグが発足したことに始まり、その後チームの加盟離脱と移転が繰り返されたが、1900年に「クラシックエイト」と呼ばれる8球団が確定した。1901年にはアメリカンリーグが発足し、現在の2リーグによる形ができた。(甲第13号証)
(イ)メジャーリーグに所属する球団の一つであるニューヨークヤンキース(以下「ヤンキース」という。)は、1901年に創設されたボルティモアオリオールズに始まり、1903年にはニューヨークにおける最初の本拠地に因んでニューヨークハイランダーズに改名され、さらに1913年に現在のヤンキースに改名された。1923年にはヤンキースタジアムが完成し、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリック、ジョー・ディマジオ等の名選手の活躍により、1920年代から1930年代は野球史上最強のチームに挙げられた。
第二次世界大戦後は、リーグ最下位にまで転落するなど低迷した時期もあったが、1990年代には名門として復活し、1998年から2000年の間、ワールドシリーズ3連覇を達成した。日本では、1997年に伊良部秀輝が加入したのをはじめ、2003年に松井秀喜が移籍し活躍して話題になっている。(甲第20号証)
(ウ)我が国においても野球は人気のあるスポーツの一つであり、特に第二次世界大戦後はアメリカ文化の流入と共に人気が高まり、老若男女を問わず多くのファンがいることは周知の事実である。
そして、近年は、1995年に野茂英雄が渡米しメジャーリーグで投手として活躍したのを皮切りに、日本人選手がメジャーリーグ所属の球団に移籍して活躍していることもあり、メジャーリーグの試合についてもテレビを通じて数多く放映され、その結果や関連記事等が新聞・雑誌に数多く掲載されている。特に、2004年からは電通がメジャーリーグの試合の日本向け放映権を獲得し、各テレビ局で放映するようになったことから、我が国においても、メジャーリーグ所属のチーム名をはじめ、ユニフォーム、帽子等に付されたチームのロゴマークも多くの視聴者の耳目に触れることとなり、メジャーリーグファンが増加し、旅行社によって我が国からのメジャーリーグ試合の観戦ツアーが行われる程になっている。(甲第2号証ないし甲第13号証及び甲第21号証)
(エ)別掲(2)のとおりの構成からなる標章(以下「引用商標」という。)は、ヤンキースの前身であるニューヨークハイランダーズが1903年から1904年頃にチームのロゴマークとして選手のユニフォーム、帽子等に付して使用していたものであり、ヤンキースの歴史と共に広く紹介されていると共に、現在はメジャーリーグファン用の関連商品の一つである帽子にヤンキースの復刻版等として使用されている。これらメジャーリーグ関連商品はメジャーリーグファンの増加と共に人気になり、我が国においても容易に入手することができる。(甲第16号証及び甲第21号証)
(2)以上の認定事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既にヤンキースのロゴマークないしはヤンキースを表象するものとして我が国の取引者、需要者の間においても広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
(3)他方、本件商標は、別掲(1)のとおり、「NY」の文字を基調に図案化したものと認められるところ、同じく「NY」の文字を図案化した引用商標とは、図案化の手法が極めて近似し、全体として酷似した印象を与えるものであるから、両商標は、外観上彼此相紛らわしく類似するものといえる。
また、本件商標の指定商品は、ヤンキースをはじめとするメジャーリーグの選手が着用するほか、メジャーリーグ関連商品として取り扱われているティーシャツ、ユニフォーム、靴下、帽子、野球靴等の商品を含むものである。
(4)かかる事情の下において、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている引用商標ないしはヤンキースを連想、想起し、該商品がヤンキース又はヤンキースと経済的・組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかと誤認し、その商品の出所について混同するおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、その登録を取り消すべきものである。
3 当審の判断
商標権者に対し、上記2の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記2の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲(1)本件商標
別掲(2)引用商標
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