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Trademark Appeal Case

著名商標の類否と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900335(T2008−900335/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5139346号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5139346号商標(以下「本件商標」という。)は、「SYSLEY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年11月13日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同20年4月10日に登録査定、同年6月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

登録異議申立人セー エフ ウー ベー シスレー(以下「申立人」という。)は、結論同旨の決定を求めると主張し、その理由として要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第15号について

申立人は、「sisley」の文字よりなる商標(以下「使用商標」という。)を化粧品に使用している。そして、「sisley」ブランドの商品は、申立人が大規模に広告宣伝を行ったほか、雑誌において専門家から高い評価を得た商品として取り上げられた結果、高品質、高級感等の信用が形成されている。すなわち、使用商標は、本件商標の登録出願時である平成19年には、すでに申立人の業務に係る商品である化粧品を表示するものとして、我が国においてはもちろんのこと、世界的に極めて高い信用が形成され著名に至っているものである。

本件商標は、前記のとおり、「SYSLEY」の文字を書してなり、他方、使用商標は、「sisley」の文字よりなるから、観念、外観及び称呼について総合的に考察すれば、相紛らわしい類似の商標である。

そして、本件商標の指定商品「薬剤」と使用商標が使用されている「化粧品」とは、同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあり、極めて高い関連性を有する商品である。

よって、本件商標に接する取引者、需要者は、普通に払われる注意力において、使用商標を連想、想起するものといえるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。

(2)商標法第4条第1項第19号について

本件商標と使用商標とは、類似の商標であり、使用商標は、本件商標の登録出願時には、既に化粧品に関し極めて広く知られていたものである。したがって、本件商標は、著名な使用商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声を毀損させたりする目的をもって出願され、「不正の目的」をもって使用をするものというのが自然である。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものというべきである。

(3)商標法第4条第1項第7号について

前記のとおり、使用商標は、申立人の不断の努力によって高い名声・信用・評判を獲得した著名商標であり、本件商標は、使用商標に化体した名声・信用・評判にただ乗りし不正な利益を得るために使用する目的で出願されたものというべきである。

したがって、本件商標を指定商品に使用した場合、商取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反することになる。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものというべきである。

(4)結論

以上述べた通り、本件商標は、商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきものである。

3 本件商標の登録に対する取消理由

(1)登録異議申立人の使用に係る商標の著名性について

ア 申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。

申立人は、1976年に設立され、化粧品の製造販売を行っているフランス国の法人であり、「sisley」は、社名の一部であるとともに、申立人の製造販売する商品の商標(以下「使用商標」という。)であり、世界80カ国以上で販売されている(甲第3号証)。

我が国における使用商標を付したスキンケア化粧品の売上高は、2005年が約19億円、2006年が約24億円、2007年が約25億円、2008年が約27億円であり、シェアも2.2パーセントまで漸増している(甲第4号証)。本件商標が登録出願された2007年の時点で、全国のデパートに約30の店舗を展開し、平成20年11月現在、33の直営店を有している(甲第5号証及び甲第6号証)。

また、申立人は、「sisley/シスレー」ブランドの商品の広告を小学館発行の「Domani(2006年2月1日)」、小学館発行の「美的3月号(2006年3月1日)」、ベルシステム24発行の「Urb[アーブ]3月号(2006年3月1日)」、主婦と生活社発行の「NIKITA[ニキータ]3月号(2006年3月1日)」、日本経済新聞夕刊(2007年3月1日)等々、多くの雑誌、新聞に掲載しているばかりでなく(甲第7号証)、「sisley/シスレー」ブランドの商品は、雑誌に頻繁に取り上げられており、例えば、講談社発行の「VOCE[ヴォーチェ]2007年8月号」では乾燥部門1位として紹介されており、集英社発行の「MAQUIA[マキア]2007年8月号」では「2007上半期のベストコスメ大賞」のうち「乾き知らずの癒され美肌賞」「代謝アップですっきりボディ賞」、集英社発行の「MORE[モア]2007年8月号」では「ボディケア大賞」を受賞し、マガジンハウス発行の「BOAO[ボアオ]2007年8月号」では「’07年上半期ベストコスメ100」に選出されている(甲第8号証)。

