sokuhyo

Trademark Appeal Case

NERO DI SEPPIAの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2008−900344(T2008−900344/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5141479号商標の指定商品中、第29類「食用魚介類を主材とする惣菜,その他の加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース」についての商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5141479号商標(以下「本件商標」という。)は、「NERO DI SEPPIA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年11月30日に登録出願、第29類「食用魚介類を主材とする惣菜,その他の加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース」ほか、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同20年4月8日に登録査定、同年6月13日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要点)

1 イタリア語で「NERO」は「黒色」、「SEPPIA」は「甲いか、もんごいか」、「DI」は「・・・で作った」を意味し、「NERO DI SEPPIA」の文字は、全体として「イカスミ」を表すものである(甲第1号証)。

そして、イカスミのパスタ等のメニューは、1994年頃に「イカスミ食品」がブームとなったときに(甲第3号証及び甲第4号証)認知されるようになり、2007年の20〜50代の主婦を対象とする調査においては、家庭での食用経験は20%を切るものの、外食も含めた食用経験では60%を超えるものとなっている(甲第6号証)。

このような状況で、イタリアレストランでは、メニューにイタリア語で「NERO DI SEPPIA」と表記したイカスミのパスタやリゾットが広く見られるようになっており(甲第7号証ないし甲第20号証)、また、インターネット上でもイカスミのパスタやリゾットの調理のためのレシピが「NERO DI SEPPIA」と表示された上で複数公開されており(甲第21号証ないし甲第27号証)、イカスミのペースト類、パスタソース、イカスミを練りこんだパスタ、パスタソース付きパスタについて、「NERO DI SEPPIA」と表示した商品も少なからず販売されている(甲第28号証ないし甲第37号証)。

これらの事実を総合すると、「NERO DI SEPPIA」は、イタリア料理の食材を取引する食品業界はもちろんのこと、一般消費者、特にイタリア料理を好む層においては、少なくとも本件商標の登録査定時では、「イカスミ」を表すものとして十分に知られているものといえる。

2 本件商標は、「NERO DI SEPPIA」のローマ字を普通に用いられる態様で表示したにすぎないから、その指定商品中「イカスミを主原料とする加工水産物,イカスミを主原料とするパスタソース」に使用しても、取引者、需要者は原材料として「イカスミ」を使用しているという意味合いを認識するにすぎず、該商品以外の「食用魚介類を主材とする惣菜,その他の加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース」に使用するときは、取引者、需要者が「イカスミを原材料として使用したもの」であるかの如く、商品の品質を誤認するおそれがある。

したがって、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである。

第3 本件商標に対する取消理由(要旨)

平成21年6月9日付けで通知した取消理由は、次のとおりである。

1 商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最高裁第三小法廷判決昭和54年4月10日・裁判集民事126号507頁、判例時報927号233頁参照。)。この趣旨に照らせば、登録査定時において、当該商標が、取引者、需要者に指定商品に係る原材料名であると広く認識されている場合はもとよりであるが、仮に、その商標が指定商品の原材料名として取引者、需要者に知られていない場合であっても、将来、取引者、需要者にその商品の原材料名であると認識される可能性があり、これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには、その商標は、同号に該当すると解するのが相当である(同旨の判決:平成12年6月13日判決〔平成11年(行ケ)第410号事件、最高裁ホームページ〕、平成12年10月25日判決〔平成12年(行ケ)第164号事件、判例時報1743号126頁、最高裁ホームページ〕、平成15年4月21日判決〔平成14年(行ケ)第222号事件、最高裁ホームページ〕参照。)。

2 本件商標は、前記第1のとおりの構成文字からなるところ、その構成中の「NERO」、「DI」及び「SEPPIA」の各文字は、それぞれ「黒い、墨」、「・・・の」及び「イカ」等の意味を有するイタリア語であり、「nero di seppia」の文字が「イカの墨」の意味を有するものであることが認められる(「伊和中辞典〈第2版〉」 2008年2月4日 株式会社小学館発行)。

そして、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る証拠によれば、「イカ(の)墨」を使用した食品についての記載及び「NERO DI SEPPIA」又はこれと綴りを同じくする「Nero di seppia」若しくは「nero di seppia」の各文字(以下、これらをまとめて「本件イタリア語表示」という。)が、次のように説明され、かつ、使用されている事実が認められる。

(1)イタリア料理用語辞典(1997年2月10日第7刷 株式会社白水社発行)の「nero[ネーロ]」の項には、「1.黒い,黒色の.・・・risotto〜di seppia いかすみ入りのリゾット.2.黒,黒色.〜di seppia いかすみ.」、「di[ディ]」の項には、「・・・3.・・・でできた,作った.marmellata di arance オレンジマーマレード.」及び「seppia[セッピア]」の項には、「甲いか,もんごいか.」とそれぞれ記載されている(甲第1号証)。

(2)「イカ」を見出しとするウェブページにおいて、「イカスミ」の小見出しの下に、「主に地中海地方でイカのスミを料理に使う。パスタのソースに使ったイカスミスパゲッティや、パエリアに混ぜるなどして使われる。日本では、『黒作り』(墨入りの塩辛)を除いては沖縄以外では使われていなかった食材だが、イタリア料理・スペイン料理の影響から、和食、洋食に使われるようになった。」との記載がある(甲第2号証)。

(3)新聞記事情報

ア 「イカスミ食品−−『黒』くて『健康』が評判、パスタソース多様化進む(売れ筋)」の見出しの下、「アミノ酸を多く含み、抗菌作用や抗がん効果もあるといわれるイカスミを使った食品の売れ行きが好調だ。食品らしからぬ真っ黒な色彩が持つ意外性と、健康にいいというイメージが人気を呼んでいる。

カゴメは九四年三月に発売したレトルトパスタソース「イタリア家庭料理の小箱」シリーズ(三種類)にイカスミソース(百四十グラム入り、希望小売価格二百四十円)をラインアップ。・・・しかしイカスミソースはすでに外食のパスタメニューとして定着していることもあり、発売当初から消費者の反応も上々。同社の九四年のパスタソースの総売上高は新製品効果もあって前年を二倍以上上回る勢いだが、なかでも売れ筋はイカスミソースという。ハインツ日本(東京・文京)では「ハインツ・イタリアンパスタソース イカスミソース」(レトルトパウチ百四十グラム入り、二百五十円)を昨年十月にリニューアル。・・・一方、昨年十一月から「イカスミカレー」を販売しているのはマルハ。カレーのベースにヨーグルトを使ったまろやかな味わいで、スパイスも厳選し、コクのある味に仕上げた。カレー以外にパスタソースとしても利用できるのが特徴だ。」との記載がある(甲第3号証:日経流通新聞1995年1月12日発行)。

イ 「イカ墨食品が根強い人気 大半が日本オリジナル 健康志向も支え」の見出しの下、「イカ墨食品をメニューに加えるレストランやパン屋も増えている。イカ墨は、スペイン・イベリア半島沖など、大西洋でとれたモンゴウイカから取ったものが多い。・・・日本の郷土料理にもイカ墨を生かしたものがあり、いかすみ塩辛などを作っている沖縄県石垣市のかりゆしは、『売り上げは着実に伸びています』。」との記載がある(甲第4号証:朝日新聞1995年4月8日発行)。

(4)「家庭の食卓トレンド調査《メニュー編》2007年9月」(株式会社日本能率協会総合研究所)によれば、20〜50代の主婦を対象とした調査において、「イカスミのスパゲティ」の食用経験は、2004年に64.1%となっている(甲第6号証)。

(5)レストランにおけるメニュー中、「イカの墨入りスパゲッティ」、「イカ墨のスパゲッティ」、「イカ墨のリゾット」、「イカスミのパスタ」等の表示において、「NERO DI SEPPIA」、「Nero di seppia」又は「nero di seppia」の各文字が使用されている(甲第7号証ないし甲第20号証:平成20年8月12日ないし14日及び同月27日のプリントアウト)。