イ 職権をもって調査したところ、使用商標に照応する「シスレー」の文字について、以下の事実が認められる。

(ア)2000年11月1日付け朝日新聞 東京朝刊 13頁には「仏化粧品シスレーが日本法人を設立(情報ファイル)」の見出しの下「フランスの高級化粧品ブランド『シスレー』は31日、日本法人『シスレージャパン』を設立した、と発表した。これまでアパレル大手の三陽商会が輸入総代理店として独占的に卸してきたが、『魅力的な日本市場でブランドイメージを強化する』ため、来年1月から100%出資会社を通じて直接販売に携わる。」との記載がある。

(イ)2001年12月22日付け繊研新聞 3面には「東京・銀座地区百貨店化粧品9〜11月商戦 顧客情報生かして順調」の見出しの下「今秋冬傾向は『大きいコーナーを構えているところほど良く、ランコム、シャネル、資生堂、ファンケルなどすべてが好調』(三越)、『スキンケア商品に加えて今春から拡充した二十代向けのファッションが切り口のメーキャップ関連が実を結び、ランコム、ゲラン、コーセー、シスレー、MAC、シャネルなど軒並み売れている』(松屋)、『RMKルミコ、アユーラ、イプサ、クリスチャン・ディオールが売れ筋』(有楽町西武)としている。」との記載がある。

(ウ)2003年2月11日付け朝日新聞 東京朝刊 21頁には「肌は金より貴くて 高額化粧品売れてます 各社競う理論と新成分」の見出しの下「外国ブランドも、仏シスレーのシスレイヤ(49グラム、2万9500円)、米ドゥ・ラ・メールのモイスチャライジングクリーム(約58グラム、2万8千円)などが、女性誌や口コミで評判が広がり売り上げを伸ばしている。ドゥ・ラ・メールは昨年末に期間限定発売した約480グラムで15万円の徳用サイズが、伊勢丹新宿店だけで1カ月間に前年の倍近い182個が売れた。」との記載がある。

ウ 以上の事実によれば、使用商標は、申立人が「スキンケア化粧品」について使用する商標として、本件商標の登録出願の時には既に、我が国における化粧品の取引者、需要者の間において広く知られていたものと認められ、その著名性は登録査定時においても継続していたものということができる。

(2)本件商標と使用商標との類否について

両商標の類否についてみるに、本件商標は「SYSLEY」の文字を横書きしてなるのに対して、使用商標は「sisley」文字からなるものであるから、両者は、「シスレー」の称呼を共通にするものである。また、外観の点からみても、6文字中5文字までの綴りを同じくし、わずかに第2文字目において「Y」と「i」の文字の差異を有するにすぎないものであって、中間部分においては、その印象も薄れがちなものとなり易いことからすれば、これら商標を時と所を異にして離隔的に観察した場合には、彼此見誤るおそれがあるものというべきである。

そして、両商標は、いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認められるから、観念上の明瞭な差異により区別されるとはいえない。

してみれば、本件商標と使用商標とは、その外観及び称呼において、互いに相紛らわしい類似の商標といわなければならない。

また、本件商標の指定商品である「薬剤」と申立人の業務に係る商品「化粧品」とは、例えば、「薬剤」の中には、「肌及び頭髪の手入れに用いる外皮用薬剤」のように、使用商標が用いられている「スキンケア化粧品」とその用途において近似した商品も含んでいるばかりでなく、「薬剤」と「化粧品」とは、その原材料を共通にするものも多く、また、近時、医薬品メーカーが化粧品の製造販売を行い、化粧品メーカーが医薬品事業を展開しており、薬剤と化粧品とがその販売場所を共通にする傾向も強くなっていること等にかんがみれば、互いの商品の関連性も否定できないところである。

(3)出所の混同のおそれについて

以上を総合してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人の業務に係る著名な引用商標を連想・想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じるおそれがあるものといわなければならない。

(4)まとめ

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

4 当審の判断

当審において、商標権者に対し、上記3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。

そして、上記3の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由により、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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