(6)平成20年8月14日のプリントアウトされたウェブページにおけるレシピ紹介に係る表示において、「Risotto al nero di seppia(いか墨のリゾット)」(甲第22号証)、「アサリとイカスミソースのリングイーネ Linguine al Nero di Seppia e Vongole Veraci」(甲第24号証)、「Spaghetti al nero di seppia(イカスミのスパゲティ)」(甲第25号証)、「Spaghettini al nero di seppia(いか墨のスパゲッティーニ」(甲第26号証)、「イカ墨のスパゲッティ(Spaghetti al nero di seppia」(甲第27号証)などの記載がある。

また、平成20年3月4日開催の中央卸売市場料理教室(第3回)を表題とする案内において、「Risotto al nero di seppia(イカ墨のリゾット)」についてのレシピが掲載されている(甲第23号証)。

(7)商品における表示

ア 網状包装袋に下げられたタグ表面に「Nero di Seppia」の文字や「もんごいか」の写真、タグ裏面に「2008.12」、「名称:イカスミ調味料」、「原材料名:イカスミ,食塩」ほか、レシピ、原産国や輸入者などの記載がある(甲第29号証)。

イ 包装箱表面に「Nero di Seppia」の文字や「イカスミのスパゲテイ」の写真、裏面に「品名 イカスミ ペースト」、「原材料名 イカスミ,塩」「賞味期限2010年6月30日」、ほか、レシピ、原産国や輸入者などの記載がある(甲第30号証)。

ウ 「イタリア産 イカスミペースト SUGO al Nero di Seppia【イタリアンフェア】」の見出しの下、ラベルに「SUGO al Nero di Seppia」の文字や「イカスミのスパゲテイ」の写真が表示された瓶容器の写真及び「SUGO al Nero di Seppia イカ墨ペースト」、「名称:イカスミペースト」及び「原産国:イタリア」の各記載がある(甲第31号証:平成20年8月14日プリントアウト)。

その他、商品スパゲテイやパスタに「con nero di seppia」や「Spaghetti al nero di seppia」などと表示され「イカ墨(いかすみ、イカスミ)」を原材料の一としていることが認められる(甲第33号証ないし甲第37号証)。

3 ウェブページにおける本件イタリア語表示について、当審における職権調査によっても以下の事実が認められる。

(1)「モンテベッロ イカスミペースト 4gx2パック 4g×50」の見出しの下、「Nero di seppia イカスミペースト」、「賞味期限 730日)」及び「最終更新日:2008年4月1日」との記載がある(甲第28号証と同一商品:http://www.shokuzai-pro.com/ItemSearchDetail.do?itemCd=ks23669)。

(2)「スピガドーロ イカスミパスタソース 290g 缶 290g×12」の見出しの下、「Nero di Seppia」の文字が表示された缶容器の表示、「賞味期限 730日)」及び「最終更新日:2008年4月1日」との記載がある(甲第32号証と同一商品:http://www.shokuzai-pro.com/ItemSearchDetail.do?itemCd=ks23666及びhttp://121.119.176.63/upload/img/item/ks23666.jpg)。

(3)「GABAN イカスミソース 240g×24」の見出しの下、「NERO DI SEPPIA イカスミ ソース」の文字が表示された缶容器の表示、「賞味期限 1080日」及び「最終更新日:2008年02月05日」との記載がある(http://www.shokuzai-pro.com/ItemSearchDetail.do?itemCd=ks21680)。

(4)「トスカーナ・イン・ターヴォラ/イカスミのパスタソース」の見出しの下、「Nero di Seppia」の文字が表示された瓶容器の表示、「品名:イカスミのソース」との記載がある(http://shop.essere.co.jp/shopdetail/005002000001/)。

(5)イタリア有機農業協同組合のキャンペーンに係る「ヨーロッパ産 オーガニック製品。。。。。。人と地球の未来のために」と題するパンフレットに、「Gnocchi al nero di seppia イカスミ入りニョッキ」との記載がある(http://www.eurorganic.eu/allegati/biologico/jp_fiere.pdf)。

(6)「イタリアの魚類及びその加工品」の見出しの下、「○イカ墨ペースト NERO DI SEPPIA」との記載がある(http://www.geocities.jp/hond0430/syokuzai/syokuzai-2.html)。

(7)「・食材による分類」の見出しの下、「名称」の欄に「イカ墨」、「伊語表記(意味)」の欄に「Nero di seppia」との記載がある(http://www.shurey.com/Italy/pasta_piatto.html)。

(8)「食に関するイタリア語」の見出しの下、「nero di seppia[ネーロ・ディ・セピア]イカ墨」との記載がある(http://www.stepup97.com/meeting/rec0205.htm)。

(9)「Gia’Sotto L’Arco ジャ・ソット・ラルコ」の見出しの下、「ちなみにイカスミはNero di Seppia(ネロ・ディ・セッピア)。」との記載がある(http://homepage3.nifty.com/pooh02/andiamo/cosa/cosapuglia/cosapuglia01/cosagiasotto01.html)。

(10)「Casa Dolce Casa」の見出しの下、「Nero di seppia(イカスミ)」との記載(http://sorelle.exblog.jp/3303139/)。

(11)「イカスミパスタ:スパゲッティー・ネーロ」の見出しの下、「イカスミは、nero di seppiaと言います。」との記載がある(http://pastalabo.cocolog-nifty.com/blog/2005/12/post_0307.html)。

4 以上の事実によれば、イカ墨は、従来からイカの塩辛などの原材料として使用されていたばかりでなく、近年では、健康に対する関心が高まる中で、抗菌作用や抗がん作用もあるといわれていることや、イタリア料理に関する関心の高さも相まって、パスタソース、カレーなどの原材料としても使用されているものであり、イタリア料理に関する分野において、本件イタリア語表示は、スパゲッティ、リゾットなどの料理名に「イカスミ」などの文字とともに広く使用されているばかりでなく、イカ墨を原材料とするペースト、パスタソースなどが一般に販売されており、該商品又はその包装にも「イカ墨」を表すものとして、本件イタリア語表示が広く使用されているものである。

そして、「イカスミのスパゲッティ」の食用経験者が20〜50代の主婦層の約64%に上ること(甲第6号証)を勘案すると、本件イタリア語表示は、本件商標の登録査定時には、既に相当程度認識されていたとみるのが相当であるから、本件商標に接する取引者、需要者は、「イカ墨」の意味を認識、把握するものといわなければならない。

なお、申立人の提出に係る証拠において、ウェブページのプリントアウトが本件商標の登録査定時(平成20年4月8日)以降のものであるとしても、その多くは該査定時より約4カ月後のものであり、これに前記「イカスミ食品−−『黒』くて『健康』が評判、パスタソース多様化進む(売れ筋)」(甲第3号証)、「イカ墨食品が根強い人気 大半が日本オリジナル 健康志向も支え」(甲第4号証)及び「「家庭の食卓トレンド調査《メニュー編》2007年9月」(甲第6号証)の新聞報道や調査情報などを考慮すれば、本件商標の登録査定時前から本件イタリア語表示をもって商品「イカ墨ペースト」や「イカ墨ペーストを原材料とするパスタソース」が輸入され流通していたものと認められ、かつ、料理名やレシピなどのウェブページ情報も本件商標の登録査定時前との状況において大差はないと優に推認し得るものである。

そうすると、本件商標をその申立てに係る指定商品中「食用魚介類を主材とするイカ墨入りの惣菜,その他のイカ墨入りの加工水産物,イカ墨入りのカレー・シチュー又はスープのもと,イカ墨入りのミートソース,その他のイカ墨入りのパスタソース」に使用するときは、少なくとも、これに接するイタリア料理に関係する商品の取引者又はイタリア料理に関心を有する需要者に、商品の品質、原材料を表示したものと認識させるにとどまるものであるとみるのが相当であり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。また、本件商標は、上記商品の取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないといわなければならない。そして、本件商標は、商品の品質、原材料を表すものと認識される以上、上記商品以外の申立てに係る指定商品「食用魚介類を主材とする惣菜,その他の加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース」に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというべきである。

5 したがって、本件商標は、その指定商品中「食用魚介類を主材とする惣菜,その他の加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,ミートソース,その他のパスタソース」については、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見

商標権者は、前記第3の取消理由に対して、指定した期間内に意見を述べるところがない。

第5 当審の判断

本件商標についてした前記第3の取消理由は、妥当なものである。

したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。